発達障害

2021/12/07

小児

発達障害のこどもとのふれあい方とは

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。   「発達障害」という言葉をよく耳にするようになりました。 「障害」と聞くと「できない」とイメージしてしまいがちですが、これは「発達のでこぼこ」と言えるのかもしれません。 今回は発達障害の子どもとの接し方についてまとめとみましたので、ご一読ください。   1、「発達障害」の特徴   発達障害とは、生まれつき脳機能の発達の影響によって、コミュニケーションや想像力を働かせることが苦手な障害です。 発達障害には大きくわけて3つあります。   自閉症スペクトラム ・他者とのコミュニケーションが苦手 ・興味や活動が限定される   注意欠如・多動性障害 ・集中力が続かない ・忘れっぽい ・じっとしているのが苦手 ・衝動的に思い付きで行動してしまう   学習障害 ・「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうち、 知的レベルや本人努力不足に問題はないのに、学んだり使ったりすることが困難   知的レベルが高い子どもの場合は、発達障害の特徴である症状を知能でカバーして乗り切ることもあるため、周囲の人に気づかれないまま大人になり、「ちょっと変わった人」という目で過ごしている場合もあります。周りの人から敬遠されることが多いため精神的な苦痛を感じる機会が多く、精神疾患につながるケースも多いと言われています。   2、周囲の大人ができること   もし自分の子どもが発達障害かも?と思ったら、地域の発達障害支援センターに問い合わせたり、保健所、園や学校に相談することをおすすめします。 相談に乗ってもらえるだけでなく、医療が必要と判断されれば、適切な医療機関を紹介してもらうことができます。小児科医や言語聴覚士など発達障害を専門家に早期に診てもらうことで早めに療育を始めることができます。   「一人で抱え込まない」ということがとても大切です。 医療機関で発達障害だと診断されると、これまで自分の育て方が悪かったと思っていた保護者の方も、そうではなかったのだと、ほっとする方もいます。 発達障害の子どもたちが通う療育教室では同じ境遇の保護者同士でお互いに話したり交流することによって元気づけられた方もいるでしょう。 行政では、治療と教育をおこなう「療育」で、障害のある子どもが社会的に自立して生きていけるように支援をしたりしています。 自分だけで解決しようとせずに、地域で協力しながら子どもを育てることが大切です。   最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本 (発達障害を考える心をつなぐ) | 榊原洋一 |本 | 通販 | Amazon     3、発達障害の子どもとの接し方・伝え方   発達障害を抱えた子どもには、障害特性(障害の症状や特徴)があります。 特性によってはコミュニケーションが苦手な場合があって、本人の努力では解決が難しいこともあります。その場合には、子どもが理解できるように周囲が接し方や伝え方の配慮をすることが大切です。   【対応の基本ポイント】 簡潔に 論理的に   【伝えるときのポイント】 本人の気持ちを否定せずに、メリットや目的と意味を伝える。 見通しを明確に、変更は前もって知らせる。 タイムリーにその都度褒める、注意する。 否定や指摘よりも、肯定語で伝える。   障害の特性によって、コミュニケーションに苦手が生じることがあったり、本人の努力では解決が難しいこともあります。周囲が「伝え方」を配慮することは大切です。

2021/11/24

発達障害

【コラム】アスペルガー症候群について知ろう!

