脳梗塞

2022/08/08

脳梗塞

脳梗塞を引き起こす恐れも?!「椎骨動脈解離」とは

最近、お笑い芸人『千鳥』のノブさんが右椎骨動脈解離で入院したことでも話題となったこの病気をご存知ですか? 40~50代の働き盛りを突然襲うこの病気「椎骨動脈解離」についてご紹介します。 《椎骨動脈解離とは》 動脈の壁は3層構想で、内側から内膜・中膜・外膜で成り立っています。 このうちいちばん内側にある内幕に傷がついて、そこから血管の壁の中に血液は入り込み、血管が裂けていく状態を動脈解離といいます。 動脈解離は全身の動脈のどこでも起こります。首から脳に血液を送っている動脈は2対あり、首の前側にある頸動脈と首の中にある椎骨動脈です。 脳動脈では頸椎の中に走行する椎骨動脈に起こることが60%以上と多いです。   《椎骨動脈解離とはどんな病気を引き起こすか》 解離は内膜に傷がついて破れる病気ですが、その場合に引きおこる脳の病気が2つあります。 「脳梗塞」 内膜と中膜の間で起こった場合、血管腔の狭小化をきたして発症 「くも膜下出血」 中膜と外膜の間で起こった場合、嚢状の拡張を呈して、解離性椎骨動脈瘤となり、外に破れて発症   椎骨動脈が解離すると突然激しい頭痛を起こします。 うなじから後頭部にかけてズキズキと拍を打つような痛みや、重くだるい痛みがありますが、この痛みを片頭痛や緊張性頭痛と区別することは難しいです。激しい頭痛や意識障害となり命に関わることもあります。   《原因》 先述の通り、椎骨動脈解離がすべての年代に起こりますが、40~50第の働き盛りの男性に多いと言われています。 はっきりと原因がわからない場合もありますが、いくつか引き起こす原因としては下記のことがあるようです。 カイロプラクティックなどで手を使って背骨や骨盤のゆがみの矯正 ゴルフのスイングなどスポーツで 首を鳴らすなどの首をひねったり急に首を曲げたりする動作 外傷や交通事故で頭部をぶつける など いずれにしても、日常で首を急に動かす動作は控えたほうがいいようです。   《早期発見のポイント》 椎骨動脈解離には特徴的な症状があります。 『首の後ろや左右の後頭部に突然激しい痛みが起こり、数日間続く』 このような症状がある場合には、早めに専門病院を受診してください。 専門病院では頭部CT、頭部MRI・MRA、脳血管カテーテル検査をして、血管の壁が裂けている場所や程度を確定して、早急な治療を開始する必要があります。   千鳥のノブさんも、首の痛みを感じてしばらく痛みが引かないため、痛み始めてから1週間後くらいに病院を受診されているようです。 診断では、右椎骨動脈解離と診断さえてそのままに入院されました。 ちなみにノブさんは2013年にも「未破壊左椎骨動脈解離」を発症されていて、このときは早期発見だったため投薬治療で回復されたそうです。 今回も大事に至らず、無事に復帰されて本当に良かったですね。   みなさんも後頭部やうなじ周辺に経験したことがない強い痛みを感じて、仕事や家事を休まなければならないほどであればぜひ受診をおすすめします。

