2020/11/26

嚥下障害

加山雄三さんも発症した誤嚥による小脳出血とは?

今年の9月、歌手の加山雄三さんが誤嚥による小脳出血を起こしたことを公表、芸能活動を自粛することが発表されました。   事務所からの発表によると、加山雄三さんは自宅でのトレーニング後に水を大量に飲んだことが原因で誤嚥を起こして嘔吐し、救急車で搬送されたとのことです。   そのときに強くせき込んだことが原因で、軽度の小脳出血を起こしたことが公表されました。 加山雄三さんを襲った「小脳出血」や「誤嚥」とはどのような病気なのでしょうか?     1、小脳梗塞・小脳出血とは?   小脳の血管が詰まるものを小脳梗塞、血管がやぶれたものを小脳出血といいます。 小脳にダメージが加わり、障害を起こす疾患を総称して「小脳疾患」といいます。 今回の加山雄三さんは誤嚥がきっかけと発表されていますが、小脳がダメージを受ける原因は、脳卒中・神経疾患・脳腫瘍などが代表的です。ほかにも、アルコールや薬物による中毒、感染による脳炎で発症することもあります。   小脳は、体の運動(手足の動き、しゃべるための口・舌・のどの動き、眼の動きなど)をスムーズにする機能と、体のバランスを保つ機能があります。 そのため小脳が侵されると以下の症状は見られます。   【小脳疾患の症状】 ①小脳梗塞 めまい 吐き気 嘔吐 まっすぐ歩けない、まっすぐ立てない、ふらつき 片麻痺 物に手が届かない 手の震え ろれつが回らない   ②小脳出血 頭痛 めまい 嘔吐 この3つが特徴的にあらわれて、危険な病気です。     2、誤嚥はなぜ起こるのか?   加山雄三さんのように、誤嚥でせき込んだことによって血圧が一時的に急激に上がることで症状に出血が起こってしまう可能性もあるようです。 そして、以前に脳梗塞も発症していたため、血管に動脈硬化性に変化が起こったことで小脳出血を引き起こしたのではないかと、専門医が見解を述べている記事もありました。   運動機能をつかさどる小脳がダメージを受けると、物を飲み込み力が弱まって、さらに誤嚥のリスクが高まる可能性があるとのことです。 ただし、加山雄三さんのように誤嚥によって脳出血を引き起こす事自体は稀なケースです。   東京都の安全健康研究センターの2016年データによれば、誤嚥性肺炎で亡くなる方は年々増加していて、男女合せておよそ4万人が亡くなっています。   さらには、日本人の死因第7位、高齢者(75歳以上)肺炎の7割以上というデータもあります。 昔の堅かった食事に比べて、今の食事は良くなり柔らかく食べやすいため、しっかり噛まなくても飲み込んでしまう癖がついてしまう可能性もあり、そのため高齢になっても十分に噛まずに飲み込んでしまうと誤嚥が起こりやすくなってしまうこともあるようです。   きちんと飲み込む力があれば、飲み物や食べ物を気管の奥にある食道まで押し込むことができるのですが、慌ててしまったり、加齢によって飲み込む力が衰えてくると、食道の手前の気管にストンと入ってしまう。これが誤嚥のメカニズムです。   【誤嚥リスクチェック】 ①食事中やお茶の時間にむせることが多くなった ②飲む込んだ後、口や喉の中に食べ物が残っているような感覚がある ③体重の減少が目立つ ④睡眠中もむせたりせき込む ⑤飲む込んだ後にしゃべると、ガラガラ声になる ⑥発熱や微熱を繰り返す   日本は超高齢化社会を迎えていますので、いかに誤嚥性肺炎を減らすかはとても大事なことです。 人生100年時代に「おいしく食べて」「健康で長生き」したいですね。