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回のテーマは「アスペルガー症候群」です。 言葉や知能に遅れがないため、なかなか障害に気づけずに過ごすことが多い、この生まれつきの障害について説明します。 1、アスベルガー症候群とは   アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム症のうちで、知能や言語の遅れがないものをいいます。 社会性やコミュニケーションの障害のため、周りからは発達障害と理解してもらえず「変わり者」と思われることが多くある発達障害です。 周りからは「変わり者」と思われていても、自分自身では自覚がないため、周りの人から敬遠される理由がわからなかったり、対人関係でもうまくいかないことが多くなりストレスを抱えて、やがてうつ状態になったり強迫性障害など精神障害に発展する可能性もあります。 2、アスペルガー症候群の歴史   アスペルガー症候群は、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーの名前からつけられた診断名です。1944年に「小児期の自閉症精神病質」というタイトルで論文発表されました。 その後、1981年にイギリスの児童精神医ローナ・ウイングがアスベルガーの業績を紹介したことで再評価され、アスぺルガーの論文が注目されました。ローナ・ウイングは、研究を重ねるなかで、自閉症とは診断されていないが、「社会性」「コミュニケーション」「想像力」の3つに障害をもつ子どもたちがいることに気が付きました。これがアスぺルガーの報告した症例に似ていたことから、アスペルガー症候群という診断名は適切とされた歴史があります。 アスペルガー症候群には2つの定義があります。 1 ローナ・ウイングらが提唱し、ヨーロッパで主に使われているアスペルガー症候群の概念 2 ローナ・ウイングの考え方を基本にしたアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)や国際的な診断基準であるICD-10などで定義されているアスペルガー症候群の概念 参考:アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)    「精神障害の診断と統計マニュアル」の検索結果 - Yahoo!検索    国連の世界保健機関による分類(ICD-10)     ICD-10精神および行動の障害  新訂版 | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院 (igaku-shoin.co.jp) 3、アスペルガー症候群の発生頻度と原因   近年では、約100人に1人(つまりは1%)でアスペルガー症候群であると報告されています。 性別も相関関係があり、男性の方が女性よりも約4倍も多いと言われています。 知的障害や言語に遅れのない女性の場合は、アスペルガー症候群特有の社会的困難な現れが目立たないため、過少評価されている可能性もあります。 高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)とアスペルガー症候群には強い遺伝的な要素があることがわかっています。 ----------------------------------------------- 【これまでの区別】 ◆広汎性発達障害 ・自閉性障害/アスペルガー障害/レット障害/小児期崩壊性障害/特定不能の広汎性発達障害 【現在】 ◆自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害:(ASD) アスペルガー症候群はまだはっきりとした原因は解明できていませんが、遺伝的な要素が複雑に絡み合って引き起こされるもので、生まれつきの脳の機能障害によって発現するものだと考えられています。 アスペルガー症候群のお子さんをお持ちの保護者のなかで、「自分の育て方が悪かったのだ」と悩むケースもありますが、あくまで生まれつきであり、育児や育て方、愛情不足といった心的なものについては医学的に否定されています。 ----------------------------------------------- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 発達障害とは | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp) 4、アスペルガー症候群「3つの障害」   アスペルガー症候群の症状の特徴について、イギリスの児童精神科医ローナ・ウイングによって「3つの障害」と定義されました。 ●「社会性の障害」 ●「言語コミュニケーションの障害」 ●「想像力の障害」 では、具体的にどのような症状や特徴があるのでしょうか。 1 周囲の人との交流が難しい 他者とコミュニケーションを取るときに、相手の立場に立って気持ちを理解したり、場の空気を読んだりすることが苦手です。そのため周囲から敬遠されがちになってしまいます。 2 特定の物事に強いこだわりや興味を持つ 興味を限定しやすい傾向があり、一度興味を持つと時間を忘れてとことんのめり込み、逆に興味がないことに対してはなかなか実行できません。 3 日常生活がルーティン化しやすい 自分の行動や習慣に関して自分で決めたルールにこだわりやすく、毎日の行動がパターン化しやすい傾向があります。逆にいつもと違うパターンになると嫌がる傾向があり、また予期せぬことが起こった時にパニックになりやすい傾向もあります。 5、アスペルガー症候群の治療と周りの人の接し方   アスペルガー症候群は、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発現するものであると考えられていますが、はっきりと解明されているわけではないので、根本的な原因を治療することはできません。 おもな治療は、『薬物療法』と『精神療法』です。 精神療法(カウンセリング)は、認知行動療法と呼ばれることもあり、自分自身の行動や考え方の癖を理解して、人間関係や社会性を身につけていくためのものです。 アスペルガー症候群の方においては、自分のことを理解してサポートしてくれる人の存在がとても大切です。 本人は無自覚でも、他者から見た場合にまずいと思われる行動を、優しく正直に指摘したり、苦手な部分を助けてくれる人の存在は、アスペルガー症候群の方にとって大きな力になります。

