高次脳機能障害

2019/09/09

高次脳機能障害

方向音痴と道順障害について

  大型ショッピングモールに行ったら   今、あなたは初めて訪れたニューオープンの超大型ショッピングモールにいます。   初めての来店なので、わくわくしながらまずはフロアマップを入手し、 気になっていた店舗名を探しています。   大きなマップのなかから行きたいテナントの場所を見つけたのでいざ向かいます!   ・・・・ひとりで迷わずいけますか。。。   わたしの周りに   「方向音痴だから迷っちゃうので 大きな大きなショッピングモールや大型家電量販店にいきたくてもいけない・・・。」 「はぐれると電話でやりとりしても自分がどこにいるか分からないから怖い・・・。」   という友人がいます。   いえいえ。ご安心ください。   方向音痴は脳を鍛えてトレーニングを行なえば 方向音痴を克服できるのをご存知でしたでしょうか。     記憶をつかさどる海馬を鍛える!   記憶をつかさどる海馬では、日々蓄積される膨大な情報を 「重要な記憶=長期記憶」と、 「忘れてもいい記憶=短期記憶」に 振り分けます。   道に迷わずに歩くためには、 目的地までの目印を重要情報として脳の長期記憶に入れることが必要となります。   そのため、歩いた道を書き出してみて、 地図と見比べるというシンプルなトレーニングを行なうことで海馬を鍛えるといわれています。   意識するのは、歩いた道にあった興味があるものを目印にすること。   脳は好きなことや過去の大切な記憶を長期記憶に収納する、 という特性をもっているのでこれを利用して道順のマーキングをしていきます。   歩いた記憶を思い出しながらアウトプットすることも脳トレになるといわれています。     高次脳機能障害による道順障害とは   いままでお伝えした方向音痴は 自分で意識して海馬を鍛えることで克服ができるといわれています。   しかし、交通事故や脳卒中により脳損傷を負った場合はどうでしょうか。   脳は一度損傷を負うと回復することが難しいといわれており非常に繊細な部位です。   そのため ・家をでたら近所が見たこともない風景に思える ・駅から家までの道がわからなくて帰宅ができない ・毎日通うスーパーマーケットなのに入口と出口がわからない   という高次脳機能障害による「道順障害」という症状がでることがあります。   これは方向音痴とは異なり、高次脳機能障害が原因となります。   高次脳機能障害により、   目印を脳が認識できない視覚認知障害 目印を見落としてしまう注意障害 自宅周辺など見慣れた場所なのにどこなのかわからなくなる街並失認   などが複雑に絡まり生じているといわれています。     たとえば病院での場面を考える   道順障害をもっている患者様が自分のリハビリ時間を終えました。 リハビリ室から自分の病室にひとりで戻っていくことができるのでしょうか。   考えただけでも心配になりますね。   患者さまの状況をしっかり把握し、その方に合ったサポートで支えることが リハビリ職に求められています。   そのなかでも言語聴覚士は高次脳機能障害について一番の理解者となります。   知らなければ単なる物忘れとして捉えられてしまいそうですが、 言語聴覚士このような障害があることを理解し患者様のサポートをしていく職業なのです。    

2019/09/09

高次脳機能障害

若年性アルツハイマーのサインとは

  アルツハイマーとは   アルツハイマー型認知症は、 脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、 神経細胞が壊れて死に減っていくため、 認知機能に障害が起こると考えれています。 また徐々に脳全体も委縮していき身体の機能も失われていきます。   アルツハイマー型認知症ではごく定番ですが 「あれ?昨日の夕飯何食べたかな?」というような 最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られます。   このような記憶障害は記憶を司っている海馬と呼ばれる部分に病変が起こり、 脳に記憶が出来なくなる状態が発生しているためです。 このような記憶障害が自分自身で認識する何年も前から、 実は脳のなかでは異変は発生しているのです。   アルツハイマー型認知症は進行性のある病気であるため 完治することは現代では難しいとされています。   そのため治療方法としては、早期発見時から投薬する事で 症状の進行を緩やかにするということが治療方法となります。   早期発見・早期治療開始が非常に重要な病気です。     高齢者アルツハイマー認知症との違い   若年性アルツハイマー認知症は40代~60代前半の活躍世代に発症する認知症を指します。   高齢者アルツハイマー認知症の場合は加齢とともに発症することが多いため、 物忘れをしたりするとすぐに周りの方たちが認知症を疑ってくれます。 そのため早期発見がし易いです。   一方、若年性アルツハイマーの場合は、ちょっとやそっとの物忘れ程度だと、 疲れやストレス、として自分自身で整理してしまい、 認知症の可能性をつぶしてしまうのです。   そのため若年性アルツハイマーは早期発見がされにくいといわれており、 世間としても認知度が低い病気といえます。   たとえば、仕事中に手順がわからなくなったり、 何を注意されているのかわからなくなったり、 大事なアポイントメントを忘れたり、 という症状があらわれているならば一度、 若年性アルツハイマーを疑ってみていただきたいです。     ▼若年性アルツハイマー認知症チェック項目   ・いままでできていた何でもないことができなくなった ・仕事上で失敗やミスが目立つようになった ・まわりと話をすることが減った ・休日に部屋に閉じこもることが増えた ・元気がないように見える ・わかりやすい、ごまかしや嘘をつくようになった ・会話が噛み合わない、適当に話を合わせている ・趣味や関心ごとに興味がなくなった ・もの忘れが目立つようになった     もしかして若年性アルツハイマーかも? と心配になったらこちらのサイトをご参考になっていただき 早めに医師(脳神経内科・精神科)への受診をおすすめします。 >>>全国若年性認知症支援センター    

