介護福祉士の仕事内容の中によく含まれるのが「レクリエーション」です。
介護施設の利用者と楽しくプログラムを行うことで様々な効果が得られます。
このレクリエーションについてメリット・デメリット等をご説明します。
介護福祉士が働く介護施設には、レクリエーションの業務があることがほとんどです。施設利用者に楽しく健やかに生きがいを持って生活してもらうために、レクリエーションのプログラムが設置されています。施設によって内容や頻度は異なります。
レクリエーションが全くない施設というのはごく稀ですが、どの程度の頻度で開催しているかは施設によって異なります。毎日何かしらのレクリエーションをしているという施設もあれば、週に何度と決まっている施設もあります。準備が大変なイベントを年に数回企画しているというところもあるでしょう。
介護福祉士がどのように企画するかも多岐に渡りますが、施設利用者の参加割合も実に様々です。自由参加にしている場合や、サークル活動のようにメンバーが決まっている場合、基本的に全員参加の場合、などがあります。
介護現場におけるレクリエーションは、以下の3つのメリットがあります。
身体を適度に動かすことは機能の活性化に繋がり、手先を動かしたり歌やクイズをすることは脳の活性化に繋がります。毎日やることが決まっているルーティン活動だけではなく、普段使わない機能を使うとより向上が目指せます。そのため、レクリエーション活動は毎回同じ内容ではなく違った部位を違うように活性化させられるよう変化をつけていきます。
レクリエーションは介護福祉士とコミュニケーションを取ることがほとんどです。そして周りの施設利用者とも触れ合うプログラムが多いでしょう。そのため、コミュニケーションの促進が期待できます。社会的活動の楽しさを味わうことで、生きがいや喜びを見出すきっかけとなります。また、うつ状態や認知症を予防する効果もあるでしょう。
上2つの掛け合わせによって、生活の質が向上すると考えられます。生活に楽しみや張り合いをもたらすことで、利用者は前向きに生活を営めるようになり、感情の安定といった心身の健康が図れるでしょう。そのためには、一方的なレクリエーションではなく利用者がどのように楽しめているかを見極めながら企画・運営していく必要があります。
良いことばかりだと思われるレクリエーションですが、実はデメリットも考えられます。
最も大きなデメリットは、利用者がプライドを傷つけられたり、利用者同士の揉め事に発展してしまうことです。勝ち負けが決まるようなレクリエーションばかりを行っていたり、出来る・出来ないを過剰に褒めたり落としたりするような声掛けがあると、利用者のプライドが傷つき自信をなくしてしまう原因となります。それによって利用者同士で口論になることも。
レクリエーションの内容を決めるときにこのような可能性に留意しましょう。ですがマイナスの可能性を事前に全て排除することは難しいでしょう。臨機応変に介護スタッフが対応し、スタッフ全員でトラブル時の意思統一をしておくことが重要です。
また、介護スタッフに対してのデメリットもあります。それは企画・運営をする介護福祉士自体がレクリエーションが負担に感じてしまうことです。基本的な業務に加えてレクリエーションの企画を行わなければならなかったり、人前に出るのが苦手であるのに出なければならない場面や、利用者が楽しんでくれているか手ごたえが感じられない場合など、負担を感じやすいです。
介護福祉士をはじめとする介護スタッフもレクリエーションを楽しんでできることが理想の形です。利用者のためにと無理をせず、業務時間内でできる範囲で楽しい企画を考えましょう。
レクリエーションに関わる民間資格・認定資格はいくつかあります。介護福祉士が取得することで、より充実したレクリエーションの企画・運営ができるようになるでしょう。苦手意識を持っている介護福祉士やもっと効果的なレクリエーションを作っていきたいと思う介護福祉士におすすめです。
『レクリエーション介護士』という資格は、趣味や特技を活かしながらレクリエーションを企画・実行する力を身に着けることができます。利用者とのコミュニケーションスキルも向上させられるので、レクリエーションだけでなく普段の介護業務にも役立つでしょう。2級と1級があり、講座の受講後に試験を受けて合格すれば取得できます。企画力・実践力を身につけることができます。
『レクリエーションインストラクター』という認定資格は、介護だけでなく障害者支援や教育現場にも使えるスキルが学べます。講座だけでなく演習・実習科目があり、より実践的な学びが得られるでしょう。高齢者に対してだけでなく幅広い利用者を対象としたレクリエーションが学びたい人におすすめです。中級や上級といくつかのレベルがあり、ステップアップしていける資格でもあります。
介護現場におけるレクリエーションについて、具体的な種類と内容を記載します。ねらいによってレクリエーションの種類を選んだり、グループでできるか個人で行うのかなど内容で選んだりと、企画の作り方は様々です。
最後に、レクリエーションの準備の仕方を簡単に説明します。これから介護福祉士を目指す方や、介護福祉士になりたての方は参考にしてみてください。
施設の慣習にも寄りますが、基本的にはレクリエーションの企画書や計画書といったフォーマットがあると便利です。決めるべきことが項目になっていて漏れなく決めていけますし、自分以外の介護スタッフに共有しやすく、またしばらく経ってから他のレクリエーションを考えるときに参考しやすいなどのメリットがあります。
一度フォーマットを決めたらなるべく形を変えずに使っていった方が見やすくて良いでしょう。今の時代は紙ではなくデータで共有できると尚良いですね。
必要項目は、レクリエーションのタイトル・参加人数・日時・所要時間・会場・会場配置・対象者・レクリエーションの目的とねらい・内容・準備するもの・予算・注意事項、などです。
あとは内容によって追加していきます。長時間に渡るレクリエーションや、内容が複雑なもの、人数が多いものはフォーマットを変えても良いでしょう。タイムスケジュールを追加したり、配置図を複数用意することが多いです。タイムスケジュールも、動きの違うスタッフが複数パターンある場合はその分だけ用意すると丁寧ですね。レクリエーション時だけでなく準備の時間も含めて日時や時間を指定しなければならない場合は複数枚に渡って書いておきましょう。
このように企画書・計画書を準備します。そしてこの内容を介護スタッフに共有し、準備するものを前日までに用意します。対象者にアナウンスが必要な場合も事前に行います。そして当日は会場設営と配置を行い、対象者を誘導し、ようやくレクリエーション本番が開始できるという手順になります。
いかがでしたでしょうか。これは大がかりなレクリエーションの場合を想定してご説明しました。もっとコンパクトで個人単位のレクリエーションであればより簡単に準備ができると思います。
介護福祉士の仕事内容において、レクリエーションは重要です。施設利用者も、介護福祉士も健やかに楽しめるようなレクリエーションを考えていきましょう。