【授業レポート】杜の風・上原~自立支援介護の実践と考察~|社会福祉士養成学科(昼間部)

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。
本日は、社会福祉士養成学科(昼間部)の授業の様子をご紹介します。
今回の授業では、特別養護老人ホーム「杜の風・上原」の方にお越しいただき、現場で実践されている取り組みについてご講義いただきました。
「施設での生活=制限されるもの」ではない
杜の風・上原は、平成25年4月に開設された施設で、デイサービスや居宅支援も併設されています。平均年齢は90歳を超え、介護度も比較的高い利用者が生活しています。
しかし、この施設の大きな特徴は、「施設に入っても“自宅での生活を止めない”」という考え方です。施設の中では、利用者が居酒屋を開いてお酒を楽しんだり、自分たちで食事をつくることもあります。「介護を受ける場所」ではなく、「その人らしく暮らし続ける場所」としての施設運営が実践されていました。
なぜ“自立支援”が求められているのか
授業では、このような実践の背景にある社会的な課題についても触れられました。
現在、介護保険の財政はひっ迫しており、将来的には大きく膨らむと予測されています。さらに、介護人材の不足も深刻で、今後ますます人手が足りなくなることが見込まれています。
実際に現場では、「人手が足りない」「仕事内容のわりに賃金が低い」「身体的負担が大きい」といった課題があり、採用だけでなく“離職を防ぐこと”も大きなテーマとなっています。
こうした状況の中で、「従来の介護のままでは立ち行かない」という前提があります。
“できないことを支える”から“できるようにする”へ
これまでの介護は、「できないことを代わりに行う」ことが中心でした。しかし現在は、「本人ができることを増やす」「できる限り自立した状態を目指す」という“自立支援”へと大きく舵が切られています。
これは制度上の方針でもあり、国の政策としても「自立支援」や「重度化防止」が強く打ち出されています。つまり、自立支援は理想論ではなく、これからの介護において不可欠な考え方なのです。
自立支援を支える“4つの基本ケア”
授業の中で特に印象的だったのは、「介護が必要になる原因」と、それに対するシンプルなアプローチでした。
高齢者の状態悪化は、
・脱水
・低栄養
・排便困難
・運動不足
といった要因が重なって起こります。
これに対して重要なのが、次の「4つの基本ケア」です。
・十分な水分摂取
・適切な栄養摂取
・規則的な排便
・歩行を中心とした運動
特別な技術ではなく、「当たり前の生活」を整えることが、自立支援の土台になるという考え方です。

“おむつ”から考える尊厳と自立
さらに授業では、「おむつ」をテーマにした話もありました。
おむつの使用は、身体的な問題だけでなく、利用者の尊厳や意欲にも大きく関わります。
・皮膚トラブルや感染症のリスク
・自立意欲の低下
・「人としての尊厳」の揺らぎ
こうした問題を踏まえ、杜の風・上原では「おむつを前提としないケア」に取り組んでいます。そのために、水分・食事・運動・排便といった基本ケアを徹底し、排泄の自立を目指します。これは単なるケアの工夫ではなく、「その人がどう生きたいか」を尊重する姿勢そのものです。
働く側の“やりがい”にもつながる
自立支援は、利用者のためだけのものではありません。利用者の状態が改善していくことは、介護職員にとっても大きな達成感となり、「この仕事は意味がある」と実感できる瞬間になります。
人材不足が課題となる中で、「働き続けたいと思える現場」をつくることも非常に重要です。その意味でも、自立支援は“現場を支える考え方”でもあるといえます。
これからの介護に必要な視点とは
今回の授業を通して見えてきたのは、「介護とは何か」という根本的な問いでした。
ただ支えるだけではなく、その人の力を引き出すこと。安全だけでなく、尊厳や生きがいを守ること。
これからの介護には、そうした視点がより一層求められていきます。
社会福祉士を目指す学生にとっても、現場のリアルとこれからの方向性を同時に学ぶ、非常に貴重な機会となりました。
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