言語聴覚士は国家資格であり、国家試験を受けるためには受験資格を得なければなりません。受験資格は完全独学で得ることができるのでしょうか?結論から言うと、言語聴覚士養成課程のある学校で学ぶことが条件になっていますので、完全独学では国家試験を受けることができません。詳しく解説していきます。
言語聴覚士になるために必要な条件には、文部科学省が指定する言語聴覚士養成課程のある学校を卒業している(または卒業見込みである)必要があります。この学校は4年制大学・3年制短大のどちらかです。言語聴覚士養成課程でない一般の大学を卒業した方であれば、2年制や3年制の専門学校で学んでも受験資格を得ることができます。
この条件があるため、言語聴覚士を完全独学で目指すことはできません。言語聴覚に関する知識を深めることはできますが、言語聴覚士と名乗ることや同等の仕事内容を行うことは不可能です。
言語聴覚士は医療系の国家資格であり、医療系国家資格は専門的な知識が必要とされるため完全独学での取得はできないと考えて良いでしょう。実習を行う必要があることも理由のひとつです。
医療系であっても民間資格であれば、医療事務や調剤薬局事務などの資格があり通信教育や独学で取得可能です。また、医療系ではなく福祉系の資格であれば、ケアマネジャーは実務経験があれば受験資格が得られる国家資格です。
言語聴覚士の国家試験の合格率は例年60%~70%を推移しています。医療系国家資格の中でも同じリハビリテーション専門職に分類される理学療法士・作業療法士の国家試験合格率に比べてやや低い傾向にあるため、難易度は高いと考えられています。
また、60%~70%という数字だけ見ると合格率は高いように思えるかもしれません。ですが、先述したように受験資格に養成学校で学ぶことが含まれているため、国家試験対策を十分に行った受験者のみが受けていることになります。完全独学で挑む受験者がいないため合格率は高い傾向にあります。
完全独学で言語聴覚士になることはできませんが、養成学校に通いながら平行して自ら勉強を行うことは多々あるでしょう。
また、養成学校に通い卒業はしているけれど国家資格を取得しないまま年数が開いてしまったというケースも稀にあります。この場合、国家試験合格を目指して勉強する場合には独学で進めていくことになります。そういった時はどのような勉強方法を取ればよいのでしょうか。
まず勉強時間ですが、国家試験の準備を短期間で行うことは難しいです。1年以上はゆとりを持って勉強計画を立てましょう。1年での取得を目指す場合には、平日毎日2時間前後の勉強時間を確保するようにしましょう。
教科書やテキストを用意した上で、過去問題集をうまく使うと効率的に勉強を進めることができます。ある程度過去問題から出題傾向を掴み、そこからテキストを進めていくと良いでしょう。
勉強を続けていくと、途中で知識を暗記するような場面も出てきます。暗記が苦手でうまく覚えられないという方は多いですし、実際にも知識として定着させにくいです。しかし言語聴覚士の勉強というものは全て将来臨床で行う評価や訓練のために必要な知識であり、頭の中で暗記しておくためだけの知識はありません。それを頭に置きながら、実技や実習の授業となるべく関連させて覚えることが暗記の近道になります。