2019/09/09

高次脳機能障害

高次脳機能障害による社会的行動障害について

  みなさまは「高次脳機能障害」という障害をご存知でしょうか?   高次脳機能障害とは、脳になんらかの障害が生じることによって起こす障害です。   この障害は、骨折のように「目に見える疾病」ではないため、 その苦しさが他の人にとってわかりづらく、また、 本人としても自分の障害を受け入れがたいという特色があります。     1、高次脳機能障害の原因   高次脳機能障害は、脳の損傷によって引き起こされますが、 脳が損傷するのは以下のようなケースが考えられます。   ①外傷性脳損傷…交通事故などにおける受傷によるもの   ②脳血管障害…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など   ③その他…脳炎、低酵素脳症など     2、高次脳機能障害が原因でおきる『行動と感情の障害』とは?   行動と感情の障害は、事故などの脳損傷の後に日常生活でみられることがあります。   ■日常生活での現れ方■   ①うつ状態 ・抑うつ的、気落ちしたり、ふさぎこんだ気分が比較的持続している状態。 ・仕事や家事もやる気が出なかったり、横になっていたいなどの意欲低下。 ・イライラ、不安、焦りなどの不安状態もよくみられる。 ・食欲の減退と体重減少、不眠、体のことをくよくよ考えてしまいがちになる。 ・すぐに疲れやすく、体がだるいなどの倦怠感を訴える。 ・頭の回転が鈍り、一見すると認知症のように見える。 ・自分を過小評価して悲観的となり、自分を責める状態が続く。   ②躁状態 ・空虚で上調子な機嫌の良さが見られる。 ・自分の置かれている状態に対して洞察や現実見当識を欠いている。   ③無感情 ・周りの変化への感情が乏しくなって、外部からの刺激に対して無関心になる。   ④過剰情緒反応 ・情緒反応の度合いが激しくなり、極端に不正に潔癖になったりする。   ⑤情緒不安定 ・感情の変化が不安定で、すぐに泣いたり笑ったりする。 ・感情を抑えることができなかったりする。(感情失禁と呼ばれる)     ■日常生活への援助 ~困った行動への対応~ ■   ◆感情の起伏が激しくコントロールできない場合… ・感情が爆発している時にはなだめても冷静に聞くことはできないため、 周囲は席を外したり、話題を変えたり、爆発が収まるまで待つ。 ・爆発が収まった後、状況とともに振り返り、自己認識を促すように話す。   ◆自分から何もやろうとしない場合… ・生活する上や、仕事の上で必須のことがあれば、声かけをする。 ・自信がなさそうな表現があっても自分から始めたときには、 今できることや、今楽しいことをじっくりやらせてあげるようにする。 ・周囲の人は、もっと先へ進ませたい気持ちを抑えて、やっていることを見守る。   ◆不安がり、ときにパニックを起こす場合… ・不安な気持ちを持っているところに、新しい事態や環境が加わると緊張や不安が 高まり、 さらにその状態が極度に高まったときにパニックが起こるため、 よく馴染んだ環境を整えて、安心して過ごすことができるように周囲の人にも協力してもらう。   ◆人への攻撃が激しくなる場合… ・周囲の人たちが一致した状態で対応するようにして、なおかつ 公平で一貫性のある対応をするように心がける。    

2019/09/06

高次脳機能障害

誤解されやすい病気「高次脳機能障害」とは?