2021/06/02

発達障害

発達障害とは?② ~発達障害児の症状と特性~

  発達障害の症状や困難は個人の特性や年齢によってもさまざまです。   発達障害のお子さんを持つご家族から専門機関に多く寄せられる症状や特性では、 以下のような相談ケースがあります。     相談ケース   ☑言葉の遅れ 言葉がでないなど、年齢に見合った言葉の発達が大きく遅れている。   ☑我慢ができない じっと座っていられない、集中できない、順番を待つことができない、 おしゃべりがやめられない、すぐに手が出てしまう、 先生の指示で動いたり周囲と合わせて行動するのが苦手。   ☑周りの人とのコミュニケーションが苦手 周りの子供とコミュニケーションを取ることが苦手で、一人遊びが多い。   ☑こだわりが強い/変化が苦手 同じ服ばかり着る、同じおもちゃでないと遊ばない、予定が変わると活動できないなど、 日常生活に支障が出るような強いこだわりがある。   ☑忘れ物は多い/不注意が目立つ 忘れものが多かったり、うっかりミスが目立つ。また、片付けや整理整頓が困難。   ☑感覚過敏 光や音に敏感で、大きな音などを嫌がる。感触にこだわりがあり、決まった服以外着られない。 食べものも好き嫌いが多くて偏食。   ☑感覚鈍磨 感覚の反応が鈍く、刺激や痛みに鈍感。   ☑学習面が困難 読み書きや算数など年齢相当の学習が苦手。できるものとできないものの差が極端。 授業についていけなかったり、宿題にとても時間がかかる。   ☑運動面の遅れ 運動の力加減や調整が苦手で極端に不器用。(発達性協調運動障害) 筆圧が弱かったり強すぎたりと、指先がうまく使えない。食べこぼしが目立つ。   ☑自傷行為 頭を壁などにぶつける、髪の毛を抜く、手や爪を噛むなど自分を傷つけてしまう。 気に入らないことや思いがけないことがあるとパニックになってしまう。   ——————————————————————————————————   チェック項目が多かったり、発達障害かも?と思ったら、 できるだけ早く専門機関に相談するといいでしょう。   いきなり医療機関を受診しなくても、 心理検査やアセスメントを受けることで特性がわかったり、 公的な支援が受けられることもあります。   子育てに不安があったり、課題感が大きいときには、 無料で相談できる地域の専門機関を利用することもおすすめです。   【無料で相談できる専門機関】 ・地域の子育て支援センター ・児童相談所 ・発達障害者支援センター ・療育センター  など   また、1歳半健診や3歳健診などで小児科医や保健師に相談してみるのもいいでしょう。 診断の結果、医師から発達障害と診断されたら、 「心理的・療育的なアプローチ」と「薬物療法」で対処・治療をおこないます。     ■早期での療育的支援の重要性   「療育」とは、障害のある子どもの発達を促して社会的な自立を目的として教育や治療をおこないます。 そして、早期療育が効果的であると言われています。   幼いうちから療育に取り組めば、発達の促進だけでなく、 ご家族や周囲がそのお子さんの特性を理解し、 関わりのコツがわかることで、二次障害の予防にもつながります。   ■発達支援を受けられる機関  ①児童発達支援・放課後等デイサービス 発達支援を担っている機関としては、児童福祉法に基づく児童発達支援センターや児童発達支援事業所があります。これらの支援施設は0~6歳が対象で、支援も集団と個別などでおこなわれています。 小学生以上になると放課後デイサービスの対象となります。自治体や運営している機関によって集団や個別などの支援形態は異なります。 地域によってはグレーゾーンのお子さんも利用できる場合もあります。   ②幼児教育・学習塾 幼児教育や学習塾の中には、発達が気になるお子さんに向けたサービスを提供している教室があります。ソーシャルスキルを伸ばすことに力を入れている教室や、運動能力に力を入れている教室など、教室ごとに特徴がありますので、お子さんにあった教室選びをするとよいでしょう。  

