言語聴覚士は独学で目指せる?
言語聴覚士は国家資格であり、国家試験を受けるためには受験資格を得なければなりません。受験資格は完全独学で得ることができるのでしょうか?結論から言うと、言語聴覚士養成課程のある学校で学ぶことが条件になっていますので、完全独学では国家試験を受けることができません。詳しく解説していきます。
目次
言語聴覚士とは?仕事内容を解説
言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションや聞こえ、嚥下に問題を抱える人々を支援するリハビリテーションの専門職です。
対象は、先天的な障害を持つ子どもから、病気や事故の後遺症、加齢による機能低下に悩む高齢者まで多岐にわたります。
主な仕事内容は、失語症や聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害、嚥下障害など、個々の状態を正確に評価し、原因を分析することです。
その上で、一人ひとりに合わせた訓練や指導、助言を行い、機能の回復や維持、向上をサポートします。
言語聴覚士は完全独学では目指せない
言語聴覚士になるために必要な条件には、文部科学省が指定する言語聴覚士養成課程のある学校を卒業している(または卒業見込みである)必要があります。この学校は4年制大学・3年制短大のどちらかです。言語聴覚士養成課程でない一般の大学を卒業した方であれば、2年制や3年制の専門学校で学んでも受験資格を得ることができます。
この条件があるため、言語聴覚士を完全独学で目指すことはできません。言語聴覚に関する知識を深めることはできますが、言語聴覚士と名乗ることや同等の仕事内容を行うことは不可能です。
言語聴覚士は医療系の国家資格であり、医療系国家資格は専門的な知識が必要とされるため完全独学での取得はできないと考えて良いでしょう。実習を行う必要があることも理由のひとつです。
医療系であっても民間資格であれば、医療事務や調剤薬局事務などの資格があり通信教育や独学で取得可能です。また、医療系ではなく福祉系の資格であれば、ケアマネジャーは実務経験があれば受験資格が得られる国家資格です。
言語聴覚士になるためのルート
言語聴覚士になるためには、まず国家試験の受験資格を取得し、その上で国家試験に合格するというステップが必要です。
受験資格を得るためのルートは、最終学歴によって異なります。
高校卒業者が目指す場合は、指定の大学(4年制)、短期大学(3年制)、または専門学校(3年制・4年制)に入学し、所定のカリキュラムを修了します。
一方、一般の4年制大学を卒業している場合は、指定の大学院(2年制)や専門学校(2年制)へ進学することで、より短期間で受験資格を得ることが可能です。
国家試験の受験資格
言語聴覚士国家試験の受験資格を得るには、言語聴覚士法に基づき、文部科学大臣が指定する学校または厚生労働大臣が指定する養成所を卒業する必要があります。
具体的なルートとしては、高校卒業後に指定の4年制大学、3年制短期大学、または3〜4年制の専門学校で学ぶ方法が一般的です。
また、言語聴覚士の養成課程とは関係のない一般の4年制大学を卒業した人は、指定された2年制の大学院(修士課程)や専門学校の専科を修了することでも受験資格を取得できます。
これらの養成課程で、基礎医学や音声学、心理学などの基礎科目から、失語症学や聴覚障害学といった専門科目、臨床実習までを履修し、卒業が認められると国家試験に臨めます。
言語聴覚士国家試験の難易度
言語聴覚士の国家試験の合格率は例年60%~70%を推移しています。医療系国家資格の中でも同じリハビリテーション専門職に分類される理学療法士・作業療法士の国家試験合格率に比べてやや低い傾向にあるため、難易度は高いと考えられています。
また、60%~70%という数字だけ見ると合格率は高いように思えるかもしれません。ですが、先述したように受験資格に養成学校で学ぶことが含まれているため、国家試験対策を十分に行った受験者のみが受けていることになります。完全独学で挑む受験者がいないため合格率は高い傾向にあります。
社会人からでも言語聴覚士は目指せる
社会人経験者や大学を卒業した方でも、言語聴覚士を目指すことは十分に可能です。
一般の4年制大学を卒業している場合、大学院や専門学校に設置されている2年制の養成課程に進むことで、高校卒業者よりも短い期間で国家試験の受験資格を得られます。
実際に、医療や福祉、教育など、さまざまな分野での社会人経験を経て言語聴覚士にキャリアチェンジする人は少なくありません。