2020/11/09

資格

言語聴覚士の仕事内容、年収、合格率を徹底調査!②

1、言語聴覚士の働く場所 言語聴覚士の活躍の場がさまざまありますが、なかでも多い職場は以下の3つです。 第1位:医療機関 言語聴覚士の7割以上が医療機関で働いています。 医療機関のなかでも、病院のリハビリテーション科・リハビリテーションセンター・回復病棟・口腔外科・耳鼻咽喉科などが挙げられます。 医療機関で働く言語聴覚士は、患者様一人ひとりに合わせた機能回復訓練やリハビリテーションを実施して、社会復帰に向けた相談や支援をおこなっています。   第2位:介護・福祉機関 近年増えてきているのがこちらの分野です。 具体的には、特別養護老人ホーム・老人保健施設・デイサービスセンター・訪問リハビリテーション事業所などです。 高齢者を対象とした機関では、介護職員や栄養士など連携して摂食嚥下障害の訓練や指導をおこないます。 また、高齢者ではなく、肢体不自由児施設や重症心身障害児施設など児童を対象とする施設では、聴覚障害や摂食嚥下障害などの訓練・指導、言語コミュニケーションの訓練を実施したり、そのご家族への助言・指導をおこないます。 小児療育に関わることができる仕事と言えるでしょう。   第3位:教育機関 言語聴覚士として働く場所は臨床現場だけではありません。 病院や施設などの臨床現場で言語聴覚士として働いた経験を活かして、教育機関で働く言語聴覚士も実は多いのです。   具体的には学校です。言語聴覚士を養成する大学や専門学校として講師として働くことができます。臨床現場で働きながら非常勤講師として勤務をしたり、学校に勤務して専任講師として教員という道もあります。   また、上記以外でも小学校や中学校の特別支援学校で障害を抱える子どもの指導をおこなうという教員としての働くという仕事もあります。この働き方をするときには教員免除が必要となります。   2、言語聴覚士の合格率や難易度   言語聴覚士は国家資格のため、国家試験に合格しなれればなりません。 また、この国家試験を受験するには高校を卒業した後に言語聴覚士養成課程の大学や短期大学や3~4年の専門学校に進学するか、大学を卒業した後に言語聴覚士養成校(2年間)に進学する2つのルートがあります。 この2つのルートで国家試験の受験資格を取得して、はじめて国家試験を受けることができます。 最短ルートでは、高卒から3年制の専門学校に通学することですが、通信教育のみで取得することはできません。   また、一般の大学を卒業した社会人が2年制の専門学校に入学した学び直しをして、キャリアアップを目指す社会人が多く、毎年この層が高い合格率を誇っています。   その場合には、言語聴覚士国家資格化と同時に設置された歴史のある学校などが人気のようです。社会人から言語聴覚士を目指す場合には、選択肢の一つとして調べてみましょう。   そして、いよいよ国家試験についてです。 言語聴覚士の国家試験は毎年1回しか実施されません。実施時期は、例年2月です。 2020年2月15日(土)に実施された「第22回言語聴覚士国家試験」の合格率は以下の通りです。  ・合格発表:2020年3月26日(木)  ・受験者数:2,486人  ・合格者数:1,626人  ・合格率:65.4%   国家試験合格は受験者倍率ではなく、合格ラインに到達したかどうかの獲得点数によるものですので、自身の成績で合否が決まるわけです。   また、難易度についても説明します。 言語聴覚士と同じくリハビリ職である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を比較してみると、その国家試験の合格率の差から、言語聴覚士はリハビリ職の中でも難易度が高い資格と言えるでしょう。 (参考:2020年度 理学療法士:86.4% 作業療法士:87.3%)   3、言語聴覚士の給料・年収   言語聴覚士の平均給料は、次の通りです。目安として参考にしてください。  ・正職員:月給23.7万円~月給30.2万円  ・契約職員:月給23.2万円~月給28万円  ・パート:時給1,563円~時給1,906円   例えば、30歳月収29.5万円で、賞与が4カ月の場合は、年収にすると約450万円くらいです。 言語聴覚士の年収の一例をしてご参考にしてください。   4、さいごに 言語聴覚士の仕事は、「話す」「食べる」「聞く」という、人が生きていくうえでも必要な機能の回復を支援するという仕事です。 『少しづつしゃべれるようになった!うれしい!』・『ごはんを自分で食べて飲み込めた!おいしかった!』という患者様の喜びを一緒に感動することができ、人の役に立つという社会貢献を強く実感できる素晴らしい職業です。   内閣府の発表によると、聴覚・言語障害者の数は幼児から高齢者まで含めると約36万人を超えています。認知症の方などを含めると、さらに支援の必要な人は多いと言われています。   これに対して、言語聴覚士の数は2019年で約3.3万人です。しかもこの人数は言語聴覚士の資格を持っている人(有資格者)の人数なので、実際に言語聴覚士として働いている人の数は実際にももっと少なくなります。   このように言語聴覚士はまだまだ多くの需要があり、今後ますます目指し人は必要な仕事です。幼児、小児、成人、高齢者と幅広い年代の人たちを自分らしく幸せな日常が遅れるように支援することができる職業です。   こちらのコラムをお読みいただいたあなたにことを、患者様は待っています。 ぜひ言語聴覚士を目指すきっかけとなれば幸いです。