2021/06/01

発達障害

発達障害とは? ①-3つのタイプとグレーゾーン-

  ■発達障害とは?   発達障害とは、生まれつき脳機能の発達のかたよりによる障害です。 その症状は外見から分かりにくく、 周囲とのミスマッチから社会生活に困難が発生することがあります。   発達障害の特性を「自分勝手」「わがまま」「困った子」などと捉えられてしまい、 「親の育て方が悪い」「怠けている」と批判されてしまうことも少なくありません。   得意・不得意ゆえの困難さは、特性に合わせた方法で関わり教育をしていくことで、 周囲がその子の個性・能力・希望などを理解した上で、 その子に合ったサポートをしていくことが大切です。     ■発達障害の3つのタイプとグレーゾーン   <発達障害の3つのタイプと特性>   ①自閉症スペクトラム(ASD) 対人関係・社会性とコミュニケーション能力に困難があり、興味や関心の幅が狭く 物事に強いこだわりがあり、柔軟な思考や変化への対処が難しい人もいます。 1~2歳では「目が合わない」「他の子に関心がない」「言葉が遅い」などが特徴で、その後は「一人遊びが多い」「表情が乏しい」「かんしゃくが強い」「大きい音が怖い」などがあり、対人的な相互関係を築くことが難しい傾向が見られます。   ②ADHA(注意欠陥・多動性障害) 「気が散りやすい」「集中力がない」「忘れっぽい」「落ち着きがない」 「思いつきで行動してしまう」など年齢に見合わない不注意、多動性、衝動性によって 学業や日常生活に支障が出てしまいます。 感情や行動のコントロールをするのが自分では難しいため、 周囲から批難を受けてしまいがちです。   ③学習障害(LD) 知的発達に遅れは大きくないはずが、読む・書く・話す・聞く・計算など 特定の行動が困難になることが見受けられます。 読めるけれど書くことが苦手、算数など特定の科目が理解できないなど 偏りが見られることが多いです。   <発達障害の併存と症状> 上記の3つのタイプから、自閉症スペクトラムとADHDに、知的障害を併存している子もいます。 たとえば、光や音、触り心地に敏感だったり、逆に痛みや五感の刺激反応が鈍い子も多いと言われています。 ほかにも、言葉の遅れや運動障害、てんかん、チックなどの併存が多い子もいます。   <発達障害のグレーゾーン> 「グレーゾーン」とは、発達障害の特性があっても診断基準に満たない症状を示す通称です。 発達障害は数値のような基準がないため、見極めしづらい症状もあります。 診断基準を満たすケースよりも困難なことは少ないと思われがちですが、 日常や社会生活においては、理解やサポートが得られにくいなど、 グレーゾーンならではの困難もあると言われています。   <発達障害の原因とは?> 発達障害の原因は、はっきりとはわかっていません。 障害や個人によっても異なりますが、現在では、 先天的な脳の機能障害によって発達や認知に偏りがあるという説が有力とされています。 脳の機能障害を引き起こすメカニズムやその要因も解明されていません。 しかし、「親の愛情不足」や「親のしつけが悪い」といった心的要因論は医学的に否定されています。   <発達障害かなと思ったら> 「発達障害かな?」と思ったら、できるだけ早く専門機関に相談しましょう。 いきなり医療機関を探すのが難しい場合は、必ずしも医療機関を受診しなくても、無料で相談できる地域の専門機関を利用することもおすすめです。そこで、相談したり、心理検査やアセスメントを受けることで困りごとや特性が把握できたりするので、まずが相談してみましょう。   小児療育のプロフェッショナル   このように、発達障害で日常生活にさまざまな困難を抱えている子たちに 支援できる職業のひとつが「言語聴覚士」です。   小児療育のプロフェッショナルとして、障害を持つお子さんやそのご家族に寄り沿い、 苦痛を軽減して温もりのある支援をおこなうことができる専門職であり、 今後ますます社会ニーズが高まっている国家資格でもあります。    