2022/01/11

脳梗塞

【コラム】冬場の脳卒中を予防しよう

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 1月になり、東京でも雪が降り寒さの厳しい日が続いていますが、皆様ご体調はいかがでしょうか。   今回のテーマは、寒い冬に起こりやすい「脳卒中」についてです。 脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳の血管が原因で起こる疾患の総称で、血管が破れたり詰まったりすることで脳に障害が起こります。 その後遺症で麻痺や失語などの重い障害が残ったり、最悪の場合には死に至る疾患でもあります。 今回は冬に発症が多くなる理由、脳卒中の原因と予防、後遺症のリハビリについて説明します。   冬に多い理由   寒い冬は日本人の3大心因である「脳卒中」や「心筋梗塞」が増加しやすくなります。 いずれも血管に障害が起きて脳や心臓の組織が死んでしまう病気です。 これらの原因は主に「動脈硬化」ですが、特に冬は寒さで血管が収縮して高血圧になりやすいため、“血圧の変動”が発症に深く関与していると考えられます。 例えば、暖房の効いている温かい部屋からいきなり寒い部屋に行くことで、身体が熱を体内に留めようとして血管は収縮し血圧が上がります。 また、浴室では、そこからさらに湯舟に浸かることで身体が温まり血管が拡張し、血圧が下がります。 この血圧の上下が心臓や血管に負担をかけてしまうのです。 脳卒中の原因   脳卒中の主な原因は、「加齢」や「生活習慣の乱れ」による動脈硬化です。 さらには、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの既往疾患がある方はかなりリスクが高い状態ですので、生活習慣の改善に取り組みましょう。   高血圧 140/90mmHg以上の血圧の状態を高血圧といいます。 塩分や糖分を控え、薄味を意識した食生活が重要です。   糖尿病 血糖値の高い状態です。血液内の糖の割合が上昇することでドロドロ血液となり、血管に詰まりやすい状態になると考えられるので、カロリーの低い食事を意識して、油の多い食事や完食を減らしていきましょう。   脂質異常症 血液内のコレステロール値(油分)が高い状態です。バターや生クリームなどの乳製品や肉類などの動物性脂肪の摂り過ぎによってドロドロ血液になり、血管が詰まりやすくなります。乳製品やお肉の脂身は食べ過ぎないようにしましょう。   そのほかにも、生活習慣として、「飲酒」・「睡眠時間の短縮」・「運動不足」なども血圧の上昇の原因になります。   脳卒中の予防   脳卒中の予防では、「生活習慣の改善」が重要です。具体的の以下の通りです。   日頃から運動をして、代謝をアップさせることで血流を良くしましょう。 肥満は血圧の上がる原因になりますので、肥満体型の場合が減量しましょう。 ニコチンは血圧を上昇させたり、動脈硬化を促進させるリスクがあるので、禁煙しましょう。 室内の温度差をなくすため、浴室やトイレは温めましょう。 寝る前にコップ1杯の水を飲んで、体内の水分不足による血液ドロドロを防ぎましょう。   オミクロン株の影響でコロナ感染者がまた増えてきています。 コロナ禍でテレワークとなり生活リズムが変わり、運動不足になりやすいので、この機会に生活習慣を見直してみましょう。 脳卒中を発症したら   万が一、脳卒中を発症してしまったら…。 今回は脳梗塞の後遺症を軽くするリハビリ方法と期間について説明します。   ポイントは、『発症後すぐのリハビリで後遺症も軽くなる』ということです。 これにより後遺症の症状を軽くするだけでなく、誤嚥性肺炎などの合併症も予防することができます。また、脳梗塞による死亡の危険性を下げることもわかっています。   <脳梗塞の3つの期でのリハビリ>  【急性期】発症から約2週間/発症時に入院した病院  【回復期】発症から3~6カ月/リハビリテーション専門病院や病床  【生活期】自宅や施設に戻ってリハビリを行う維持期   急性期のリハビリは、基本的には発症から48時間以内に開始することが望ましいとされ、身体機能の低下防止を目的としています。   廃用症候群の予防(ストレッチ) 離床訓練(座る・立つ・車いすに乗り移る) ADL訓練(食事・着替え・入浴・トイレなど) 機能回復訓練(運動麻痺・言語障害・高次脳機能障害など)   急性期では脳の血流が改善して脳のむくみがとれてくるので、ある程度の麻痺は改善します。そこで、さらに適切なリハビリを行うことで、脳に新たな学習を始めます。 これらのリハビリは医師の指示のもと、脳のプロである言語聴覚士をはじめ、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門の医療スタッフが適切なリハビリを行います。   最後は発症後のリハビリについてお伝えしましたが、まずは脳卒中を発症しない生活をすることが大切です。   冒頭に記述した通り、寒い冬は脳卒中のリスクが高くなる季節です。 脳卒中の予防・対策には、まず自分の早朝血圧を知ることが重要です。 1週間のうち4回ほど朝の血圧が140以上の場合、早朝高血圧の可能性があり、心血管トラブルのハイリスクですので、医療機関の受診をおすすめします。   >脳卒中のリハビリをする専門職「言語聴覚士」についてはこちら