2020/07/08

嚥下障害

言語聴覚士の仕事内容、年収、合格率を徹底調査!①

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回はコミュニケーションや食べる機能を支えるリハビリのスペシャリスト「言語聴覚士」について、その詳しい仕事内容や、知っておきたい収入面、国家試験の難易度などについて徹底調査! 2回連載の第一弾です。 言語聴覚士を目指したいと思っている方、興味のある方はぜひご一読ください。 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 1、言語聴覚士(ST)とは   「耳がよく聞こえなくて言葉がわからない」「聞こえても発声や発音ができない」「言葉が理解できない」といった障害は先天的なものだけでなく、脳卒中や脳梗塞、耳の病気など後天的な病気が原因となって発病することも多いです。 このような言葉によるコミュニケーションが困難となってしまった人たちの状況を改善・軽減するためのリハビリ専門職が言語聴覚士です。また、言語以外の認知機能のリハビリや、飲み込みなどのリハビリも言語聴覚士が行います。 言語聴覚士は英語で「Speech Therapist」と呼ばれることから、日本でも「ST」と略されて呼ばれています。   2、言語聴覚士の仕事内容   言語聴覚士は患者様一人ひとりに合った訓練や指導が求められます。 サポートすべき様々な障害の種類と、その仕事内容について説明します。   聴覚障害 周囲の音や声が聞こえない、聞き取りづらい状態で、『難聴』とも呼ばれています。生れつきの聴覚障害を持つ先天性のものと、事故・疾病・高齢化などによる後天性のものが存在します。 言語聴覚士の仕事● 言語聴覚士は聴覚検査を実施して、障害の度合いや種類を調べます。そして、言語の訓練とともに、必要に応じて補聴器のフッティングや人工内耳の調整をおこないます。   言語・コミュニケーションの障害 代表的なものとして、『失語症』『構音障害』『音声障害』などがあります。 これらの障害は、「話す・聞く・理解する・読む・書く」という、言語コミュニケーションに関する機能を妨げる障害です。 言語聴覚士の仕事● 障害の具合を観察すると同時に、原因や経過を加味しながら、言葉の理解や発話、読み書きの訓練をおこない、家庭や社会生活への復帰をサポートします。   認知機能の障害 認知機能とは、知覚・記憶・思考・感情・学習・判断などの社会生活に適応するために必要な機能の総称です。この障害の代表的なものとして『高次脳機能障害』があります。 また、超高齢社会の日本では、認知症の患者様も増えています。 言語聴覚士の仕事● 認知障害の評価、機能訓練、リハビリなどおこないます。   子どもの言語発達とコミュニケーションの障害 子どもは3~4歳くらいまでの間に自然と語彙や文法を学習して身に着けていきますが、なかには発達障害・知的障害・聴覚障害などの原因で、同年齢の子どもと比べて言語の発達が遅れてしまう子どもがいます。 言語聴覚士の仕事● 言語発達に遅れがある子どもたちに対して、周囲の人たちのコミュニケーションに関心を持つように指導したり、語彙や文法の習得に向けた訓練をおこなったりします。またご家族が教育機関などと連携して、子どもの周辺の環境を整える役割もあります。   摂食・嚥下障害 食べて飲み込むことを摂食嚥下と言い、この行為が阻害されてしまう状態のことです。 とくに高齢者に多く、歯が抜けてなくなったり、加齢による舌や顎の筋肉が衰え、脳卒中の後遺症による麻痺などさまざまな原因があります。 摂食嚥下障害は放置すると、食べられないことよって本人の栄養状態が悪くなってしまったり、食べたときでも食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎で命を落としてしまうことにもつながる障害です。 言語聴覚士の仕事● 胃ろうやチューブでの栄養摂取を選択せず、自分で口から食べられるように維持回復の支援に努め、同時に摂食嚥下が可能な評価や助言をおこないます。 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 次回は働く場所、国家試験の難易度をおつたえします!