  1、「高次脳機能障害」の特徴とは?   交通事故や脳卒中などで脳に損傷を負うと、 その後遺症のため日常生活で複雑な障害を示すような症状が現れることがあります。   これが原因となり対人関係に問題が発生したり、 日常生活への適応が困難になってしまう場合があり、 この場合に「高次脳機能障害」が疑われます。   脳卒中発生後に、麻痺などの身体的な障害がなかった場合、 “後遺症がない”と思われがちですが、これは誤解です。   忘れ物や落ち着きのなさ、怒りやすさ、手順の悪さなどの 高次脳機能障害が原因とされる症状に、 ご本人や家族も気が付かず生活していることもあります。     2、「高次脳機能障害」とは?   高次脳機能障害はケガや病気によって、脳が損傷すると、 注意を払ったり、記憶・思考・判断をおこなったりする機能を失ってしまう疾患です。   この高次脳機能障害があると、日常生活または社会生活に制約が出てしまう状態が続いたりもします。   学術的には脳損傷に起因する認知障害全般を指していますが、 行政が支援対策を推進する観点では、この一群が示す記憶障害を 「高次脳機能障害」と呼んだすることもあります。     3、「高次脳機能障害」の原因となる疾患   ・脳卒中 ・脳梗塞 ・くも膜下出血 ・外傷性脳挫傷 ・脳腫瘍 ・脳炎      など     4、いろいろな種類の「高次脳機能障害」   「高次脳機能障害」にはいろいろな種類があります。   記憶障害:約束を忘れる ・物の置き場所を忘れる。 ・新しいできごとを覚えられない。 ・同じことを繰り返し質問する。 ・自分の周囲の事象に関心を示さない。   注意障害:ぼーっとしていることが多い ・ぼんやりしていて、ミスが多い。 ・ふたつのことを同時に行うと混乱する。 ・作業が長く続けられない。   遂行機能障害:テキパキ仕事が片付けられない ・自分で計画を立ててものごとを実行することができない。 ・人に示してもらわないと何もできない。 ・約束の時間に間に合わない。   社会的行動障害:怒りっぽくなった、やる気がない ・興奮する、暴力を振るう。 ・思い通りにならないと、暴力を振るう。 ・自己中心的になる。   その他の障害 ・手足を動かすことはできるが、意図した動作や示された動作おこなえない。(失行症) ・視覚、聴覚、触覚に異常がみられないのに、対象を認識できない。(失認症) ・うまく話せない。(失語症)   これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。   高次脳機能障害の診断基準として、MRI、CT、脳波などで 認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されるか、 あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したことが確認できることが 検査所見としてあげられます。   高次脳機能障害のリハビリでは、言語聴覚士(ST)も担当します。 言語聴覚士は、患者様に検査・評価をおこない、 その結果と医師の診断をもとにリハビリ内容を決定します。    

2019/09/06

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは?

  1、高次脳機能障害の症状とは?   病気や事故が原因で脳に損傷を受けたことによって生じる障害で、 言語・思考・記憶・行為・学習・注意等の知的な機能に障害があらわれます。   注意力や集中力の低下、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの 精神・心理的症状が出現し周囲の状況にあった適切な行動が出来なくなり、 日常の生活に支障をきたすようになります。     ◆高次脳機能障害の特徴   ①外見上は障害が目立たない。 ②本人自身も障害を十分に認識できないことがある。 ③障害は、医師との診療場面や入院生活よりも、 自宅での日常生活や社会場面(職場、学校、買い物、交通機関の利用など)で 出現しやすいため、医療スタッフに見落とされやすい。     2、高次脳機能障害が疑われるとき   【主な症状1】 ・気持ちが沈みがち ・突然興奮したり、怒りだす ・気持ちが動揺する ☛行動と感情の障害     【主な症状2】 ・なめらかにしゃべれない ・相手の話を理解できない ・字の読み書きができない ☛失語症     【主な症状3】 ・作業ミスが多い ・気が散りやすい ☛注意障害     【主な症状4】 ・物を置き忘れる ・何度も同じことを話したり質問したりする ☛記憶障害     【主な症状5】 ・片側を見落としやすい ・片側にあるものにぶつかりやすい ☛半側空間無視     【主な症状6】 ・行き当たりばったりの行動をする ・一つ一つ指示されないと行動できない ☛遂行機能障害     【主な症状7】 ・道具がうまく使えない ・動作がぎこちなく、うまくできない ☛失行症     【主な症状8】 ・麻痺した手足がないように振る舞う ・麻痺がないように振る舞う ・麻痺がなくても片側の身体を使わない ☛半側身体失認     【主な症状9】 ・自宅でトイレに迷う ・近所で道に迷う ☛地誌的障害     【主な症状10】 ・物の形(色)がわからない ・人の顔がわからない、見分けられない ☛視覚失認症     高次脳機能障害には様々な症状がありますが、 認知機能への見にくい障害であることから、 本人だけでなく、サポートする家族や周囲の人たちも 障害を正しく理解して対処していく必要があります。   高次脳機能障害の症状について知りたいという方のご参考になれば幸いです。   さらに、高次脳機能障害のリハビリをおこなう職業として、 「言語聴覚士」(国家資格)があり、検査・評価・訓練をおこないます。