吃音

2022/09/05

吃音

小児の吃音と吃音でやってはいけないこと

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回のテーマは『吃音』です。あまり見慣れない漢字ですが、「きつおん」と読みます。   一般的には「どもり」とも呼ばれ、言葉をなめらかに発音できず、話しにくさを感じることもある発話障害のひとつです。   1、 吃音症とは 吃音(きつおん)とは、言葉がなめらかに出てこない状態です。 吃音症には言葉に詰まってしまったり、最初の一音を何度も繰り返したりするなどの症状があります。 吃音症はいくつかの名称で呼ばれることがあります。例えば、世界保健機構(WHO)が公表している国際的な診断基準『ICD-10』では「吃音症」という名称がついており、米国精神医学会の『DSM-5』では、「小児期発症流暢症(吃音)」と呼ばれており、小児期に発症するものとされています。   2、 吃音の症状 吃音症のある小児に見られる症状としては、以下の3つがあります。 1 繰り返し(連発) 「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくがね」、「おか、おか、おか、おかあさん」のように始めの音や言葉の一部を何回か繰り返す話し方 2 引き伸ばし(伸発) 「ぼ―――くがね」のように初めの音を引き伸ばす話し方。 この症状は吃音以外の小児にはあまり見られない特徴的な症状。 3 阻止(ブロック・難発) 言いたいことがあるのに、最初の言葉が出づらく、力を込めて話す。 時には顔をゆがめることもある話し方で、これ以外でも身体を揺らしながら話したり、口を大きく開いたまま止まってしまったり、息を荒げて話すなどの症状。   3、 年齢ごとに変化する吃音症の特徴 吃音症は年齢によって特徴が変化すると言われています。 幼児期・学童期・思春期の3つの年齢層別に、おもな特徴を説明します。 ・ 幼児期(2歳~4歳) この時期では、音の繰り返し(連発)や引き伸ばし(伸発)の症状が多く見られます。 幼児期に吃音症が発症した場合でも、半分以上が特別な指導や支援がなくても小学校前に症状がなくなると言われています。多くに子どもが言語発達の過程でスムーズに言葉が話せない状態を経験すると言われており、すべてが吃音と診断されるわけではありません。 ただし、なめらかに発声できない症状が頻繁に起こる場合には吃音の可能性があります。  ・学童期(6歳~12歳) 小学校に通うこの時期では、言葉に詰まる難発の症状が多いと言われています。 授業での音読に緊張してしまいさらに症状が出るなどのシーンもあるかもしれません。 小学校に入って吃音が引き続き見られる子どもでも、ことばの教室や言語聴覚士の適切な指導・支援を受けることで、多くに場合、身体の緊張を伴う重い吃音が改善したり、吃音が出にくいように身体の緊張をうまくコントロールしながら話す方法を身に付けたりすることで、学校や日常生活の中で大きな支障なく過ごせるようになります。 ・ 思春期(12歳~18歳頃) この時期になると、吃音症の症状が出ないように工夫することが身についている場合には、スムーズに言葉を発声できているように見えることもあります。 人前で話さなくてはいけない場面や状況(発表などのプレゼンや面接など)を避ける「回避行動」をとることもあります。   4、 吃音への基本的な対応 吃音のある子どもの保護者の中には、「育て方がまずかった」と自分が悪かったと考えてしまうケースがあります。しかし、小児の吃音は保護者の接し方のまずさが原因で生じるわけではありません。 そして、吃音の基本的な対応として周囲が重要なのは、「ゆっくり話してごらん」「落ち着いて」など話し方のアドバイスをしないことです。 つっかえながらも一生懸命に話そうとしているときは遮らず最後まで聞いてあげることがおすすめです。子どもは伝わった嬉しさと話すことの楽しさを感じることができます。 また、吃音がたくさん出ているときは、「どんなふうに?」など難しい質問や説明を求めることは避けましょう。さらに吃音が出やすくなります。   5、 専門家への相談 吃音の改善がみられず、特に身体に力を入れて話そうとするようになってきた場合や本人から話しづらさの訴えがある場合には、専門家に相談する必要があるかもしれません。 言語聴覚士のいる施設、ことばの教室、言葉の相談に応じる大学などの相談室、かかりつけ医、地域の児童発達支援センター、保健センターなどに相談するとよいでしょう。 <ご相談ください。新宿ことばの相談室はコチラ> 新宿ことば相談室は日本福祉教育専門学校併設の施設です。    