2020/05/25

資格

言語聴覚士になるには~日福が選ばれる3つの理由~

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。 今回は「言語聴覚士」を目指す方に、言語聴覚士の職業領域と本校の特色についてわかりやすくご説明します。 1、言語聴覚士の仕事とは 言語聴覚士の仕事は、リハビリだけではなく、「話す」・「聞く」・「食べる」のスペシ ャリストとして幼児から成人、高齢者まで幅広くさまざまな症状でお悩みの方を支援する 医療の専門職です。 ことばによるコミュニケーションには、言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関 係していますが、脳卒中などの病気や交通事故、発達上の問題でこのような機能が損なわ れることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専 門的サービスを提供し、自分らしい生活ができるように支援する仕事です。 また、超高齢社会に伴って摂食・嚥下の問題にも専門的に対応できることで注目されてい る職業でもあります。   2、コミュニケーションや食べる障害に対応 コミュニケーションの問題は、脳卒中などの後遺症で言語障害や聴覚障害、ことばの発達 の遅れ、声の発音の障害など多岐に渡ります。 【言語障害】 ・うまく話せない ・言葉が理解できない ・文字が読めない   【音声障害】 ・咽頭がんなどで声帯を失い声が出にくい   【嚥下障害】 ・うまく噛めない ・うまく飲み込めない   3、おもな言語聴覚士の活躍の場 言語聴覚士によるリハビリは、医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの 医療専門職のほか、社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員などの保健・福祉専門職、 教育、心理専門職などと連携してチーム医療の一員として活躍しています。   【医療施設】 ・大学病院、総合病院、専門病院 ・リハビリテーションセンター ・地域医院、診療所 など   【保健施設】 ・介護老人保健施設 ・デイケアセンター ・訪問看護事業所 ・訪問リハビリテーション事業所 など   【福祉施設】 ・特別養護老人ホーム ・デイサービスセンター ・肢体不自由児施設 ・重症心身障害児施設 など   【教育機関】 ・小中学校 ・特別支援学校 ・研究施設 ・言語聴覚士教育施設(大学・短期大学・専門学校) など   4、日福の言語聴覚療法学科が選ばれる3つの理由 本校では、1997年に言語聴覚士が国家資格となったと同時に医療言語療法学科(現・言語聴覚療法学科)設置する国内における言語聴覚士養成のパイオニア校です。   さらに、大卒者を限定とした最短2年間で言語聴覚士の国家試験を受験できる社会人のた めの学び直しの養成機関でもあります。 入学する学生は全員が大卒の学歴を有しているため、学びのレベルも高く、創設以来毎年 全国トップクラスの国家試験合格率を誇っています。   このように志の高い学生に選ばれるには、おもに3つの理由があります。   ①臨床実習先が豊富で医療現場を想定した領域横断型演習 1年次5月からスタートする「臨床現場見学」では成人領域・小児領域の医療現場を理解 し、2年次の全12週間に及ぶ臨床実習では現場で求められる臨床技術を習得します。   ②言語聴覚士の4つの職業領域を専門とする講師陣 本校の専任講師は、言語聴覚士の4つの職業領域である「成人領域」「小児領域」「き こえ」「嚥下(えんげ)」で現場のトップランナーとして活躍している現役の言語聴覚 士です。 授業でもその臨床経験を活かした授業がおこなわれます。 また、小児領域に強いことも本校が選ばれる特色のひとつです。   ③臨床力を意識した授業展開と本校独自科目 本校独自の実践的カリキュラムで臨床家の自覚を養う体験型授業を豊富に展開していま す。「スタディ」「ディスカッション」「プレゼンテーション」「ロールプレイング」 で臨床評価を体系的に理解する授業をおこなっています。  

