2022年

2022/12/23

資格

【コラム】言語聴覚士が全米でヘルスケア部門3位の職業へ

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回は「言語聴覚士」という職業についてご紹介します。 1、US Newsで“最高のヘルスケアの仕事”で3位   先日アメリカのUS Newsで“最高の仕事”をランク付けするBest Jobsが発表されました。 そこで言語聴覚士のランキング高く評価されています。   ★最高のヘルスケアの仕事 第3位 ★100の最高の仕事    第10位   US Newsが最高の仕事をランク付けする方法はいくつかあります。 給与、失業率、ストレスに関するデータを分析して、その年の上位の仕事を選択します。 そして、労働者は高い給与、充分なオープンポジション、昇進などの機会を好みます。これらもUS News Best Jobsランキングを作成するために使用されます。   たとえばこんなスコアが参考にされているようです。 ・米国労働統計局によって決定された2020年~2030年までの求人予測数と割合 ・給与の中央値や最高支払いリスト ・10年間の成長率(職業の雇用率の伸び) ・ストレスレベル ・ワークバランス  など どれも職業を選択する上では重要視しておきたい項目ばかりです。   アメリカで言語聴覚士になるには、すべての州で免許が必要であり、さらに2年間の音声言語病理学修士(大学院プログラム)を完了する必要があります。 さらに意欲的に学ぶ人も多く、最低36週間または約400時間の臨床経験である臨床フェローシップを完了することもできます。 言語病理学者として臨床能力証明書(CCC-SLP)を取得する人も多いようです。   2、日本の厚生労働省における言語聴覚士は   アメリカに続いて、日本での言語聴覚士という職業について調べてました。 日本では言語聴覚士は国家資格で厚生労働省管轄ですので、厚生労働省職業情報提供サイト『job tag』を参考にしました。 どんな仕事? ことばによるコミュニケーションや嚥下に困難を抱える人を対象に、問題の程度、発生のメカニズムを評価しその結果に基づいて訓練、指導を行う。 脳卒中後の失語症、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、摂食・嚥下など多岐に渡る障害に対応する。 それらは、医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャー・教師・心理専門職など他職種と連携し、チームの一員として、小児から高齢まで幅広い年齢層を支援する。   就業するには? 言語聴覚士にためには国家試験に合格しなければならない。 必要な知識と技術を修得、卒業することは条件になる。 言語聴覚士の養成教育では、基礎科目と専門科目を学び、さらに病院・リハビリテーションセンター・小児の療育施設などで臨床実習を行い、言語聴覚障害がある人を支援するために必要な知識・技術・倫理を習得する。 さらに、知識・技術にとどまらず、言葉で意思を表現したくてもできにくい人々の思いを受け取めて、上手に引き出す力が求められる。   学歴(実際に働いている人が多いと感じる学歴)  大卒  81.8% 専門卒 48.1% 修士  14.3%   就業者(就業者統計データ)  女性が70% 年齢層は40歳以下が75% 全国に19,210人 労働時間は161時間   賃金(年収) 426.5万円   就業形態 正規の職員、従業員 87.1% (出典:令和3年賃金構造基本統計調査)     日本では高齢化進むなかで嚥下へのアプローチや、最近社会でも増加傾向にあるのではな いかと話題になっている発達障害児への早期リハビリなど需要が高まり、今後さらに社会 で必要とされる職業であることに間違いありません。   また、学歴や年齢層からもかわるように、大卒者のキャリアチェンジ先として選ばれる職業です。これまでの社会人経験やスキルを活かして、この職業を選択する人も多くいます。   今からでも間に合う! >社会人経験を活かして、受講料無料で学べる制度はこちら  「2023年4月入校 東京都求職者向け言語聴覚士職業訓練生」