2020/05/01

脳梗塞

30代から40代の新型コロナ患者も発症?「脳梗塞」という病気

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。   先日TVニュースなどで30代から40代の新型コロナウイルス感染者が、脳梗塞になる可能性があるという報道されています。 ウイルスが血液や血栓に異常を引き起こしたとみられ、足指に「しもやけ」のように赤く腫れあがる症状がみられるというのです。   では、この脳梗塞とはどのような病気なのでしょうか? 若い世代でも高齢者でも襲われる脳の病気「脳梗塞」について知ってみましょう。   1、「脳梗塞」ってどんな病気?   脳の病気の多くは、基本的に脳の血管が破れたり詰まったりといった障害が起こり、脳の機能の一部が壊れてしまうことによって発症します。 そのため、脳梗塞を含めたさまざまな脳疾患を、「脳血管疾患(障害)」と呼ばれています。 脳梗塞の「梗塞」とは、「ものが詰まり流れが通じなくなる」という意味です。脳梗塞では血栓と呼ばれる血の固まりが血管をふさいでしまい、そこから先へ血液が流れなくなってしまいます。すると詰まった先の細胞や組織は、酸素や栄養を運んでもらえず、壊死してしまいます。当然脳には大きなダメージを受けることになります。 脳梗塞は突然発症し、数分から数時間で急速に症状が進みます。   2、脳梗塞のタイプと発作   脳梗塞は、いくつかある脳卒中のひとつで、前術のように脳の血管が詰まってしまうタイプです。脳卒中には、ほかに脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作がありますが、脳梗塞は、脳卒中死亡の約60%を占めているといわれています。   そして、この脳梗塞には3つのタイプがあります。   (1)アテローム血栓性梗塞 脳の太い血管の内側にドロドロのコレステロールの固まりができて、その血小板が詰まって動脈をふさいでしまうもの。   (2)ラクナ梗塞 脳の細い血管に動脈硬化が起こり、詰まってしまうもの。   (3)心原性脳梗塞症 心臓にできた血栓が流れてきて血管をふさいでしまうもの。   脳梗塞の発作が起きると、脳の障害起きた部分がコントロールしていた身体の働きができなくなってしまいます。 『言葉が出なくなる』・『ものが飲み込めなくなる』・『からだの片方が麻痺する』などの症状が現れます。 これらの症状はリハビリで改善することができます。言葉や飲み込みのリハビリには言語聴覚士、からだの片方の麻痺には理学療法士のいずれも医療系国家資格を取得している専門スタッフがリハビリをおこないます。   3、日々の生活から危険因子を排除する では、生活習慣の中から、脳梗塞の危険因子について考えてみましょう。 次のような人は要注意です!   大量の飲酒 1日に1合を超える日本酒、中瓶1本を超えるビール、ダブルで一杯を超えるウイスキーを飲む人。 喫煙習慣 タバコを吸う人は吸わない人に比べて、はるかに脳梗塞(脳卒中)で死亡する人は多い。 運動不足 食事で摂ったエネルギーを消費しきれないので肥満に。さらに糖尿病や脂質異常症を引き起こしたりする。 肥満 肥満は高血圧や糖尿病の原因になり得るため、間接的に脳梗塞の危険因子。 過度なストレス 日々のストレスやイライラは大量飲酒やたばこ、暴食になりやすい。脳梗塞に限らず、身体にいいはずがない。 食事 高血圧にならないように減塩を心がける。健康診断で脂質異常症や動脈硬化の診断をされている人は自覚症状がなくても食生活の見直しが必要。 ・・・‥‥…………………………‥‥・・・ 脳梗塞のリハビリを担う「言語聴覚士」の仕事知ろう!こちら 言語聴覚士を目指したいかたはこちら ・・・‥‥…………………………‥‥・・・

