小児

2019/08/05

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「小児リハビリテーション」×「言語聴覚士」

  1、小児リハビリテーションとは?   発達障害をお持ちのお子さんに対して、そのお子さんの発達段階に合わせた言語療法をおこない、感覚やコミュニケーション力を養って、より社会性を高める支援をします。     2、小児リハビリテーションの対象となるのは?   ◆発達に遅れや偏りがあるお子さん 言葉が遅い、じっとしていられない、コミュニケーションがうまくとれない、かんしゃくがひどい、動きがぎこちない、手先が不器用 など   ◆言葉が聞き取りにくいお子さん 発語がはっきりせずに不明瞭、サカナがタカナ、カラスがタラスになってしまう など   《具体的には…》   |言語発達遅滞 言葉を含めて、年齢よりも発達が遅い、また知的障害・自閉症・ADHD(注意欠陥多動症)、LD(学習障害)、ダウン症や染色体異常などによってコミュニケーションがうまくできない   |機能性構音障害 ※発音の正しい獲得不全 聴覚や発音器官などにはあきらかな原因がないが、言葉が不明瞭になってしまう。   |吃音(どもり) 言葉を話すときに出だしの言葉に詰まってしまったり、引き延ばしたりして滑らかにしゃべれない。 あわせて、お子さんの取り巻く環境調整へのアドバイスやお子さんの心的サポートもおこなう。   |聴覚障害 先天的に耳は聞こえない、中途失聴、言葉の遅れ など   |小児の摂食障害 口腔発声器官の発達の遅れなど、さまざまな原因によって、「噛む」・「飲み込む」などの食べる機能に問題が生じる。 そのほか、固いものを食べることを嫌う、飲み込めずに食べ物を吐き出してしまう、口からよくこぼしてしまう など。     3、小児リハビリテーションでの言語療法ってどんなことするの?   言語聴覚士がおこなう小児リハビリテーションの言語療法では、 ことばだけではなく、コミュニケーション・認知・感覚面ついても総合的に評価をおこなって、そのお子さんの発達段階に合わせた課題を、言語聴覚士との遊びの中で、言葉をはぐくむための基礎づくりを支援します。     4、小児リハビリテーションをする「言語聴覚士」の仕事とは?   言語聴覚士は、英語では「Speech―Language-Hearing Therapist」(略:ST)とも呼ばれる国家資格です。 同じリハビリテーションの国家資格にはほかに、「理学療法士」(略:PT)と「作業療法士」(OT)があります。   言語聴覚士は、小児リハビリテーションのように生まれつき障害のあるお子さんのほかに、 成人では脳卒中、脳梗塞により話すことや聴くことに対して、言語能力や聴覚能力を回復させるリハビリテーションをおこなう医療系専門職です。 近年では、小児や成人に加えて、超高齢社会と影響もあり、高齢者に対する食べることや飲み込みができないといった嚥下障害へのリハビリでも活躍が目立ってきています。   「話す」や「聞く」に障害を持っている小児リハビリテーションの場合、感情表現が乏しいお子さんであると生活に大きな影響を及ぼしてしまうこともあり、周囲の人とのコミュニケーションがうまくとれなくなってしまうことも多くあります。 「話す」や「聞く」はうまくできない原因は、発達障害にあったり、難聴の疾患であったり、さらには心理的な要因まで含めてさまざまです。   言語聴覚士は、そのお子さんの抱える症状の問題や原因を探り、検査などをしながら、一人ひとりにあった訓練プログラムを考えて、リハビリをおこなっていきます。 文字や絵を使って言葉を引き出したり、言葉だけでなく身振り手振りを使う練習などのリハビリや、詰まった発音で話したり、言葉が詰まったりする場合には口やほっぺの体操をしたり、言葉をくりかえす練習をしたりします。   そして、高度な専門性を持つ言語聴覚士は、医師や看護師、あるいは理学療法士や作業療法士などの他の医療系専門職と連携しながらリハビリをおこないます。     5、小児リハビリテーションで活躍する言語聴覚士のやりがい   言語聴覚士の仕事といっても、小児と成人ではリハビリ方法が異なるため、養成校に入学する前や在校中から、「小児リハビリをやりたい」、「小児療育に関わりたい」ということで、言語聴覚士を目指す人が多いようです。   たとえば、在学中に小児リハビリの現場を見学して、訓練をしているお子さんのがんばっている様子や、課題をクリアしたときのイキイキとした表情を見て、子どもたちの成長をサポートできる喜びややりがいを感じることができて、将来は小児リハビリや小児療育のできる病院や施設で言語聴覚士として勤務を希望します。   訓練に励むお子さんが、むずかしかったり、一つのことにこだわってしまったり、下を向いてしまったり、大きな声を出してしまったり… いろいろなお子さんがいて、大変なこともたくさん。   それでも、リハビリに通っているお子さんたちが、これまでできなかったことができるようになったり、言葉が増えたりすると、言語聴覚士自身も元気をもらえたり、大きな喜びをお子さん本人やご家族と一緒に感じたり、とても素敵で魅力いっぱいの仕事なのです。  