2022/09/12

コラム

《学生インタビュー》前期臨床実習を終えて・・・老人介護施設/維持期

こんにちは。日本福祉教育専門学校入試広報課です。 言語聴覚療法学科2年生の小野さんへ前期実習が終わった感想などをインタビューさせていただきました。 (実習先は埼玉県深谷市の老人介護施設・維持期) これから言語聴覚士を目指す方に向けて実習での学びのイメージを膨らませていただけましたら幸いです。 前期実習を振り返って大変だったことなどの感想を教えてください 大変だったことは2つですね。 1つめは自宅から片道2時間かかるため、宿泊を選択しました。 そのため実習前の準備と実習中の生活に慣れる事が大変でした。しかし実習先の近くで生活できて、実習地へ通うの楽なので宿泊実習は利点がいっぱいです。 2つめは実習中は座学で学んだ事だけでは説明できない症例や症状を目の当たりにすることばかりだったのでそれを調べるという事が大変でした。   実習を振り返るとすべてが新鮮で楽しかったです。 利用者様、職員の皆さんの対応を実際に見ることができ、生き生きとしている姿が素晴らしく、ここで働きたいと思える程楽しく就職したいとまで思っています。   実習中はどんなことを経験しましたか? まずは言語聴覚士の仕事や施設の見学から始まります。ご自宅に訪問する「訪問リハビリ」やST室で行うリハビリ、施設の他職員がどのような仕事をしているか、など施設内を見てまわりました。 4日目からは実習指導者の先生が行っているリハビリ内容を真似て、実際に利用者様と接する機会がありました。 5日目からは検査を行い、検査→訓練プログラム立案→訓練→再評価→症例レポート作成を実習指導者の先生と共に行いました。 特殊だと思いますが実習中に、施設の納涼祭に参加させて頂きました。 ここではダンスを披露したり、わんこそば、縁日に参加し、利用者様との交流をすることができました。STの職業役割とはまた違う経験ですが、利用者様の笑顔を見ることが非常に心に残りました。   実習指導者の先生との関り方とは? 実習指導者=「厳しい」のでは?勝手なイメージを持っており、体育会系出身だったので「ある程度の厳しさなら耐えられる・・・」と覚悟を決めて臨みました(笑) しかし、実際はとても優しい先生で、実習だけでなく、言語聴覚士の働き方や現状、就活のアドバイスなど頂き、悩み相談までしてくださいました。 今回の実習先は老人介護施設だったので、他職種(理学療法士、介護職員、ケアマネージャー、相談員、看護師)の先輩方からも「調子はどう?」「大変?」「わからないことがあれば声かけて」など大変良くしていただきました。 利用者様だけでなくそこで働く専門職同士、多職種連携が欠かせない職場なんだなとあらためて実感しました。   また日福では実習前に5月に「実習指導者会議」があります。 この機会を通じて実習指導者の先生と実習前にお会いすることができます。 実習初日に知らないところへひとりで向かうのは大変心細いですが、日福では事前にお会いできてお話を伺うことができるので大変心強かったです。 >>今年の実習指導者会議の様子はコチラ   実習での一番の思い出は何ですか 実習最終日に感謝の気持ちを込めて何かできないかと思い、利用者様の前で歌を披露させていただきました。職員の方含め、総勢50名ほどが集まってくださり、歌い終わったときに温かい拍手をいただきました。最後に利用者様よりお手紙と一言づつメッセージをいただき、短い期間だったけど少しでも皆さんの心に寄り添えた存在になれたのかな、ととても感動し感涙しました。 教室の授業ではわからなかった「温かい心」をこの実習では体感することができたのだと思います。   実習前の準備について教えてください 実習前にいままでの授業の総復習をしました。演習の授業は実習に関わる内容が多く含まれていたので、実習先に必要な知識だと感じたところは復習しました。 特に自分が一番力を入れたことは検査練習です。実習先においてある、検査道具は一通り、満遍なく練習していきました。その中でも利用頻度が高そうな検査は何度も同級生と一緒に繰り返し練習をしましたね。 日福の本校舎7階にはたくさんの検査道具がおいてあり、学生は自由に使うことができます。 時間があれば同級生と1対1で検査練習を行うことがあります。また先生も検査練習に付き添ってくださるので安心です。 後期実習にむけて意気込みを教えてください! 前期(維持期)とは違い、後期は急性期病院への実習になる為、色々と学びの違いがあると思いますが、持ち前の笑顔と元気だけは忘れず臨みたいと思います!   ******************************** 小野さん、お忙しいところインタビューありがとうございました! 言語聴覚士が関わる維持期の福祉施設における実習についてお話ありがとうございました! 後期実習は分野が異なる実習先ということなのでさらに多くの学びを身につけてきてくださいね♪またお話聞かせてください! (インタビュー:入試広報課)