2020/07/08

嚥下障害

言語聴覚士の仕事内容、年収、合格率を徹底調査!①

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回はコミュニケーションや食べる機能を支えるリハビリのスペシャリスト「言語聴覚士」について、その詳しい仕事内容や、知っておきたい収入面、国家試験の難易度などについて徹底調査! 2回連載の第一弾です。 言語聴覚士を目指したいと思っている方、興味のある方はぜひご一読ください。 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 1、言語聴覚士(ST)とは   「耳がよく聞こえなくて言葉がわからない」「聞こえても発声や発音ができない」「言葉が理解できない」といった障害は先天的なものだけでなく、脳卒中や脳梗塞、耳の病気など後天的な病気が原因となって発病することも多いです。 このような言葉によるコミュニケーションが困難となってしまった人たちの状況を改善・軽減するためのリハビリ専門職が言語聴覚士です。また、言語以外の認知機能のリハビリや、飲み込みなどのリハビリも言語聴覚士が行います。 言語聴覚士は英語で「Speech Therapist」と呼ばれることから、日本でも「ST」と略されて呼ばれています。   2、言語聴覚士の仕事内容   言語聴覚士は患者様一人ひとりに合った訓練や指導が求められます。 サポートすべき様々な障害の種類と、その仕事内容について説明します。   聴覚障害 周囲の音や声が聞こえない、聞き取りづらい状態で、『難聴』とも呼ばれています。生れつきの聴覚障害を持つ先天性のものと、事故・疾病・高齢化などによる後天性のものが存在します。 言語聴覚士の仕事● 言語聴覚士は聴覚検査を実施して、障害の度合いや種類を調べます。そして、言語の訓練とともに、必要に応じて補聴器のフッティングや人工内耳の調整をおこないます。   言語・コミュニケーションの障害 代表的なものとして、『失語症』『構音障害』『音声障害』などがあります。 これらの障害は、「話す・聞く・理解する・読む・書く」という、言語コミュニケーションに関する機能を妨げる障害です。 言語聴覚士の仕事● 障害の具合を観察すると同時に、原因や経過を加味しながら、言葉の理解や発話、読み書きの訓練をおこない、家庭や社会生活への復帰をサポートします。   認知機能の障害 認知機能とは、知覚・記憶・思考・感情・学習・判断などの社会生活に適応するために必要な機能の総称です。この障害の代表的なものとして『高次脳機能障害』があります。 また、超高齢社会の日本では、認知症の患者様も増えています。 言語聴覚士の仕事● 認知障害の評価、機能訓練、リハビリなどおこないます。   子どもの言語発達とコミュニケーションの障害 子どもは3~4歳くらいまでの間に自然と語彙や文法を学習して身に着けていきますが、なかには発達障害・知的障害・聴覚障害などの原因で、同年齢の子どもと比べて言語の発達が遅れてしまう子どもがいます。 言語聴覚士の仕事● 言語発達に遅れがある子どもたちに対して、周囲の人たちのコミュニケーションに関心を持つように指導したり、語彙や文法の習得に向けた訓練をおこなったりします。またご家族が教育機関などと連携して、子どもの周辺の環境を整える役割もあります。   摂食・嚥下障害 食べて飲み込むことを摂食嚥下と言い、この行為が阻害されてしまう状態のことです。 とくに高齢者に多く、歯が抜けてなくなったり、加齢による舌や顎の筋肉が衰え、脳卒中の後遺症による麻痺などさまざまな原因があります。 摂食嚥下障害は放置すると、食べられないことよって本人の栄養状態が悪くなってしまったり、食べたときでも食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎で命を落としてしまうことにもつながる障害です。 言語聴覚士の仕事● 胃ろうやチューブでの栄養摂取を選択せず、自分で口から食べられるように維持回復の支援に努め、同時に摂食嚥下が可能な評価や助言をおこないます。 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 次回は働く場所、国家試験の難易度をおつたえします!

