言語聴覚士の仕事内容、年収、合格率を徹底調査!②
1、言語聴覚士の働く場所
言語聴覚士の活躍の場がさまざまありますが、なかでも多い職場は以下の3つです。
第1位:医療機関
言語聴覚士の7割以上が医療機関で働いています。
医療機関のなかでも、病院のリハビリテーション科・リハビリテーションセンター・回復病棟・口腔外科・耳鼻咽喉科などが挙げられます。
医療機関で働く言語聴覚士は、患者様一人ひとりに合わせた機能回復訓練やリハビリテーションを実施して、社会復帰に向けた相談や支援をおこなっています。
第2位:介護・福祉機関
近年増えてきているのがこちらの分野です。
具体的には、特別養護老人ホーム・老人保健施設・デイサービスセンター・訪問リハビリテーション事業所などです。
高齢者を対象とした機関では、介護職員や栄養士など連携して摂食嚥下障害の訓練や指導をおこないます。
また、高齢者ではなく、肢体不自由児施設や重症心身障害児施設など児童を対象とする施設では、聴覚障害や摂食嚥下障害などの訓練・指導、言語コミュニケーションの訓練を実施したり、そのご家族への助言・指導をおこないます。
小児療育に関わることができる仕事と言えるでしょう。
第3位:教育機関
言語聴覚士として働く場所は臨床現場だけではありません。
病院や施設などの臨床現場で言語聴覚士として働いた経験を活かして、教育機関で働く言語聴覚士も実は多いのです。
具体的には学校です。言語聴覚士を養成する大学や専門学校として講師として働くことができます。臨床現場で働きながら非常勤講師として勤務をしたり、学校に勤務して専任講師として教員という道もあります。
また、上記以外でも小学校や中学校の特別支援学校で障害を抱える子どもの指導をおこなうという教員としての働くという仕事もあります。この働き方をするときには教員免除が必要となります。
2、言語聴覚士の合格率や難易度
言語聴覚士は国家資格のため、国家試験に合格しなれればなりません。
また、この国家試験を受験するには高校を卒業した後に言語聴覚士養成課程の大学や短期大学や3~4年の専門学校に進学するか、大学を卒業した後に言語聴覚士養成校(2年間)に進学する2つのルートがあります。
この2つのルートで国家試験の受験資格を取得して、はじめて国家試験を受けることができます。
最短ルートでは、高卒から3年制の専門学校に通学することですが、通信教育のみで取得することはできません。
また、一般の大学を卒業した社会人が2年制の専門学校に入学した学び直しをして、キャリアアップを目指す社会人が多く、毎年この層が高い合格率を誇っています。
その場合には、言語聴覚士国家資格化と同時に設置された歴史のある学校などが人気のようです。社会人から言語聴覚士を目指す場合には、選択肢の一つとして調べてみましょう。
そして、いよいよ国家試験についてです。
言語聴覚士の国家試験は毎年1回しか実施されません。実施時期は、例年2月です。
2020年2月15日(土)に実施された「第22回言語聴覚士国家試験」の合格率は以下の通りです。
・合格発表:2020年3月26日(木)
・受験者数:2,486人
・合格者数:1,626人
・合格率:65.4%
国家試験合格は受験者倍率ではなく、合格ラインに到達したかどうかの獲得点数によるものですので、自身の成績で合否が決まるわけです。
また、難易度についても説明します。
言語聴覚士と同じくリハビリ職である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を比較してみると、その国家試験の合格率の差から、言語聴覚士はリハビリ職の中でも難易度が高い資格と言えるでしょう。
(参考:2020年度 理学療法士:86.4% 作業療法士:87.3%)
3、言語聴覚士の給料・年収
言語聴覚士の平均給料は、次の通りです。目安として参考にしてください。
・正職員:月給23.7万円~月給30.2万円
・契約職員:月給23.2万円~月給28万円
・パート:時給1,563円~時給1,906円
例えば、30歳月収29.5万円で、賞与が4カ月の場合は、年収にすると約450万円くらいです。
言語聴覚士の年収の一例をしてご参考にしてください。
4、さいごに
言語聴覚士の仕事は、「話す」「食べる」「聞く」という、人が生きていくうえでも必要な機能の回復を支援するという仕事です。
『少しづつしゃべれるようになった!うれしい!』・『ごはんを自分で食べて飲み込めた!おいしかった!』という患者様の喜びを一緒に感動することができ、人の役に立つという社会貢献を強く実感できる素晴らしい職業です。
内閣府の発表によると、聴覚・言語障害者の数は幼児から高齢者まで含めると約36万人を超えています。認知症の方などを含めると、さらに支援の必要な人は多いと言われています。
これに対して、言語聴覚士の数は2019年で約3.3万人です。しかもこの人数は言語聴覚士の資格を持っている人(有資格者)の人数なので、実際に言語聴覚士として働いている人の数は実際にももっと少なくなります。
このように言語聴覚士はまだまだ多くの需要があり、今後ますます目指し人は必要な仕事です。幼児、小児、成人、高齢者と幅広い年代の人たちを自分らしく幸せな日常が遅れるように支援することができる職業です。
こちらのコラムをお読みいただいたあなたにことを、患者様は待っています。
ぜひ言語聴覚士を目指すきっかけとなれば幸いです。