2022/09/09

失語症

脳梗塞と失語症

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。 脳卒中は日本人の心因4位にランキングしていますが、介護が必要になる原因の2位にもランキングしています。 早期発見できて軽度で済めばもとの生活に戻れる可能性が高い一方で、重症化してしまうと重い後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至るケースもあります。 今回はそのような脳梗塞による後遺症の中でも失語症についてご説明いたします。 脳卒中とは   脳卒中とは「脳にただちに(卒)に中(あた)る」という意味で、急に発症する脳の血管の病気の総称です。 ・「脳出血」 ・「脳梗塞」 ・「くも膜下出血」 が含まれます。 なかでも発症率がいちばん高いものは「脳梗塞」で、全体の60%を占めます。   脳梗塞について   脳梗塞のおもな原因は2つあります。 ・動脈硬化性:喫煙、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常などの生活習慣病 ・心原性:不整脈など 脳梗塞は再発するケースもあり、また損傷部分によって後遺症が異なります。 なかでも「呂律はまわらない」や「うまく話せない」などの言語障害が残ることがあります。これが失語症です。失語症は、話すこと以外にも聞き取る能力・読む能力・書く能力さえも奪ってしまうリスクの高い障害です。 失語症になると   失語症には大きくわけて3つのタイプがあります。 言葉はなめらかに話せるけれど聞いたことが理解できない(感覚性失語) 言葉は理解できているけれどうまく話せない(運動性失語) 2つのタイプがどちらも障害を受けた(全失症)   (話すときに運動まひや感覚まひによって舌や口がうまく動かずに正しい音を作ることができない場合は失語症ではなく、「構音障害」という後遺症です。構音障害は不規則・不明瞭な話し方になる障害です。) 失語症というと話せないというイメージを持つかもしれませんが、それは症状の一部にすぎず、なかにはよくしゃべるけれど何を言っているのかわからないというケースもあります。 損傷を受けた脳の場所や大きさによって異なりますが、『聴く』『話す』『読む』『書く』といった言葉の働きすべてに何らかの影響が出ます。ただし、記憶障害ではありません。 <失語症のおもな症状> ・相手が何を言っているのかわからない。 ・自分が言おうとしても言葉が出てこない。 ・言葉を言い間違う。 ・うまく発音できない。 ・相手の言うことをマネして言えない。 ・文字や文が読めない。 ・何を書いてあるのか意味が分からない。 ・字を書こうとしても字が思い出せない。 ・数字を言い間違えたり書き間違えたりする。   このように、失語症はコミュニケーションにも大きな影響を与えるので、脳梗塞の後遺症として残った本人はとても苦痛でもどかしさを感じてしまいます。 見た目はわからなくても、言語に障害が起きることで初対面の人から偏見の目で見られてしまうこともあるかもしれません。 脳梗塞によって失語症となった場合は、言語聴覚士のいる医療機関で早期にリハビリすると回復度も変わってきます。 もちろんご本人の年齢やもともとある能力によって回復に差がある場合もありますが、まずは言語聴覚士に指導してもらえるように相談してみるといいでしょう。