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?③

  1、自閉症スペクトラムの原因   自閉症スペクトラムは、先天性の疾患です。   先天的な要因により、脳機能の発達にアンバランスさが生まれて 行動などに独特の特性があらわれます。   その発症原因について詳細はわかっていませんが、 遺伝要因と環境要因が複合的に影響していると考えられます。   1950年~60年代には「親の育て方に原因がある」という説もありましたが、 1970年代には脳科学の発達とともにこの説は否定され、 自閉症スペクトラムは脳機能障害であり、 親の育て方とは無関係であることがわかっています。     2、自閉症スペクトラムの治療や相談先とは?   大人の場合、診断や治療を受けたいときには、病院の精神科や心療内科を受診します。 また、いきなり病院を受診することに戸惑いやためらいがある場合には、 福祉機関に相談する方法もあります。     ◆病院での相談先   18歳以上の大人が自閉症スペクトラムの診断や治療を受けたい場合は、 精神科や心療内科を受診します。 しかしながら、小児に比べると大人の発達障害の専門医は少ないため、 すべての精神科や心療内科で発達障害の診断や治療ができるわけではありません。 発達障害の専門医を見つけることがむずかしい場合には、 発達障害支援センターに相談して、専門医を紹介してもらう方法もあります。     ◆福祉機関での相談先   病院での診断ではなく、まずは相談してみたいという場合には、 福祉機関に相談することができます。 たとえば、各都道府県や市に設置されている「発達障害者支援センター」に 相談することができます。   発達障害者支援センターでは、日常生活や医療、就労などへの アドバイスや情報提供をおこなっています。 病院などの医療機関とも連携しているため、 相談後に診断を受けたい場合のアドバイスを受けることもできます。 アドバイスや支援は基本的に無料であり、個人情報も守秘されるため、 安心して相談することができる機関です。     3、自閉症スペクトラムの治療法   自閉症スペクトラムには、根本治療法がまだ存在していません。 そのため、医師が個々のケースに対応しており、 一般的には環境調整やカウンセリングなどがおもな治療法となっています。   また、自閉症スペクトラムとの合併によって精神疾患となり 周囲の人の理解や支援が得られえず精神的なストレスを抱え続けた結果であらわれる 「二次障害」では、日常生活に支障があるときには薬物療法が適用されることもあります。    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?②

  1、自閉症スペクトラムの具体的な特徴・症状とは?   自閉症スペクトラムには特徴的な2つの症状があります。   ①社会的コミュニケーションおよび対人交流が困難 ・他人と目を合わせない ・相手や状況に対して、自分の行動をあわせることが苦手 ・難しい言葉や表現を好んで使う  など   ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式 ・小さな変化に苦痛を感じる ・柔軟な考え方をすることが苦手 ・決まった順序や食べ物にこだわる  など     2、自閉症スペクトラムの症状の現れ方の個人差とは?   自閉症スペクトラムの症状は、年齢や受けている治療などによって個人差があります。   また、発達段階、年齢、環境、教育や支援によって症状が大きく変化することもあります。   このため、症状が現れる局面も、その人の置かれている環境などによって異なります。     3、自閉症スペクトラムと合併しやすい疾患   自閉症スペクトラムには、他の発達障害や精神疾患を合併しているケースがあります。   合併しやすい発達障害や精神疾患には、以下のようなものがあります。   ・知的障害 ・学習障害 ・注意欠陥/多動性障害(AD/HD) ・気分障害 ・強迫性障害 ・適応障害 ・統合失調症 ・てんかん ・睡眠障害 ・摂食障害    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?①

