言語聴覚士を目指している方の中には「言語聴覚士は独立開業することはできるの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。まず結論からお伝えすると、言語聴覚士は独立開業することができます。ただし、独立開業する際には気をつけなければならない注意点があります。ここでは言語聴覚士における独立開業について説明していきます。言語聴覚士を目指している方はこれを参考に、将来設計してみてください。
リハビリの国家資格である言語聴覚士や理学療法士、作業療法士は、医師の指示の下でリハビリをすることが義務付けられています。そのため、主治医の指示を受けて、患者に合わせて「嚥下訓練」、「聴力検査」、「補聴器装用訓練」、「言語訓練」、「構音訓練」といったリハビリをおこないます。しかしながら、医師のいない職場において、医師の指示なしに「言語訓練」、「構音訓練」をすることはできます。逆に言うと、「嚥下訓練」、「聴力検査」、「補聴器装用訓練」には医師の指示が必要になりますので、独立開業を考えている方はこのことに注意しておきましょう。
言語聴覚士として独立開業するときには様々な形がありますが、ここでは2種類ご紹介します。それは「完全自費診療のリハビリ施設」、「セミナー主催会社」の2つです。
まずはリハビリ施設を立ち上げるというものです。ことばの遅れや失語症、あるいは聴覚障害などによって、話すことや聴くこと、文字の読み書きなどをスムーズにおこなえない患者に対して、リハビリをおこなう施設となります。リハビリでは医師の指示が必要ない言語相談や言語訓練、構音訓練を実施していきます。
また、言語聴覚士単独では保険請求ができませんので、単独で独立開業する場合には完全自費、すなわち公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)適用外の施設を立ち上げることになります。
言語聴覚士としてセミナーや研修会を主催する会社を立ち上げるといった方法もあります。言語聴覚士を対象としたセミナーや研修会を開催し、自身の経験やスキルを伝えていくということです。つまり、患者を相手にするのではなく、言語聴覚士を育成していく側に回るということです。
自分自身で講師をおこなう方法もありますが、外部から講師を招いて開催する方法もあります。集客の面など苦労する点も多々ありますが、選択肢の1つとして覚えておくとよいでしょう。
ここまで、言語聴覚士における独立開業について見てきました。独立開業を考えている方にとって覚えておきたいポイントは2つありましたね。
①言語聴覚士の仕事には医師の指示が必要な業務とそうでない業務とがある
・医師の指示が必要:「嚥下訓練」、「聴力検査」、「補聴器装用訓練」
・医師の指示は不要:「言語訓練」、「構音訓練」
ちなみに、理学療法士と作業療法士は、すべての業務で医師の指示が必要になります。
②言語聴覚士単独では保険請求ができない
言語聴覚士が単独でおこなう訓練等は公的医療保険適用にならないので、完全自費の自由診療になります。
独立開業となると、言語聴覚士としての専門知識や技術のみでなく、人材管理や運営方法などの勉強も必要になります。まずは自分自身が言語聴覚士としてどのように働きたいかを洗い出してみるとよいでしょう。