2019/09/10

脳梗塞

脳梗塞の後遺症として起こる言語障害とは? ~失語症と構音障害~

  脳梗塞によって脳の特定の部位に 破損が生じると、 言語機能に障害が出ることがあります。   脳梗塞の後遺症による言語障害の症状や、 言語聴覚士によるリハビリ方法などはそんな手法があるのでしょうか?   もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、 どのようなリハビリ治療を受けることができるのか、ご紹介いたします。     1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害   脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。     1.失語症   失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、 ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。   失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった 言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。   その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。     ◇失語症のリハビリ◇   失語症の患者様は目や耳から入ってきた情報を理解するのは難しい状態です。   そのため、言語聴覚士は、聞いて理解するための練習を積み重ねて、 ことばを扱う感覚を取り戻させるようなリハビリを目的として訓練をおこないます。   言語聴覚士の指導のもと、聞いた言葉と目の前に広げられた絵を結びつけるリハビリを おこなったりと、頭の中で情報を一致させる練習を繰り返しおこないます。   言語聴覚士とのやりとりだけでなく、ご家族や周囲の方々とのコミュニケーションの中で、 患者様がうなずいたり、首を振ったりという反応もリハビリの一種になります。   ただし、失語症の回復には個人差が大きく、 リハビリに励んでも話す機能を取り戻すことができない患者様もいます。   そのため、言語を話すだけではなく、他の方法での意思疎通ができるように、 絵を取り入れたり、身振り手振りなどで総合的にコミュニケーションができる方法を リハビリで学んでいくこともあります。     2.運動障害性構音障害   運動障害性構音障害とは、 脳梗塞によって脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、 唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。   運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、 耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。   ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、 運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、 筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。     ◇構音障害のリハビリ◇   運動障害性構音障害の患者様は、機能性の問題のため、 口や舌を動かす運動や発声練習、ゆっくりと区切って話す方法の訓練をおこない、 発声機能の回復を目指したリハビリをおこないます。   言語聴覚士の指導のもと、リハビリで話しにくい障害の改善を試みると当時に、 残された機能で生活する方法を学んでいきます。   重度の患者様の場合には、五十音表の使用や発声をサポートする機器を使用することで 日常生活でのコミュニケーションを図ることを言語聴覚士が勧めることもあります。   言語聴覚士とのリハビリを終えて退院した後は、 ご家庭での日常生活でご家族や周囲の方々との会話が大きなリハビリになります。     2、言語障害の症状   言語障害の症状や種類、重症度は、 脳梗塞で損傷した脳の部位によって大きく異なります。   「失語症」と「運動障害性構音障害」の代表的は症状は、以下の通りです。     ・失語症   大脳の言語領域は、 「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」という4つの機能がありますが、 失語症で最も重い症状である「全失語」の患者様は、 この4つの機能のすべてに障害を受けているため、 ほとんど全ての言語を理解することも話すこともできません。   そのほかに、ぎこちない話し方になる「ブローカ失語」、 なめらかに話せるけれど言葉の取り違えが多く意味が伝わらない「ウェルニッケ失語」、 比較的なめらかに話せるけれど言葉の言い換えができないために 時々会話が困難になる「健忘失語」などがあります。     ・運動障害性構音障害   「話す」という機能は、唇、下、声帯、口蓋などの器官の 微妙なコントロールによって成立しています。   脳梗塞によって脳は損傷し、この一部またはすべての動作に支障をきたしてしまう 運動障害性構音障害では、話し方がぎこちなくなる、途切れがちになる、 声と呼吸が混じる、声が出しにくい、くぐもった声になり 聞く取りにくいなどの症状があらわれます。   脳梗塞の後遺症で言語障害が出た場合は、 言語聴覚士の指導のもとリハビリをおこなって機能回復を目指します。   文字を見せる、呼びかけるなどをおこなって言語機能の障害の程度を確認します。   どの能力を向上させる必要があるかを判明してから、 話すための訓練へとステップアップしていきます。   脳梗塞の患者様は、言語聴覚士とのリハビリでのコミュニケーションや、 ご家族との会話を増やし、できるだけ話してもらう機会を増やすこともリハビリになります。   また、患者様とのコミュニケーション方法に不安や悩みのあるご家族に寄り添い、 ともに支えていくことも言語聴覚士の仕事といえます。    