2020/05/01

脳梗塞

30代から40代の新型コロナ患者も発症?「脳梗塞」という病気

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。   先日TVニュースなどで30代から40代の新型コロナウイルス感染者が、脳梗塞になる可能性があるという報道されています。 ウイルスが血液や血栓に異常を引き起こしたとみられ、足指に「しもやけ」のように赤く腫れあがる症状がみられるというのです。   では、この脳梗塞とはどのような病気なのでしょうか? 若い世代でも高齢者でも襲われる脳の病気「脳梗塞」について知ってみましょう。   1、「脳梗塞」ってどんな病気?   脳の病気の多くは、基本的に脳の血管が破れたり詰まったりといった障害が起こり、脳の機能の一部が壊れてしまうことによって発症します。 そのため、脳梗塞を含めたさまざまな脳疾患を、「脳血管疾患(障害)」と呼ばれています。 脳梗塞の「梗塞」とは、「ものが詰まり流れが通じなくなる」という意味です。脳梗塞では血栓と呼ばれる血の固まりが血管をふさいでしまい、そこから先へ血液が流れなくなってしまいます。すると詰まった先の細胞や組織は、酸素や栄養を運んでもらえず、壊死してしまいます。当然脳には大きなダメージを受けることになります。 脳梗塞は突然発症し、数分から数時間で急速に症状が進みます。   2、脳梗塞のタイプと発作   脳梗塞は、いくつかある脳卒中のひとつで、前術のように脳の血管が詰まってしまうタイプです。脳卒中には、ほかに脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作がありますが、脳梗塞は、脳卒中死亡の約60%を占めているといわれています。   そして、この脳梗塞には3つのタイプがあります。   (1)アテローム血栓性梗塞 脳の太い血管の内側にドロドロのコレステロールの固まりができて、その血小板が詰まって動脈をふさいでしまうもの。   (2)ラクナ梗塞 脳の細い血管に動脈硬化が起こり、詰まってしまうもの。   (3)心原性脳梗塞症 心臓にできた血栓が流れてきて血管をふさいでしまうもの。   脳梗塞の発作が起きると、脳の障害起きた部分がコントロールしていた身体の働きができなくなってしまいます。 『言葉が出なくなる』・『ものが飲み込めなくなる』・『からだの片方が麻痺する』などの症状が現れます。 これらの症状はリハビリで改善することができます。言葉や飲み込みのリハビリには言語聴覚士、からだの片方の麻痺には理学療法士のいずれも医療系国家資格を取得している専門スタッフがリハビリをおこないます。   3、日々の生活から危険因子を排除する では、生活習慣の中から、脳梗塞の危険因子について考えてみましょう。 次のような人は要注意です!   大量の飲酒 1日に1合を超える日本酒、中瓶1本を超えるビール、ダブルで一杯を超えるウイスキーを飲む人。 喫煙習慣 タバコを吸う人は吸わない人に比べて、はるかに脳梗塞(脳卒中)で死亡する人は多い。 運動不足 食事で摂ったエネルギーを消費しきれないので肥満に。さらに糖尿病や脂質異常症を引き起こしたりする。 肥満 肥満は高血圧や糖尿病の原因になり得るため、間接的に脳梗塞の危険因子。 過度なストレス 日々のストレスやイライラは大量飲酒やたばこ、暴食になりやすい。脳梗塞に限らず、身体にいいはずがない。 食事 高血圧にならないように減塩を心がける。健康診断で脂質異常症や動脈硬化の診断をされている人は自覚症状がなくても食生活の見直しが必要。 ・・・‥‥…………………………‥‥・・・ 脳梗塞のリハビリを担う「言語聴覚士」の仕事知ろう!こちら 言語聴覚士を目指したいかたはこちら ・・・‥‥…………………………‥‥・・・