2019/08/05

小児

子どもに関わる言語聴覚士の役目とは?

  子どもが生まれつきの機能障害や、自閉症などの障害をもっていた場合に、 その子の状態を基準として、機能発達を目標にすることがあります。   回復するための治療ではなく、機能のさらなる有能化を目指すリハビリテーションをおこないます。     子どもと関わる言語聴覚士の仕事内容   たとえば発達障害の場合、保護者がわが子の発達の凸凹に気づくのは、 1歳6か月健診や3歳児健診がきっかけになることが多いです。   そこからわが子を「療育」への扉を開けるまでには、悩みや葛藤がおこります。   そんなとき子どもと関わる言語聴覚士に求められることは 「子どもの姿に寄り添って、その子の特性を生かしていくこと」です。   子ども一人ひとりが違った特性をもっていることを理解して、 その子に合った丁寧な関わり方や向き合い方が求められます。   1、小児療育・教育機関での仕事内容   療育や教育機関での言語聴覚士のリハビリの仕事内容は、病院などの医療機関でのリハビリとは少し違っています。   医療機関では机に座っての訓練や指導をおこないますが、療育や教育機関で働く言語聴覚士は保育園・幼稚園や学校を訪れて先生方にアドバイスをしたり、療育クラスに参加して保育士とともに指導したりと、いろいろな働き方の可能性があります。   全国の学校に設置されている「ことばの教室」・「きこえの教室」や「自閉症・情緒障害通級指導教室」などの通級教室教員の仕事内容とも共通点が多くあります。   2、育児不安を抱える家族への支援   発達のアンバランスさや遅れが気になる子どもは、赤ちゃんの頃からなかなか寝なかったり、泣き方が激しいなど、家族がその育て方に違和感を持つこと多いようです。 特に母親は、「自分の育て方が悪いの?」と自責の念をもってしまいがちです。   ですが、医療機関や療育でも受診や相談をして、言語聴覚士からアドバイスや指導を受けることで、家族は肩の荷が下りたような気持ちになり、その子の成長ペースを認める余裕ができることで親子関係も良好になっていく場合も多く、また虐待予防にもつながります。   3、発達障害の治療ケア「療育」とは?   「療育」とは、リハビリ(訓練)をして周りの子たちに追いつかせるものではありません。   発達障害は脳の小さな不具合から生じており、治療で治せるものではありません。   脳のちょっとした不具合を持ちつつ、接し方で、その子なりの一番よい姿を見せてくれるようにするのが「療育」です。   「療育」では、その子ひとりひとりに合わせて無理なく発達できるように接します。   普段は「できない」ことが多く、自尊心が傷つくことがある子どもたちに、少し頑張ればできる遊びや課題を提供します。 すると、「やればできる!」「できた!」という喜びが得られ、自己有能感につながります。   その子が、やりたいことを見つけ自分らしく生きることを支えていくための基礎を作るのが「療育」です。     子どもに関わる言語聴覚士の今後の課題   子どものための言語聴覚士は少なく、 健診や子育て支援に関わる言語聴覚士となるとさらに少数になっています。   しかし、実際の社会では、多くの保護者や家族は、子どものことばの発達に関するアドバイスを求めている現状があります。   これからは、健診に言語聴覚士が参加しやすくなる仕組みづくりや、気軽に相談できる期間を増やしていくことが課題として挙げられています。   そして、言語聴覚士の養成では子どもの言語やコミュニケーションの発達についての学習に重きを置くことで、さらに子どもと保護者を支えられる言語聴覚士が増えて、ますます子育て支援ができる専門職として活躍することができます。  