2019/09/10

脳梗塞

脳梗塞とその原因・症状とは

  1、「脳梗塞」とは   「脳梗塞」は、脳の血管が細くなったり、血管に血栓(血のかたまり)が詰まったりして、 脳に酸素や栄養が送られなくなるために、脳の細胞が障害を受ける病気です。   脳梗塞は詰まる血管の太さや詰まり方によって3タイプに分けられます。   個人の症状も、その程度や脳の障害を受けた場所や範囲によって異なってきます。     (1)ラクナ梗塞:脳の細い血管が詰まって起こる小梗塞   脳に入った太い血管は次第に細い血管へと枝分かれしていきますが、この細い血管が狭くなり、詰まるのがラクナ梗塞です。 日本人に最も多いタイプで、主に高血圧によって起こります。     (2)アテローム血栓性脳梗塞:脳の太い血管が詰まって起こる中梗塞   動脈硬化で狭くなった太い血管に血栓ができて、血管を詰まらせるタイプの脳梗塞です。 主に、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病によって起こります。     (3)心原性脳梗塞症:脳の太い血管が詰まって起こる大梗塞   心臓にできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれて、脳の太い血管を詰まらせるものです 主な原因で多いのは、不整脈の1つである心房細動です。   長嶋茂雄氏が発病した脳梗塞です。     2、脳梗塞で起こる症状とは   【失語症】   ・頭ではわかっているのに言葉が出なかったり、違う言葉を言ってしまう ・人が話している内容がわからない、質問の内容に沿う返答ができない ・言いたい言葉がなかなかでてこない ・言いたい言葉と違った言葉が出てしまう     【構音障害】   ・ろれつが回らない、スムーズに話せない ・発音が不明瞭で、周りの人が聴き取りにくい、または聞き返される ・活舌が悪く、うまくしゃべれない     【音声障害】   ・大きい声が出にくい ・声が長く続かず途切れがち ・声が高くなったり小さくなったりする ・声がかすれたり、細くなったりする     【注意障害】   ・長い時間集中できない ・人や物事に気づきにくい ・同時に複数の事に取り組めない     【半側空間無視】   ・片側の物がみつけられない ・歩行するときに片側(右または左)の人や物にぶつかる ・服が着られない ・食事の片側においてあるものしか気づかない(半分側しか食べない)     【記憶障害】   ・新しいことが思えられない ・最近の出来事を忘れてしまう ・過去の出来事や事実を忘れてしまう、もしくは誤って思い起こしてしまう     【遂行機能障害】   ・優先順位をつけられない ・計画を立てて物事を進められない ・物事を論理的に考えられない     【嚥下障害】   ・むせやすい食べ物を飲み込んだ時に、喉に食べ物が残ってしまう ・食事中や食後によくむせる ・食べることに疲れてしまって、残してしまいがち ・食後痰が増えた     言語聴覚士は、患者様個人の症状を正確に見極め、評価し、リハビリをおこないます。 患者様の言語や発話、思考力に対して、科学的にアプローチしていきます。    