これまでの社会経験で培ったコミュニケーション能力や課題解決能力は、患者やその家族、多職種と連携する上で大きな強みとなり、臨床現場で大いに活かすことができます。
言語聴覚士の就職先と将来性
言語聴覚士の活躍の場は非常に幅広く、その多くは医療機関です。
具体的には、病院やリハビリテーションセンター、クリニックなどが主な就職先となります。
その他にも、介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった福祉施設、保健所や保健センターなどの行政機関、ことばの教室や特別支援学校などの教育機関、さらには研究施設など、多様なフィールドで専門性を発揮しています。
急速な高齢化に伴い、嚥下障害や認知症によるコミュニケーション障害を抱える高齢者は増加しており、言語聴覚士の需要は今後も高まる見込みです。
また、子どもの発達支援分野においてもニーズは拡大しており、将来性の高い専門職といえます。
言語聴覚士に向いている人の特徴
言語聴覚士には専門知識や技術に加えていくつかの特性が求められます。
まず患者やその家族医師や看護師など多職種と円滑に連携するための高いコミュニケーション能力が不可欠です。
また患者の些細な変化や言葉にならない訴えを汲み取るための観察力も重要になります。
リハビリテーションは根気強く継続する必要があるため思うように改善しない状況でも諦めずに患者に寄り添い励まし続けられる忍耐強さも必要です。
さらに医療は日進月歩の世界であるため卒業後も常に新しい知識や技術を学び続けようとする知的好奇心や向上心を持っている人がこの仕事に向いています。
学校以外での勉強方法
完全独学で言語聴覚士になることはできませんが、養成学校に通いながら平行して自ら勉強を行うことは多々あるでしょう。
また、養成学校に通い卒業はしているけれど国家資格を取得しないまま年数が開いてしまったというケースも稀にあります。この場合、国家試験合格を目指して勉強する場合には独学で進めていくことになります。そういった時はどのような勉強方法を取ればよいのでしょうか。
まず勉強時間ですが、国家試験の準備を短期間で行うことは難しいです。1年以上はゆとりを持って勉強計画を立てましょう。1年での取得を目指す場合には、平日毎日2時間前後の勉強時間を確保するようにしましょう。
教科書やテキストを用意した上で、過去問題集をうまく使うと効率的に勉強を進めることができます。ある程度過去問題から出題傾向を掴み、そこからテキストを進めていくと良いでしょう。
勉強を続けていくと、途中で知識を暗記するような場面も出てきます。暗記が苦手でうまく覚えられないという方は多いですし、実際にも知識として定着させにくいです。しかし言語聴覚士の勉強というものは全て将来臨床で行う評価や訓練のために必要な知識であり、頭の中で暗記しておくためだけの知識はありません。それを頭に置きながら、実技や実習の授業となるべく関連させて覚えることが暗記の近道になります。
まとめ
言語聴覚士は国家資格であり、独学で取得することはできません。
資格を得るには、文部科学省や厚生労働省が指定する大学・専門学校などの養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。
高校卒業者向けの3〜4年制課程のほか、大卒者向けの2年制課程も用意されており、社会人からでも目指すことが可能です。
高齢化社会の進展や発達支援への関心の高まりを受け、言語聴覚士の需要は医療・福祉・教育など幅広い分野で拡大しており、将来性のある専門職です。
言語聴覚士になるためには、養成校で専門知識と技術を体系的に学び、国家試験に臨むことが必須の道のりとなります。
2年で言語聴覚士になれる!日本福祉教育専門学校
4年制大学を卒業した方を対象に、2年間で言語聴覚士の国家試験受験資格を取得できる養成課程を設けている専門学校があります。
このようなコースは、キャリアチェンジを考えている社会人や、大学で学んだ後に専門職を目指したいと考える人にとって、効率的に資格取得を目指せるルートです。
2年間という短期間に、言語聴覚士として必要な専門知識と実践的スキルを凝縮したカリキュラムが組まれています。
一般の大学で取得した単位が一部認定される場合もあり、集中的な学習環境で同じ目標を持つ仲間とともに学び、最短での国家資格取得を後押しします。
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