2022/09/05

吃音

小児の吃音と吃音でやってはいけないこと

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回のテーマは『吃音』です。あまり見慣れない漢字ですが、「きつおん」と読みます。   一般的には「どもり」とも呼ばれ、言葉をなめらかに発音できず、話しにくさを感じることもある発話障害のひとつです。   1、 吃音症とは 吃音(きつおん)とは、言葉がなめらかに出てこない状態です。 吃音症には言葉に詰まってしまったり、最初の一音を何度も繰り返したりするなどの症状があります。 吃音症はいくつかの名称で呼ばれることがあります。例えば、世界保健機構(WHO)が公表している国際的な診断基準『ICD-10』では「吃音症」という名称がついており、米国精神医学会の『DSM-5』では、「小児期発症流暢症(吃音)」と呼ばれており、小児期に発症するものとされています。   2、 吃音の症状 吃音症のある小児に見られる症状としては、以下の3つがあります。 1 繰り返し(連発) 「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくがね」、「おか、おか、おか、おかあさん」のように始めの音や言葉の一部を何回か繰り返す話し方 2 引き伸ばし(伸発) 「ぼ―――くがね」のように初めの音を引き伸ばす話し方。 この症状は吃音以外の小児にはあまり見られない特徴的な症状。 3 阻止(ブロック・難発) 言いたいことがあるのに、最初の言葉が出づらく、力を込めて話す。 時には顔をゆがめることもある話し方で、これ以外でも身体を揺らしながら話したり、口を大きく開いたまま止まってしまったり、息を荒げて話すなどの症状。   3、 年齢ごとに変化する吃音症の特徴 吃音症は年齢によって特徴が変化すると言われています。 幼児期・学童期・思春期の3つの年齢層別に、おもな特徴を説明します。 ・ 幼児期(2歳~4歳) この時期では、音の繰り返し(連発)や引き伸ばし(伸発)の症状が多く見られます。 幼児期に吃音症が発症した場合でも、半分以上が特別な指導や支援がなくても小学校前に症状がなくなると言われています。多くに子どもが言語発達の過程でスムーズに言葉が話せない状態を経験すると言われており、すべてが吃音と診断されるわけではありません。 ただし、なめらかに発声できない症状が頻繁に起こる場合には吃音の可能性があります。  ・学童期(6歳~12歳) 小学校に通うこの時期では、言葉に詰まる難発の症状が多いと言われています。 授業での音読に緊張してしまいさらに症状が出るなどのシーンもあるかもしれません。 小学校に入って吃音が引き続き見られる子どもでも、ことばの教室や言語聴覚士の適切な指導・支援を受けることで、多くに場合、身体の緊張を伴う重い吃音が改善したり、吃音が出にくいように身体の緊張をうまくコントロールしながら話す方法を身に付けたりすることで、学校や日常生活の中で大きな支障なく過ごせるようになります。 ・ 思春期(12歳~18歳頃) この時期になると、吃音症の症状が出ないように工夫することが身についている場合には、スムーズに言葉を発声できているように見えることもあります。 人前で話さなくてはいけない場面や状況(発表などのプレゼンや面接など)を避ける「回避行動」をとることもあります。   4、 吃音への基本的な対応 吃音のある子どもの保護者の中には、「育て方がまずかった」と自分が悪かったと考えてしまうケースがあります。しかし、小児の吃音は保護者の接し方のまずさが原因で生じるわけではありません。 そして、吃音の基本的な対応として周囲が重要なのは、「ゆっくり話してごらん」「落ち着いて」など話し方のアドバイスをしないことです。 つっかえながらも一生懸命に話そうとしているときは遮らず最後まで聞いてあげることがおすすめです。子どもは伝わった嬉しさと話すことの楽しさを感じることができます。 また、吃音がたくさん出ているときは、「どんなふうに?」など難しい質問や説明を求めることは避けましょう。さらに吃音が出やすくなります。   5、 専門家への相談 吃音の改善がみられず、特に身体に力を入れて話そうとするようになってきた場合や本人から話しづらさの訴えがある場合には、専門家に相談する必要があるかもしれません。 言語聴覚士のいる施設、ことばの教室、言葉の相談に応じる大学などの相談室、かかりつけ医、地域の児童発達支援センター、保健センターなどに相談するとよいでしょう。 <ご相談ください。新宿ことばの相談室はコチラ> 新宿ことば相談室は日本福祉教育専門学校併設の施設です。    