2019/07/07

吃音

吃音症(きつおん)についてご存知ですか

  2016年4月~6月に藤原さくらさんや福山雅治さんが出演していた月9ドラマ「ラヴソング」で話題になった吃音症。 ヒロインが吃音症という設定だったため、会話のシーンが大変印象的でしたが、非常に歌が上手、という設定だったため、吃音症とはどんな症状なのか・・?と疑問を持たれたかたも少なくないと思います。   そもそも「吃音症」とはどのようなものなのでしょうか? ドラマよりも前、2010年の英映画「英国王のスピーチ」でも吃音症の人物は描かれていて非常にセンセーショナルな作品だったことを覚えています。 この作品については別の機会で紹介したいと思います。   非常に簡単なことばで表現すると・・・   吃音とは 「話し言葉が滑らかに出ない発話障害」 です。   主な症状は3つあります。   <主な症状> 1.連発(語音・音節の繰り返し) 「タタタタマゴ」のように音を繰り返す症状で、吃り始めた初期にみられる。 連発の症状があるかたは誰でも吃っていることが分かる。   2.伸発(引き伸ばし) 「タ-マゴ」のように音を引き伸ばす言い方で、これも初期にみられるが、成人になるにしたがって緊張が加わる。   3.難発(ブロック) 「・・・・・・タマゴ」のようにつまって音が出てこない。 ブロックといわれる成人吃音の多くにこの難発がみられる。最初の一音が出れば後は割と話せるので、周りの人は吃音だと分からないことが多い症状。 吃音症は複雑な会話を始める2~5歳ごろに発症する場合が多いです。 3つの症状の中では、あまり周りから認識されにくい難発が一番つらいと言われています。 吃音症をもっていると成長につれ、まわりからからかわれたりすることがあるため話すことが恥ずかしいという意識が芽生え、言い換えたり、無言になることで吃音症であることを隠すようになります。   <吃音の特徴> ・発症:2〜4歳が多い ほとんどが7歳までに発症 ・発症率:約5% そのうちの約50%が自然治癒、もしくは簡単な指導で治癒 ・男女差:男:女=3:1 ・吃音児の約50%が家族に吃音児者がいる ・日本では100人に1人の割合で吃音者   <吃音発症の原因> 詳しい原因はまだ分かっていませんが、7割が遺伝子要因と言われており、脳の神経経路に原因があるそうです。 吃音の分類とその原因について紹介します。   ・発達性吃音 ⇒<原因>幼児期に明らかな原因もなく開始となる。   ・獲得性神経原生吃音 ⇒<原因>脳血管障害や変性疾患、頭部外傷など脳損傷が原因で開始となる。   ・獲得性心因性吃音 ⇒<原因>心理社会的原因で開始となる。     吃音症の改善方法とは?   治療方法大きくは①直接法と②間接法の2種類に分けることができます。   ①直接法:意図的に話し方をコントロールし流暢な発話を目指す発話訓練 具体的には ・流暢性形成法 ・吃音緩和法 ・統合的アプローチ などがあります。   ②間接法:意図的な話し方のコントロールは行わず、正常な発話を促していく訓練 具体的には ・発話環境の調整 ・系統的脱感作法 ・自律訓練法 ・年表方式のメンタルリハーサル法 などがあります。   この2つの方法の中で合うものを選び、組み合わせて改善を図っていきます。

