2021年

2021/06/01

発達障害

発達障害とは? ①-3つのタイプとグレーゾーン-

  ■発達障害とは?   発達障害とは、生まれつき脳機能の発達のかたよりによる障害です。 その症状は外見から分かりにくく、 周囲とのミスマッチから社会生活に困難が発生することがあります。   発達障害の特性を「自分勝手」「わがまま」「困った子」などと捉えられてしまい、 「親の育て方が悪い」「怠けている」と批判されてしまうことも少なくありません。   得意・不得意ゆえの困難さは、特性に合わせた方法で関わり教育をしていくことで、 周囲がその子の個性・能力・希望などを理解した上で、 その子に合ったサポートをしていくことが大切です。     ■発達障害の3つのタイプとグレーゾーン   <発達障害の3つのタイプと特性>   ①自閉症スペクトラム(ASD) 対人関係・社会性とコミュニケーション能力に困難があり、興味や関心の幅が狭く 物事に強いこだわりがあり、柔軟な思考や変化への対処が難しい人もいます。 1~2歳では「目が合わない」「他の子に関心がない」「言葉が遅い」などが特徴で、その後は「一人遊びが多い」「表情が乏しい」「かんしゃくが強い」「大きい音が怖い」などがあり、対人的な相互関係を築くことが難しい傾向が見られます。   ②ADHA(注意欠陥・多動性障害) 「気が散りやすい」「集中力がない」「忘れっぽい」「落ち着きがない」 「思いつきで行動してしまう」など年齢に見合わない不注意、多動性、衝動性によって 学業や日常生活に支障が出てしまいます。 感情や行動のコントロールをするのが自分では難しいため、 周囲から批難を受けてしまいがちです。   ③学習障害(LD) 知的発達に遅れは大きくないはずが、読む・書く・話す・聞く・計算など 特定の行動が困難になることが見受けられます。 読めるけれど書くことが苦手、算数など特定の科目が理解できないなど 偏りが見られることが多いです。   <発達障害の併存と症状> 上記の3つのタイプから、自閉症スペクトラムとADHDに、知的障害を併存している子もいます。 たとえば、光や音、触り心地に敏感だったり、逆に痛みや五感の刺激反応が鈍い子も多いと言われています。 ほかにも、言葉の遅れや運動障害、てんかん、チックなどの併存が多い子もいます。   <発達障害のグレーゾーン> 「グレーゾーン」とは、発達障害の特性があっても診断基準に満たない症状を示す通称です。 発達障害は数値のような基準がないため、見極めしづらい症状もあります。 診断基準を満たすケースよりも困難なことは少ないと思われがちですが、 日常や社会生活においては、理解やサポートが得られにくいなど、 グレーゾーンならではの困難もあると言われています。   <発達障害の原因とは?> 発達障害の原因は、はっきりとはわかっていません。 障害や個人によっても異なりますが、現在では、 先天的な脳の機能障害によって発達や認知に偏りがあるという説が有力とされています。 脳の機能障害を引き起こすメカニズムやその要因も解明されていません。 しかし、「親の愛情不足」や「親のしつけが悪い」といった心的要因論は医学的に否定されています。   <発達障害かなと思ったら> 「発達障害かな?」と思ったら、できるだけ早く専門機関に相談しましょう。 いきなり医療機関を探すのが難しい場合は、必ずしも医療機関を受診しなくても、無料で相談できる地域の専門機関を利用することもおすすめです。そこで、相談したり、心理検査やアセスメントを受けることで困りごとや特性が把握できたりするので、まずが相談してみましょう。   小児療育のプロフェッショナル   このように、発達障害で日常生活にさまざまな困難を抱えている子たちに 支援できる職業のひとつが「言語聴覚士」です。   小児療育のプロフェッショナルとして、障害を持つお子さんやそのご家族に寄り沿い、 苦痛を軽減して温もりのある支援をおこなうことができる専門職であり、 今後ますます社会ニーズが高まっている国家資格でもあります。    

2021/02/15

小児

言葉の発達-こどもの発達段階の目安を知ろう―

子どもの言葉の発達についてご紹介します。 言葉の発達目安や発達が遅れる原因を知っておくと、子育てママも安心です。     1、言葉の発達段階   言葉の発達には、年齢ごとに段階があります。 もちろん発達には個人差がありますので、ここでは発達の目安についてお話しします。   0~1歳【喃語】 「あーあー」「うー」などの母音から始まる言葉(喃語)が出てくる時期です。 ママやパパなど愛着関係のある大人の顔を見ると、ニコニコしながら喃語でお話しします。   1歳~1歳6ヶ月頃【一語文】 「まんま」「ブーブー」など意味のある単語を使って、一語文を話し始める時期です。 自分の気持ちを一語文で伝えようとします。   1歳6ヶ月~2歳頃【二語文】 「これ、ちょうだい」など2つの単語を使って、文章のようにお話しします。 子どもの気持ちも受け止めやすくなるので、絵本などを使ってたくさん言葉に触れるようにして、言葉を楽しみましょう。   2歳~2歳6ヶ月頃【三語文】 「わんわんのえほんよんで」など3つの単語を使って、より意味のある言葉を話すようになります。 この時期には「なんで?」「どうして?」と疑問に思うことも増えて質問してきます。 子どもの好奇心になるべく丁寧に寄り添いつき合ってあげましょう。   2歳6ヶ月~3歳頃【模倣】 発音がしっかりしてきて、大人の真似をしたがるようになります。 簡単な言葉の意味に興味を持って使いたがるので、わかりやすいように丁寧に説明してあげましょう。   3歳~4歳頃【複文】 2つ以上の述語が組み合わせいる複文を使い始める時期です。 代名詞や助詞を使い、大人と対等に話せるようになってきます。   4歳~5歳頃【コミュニケーション】 話す意慾が高まり、友達同士でも会話を楽しむ時期です。 言葉で自己主張して、自分の思いを伝えて解決しようとするので、口喧嘩も増えてくる時期です。それぞれの思いを聞きながらお互いが妥協できるように話し合う場をもつことが大切です。   5歳~6歳【物語】 自分が体験したことを言葉にして相手に伝えることができるようになります。 小学校に入学すると、本格的は学習がはじまり新しいお友達も増えるので、未就学前にコミュニケーションの幅を広げておくといいでしょう。 できるだけたくさんの言葉を使って会話を楽しんだり、絵本の読み聞かせを繰り返すと 単語や正しい文章を身に付けることに繋がります。   2、言葉の発達に必要なこと   言葉の発達は他の子どもと比べてしまいがちですが、発達にはいろいろな要素が影響して います。言葉の発達に必要なことをおもに4つ挙げます。   ①言葉を聞き分ける『聴力』が発達していること。 ②言われたことが理解できる『知能』は発達していること。 ③発声するための『運動機能』が発達していること。 ④子どもに話すという『欲求』があること。   これらの4つの条件が揃うと子どもは言葉を話すようになります。 もし言葉の遅れが気になる場合には、まず耳がきちんと聞こえているかを確認してみるの がようでしょう。 その場合は小児科や耳鼻咽喉科で診てもらったり、聴こえの専門家でもある言語聴覚士に 検査してもらうなどがおすすめです。   この条件以外で、最近では核家族が増えてきた影響もあって、家族間の会話が減ってしまったり、インターネットを長時間見たりと、子どもが家庭での家族との会話が減っていくことも子どもの言葉の発達に影響する場合があるので、注意しましょう。