2022/09/02

コラム

《学生インタビュー》前期臨床実習を終えて・・・医療機関/回復期

こんにちは。日本福祉教育専門学校入試広報課です。 言語聴覚療法学科2年生の青山さんへ前期実習が終わった感想などをインタビューさせていただきました。(実習先は神奈川県のリハビリテーション病院) これから言語聴覚士を目指す方に向けて実習での学びのイメージを膨らませていただけましたら幸いです。   前期実習(4週間)を終えた感想をおしえてください   私は実習というものが人生で初めての経験でしたので、正直なにもかもが大変でした。 でも実際に終わって振り返ってみると大変さよりも楽しさの方が勝っていたと感じています。   大変とはいっても、よくイメージされる精神的に追いやられるような大変ではなく、私にとっての大変さは片道2時間の通学と毎日のレポートです。   実習時間内に終了できなかったレポートは実習先から許可をいただき、帰宅してからの作成していたので、通学時間が長いため睡眠不足になりました。   なので、実習地が決まった時に1時間半を超える立地と分かった場合は、宿泊実習を強くオススメします(笑)   毎日のレポートと前期実習の総まとめとなる症例レポートの作成は語彙力が乏しい私にとってはだいぶ苦労しました。 逆に今回の実習では多くの患者様の訓練の見学をさせていただいたことと、症例レポートにご協力くださった患者様とのコミュニケーションが大変勉強になりました。 「私で参考になれば、たくさん勉強していってくださいね」と患者様の方から声をかけてくださったので、とても有難かったです。   実習って実際にどんなことをするのでしょうか?   私の実習先は回復期病院だったのですが、毎日2~3症例の訓練見学と、実習2週目の途中から実習指導者の先生の患者様を1名担当させていただき、評価(検査)→訓練プログラムの立案→訓練→再評価→症例レポートの作成までを、実習指導者の先生と一緒に行いました。   その他にも、ST科内の勉強会やカンファレンスにも参加させていただき貴重な経験をさせていただきました。 今回の実習で担当させていただいた患者様には『評価と訓練』を実際に行いましたが、その他にも毎日病棟まで患者様をお迎えに行き、訓練が終わってからも次の訓練の場所まで一緒に行ったりと、患者様とお話できる機会をたくさんいただけたので、その日の体調や患者様が好きな事など、リラックスして楽しく交流ができました。 実習中に相談できるかたはいるのでしょうか?   実習中は必ず実習指導者として先輩STが実習生は就きますので何かあれば相談できる環境があります。 私の先生はとても気さくで、熱心に指導してくださる方だったため、実習を終えた今では先生のようなSTになりたい、と思っているほどです。   患者様とのラポール形成の仕方はもちろんの事、他職種の方々とのコミュニケーションの取り方、観察や評価からどのように問題点を抽出して、訓練を組み立てるか、症例レポートのまとめ方等、ここでは書ききれないほど多くを先生から学ぶ事ができました。   実習中に一番記憶に残っている出来事などはありますか? 実習指導者の先生を始め、在籍の言語聴覚士の先生方は皆さん10年以上の経験を持つベテランSTばかりだったので、実際の訓練を見学させていただけたこと、訓練記録のレポート提出後のフィードバックでは、観察方法や記録を取る際の注意すべき視点や考察の捉え方・書き方等、とても丁寧にご指導くださり、大変勉強になりました。 また、嚥下評価でVFを見学できた事が良い経験になりました。 実習前の準備は大変でしたか?   事前にSLTAの手続きをしっかり復習するよう課題がでていたので、SLTAの手順とヒントの出し方、段階の付け方を一目で確認ができるようにノートにまとめていました。 正直、実習前はどこまで勉強したらいいのか分からなかったので、その他はそこまで力を入れて勉強していませんでした。 しかし前期実習を終えた今言えることですが・・・(笑)失語症・構音・嚥下障害は用語や神経、解剖、音声表記など基礎知識はもっと事前にしっかりと頭に入れておくべきだったと反省しています。(日々の訓練の観察やレポートで考察を記載する際に必ず必要となるからです!)   後期実習にむけて意気込みを教えてください。   後期実習は場所は異なりますが、同じく回復期病院での実習になるので、前期実習で学んだ事を総復習し、後期実習につなげていきたいです。   あとは一番大事なことですが、日々元気に実習に臨めるよう体調管理をしっかり行いたいと思います!   ******************************** 青山さん、お忙しいところインタビューありがとうございました! 言語聴覚士の実習についてわかりやすいお話ありがとうございました。 後期実習もさらに多くの学びを身につけてパワーアップした姿でお会いできるのを楽しみにしています! (インタビュー:入試広報課)