  1、自閉症スペクトラムとは?   自閉症スペクトラムとは、対人関係が困難であったり、興味関心の限定、 特定の行動を繰り返すなどの特徴がある障害のことであり、発達障害の一種です。   発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、 環境や対人関係とのミスマッチから社会生活に困難を生じる障害のことです。   偏った考え方やものの見方をしてしまうこともあるため、 周囲から「変わった人」と言われてしまうこともあります。     2、自閉症スペクトラムという概念とは?   アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においては 「自閉症スペクトラム」とは、それ以前において以下の通りの概念で分類されていた障害を、 1つの診断名に統合したものです。   ・早期幼児自閉症 ・小児自閉症 ・カナー型自閉症 ・高機能自閉症 ・非特定自閉症 ・特定不能の広汎性発達障害 ・アスペルガー障害 など   これらの発達障害には明確な境界例はありません。   症状のあらわれた方も年齢や重症度や年齢が変化したり、重複するため、 スペクトラム(連続体を意味する)が採用されています。     3、自閉症スペクトラムの発症年齢と経過は?   自閉症スペクトラムは、おおよそ2歳までに気が付くことが多いと言われています。 症状が軽い場合には気づくのが遅くなることもあります。   とくに小児期早期や学童期早期に症状が最も顕著にあらわれ、 小児療育センターなどで言語聴覚士などの専門職からの訓練をはじめることも多いです。   一般には、小児期後期には特定の特徴が顕著になり、 思春期には一部の症状は改善していくとされています。   思春期よりも以前に自閉症スペクトラムと診断されて、治療や訓練を受けた場合は、 成人期に至るまでに、その症状から起こる社会生活での困難に、 ある程度自分で対処できる方も多く見られます。   つまり、症状に気が付いたら早期に専門機関で小児療育をおこなうことがよいと言われています。     4、大人になって自閉症スペクトラムと診断されることもあるの?   その答えは、「あります。」   自閉症スペクトラムは、成人期になってはじめて診断されることもあり、 この場合は自己認識が大きく覆されるため困惑や混乱を感じる人もいます。   また逆に、障害が診断されたことにより、 これまでの違和感が疾患によるものだと判明してホッと感じる人も少なくありません。   これまで日常生活において仕事のミスや、人間関係やコミュニケーション上のストレスや問題に直面して 社会適応が思うように維持できなくなってしまうことで、 「適応障害」や「うつ病」として心療内科などの病院を受診している場合、 その症状の背景を探るうちに自閉症スペクトラムと診断されることもあります。    