2019/09/13

嚥下障害

癌の治療後の飲み込みづらさをあきらめない!~言語聴覚士の仕事~

  食道がんや脳腫瘍などの治療後には、 「食べる」や「コミュニケーションをとる」という機能に 障害を残すことがあります。   そんなときに頼りになる専門職が言語聴覚士です。     1、言語聴覚士とは?   ◆言語聴覚士とは?   生まれつき、あるいは、病気・事故・加齢によって 「食べる」「話す」「聞く」「読む」「書く」「理解する」という 機能が不自由な人に対して、その原因を分析して 生活の質を向上させるための訓練(リハビリテーション)を指導し、 アドバイスする国家資格を取得した専門職です。     ◆言語聴覚士はどこにいるの?   ・医療機関(大学病院や総合病院のリハビリテーション科など)   ・介護、福祉施設(老人福祉施設、障害者福祉施設、小児療育施設など)   ・学校(小学校のことばの教室、特別支援学校)   ・保健所 など     ◆相談料は?   医療機関の場合、診療報酬の自己負担あり(検査、リハビリ指導、日常生活などの助言)     2、癌に関して言語聴覚士に相談できること   癌に関して言語聴覚士に相談できる内容は、主に2種類があります。   ①摂食・嚥下に関すること(食べる、飲み込む)   ②コミュニケーションに関すること(話す、聞く、読む、書く、理解する)     ①摂食・嚥下障害を起こす可能性がある癌   舌がん、歯肉がん、口腔底がん、硬口蓋がん、頬粘膜がん、軟口蓋がん、扁桃がん 咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、脳腫瘍 ※いずれも、病状進行や手術・放射線・抗がん剤の治療後に生じます。     ②おもな症状   ・のどに食べ物がつかえる   ・のどに食べ物が残っている感じがする   ・唾液の分泌が少ない   ・食べる時にむせる   ・痰が多い   ・のどに痛みがある   ・のどに麻痺があり飲み込みにくい     ③言語聴覚士による指導やアドバイス   癌の治療後に食べにくくなったり、飲みにくくなった場合、 「飲み込む方法」や「食事の時の姿勢」、「食事の食べ方」などを、 管理栄養士と連携しながら、食事がしやすくなるようにリハビリをおこないます。   また、誤嚥をすると肺炎を起こしやすくなるため、 飲み込むときに喉の筋力を強くするためのリハビリ方法を指導したりもします。    

2019/09/13

嚥下障害

高齢者の摂食・嚥下障害

  加齢とともに、体の動きや働きはゆっくりになっていきます。 それは体を動かすための筋力が衰え、協調する運動もできなくなってくるからです。   食べること、飲み込むことも同じです。   加齢とともに歯の数も少なくなるだけでなく、 食べるため、飲み込むために関わる口や喉の筋肉も弱くなり、 そして動きがうまく協調できなくなるのです。     高齢者の摂食・嚥下障害機能の特徴   ①歯が少なくなる   ②飲み込みの反射が遅くなる   ③むせの反射が出にくくなる   ④むせの勢いが弱くなる   ⑤のど仏の位置が下がり、飲み込む時にのど仏の上がる量が減る   ⑥唾液が少なくなる   ⑦食べることに集中できなくなる など     これらの特徴にともなって、加齢による摂食・嚥下障害が出現することがあります。   高齢者では肺炎の最大の発症原因は『誤嚥』で、 70歳以上が誤嚥に関与する肺炎が60%に達するといわれています。   病院内の口腔リハビリテーション科では、 加齢に伴う食べること、飲み込むことに対して 診断・評価をおこない、言語聴覚士によって 食べる動きを回復するための訓練や食べ方、 摂食嚥下障害の予防法について指導をおこないます。    