2022/08/28

コラム

水木一郎さん、肺がんステージ4で言語聴覚士によるリハビリ中

人気アニメ「マジンガーZ」などの主題歌で知られる歌手の水木一郎さん(74)が、リンパ節や脳への転移を伴う肺がんステージ4を公表されました。 昨年4月に声が出にくくなったために検査して、その結果、ステージ4の肺がんと認定されたとのことです。 現在は、手術をして経過も良好とのことですが、歌手として以前と同じように歌えるように言語聴覚士によるリハビリを始めているそうです。 今回は病気の予後だけでなく、言語聴覚士によるさまざまな音声治療や声の症状について説明します。   【声の症状と音声治療について】   1 痙攣性発声障害 <おもな症状> ・声がつまって出ない、言葉が途切れてしまう。 ・声がふるえる ・喉に力が入ってしまい、話すと疲れる。 ・声が出る時もあれば出ない時もあって安定しない。 <おもな原因> ・脳内からの指令がうまく声帯に伝達されていないとされるため 診断基準に合わせて評価を行う。なんらかの音声疾患が隠れている場合あり。 <治療法> ・言語聴覚士による発生練習(音声リハビリテーション)やアドバイス ・ボツリヌストキンの声帯注入療法 ・外科治療(手術) など 2 慢性声帯炎、声帯結節 <おもな症状> ・声がかすれる、通らない ・高い声や裏声が出しにくい、歌いづらい。 ・仕事で声を多用するが休めない ・喉に力を入れないと声が出にくい、疲れる <おもな原因> ・声の使用量が多い。 ・声帯が閉じにくかったり、発生時に非対称に振動するなど声帯疾患がある。 ・胃酸の逆流、咳、咳払い ・アレルギーによる炎症 ・免疫力の低下や糖尿病などの基礎疾患がある など <治療法> ・言語聴覚士による発生量の調整、のどに負担のかかる発声様式の改善などの音声 リハビリ ・声帯を休める ・声帯注射 など 3 構音障害(小児/大人) <おもな症状(小児)> ・子どもの発音が不明瞭、活舌が悪い。 ・特定の言葉がうまく発音できない。(「さかな」→「たたな・ちゃかな」など) ・発音が悪く、よく聞き返される。 ・幼稚園や保育園で話し方を指摘された。 <おもな症状(大人)> ・特定の言葉がうまく発音できない。(「さしすせそ」は言いにくいなど) ・よく聞き返されたり、発音を指摘されたりすることがある。 ・昔から気になっていたが、仕事などで困ることがある。 <構音障害(発音の問題)の種類> ・機能性:構音器官の形式や動きに明らかな問題がなく、原因が特定できない。 構音障害の中では最も多い。 ・器質性:口蓋裂術後や先天異常など構音器官の形態異常が原因。 ・運動障害性:言葉を発声するために必要な神経・筋系の病変による。 <治療法> ・聞こえ(聴力)や口の形、言語発達について検査をする。 ・検査結果に基づいて、訓練が必要な場合には言語聴覚士が1対1で定期的な訓練を する。 ・小児の場合には、保護者がリハビリを行えるレベルまで言語聴覚士が指導して、家 庭での協力もあわせて行なう。 4 流暢性発声障害 <おもな症状> ・言葉の出だしが声がつまってしまう。 ・ことばの一部が繰り返される。 ・喉に力が入ってしまい、話すと疲れる。 ・喉に力を入れないとうまく話せない。 ・コミュニケーションや人間関係で悩んでしまう。 <おもな原因> ・大人の場合は、幼少期に発症したものが続いている発達性と、 診断基準に合わせて評価を行う。なんらかの音声疾患が隠れている場合あり。 <治療法> ・言語聴覚士による発生練習(音声リハビリテーション)やアドバイス ・ボツリヌストキンの声帯注入療法 ・外科治療(手術) など ********************************* 水木一郎さんのように病気によって声が出づらい患者様への音声治療や構音訓練(発生の訓練)などコミュニケーションでお困りの様々な方へのリハビリをおこなうのが言語聴覚士です。 そのほかにも「食べる」や「聴く」など生活には欠かせない機能のリハビリを担っています。 コロナ禍でがんと闘っていらっしゃる水木一郎さん。 公式サイトでは『以前のようなパフォーマンスを取り戻すことは決して簡単ではありませんが、これからもこの病と向き合いながら生涯現役を目標に活動を続けたい』を説明されています。 パワフルな歌声で世代を超えて日本を元気づけてくれたアニソンの帝王水木さんの歌声を聞くことができる日を楽しみにしたいと思います。