2019/06/23

吃音

吃音症の治療や訓練について知る

吃音症は子どもでは20人に1人が、成人でも100人に1人が吃音を持っているという統計が出ており、非常に身近な症状です。 吃音(きつおん)とは、「どもり」ともいわれますが、話すときに滑らかにことばを話すことができない症状です。   吃音の主な特徴は、 ●話し始めのことばが出にくいことが多い ●言いやすいことばと言いにくい言葉がある ●調子が良い時と悪い時があり、話す場面でも変わる     吃音の症状には波があり、軽くなったり重くなったりを繰り返すのも特徴で、ことばがスムーズに出ないときもあれば、スラスラしゃべれるときもあります。   現時点では吃音は治療方法が確立していません。 しかしながら有効とされている療法やトレーニングは存在し、症状の緩和を促がすことができるようになりました。   例えば子ども場合は、海外で開発された手法「リッカムプログラム」を使う医療機関が増えています。 スラスラ話せたら褒め、言葉に詰まったら叱らず中立的に指摘することを1日15分、およそ5:1以上の割合で行います。 要するに、家庭で吃音の子どもの発言に対して声をかけていく方法です。まだ日本に導入されたばかりですが、効果が期待されています。   ☆・。・。★☆・。・。★☆・。・。・ ▽リッカムプログラム概要 流ちょうに話せたときは褒め、「いまのどうだった」などと自身の評価を聞く。 明らかにつまったときなどには「ちょっと疲れてたね」などと指摘し「さっきのすらすらでどうぞ」と言い直しを促す。 指摘よりも褒める頻度を増やすことが重要ともいわれています。 日頃かける言葉の内容やタイミングなどを言語聴覚士がご家族に定期的に助言しながら進めていきます。 ☆・。・。★☆・。・。★☆・。・。・   成長に伴うライフサイクルの変化の中で、会話、音読、発表、面接、スピーチ、自己紹介、電話などの日常生活の様々な場面で支障が出てくることがあります。 子どもにおいては、環境調整のみで改善する例もありますが、吃音の症状が続き、話す上での失敗体験や不快な気持ちが積み重なってくると、吃音の症状が悪化していき、鬱などを誘引する可能性もあります。   これは、学習的な要因ともされ、生活してきた中で話す行為・行動と考え方(認知・認識)が悪いかたちで条件付けされてきてしまったものともとれます。話し方、行動、考え方を良い方向・楽な方向に変えていくためには、言語のリハビリでこれらを再学習していく必要があります。   また、吃音の症状や不安の軽減をめざすうえでは、吃音のある当事者はもちろん、周囲にも吃音に関する正しい考え方や知識、対応を身につけていくことがとても重要です。 例えば、子どもの場合には幼稚園や学校へも症状や対応について相談しておくことをおすすめします。   「からかわれたりいじめの標的にされたりしていないかよく見てほしい」、「発見した場合にはすぐに教えてほしい」、「症状の出やすい状況(朗読や発表など)は避けてあげてほしい」などの要望を伝え、さらに具体的な対応の仕方まで相談しておけるとよいでしょう。 —————————————————————————– 吃音症のかたへのNGワード 吃音の症状が出ても「落ち着いて」と言わなくてよいことは、意外と知られていません。 精神的には落ち着いており、言葉が出ないだけなので、かえって苛立たせたり落ち込ませたりさせてしまうことがあるので注意してもらうことが必要です。   また、吃音には、純粋に吃音だけがみられるという方もいますが、その他の特徴(自閉症、注意・欠陥多動症、知的障害、読み書き障害、構音障害、早口症(クラタリング)、場面緘黙症など)を併せ持っている場合もありますので、吃音かどうか、吃音の種類はどうかの鑑別診断、合併する問題があるかどうかの評価を行うことが必要です。 —————————————————————————– 自分の子どもへの対応方法 1日10分でいいので、安心してゆったりと話せる時間を作る 親は、話しかけるときに言葉の合間合間に時間を取ってゆっくりと話す手本を見せてあげてください。 子どもに「ゆっくり話しなさい」などと、話し方の要求をするのはNGです。 最初の言葉が出ない難発性吃音ならば、話はじめたときに「待っているよ」、「大丈夫だよ」、「次は何のことば?」など声かけして、子どもの話したい意欲を持ち続けるように促がすことが必要です。 相手の言ったことばをそのまま返したり(復唱)、要約して復唱することで子どもが「伝わった」と実感をさせることも重要です。   言語聴覚士の活用 言語聴覚士は、国家資格であり言語リハビリテーションを専門とした職の一つです。 吃音をはじめてとした言語や音声、聴覚の障害に対し、各種検査を通じて症状を把握し、訓練・リハビリを行います。 主に耳鼻咽喉科やリハビリテーション科などに在籍していますが、未だ不足しているのが現状です。