2019/09/11

嚥下障害

口腔がんと言語聴覚士によるリハビリ

  歌手の堀ちえみさんが『口腔がんのステージ4』を公表し、 ニュースでも大きく取り上げられました。 『口腔がん』とは、どんな病気なのでしょうか?     1、口腔がんとは   『口腔がん』には、おもに以下のような種類があります。   ・舌のがん(舌がん) ・舌と歯茎の間にできるがん(口腔底がん) ・歯茎のがん(歯肉がん) ・頬の内側の粘膜にできるがん(頬粘膜がん) ・上あごにできるがん(硬口蓋がん)   これらの中で最も頻度の多いのは舌がんですが、口腔がんすべてあわせても、 全がんの1~2%しかない希少がんです。     2、口腔がんの症状   一般的に初期のがんでは痛みや出血などはなく、硬いしこりが触れるのみが多いです。 なかなか治らない口内炎の場合は注意が必要です。   実際に自分の口の中を触ってみて、他の部分と明らかに硬く触れる部分がある場合は 悪性腫瘍の可能性がありますので、専門医の受診をおすすめします。   進行がんではしこりが外側に大きくなる傾向や、深部に入っていくものもあります。   とくに後者は進行しているものが多く、潰瘍を形成して 痛みや出血がともなうことがあります。   さらに増大すると、言葉がしゃべりにくくなったり、 食事が取りづらくなったり、口が開かなくなったり、 また、がんが頸部のリンパ節に転移し、 あごの下の首のリンパ節の腫脹をきたすことがあります。     3、病期診断   がんの進行度は、第Ⅰ期~第Ⅳ期に分けられます。   ・第Ⅰ期、第Ⅱ期:「早期がん」 ・第Ⅲ期、第Ⅳ期:「進行がん」   一般的にはがんの治癒率は個々の病変の大きさや広がり、 またがん細胞のもつ性質によって左右されます。   腫瘍がわりと小さく頸部のリンパ節転移のないものは通常良好ですが、 より大きい腫瘍や頸部リンパ節転移のあるものはそれだけ治癒率は悪くなります。   ※口腔がんの中でも最も多い舌がんの5年生存率 Ⅰ期:91%、Ⅱ期:80%、Ⅲ期:65%、Ⅳ期:45%     4、口腔がんの治療法   口腔がんの治療法は原則的には病期によって決定されます。 それに、がんの部位、組織型、年齢、既往歴、合併症、臓器の機能や 一般的な健康状態に基づいて、慎重に治療方法を選択します。   <口腔がんのおもな治療法>   ①手術療法 ・局所切除術 ・頸部郭清術 ・再建手術   ②放射線療法   ③化学療法     5、治療の副作用と対策   がんに対する積極的な治療で、苦痛や副作用を伴わない治療は ほとんどないといってよいくらいです。   そのなかでも栄養支援については重要なことと言えます。   *栄養支援について   口腔は、摂食・嚥下(食べる、飲み込む)や構音(言葉を発する)などの 機能を司る器官です。 口腔がんの治療により摂食・嚥下、構音に悪影響を与えることも少なくありません。   とくに、摂食・嚥下は生命を維持する上で不可欠であり、 これらの障害に対しては栄養支援が考慮されます。   栄養支援では多職種によるアプローチがおこなわれ、 おもには「嚥下リハビリチーム」・「口腔ケアチーム」・「栄養サポートチーム」によって 各種のリハビリが提案されます。   【多職種によるアプローチに関わるおもな職種】 ・頭頸部外科医 ・リハビリ医 ・歯科医 ・言語聴覚士 ・管理栄養士 ・看護師や認定看護師 ・薬剤師 など    