2022/08/08

脳梗塞

脳梗塞を引き起こす恐れも?!「椎骨動脈解離」とは

最近、お笑い芸人『千鳥』のノブさんが右椎骨動脈解離で入院したことでも話題となったこの病気をご存知ですか? 40~50代の働き盛りを突然襲うこの病気「椎骨動脈解離」についてご紹介します。 《椎骨動脈解離とは》 動脈の壁は3層構想で、内側から内膜・中膜・外膜で成り立っています。 このうちいちばん内側にある内幕に傷がついて、そこから血管の壁の中に血液は入り込み、血管が裂けていく状態を動脈解離といいます。 動脈解離は全身の動脈のどこでも起こります。首から脳に血液を送っている動脈は2対あり、首の前側にある頸動脈と首の中にある椎骨動脈です。 脳動脈では頸椎の中に走行する椎骨動脈に起こることが60%以上と多いです。   《椎骨動脈解離とはどんな病気を引き起こすか》 解離は内膜に傷がついて破れる病気ですが、その場合に引きおこる脳の病気が2つあります。 「脳梗塞」 内膜と中膜の間で起こった場合、血管腔の狭小化をきたして発症 「くも膜下出血」 中膜と外膜の間で起こった場合、嚢状の拡張を呈して、解離性椎骨動脈瘤となり、外に破れて発症   椎骨動脈が解離すると突然激しい頭痛を起こします。 うなじから後頭部にかけてズキズキと拍を打つような痛みや、重くだるい痛みがありますが、この痛みを片頭痛や緊張性頭痛と区別することは難しいです。激しい頭痛や意識障害となり命に関わることもあります。   《原因》 先述の通り、椎骨動脈解離がすべての年代に起こりますが、40~50第の働き盛りの男性に多いと言われています。 はっきりと原因がわからない場合もありますが、いくつか引き起こす原因としては下記のことがあるようです。 カイロプラクティックなどで手を使って背骨や骨盤のゆがみの矯正 ゴルフのスイングなどスポーツで 首を鳴らすなどの首をひねったり急に首を曲げたりする動作 外傷や交通事故で頭部をぶつける など いずれにしても、日常で首を急に動かす動作は控えたほうがいいようです。   《早期発見のポイント》 椎骨動脈解離には特徴的な症状があります。 『首の後ろや左右の後頭部に突然激しい痛みが起こり、数日間続く』 このような症状がある場合には、早めに専門病院を受診してください。 専門病院では頭部CT、頭部MRI・MRA、脳血管カテーテル検査をして、血管の壁が裂けている場所や程度を確定して、早急な治療を開始する必要があります。   千鳥のノブさんも、首の痛みを感じてしばらく痛みが引かないため、痛み始めてから1週間後くらいに病院を受診されているようです。 診断では、右椎骨動脈解離と診断さえてそのままに入院されました。 ちなみにノブさんは2013年にも「未破壊左椎骨動脈解離」を発症されていて、このときは早期発見だったため投薬治療で回復されたそうです。 今回も大事に至らず、無事に復帰されて本当に良かったですね。   みなさんも後頭部やうなじ周辺に経験したことがない強い痛みを感じて、仕事や家事を休まなければならないほどであればぜひ受診をおすすめします。