2019/08/02

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ADHDの子育て② ~ちゃんと理解すれば、子どもも保護者もラクに!~

  ADHDの子は、ご飯を食べたら歯磨きね!という日常ルーティンの日課がなかなかできないこともあります。   毎日のことだから、親はどうしてもできないことに目が向きがちですが、 できたときには、「頑張ったね!」「ちゃんとできたね!」と褒めてあげることが大切です。   ADHDの子に叱責や体罰は逆効果と言われています。できるだけ良い面に目を向けて、 親子の心地よい関係を気付くようにしていきましょう。     1、ADHDの子にはどう接したらいいの?   これだけは守ろう!“育児の4カ条”   (1)体罰をしない 叩かれて育った子は、叩く子になってしまいます。 また親を憎むようになることもあります。 大人への信頼感や親子の絆、のびのびとした心を壊さないためにも、体罰はやめましょう。   (2)注意する回数を減らす 良い面に目を向けて、まず叱る回数を減らしましょう。 何かに夢中になっていると聞こえないことも多いので、 まずは子どもの注意をこちらに向けてから、叱ることがポイントです。   (3)言葉の暴力や怒鳴るのをやめる 「いい加減にして」「もううんざり」などの暴言は、子どもの心を深く傷つけ、 望ましくない方向へと行動をエスカレートさせてしまうこともあります。 ネガティブな言葉はできるだけ控えてください。   (4)「わざとなの?」と思わない すぐにバレるような嘘をつくのは、叱られることを避けるためであり、 親を困らせようとしているわけではありません。 どのような行動も言動も「こんな不器用なふうにしかできないんだわ」と考えてあげると、 保護者の気持ちもラクになり、対処法も見つけやすくなります。     2、子どもの成長に合わせた、上手な接し方を知りたい!   ☆幼少期   外に連れて行き運動で発散。自由に遊ぶ時間をつくる 外に連れ出して、体を使ってしっかり遊ばせることが大切です。 運動をして発散しないと、家の中で走り回る傾向に拍車がかかってしまいます。 そして、子どもがどんなことに興味を持っているか、好きなのかを把握して、 自由に遊ばせる時間を作りましょう。お稽古事の数はほどほどにしましょう。   ☆小学生   良好な親子関係をキープするために、ポジティブな言葉がけをする 宿題がなかなかできない、学校で配られるプリントをなかなか持って帰ってこないなどの様子から、 「もしかして、うちの子はADHDなの?」と、勉強が始まる小学生になってから気付く保護者も多いかもしれません。 先生や祖父母からは、「自分が本当に困る経験をすれば、忘れ物はしなくなるよ」と言われることもあるかもしれませんが、ADHDの子は成長を待っているだけではできるようになりません。 宿題に集中できる環境を作ったり、忘れ物をしないように前日に一緒に準備をしたりと、 伴走しながら苦手をサポートすることが大切です。   ☆中学生   急に子ども任せにせず、命令口調はやめてアドバイスをしてあげる 中学生に思春期になると、保護者の言うことを聞かなくなり、母親からも離れようとします。 その反面、定期テストに向けて勉強したり、期限内に提出物を出したり、教科ごとに先生が変わったりとADHDの子の苦手なことが増えてきます。 子どもが反抗的な態度をとっても急に手を放さず、命令口調はやめてアドバイスするような話し方に変えていきましょう。     3、どんなときに、受診したらいいの?   いろいろ努力してみたけど、子どもも保護者もつらいときには受診を 本を読んだり、ネットで調べてみたり、自分なりにいろいろ努力や工夫をしてみたけど子どもも保護者もつらいと感じるときには、受診を考えてみても良いかもしれません。   医療機関だけでなく、学校や園の先生、スクールカウンセラーなどに相談してみるのもおすすめです。ADHDを診てもらえる医療機関を探すときには、かかりつけの小児科の先生に聞いてみるものいいと思います。   子どもの状況を確認しながら、家庭での環境を整えていく 受診した場合、臨床心理士による聞き取りや知能検査などあり、それが済むと医師による診察となる場合があります。 子どもが一緒の場合は、状態を診ながら、保護者から普段の様子を聞いたりします。 その後、医師からの家庭での接し方、改善点などを聞いて、 必要があればペアレントトレーニングなどの講習会を受けたりします。   それでもなかなか改善しない場合は、薬での治療をおこなうこともあります。 ADHDの治療は、“家庭での工夫があってこそ”です。 子どもに対してどのように接していくかを保護者自身も一緒に学んでいくことになります。  

