少子高齢化が進む日本において、非常に重要な役割を担うのが介護福祉士です。そんな介護福祉の現場における男性と女性の比率はどういったイメージをお持ちでしょうか。「介護の仕事はやっぱり女性が多いイメージがある」という方も多いはず。そこで、ここでは男性の介護福祉士について見ていきます。
2023年に厚生労働省の発表した「第35回介護福祉士国家試験の結果」によると、合格者数66,711人の内訳は男性が19,955人、女性が46,756人という結果になっています。つまり、合格者数の観点から考えた場合、介護福祉士の約7割が女性という結果になったというわけです。男性の介護福祉士は少ないと言えるでしょう。
女性の割合のほうが多いという結果は、介護福祉士に限った話ではありません。介護労働安全センターが発表した令和4年度「介護労働実態調査」の結果によると、介護の仕事全体においても圧倒的に女性が多いということがわかりました。
職種 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
訪問介護員 | 87.3% | 12.5% |
サービス提供責任者 | 82.2% | 17.6% |
介護職員 | 72.8% | 26.5% |
看護職員 | 91.5% | 8.1% |
生活相談員 | 65.4% | 34.4% |
理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士(※合算) |
49.1% | 50.6% |
介護支援専門員 | 76.1% | 23.6% |
男性のほうが多いのは、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 (※合算)」のみという結果です。その他の介護関連の仕事をしている人に関しては女性が多い傾向にあります。
男女比率の結果からもわかるように、現在の日本において介護の現場は女性が多く活躍する場となっています。しかし、男性ならではのメリットもあります。何よりも大きなメリットとしては、力を必要とする業務がスムーズにおこなえることです。特に、現場で利用者と接する介護福祉士の場合、体を起こしたり、ベッドに寝かしつけたりなど、力が必要になるケースは非常に多いです。女性だけでは、複数人の手が必要になることも珍しくありません。現場に男性がいることで、少ない人員や時間で業務を進めることができるようになるわけです。
また、男性だからこそカバーできるデリケートな問題もあります。利用者が男性の場合、入浴や排せつなどの身体介護などの際に介護者が女性だと羞恥心があって抵抗を感じるケースも少なくないでしょう。そういった意味でも、同性同士の介護が望ましいとされています。
介護業界においては未だに他の職種より収入が少ない状態が続いています。国税庁の調査によると、20代の社会人男性における平均年収は約320万円で、30代になれば平均470万円程度まで上がります。しかし、介護福祉士においては20代の男性における平均年収は300万円程度。さらに30代になっても平均330万円程という結果になっています。
つまり、20代と30代の平均年収において大きな差が生じていないというのが現状なのです。しかし、この現状を打開し、介護福祉士に補助金を支給するなどの対策が講じられています。介護を必要とする利用者は増加傾向にあるため、今後も労働環境の改善は進んでいくことでしょう。
ここまで、男性の介護福祉士について見てきました。現在では女性が多く活躍している介護の業界ですが、男性ならではのメリットがあることもおわかり頂けたのではないでしょうか。高齢化が進んでいる日本においては、今後ますます需要が高まっていくことでしょう。また、需要の高まりによって収入面における待遇も改善されていくことが期待できます。「介護を通して利用者の役に立ちたい!」とお考えの方は、介護福祉士の仕事を検討してみてはいかがでしょうか。