2022/01/11

脳梗塞

【コラム】冬場の脳卒中を予防しよう

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 1月になり、東京でも雪が降り寒さの厳しい日が続いていますが、皆様ご体調はいかがでしょうか。   今回のテーマは、寒い冬に起こりやすい「脳卒中」についてです。 脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳の血管が原因で起こる疾患の総称で、血管が破れたり詰まったりすることで脳に障害が起こります。 その後遺症で麻痺や失語などの重い障害が残ったり、最悪の場合には死に至る疾患でもあります。 今回は冬に発症が多くなる理由、脳卒中の原因と予防、後遺症のリハビリについて説明します。   冬に多い理由   寒い冬は日本人の3大心因である「脳卒中」や「心筋梗塞」が増加しやすくなります。 いずれも血管に障害が起きて脳や心臓の組織が死んでしまう病気です。 これらの原因は主に「動脈硬化」ですが、特に冬は寒さで血管が収縮して高血圧になりやすいため、“血圧の変動”が発症に深く関与していると考えられます。 例えば、暖房の効いている温かい部屋からいきなり寒い部屋に行くことで、身体が熱を体内に留めようとして血管は収縮し血圧が上がります。 また、浴室では、そこからさらに湯舟に浸かることで身体が温まり血管が拡張し、血圧が下がります。 この血圧の上下が心臓や血管に負担をかけてしまうのです。 脳卒中の原因   脳卒中の主な原因は、「加齢」や「生活習慣の乱れ」による動脈硬化です。 さらには、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの既往疾患がある方はかなりリスクが高い状態ですので、生活習慣の改善に取り組みましょう。   高血圧 140/90mmHg以上の血圧の状態を高血圧といいます。 塩分や糖分を控え、薄味を意識した食生活が重要です。   糖尿病 血糖値の高い状態です。血液内の糖の割合が上昇することでドロドロ血液となり、血管に詰まりやすい状態になると考えられるので、カロリーの低い食事を意識して、油の多い食事や完食を減らしていきましょう。   脂質異常症 血液内のコレステロール値(油分)が高い状態です。バターや生クリームなどの乳製品や肉類などの動物性脂肪の摂り過ぎによってドロドロ血液になり、血管が詰まりやすくなります。乳製品やお肉の脂身は食べ過ぎないようにしましょう。   そのほかにも、生活習慣として、「飲酒」・「睡眠時間の短縮」・「運動不足」なども血圧の上昇の原因になります。   脳卒中の予防   脳卒中の予防では、「生活習慣の改善」が重要です。具体的の以下の通りです。   日頃から運動をして、代謝をアップさせることで血流を良くしましょう。 肥満は血圧の上がる原因になりますので、肥満体型の場合が減量しましょう。 ニコチンは血圧を上昇させたり、動脈硬化を促進させるリスクがあるので、禁煙しましょう。 室内の温度差をなくすため、浴室やトイレは温めましょう。 寝る前にコップ1杯の水を飲んで、体内の水分不足による血液ドロドロを防ぎましょう。   オミクロン株の影響でコロナ感染者がまた増えてきています。 コロナ禍でテレワークとなり生活リズムが変わり、運動不足になりやすいので、この機会に生活習慣を見直してみましょう。 脳卒中を発症したら   万が一、脳卒中を発症してしまったら…。 今回は脳梗塞の後遺症を軽くするリハビリ方法と期間について説明します。   ポイントは、『発症後すぐのリハビリで後遺症も軽くなる』ということです。 これにより後遺症の症状を軽くするだけでなく、誤嚥性肺炎などの合併症も予防することができます。また、脳梗塞による死亡の危険性を下げることもわかっています。   <脳梗塞の3つの期でのリハビリ>  【急性期】発症から約2週間/発症時に入院した病院  【回復期】発症から3~6カ月/リハビリテーション専門病院や病床  【生活期】自宅や施設に戻ってリハビリを行う維持期   急性期のリハビリは、基本的には発症から48時間以内に開始することが望ましいとされ、身体機能の低下防止を目的としています。   廃用症候群の予防(ストレッチ) 離床訓練(座る・立つ・車いすに乗り移る) ADL訓練(食事・着替え・入浴・トイレなど) 機能回復訓練(運動麻痺・言語障害・高次脳機能障害など)   急性期では脳の血流が改善して脳のむくみがとれてくるので、ある程度の麻痺は改善します。そこで、さらに適切なリハビリを行うことで、脳に新たな学習を始めます。 これらのリハビリは医師の指示のもと、脳のプロである言語聴覚士をはじめ、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門の医療スタッフが適切なリハビリを行います。   最後は発症後のリハビリについてお伝えしましたが、まずは脳卒中を発症しない生活をすることが大切です。   冒頭に記述した通り、寒い冬は脳卒中のリスクが高くなる季節です。 脳卒中の予防・対策には、まず自分の早朝血圧を知ることが重要です。 1週間のうち4回ほど朝の血圧が140以上の場合、早朝高血圧の可能性があり、心血管トラブルのハイリスクですので、医療機関の受診をおすすめします。   >脳卒中のリハビリをする専門職「言語聴覚士」についてはこちら