2019/08/02

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ADHDの子育て① ~ちゃんと理解すれば、子どもも保護者もラクに!~

何度注意してもなかなか行動や感情のコントロールできない“育てにくい子”に 悩んでいる保護者の方は多いのではないでしょうか?   少し落ち着きがないだけなのか、いわゆるADHDなのか…   見極めるポイントやその特徴についてご説明します。     1、ADHDは病気なの?   ADHDはその子の個性であり、病気ではなく“発達の遅れ”   身長が高い人もいれば低い人もいるように、性格も人によって様々な特徴があります。 ADHDもひとつの特徴(個性)であるとも言えて、落ち着きがないと言われる人の片隅に存在します。   昔から、授業中に歩き回り落ち着きがない子はいました。 「性格だから仕方ない」とあきらめられ、治療などしてこなかった時代もありましたが、 その後、学校や社会への不適応を起こしていた「性格」や「性分」が、医学的な概念と てまとめられるようになっていきました。   医学的な見地から捉えられることで治療法などが確立されていき、 社会の中でさまざまな不適応を起こしていた人が、学校や家庭での生活もしやすくなりました。 日本でADHDがよく知られるようになったのは、15年ほど前からだとされています。   いずれにしてもADHDは病気ではなく、その子の発達の偏りです。 しかしながら同じ年齢の子ができることができず、少し発達上の遅れがあるという状態を指します。     2、ADHDの3つの特徴って、詳しく知りたい!   家でも園でも同じ行動があって、保護者や本人が困っているか?がポイント   たとえば、クラスに30人の子どもがいるとして、そこに落ち着きがなくて目立つ子が3~4人いるとすると、そのうち1人か2人はADHDかもしれません。   ADHDの特徴には、【不注意】【多動性】【衝動性】の3つがあるとされています。 しかし、この3つが当てはまるからというだけではADHDとは言えず、 この行動が家(家庭)や学校、園など2か所以上で、同じような落ち着きがないこと、 その上で保護者や先生、そしてその子ども自身が、そうした特徴に困っていることがADHDの定義と言えるかもしれません。   ●ADHDの3つの特徴●   【不注意】 ・やるべきことが決まっているのに、日常ルーティン(歯磨きなど)ができない。 ・忘れ物が多い。 ・何をどこに置いたか忘れてしまい、いつも探し回っている。 ・宿題を後回しにしがちで、なかなか手を付けない。 ・取り組み始めてもイヤイヤで、続けられない。 ・先を見越して行動ができない。 ・丁寧に字が書けない。ノートが乱雑になる。 ・計算などでスピードを重視すると、十と一を間違えるなどケアレスミスが多い。 ・勉強していても、音に敏感に反応してしまう。   【多動性】 ・じっとしていられず、授業中や食事中も席を立ってうろうろしてしまう。 ・手や足で何かをいじって遊んでいることが多い。 ・貧乏ゆすりをする。 ・女の子の場合、いつも髪をいじっている。 ・高い所から飛び降りるなど、危険な遊びをすることが多く、よくケガをする。 ・外食先などでは興奮してはしゃいだりするので保護者がハラハラする。 ・静かに遊んだり、本を読むのが苦手。 ・よく喋る。   【衝動性】 ・先生の質問を途中でさえぎり答えてしまったり、先生に当てられていないのに 答えを言ってしまう。 ・腹が立つと、すぐに殴ってしまう。 ・何事にもすぐに反応してしまう。 ・おもちゃや道具の順番を待てずに、横入りしてしまう。 ・他の子に対して余計な干渉をしたり、邪魔をしたりする。     3、ADHDは親の育児が原因なの?   ADHDは、親の育て方が悪いせいじゃない!   子どもに問題があると、「保護者の育て方が悪い」「しつけが悪い」と、 祖父母や先生、周囲のママたちから言われてしまいがちです。   でも、ADHDの子どもはもともとしつけが定着しにくく、教えたことが積み上がっていかないという特性があるのです。   普通の子どもなら10の努力でできることを、ADHDの子には20~30の努力が必要だったりもします。ですから、保護者が自責の念にかられる必要はありません。   ADHDの特徴をよく理解して、接し方や対応を変えることが大切なのです。