2019/09/11

嚥下障害

言語聴覚士による摂食嚥下リハビリ

  1、摂食・嚥下障害とは?   脳卒中や脳性麻痺、口腔、咽頭、喉頭などの疾患、 神経難病などの中枢神経系疾患などで、 「食べる」機能に障害が生じることを 摂食・嚥下障害といいます。   また、高齢者がよく食事中にむせてしまうことでもわかるように、 加齢による嚥下障害もあります。   摂食嚥下障害は、超高齢社会において重大な健康問題の一つになってきました。   高齢化が進むなか、食べたいと思うものを最期まで楽しく口から食べるという、 人間として最も基本的な生命維持機能だけあって、 食文化としての楽しみは、QOL(生活の質)にとても大きく関わってくるのです。     2、摂食機能療法とは?   摂食・嚥下リハビリテーションでは、 患者様が安全かつ楽しく生活ができるように、 栄養摂取の方法を確立することを目指します。   患者様に合わせた食事や栄養摂取のスタイルを確立することが、 嚥下リハビリの最大の目標です。     嚥下障害の評価は嚥下造影検査、ビデオ内視鏡検査、反復唾液嚥下テスト、 水飲みテスト、フードテストなどがあります。   このような検査結果をもとに、重症度を判定し、治療効果を予測しながら、 治療環境を考慮に入れてリハビリテーション治療が進められます。   嚥下機能に対する訓練は、おもに脳疾患、肺炎などの呼吸器疾患、 認知症、高齢者(とくに要介護)、神経難病などの中枢系疾患、 その他医師が必要と判断した場合におこなわれます。   適切な評価の後、言語聴覚士がリハビリスタッフと連携しながら訓練を進めていきます。    

2019/09/11

嚥下障害

言語聴覚士に対する社会ニーズ ~摂食・嚥下障害~

  1、言語聴覚士に対する社会ニーズ   言語聴覚士(ST)は、脳卒中やさまざまな疾患による 言語障害や聴覚障害によるコミュニケーション障害や、 小児を対象とした言語・構音の問題に対して、 治療・訓練をおこなう専門職です。   1999年に国家資格制度が始まって以来、 おもにコミュニケーションの問題を中心に訓練をおこなってきましたが、 発音と摂食・嚥下に関わる器官が共通することにより、 約20年ほど前から少しずつ摂食・嚥下のリハビリテーションに 関わってくるようになってきました。   日本言語聴覚士協会の調査では、現在では、 言語聴覚士の7割が何らかの形で 摂食・嚥下訓練に関わっています。   法的にも、医師または歯科医師の指示の下、 嚥下訓練をおこなうことができる専門職種であることは 明記されています。     2、病院における嚥下チームの中の言語聴覚士の役割   摂食・嚥下障害の方たちの中には、 高度な低栄養状態や脱水状態の患者様も多く、 嚥下訓練どころではない方も多くいらっしゃいますが、 すべてのリハビリには、筋肉や基礎的な体力をつけていくことが必要で、 そのために「食べる」という栄養の確保がとても重要です。   言語聴覚士は、リハビリを通じて 毎日患者様やそのご家族と関わるため話しかけやすいこともあり、 いろいろなことを相談されやすい職種でもあります。   そのため、病院内の嚥下チームの方針を 正しい情報でわかりやすく伝える役割も担っています。     3、摂食・嚥下に関わる職種として   言語聴覚士は摂食・嚥下障害にかかわる資格を持つ職種として、 目の前の患者様へのリハビリに関わることはもちろんのこと、 社会からのニーズが大きい領域だからこそ、 社会へ貢献することも重要です。   例えば、地域での勉強会や患者会などに積極的に参加して アドバイスやサポートをすることや、 その活動と通じて連携できる仲間を増やしていくことも 言語聴覚士として大切なことです。     また、リハビリのプロとして、患者様やご家族の精神面にも気を配り、 安心感や信頼感を持っていただける関係性を築くことも必要です。   嚥下障害の患者様は誤嚥で苦しい思いも経験されていることもあるため、 訓練を始めることが不安なこともあります。   患者様の不安な心理状態を理解した上で、「大丈夫」という言葉への信頼で 訓練がスタートできる関係性を得られるようにすることも重要です。     誰でも、身近なところで、 摂食・嚥下に関する相談やリハビリがうけられるようになるためにも、 在宅スタッフ(訪問医・訪問ナース・訪問リハビリスタッフなど)や 施設内スタッフに、正しいリハビリの知識やアプローチ方法を 身に付けていただくことも、連携のけん引役として期待されています。