2019/09/10

脳梗塞

家族ができる脳梗塞の後遺症、失語症・構音障害のリハビリ

  脳梗塞によって脳の特定の部位に破損が生じると、 言語機能に障害が出ることがあります。   脳梗塞の後遺症による言語障害の症状には大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。   もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、 医療機関で言語聴覚士からリハビリ治療を受けることができますが、 ご家庭でもできる言語障害のリハビリをご紹介いたします。     1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害   脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。     ・失語症   失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、 ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。   失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった 言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。   その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。     ・運動障害性構音障害   運動障害性構音障害とは、脳梗塞によって 脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、 唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。   運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、 耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。   ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、 運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、 筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。     2、患者家族としての接し方ポイント   大切な家族が突然脳梗塞を発症して言語障害の後遺症が残ってしまったら…   ご家族は日常生活をする上で、どのように接していけばよいのでしょうか。   「失語症」と「運動障害性構音障害」のそれぞれの接し方をご紹介します。     ①「失語症」の場合   失語症の場合には、言葉の話せなくなった患者様(家族)に対して、 そのご家族が小さな子どもや赤ちゃんに言葉を教えるような態度接してしまいがちです。   でも失語症の患者様は赤ちゃんに戻ってしまったわけではなく、 言葉を上手に扱えなくなっただけです。   患者様の自尊心を傷つけることのないように、 ご家族が患者様の気持ちに優しく寄り添うことが大切です。     ②運動障害性構音障害の場合   運動障害性構音障害の場合には、 ご家族など周りの人からは普通に話しているように聴こえているのに、 患者様ご本人は、“ちゃんと話せていない”と感じていることが多いです。   こうしたケースでは、ご家族が普通に話せていることを伝えて、 患者様に自信を持たせてあげるように接してください。   どの場合でも、過度の励ましや、「どうしてちゃんと話せないの?」というような 叱責は絶対に禁物です。   患者様がうまく話せないことでストレスを感じ、話す努力をやめてしまったら、 言語障害はさらに悪化してしまいます。   患者様のできることやできないことをよく理解して、 行き過ぎない適切なサポートを心掛けることが大切です。     3、家族が自宅できるリハビリ   ①「失語症」の家族ができること     • あいさつ   「おはよう」「いただきます」という日常のあいさつは、 たとえ重度の失語症であっても、家族が発した言葉を真似ていうことができます。   とっさに出る言葉が、言語障害のリハビリには効果があり、 しかもコミュニケーションのきっかけにもなります。     • 日常の会話   周りがうるさくない環境、聞き取りやすく、お互いの顔や表情がわかるような目線で、 ゆっくりと理解しやすい言葉で話しかけましょう。   そのときには赤ちゃん言葉で話しかける必要はありません。 何を言おうとしているかを待つ姿勢が大切です。   表情やジェスチャーなどで察知して、「はい」や「いいえ」で回答できる 簡単な質問をご家族から投げかけるのもひとつです。     • 書字   名前、生年月日、住所、性別といった簡単な文字を書いてみましょう。   模写や文字をなぞることから始めて、書ける文字が増えてきたら 申込書などを患者様ご自身で記入できるようにするなどを目標にしてみましょう。   書きたいものも見ながら音読することで、言葉が言えるようになることもあります。     • 日記・手帳・カレンダー   その日のできごとや、今後の予定を書くことで、読み書きの訓練になります。   はじめは単語単位での日記でも構いませんし、 その日記から会話の話題も生まれやすくなります。     • ハガキ・メール   患者様ご自身で書き記すハガキや手紙が好ましいですが、それが難しい場合には、 スマホやパスコンでメールを書くことも十分なリハビリになります。   定型文を書き写す、またはご家族で一緒に文章内容を考えてあげるなども良いです。     • コミュニケーションカード・ノート   「書く・話す」といったことが困難な場合は、あらかじめ言葉をカードに書いておいて、 言いたいことをカードで伝えるという方法ができます。     • 教材   漢字ドリルやペン習字、また病院で言語聴覚士が作成した失語症用の訓練ドリルを 家庭でやってみるのもおすすめです。     • 地域交流   失語症の患者様はうまく話せないため、どうしても外出を避けてしまいがちですが、 周囲をコミュニケーションを多く取ることが非常に重要です。   無理に誰かと話すのではなく、近所の花や植物を眺めたり、買いものにでかけることから始めてみましょう。   地域のデイサービスや保健・福祉施設などで失語症の方のためのプログラムや交流会を おこなっているところもあるので参加してみることもよいでしょう。     ②「運動障害性失語症」の家族ができること   自宅でもできる機能向上のためのリハビリをしてみることがおすすめです。   病院で言語聴覚士をリハビリするだけでなく、 在宅でもご家族と一緒に楽しく前向きに取り組んでみましょう。     • 姿勢   姿勢が崩れてしまうことで正しい呼吸ができなくなることがあります。   椅子に深く腰掛けてもらい、足を床につけて背筋を伸ばして、あごを引くなど、 患者様が正しい姿勢を心掛けるように声かえをしましょう。     • 深呼吸   鼻から深く吸って、口から吐く深呼吸をしてみましょう。   息を吸うときにはお腹を前に出して、吐くときは引っ込めるように意識して深呼吸をしてみると効果的です。     • 肩や首の運動   脳梗塞の後には、筋肉が緊張状態にあることが多く見受けられます。   首や肩といった上半身の緊張が、発声や発音に影響するため、 首を左右に傾けたり肩を上げ下げして、緊張をほぐす運動をしてみましょう。     • 口の運動   1、口を大きく開け閉じします 2、「うーいーうーいー」の口の動きをします 3、口を閉じ、頬を膨らませる、すぼめるの運動を繰り返します 4、舌を前に出したり、ふっこめたりします 5、舌先を上唇、下唇を交互につけます 6、舌先を左右の口の端につけます 7、舌先で唇を右回り、左周りでぐるっとなめます   これらの運動を3回くらい繰り返してみましょう。     • 発声   「あー」と声を出しましょう。無理に大きな声を出し必要はありません。     • 発声練習   母音、50音、濁音、半濁音(ガ・ザ・ダ・バ・パ)、拗音(キャ・キュ・キョ)を ゆっくりはっきり発声してみましょう。   2音、3音とつなげる場合にも、どの音もはっきりと言えるように意識して、 長い単語を言うようにします。   次には短文、そして長文というようにステップアップしながら、 発声練習をおこなっていきましょう。