2019/09/04

発達障害

発達障害とは

  発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているため、 幼児のうちから症状が現れて、育児でうまくいかないことがあります。 そのため、育てにくい子と感じてしまうこともあります。 成長するにつれて、自身でも不得手なことあることに気づき、 生きにくさを感じてしまうこともあるかもしれません。   発達障害はその特性を本人や家族、周囲の人がよく理解し、 その人にあった関わり方で日常の家庭での生活や学校でも 過ごし方を工夫することができれば、 その人が持っている本来の力や能力をしっかり活かしていけるようになります。     1、発達障害とは、生まれつきの「特性」であり、「病気」ではない   発達障害はいくつかのタイプに分類されています。   ・自閉症 ・アスペルガー症候群 ・注意欠如・多動性障害(AHDH) ・学習障害(LD) ・チック障害 ・吃音症(どもり) など   これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるということが共通しています。 同じ人がいくつかのタイプの発達障害があることもあり、 同じ障害がある人同士でも似ていないように見えることもあります。 つまり、個人差がとても大きいというのが発達障害の特徴といえるかもしれません。     ①自閉症スペクトラム障害とは?   国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しており、 自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。 症状の差によっていくつかの診断名に分類されますが、 本質的には同じ1つの障害単位であると考えられています。   <典型的な3つの特色> ・相互的な対人関係の障害 ・コミュニケーションの障害 ・興味や行動のこだわり   近年では、100人/1~2人に存在すると報告されており、男性が女性より数倍多く、 ひと家族に何人も存在することもあります。     ②注意欠如・多動性障害(ADHD)とは?   発達年齢に見合わない多動や衝動性、あるいは注意性、 またはその両方の症状が、7歳までに現れます。 学童期の子どもには3~7%くらい存在し、 女性よりも男性の方が数倍多いと報告されています。 また、男性の有病率は青年期に低くなりますが、 女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。     ③学習障害(LD)とは?   全般的な知的発達には問題がないのに、「読む」「書く」「計算する」など 特定の事柄だけがとりわけ難しい状態のことをいいます。 有病率は2~10%と見積もられており、読みの困難については、 男性より女性が数倍多いと報告されています。     2、発達障害のサイン・症状   ①自閉症スペクトラム障害   ◆1歳すぎ頃からサインが現れます ・人の目を見ることが少ない ・指さしをしない ・ほかの子どもに関心がない など   上記のような対人関係に関連した行動は、通常の子どもの場合には急速に伸びるが、 自閉症スペクトラム障害の子どもでははっきりしません。 そのため、保育園や幼稚園に入園すると、一人遊びが多く集団が苦手だったり、 人との関わりが独特なことで気づかれることがあります。   言葉の話し始めた時期が遅くなくても、 自分の話したいことしか口にせずに会話が繋がりにくいことなどがしばしば起こってきたりします。 また、電車やアニメのキャラクターなど自分の好きなことや興味のあることには、何時間でも集中することがあります。 初めてのことや決まっていたことが変更するのが苦手で、慣れるまでに時間がかかることはあります。   ◆成長するにつれて症状は変化し、個人別で多様化します 思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気が付いたり、 対人関係がうまくいかないことで悩んだりして、 不安症状やうつ症状を合併する場合があります。 就職してからは、仕事が臨機応変にこなせないことで職場での対人関係などに悩み、 自分が障害ではないか?と疑い、病院を受診する人もいます。   また、子どもの頃に発達障害の診断を受けた人でも、 周囲からの理解をあり成長した人の中には、 成長とともにその症状が目立たなくなる人や、 能力の凸凹をうまく活用して社会生活を送り活躍する人もいます。     ②注意欠如・多動性障害(ADHD)   ◆7歳までに症状が現れます おおよそ7歳までに、多動-衝動性、あるいは注意性、その両方の症状が現れます。 そのタイプ別の症状の程度によって、以下の3つのタイプに分類されます。   (1)多動-衝動性優勢型(小学生の場合) ・「座っていても手足がもじもじする」 ・「席を離れる」 ・「おとなしく遊ぶことができない」 ・「じっとしていられず、いつも活動している」 ・「しゃべりすぎる」 ・「順番を待つのが苦手」 ・「ほかの人の会話やゲームに割り込む」 など   (2)不注意優勢型 ・「学校の勉強でうっかりミスが多い」 ・「課題や遊びなど活動に集中し続けることができない」 ・「話しかけられていても聞こえないように見える」 ・「やるべきことを最後までやり遂げない」 ・「課題や作業の段取りが苦手」 ・「整理整頓が苦手」 ・「宿題などの集中力が必要なことを避ける」 ・「忘れ物や紛失が多い」 ・「気が散りやすい」      など   多動症状は、一般的には成長とともに軽くなる場合が多いですが、 不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、もう半数は成人期まで続くと言われています。 また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を合併する人もいます。     ③学習障害(LD)   ◆小学校2~4年生頃に成績不振などが明らかになります 全般的に知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど 特定の事柄のみが困難な状態です。 学業不成績や日常生活に困難を生じることがあり、 こうした能力を要求される小学校2年生~4年生頃に成績不振などが明らかになります。 その結果として、学業に意欲を失ってしまい、自信をなくしてしまうことがあります。