失語症と構音障害のちがいとは?

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脳梗塞や事故によって脳の特定の部位に破損が生じると、言語機能に障害が出ることがあります。
後遺症による言語障害の症状や、言語聴覚士によるリハビリ方法などはそんな手法があるのでしょうか?
もしご家族や大切な人が脳梗塞や事故にあったとき、そして言語障害を発症したら…
言語障害で代表的な「失語症」と「構音障害」の2つの違いをご説明します。

「失語症」と「構音障害」のちがい

話すことが難しくなる2つの脳の後遺症。
2つの違いは、何の能力に課題が生じているかどうかです。

話すための筋力が低下する構音障害は、脳梗塞や事故によって運動機能に影響を受けた時にあらわれます。

一方で、言葉を理解できなかったり、自分の頭の中でまとめられなかったりという症状が出た場合には、高次脳機能に障害を負ったことも考えられます。

失語症か構音障害かを診断するためには、医師や言語聴覚士が患者様の話し方や理解力に関する項目をチェックします。

声の大きさや話すリズム、声を出すときの様子から身体機能判断をするのが構音障害、
「挨拶できるか」「とっさに言った言葉を復唱できるか」という理解度をチェックするのが失語症です。

失語症とは?

失語症とは、大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。

失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。

その障害の程度は、脳の損傷の程度によって差があります。

≪失語症の種類≫

・ブローカー失語症(運動性失語)
脳の前頭葉側に障害が起きた場合に多く、会話や文章の意味は理解できるが、うまく話すことができない。話し方がぎこちない。

・ウェルニッケ失語症 (感覚性失語)
脳の側頭葉に障害が起きた場合に多く、話し方はなめらかであるものの、単語の間違いなどが多く見られる。聞いてその内容を理解することも困難。

・健忘失語
話す内容は理解できるものの、単語や物の名前が出てない場合があり、話し方が回りくどくなってしまう特徴がある。

・全失語
失語症のなかでもっとも重症な症状で、「話す」「聞く」「読み書き」のすべてに重度の障害がみられる。

・運動障害性構音障害とは?

運動障害性構音障害とは、脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。

≪構音障害の種類≫
・弛緩性構音障害
大脳や脳幹にダメージを受けた時に現れる後遺症。失語症とは違い、相手の話を理解したり、頭の中で伝えたい言葉をまとめたりすることはできますが、舌や唇をうまく動かせないため、声という形で相手に伝えることが困難になります。

・失調性構音障害
発話に関わる筋力が低下することで、話す時のリズムが不規則になったり、「ますます」「ジャラジャラ」など繰り返す音が言えなかったりする症状があらわれます。声の大きさにバラつきが出たり、震えたりして聞き取りにくい発語になります。

失語症や構音障害など言語障害が出た場合は、言語聴覚士の指導のもとリハビリをおこない機能回復を目指します。

文字を見せる、呼びかけるなどをおこないって言語機能の障害の程度を確認します。
どの能力を向上させる必要があるかを判明してから、話すための訓練へとステップアップしていきます。

言語障害の患者様は、言語聴覚士とのリハビリでのコミュニケーションや、ご家族との会話を増やし、できるだけ話してもらう機会を増やすこともリハビリになります。

また、患者様とのコミュニケーション方法に不安や悩みのあるご家族に寄り添い、ともに支えていくことも言語聴覚士の仕事といえます。

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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