2021年

2021/12/07

小児

発達障害のこどもとのふれあい方とは

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。   「発達障害」という言葉をよく耳にするようになりました。 「障害」と聞くと「できない」とイメージしてしまいがちですが、これは「発達のでこぼこ」と言えるのかもしれません。 今回は発達障害の子どもとの接し方についてまとめとみましたので、ご一読ください。   1、「発達障害」の特徴   発達障害とは、生まれつき脳機能の発達の影響によって、コミュニケーションや想像力を働かせることが苦手な障害です。 発達障害には大きくわけて3つあります。   自閉症スペクトラム ・他者とのコミュニケーションが苦手 ・興味や活動が限定される   注意欠如・多動性障害 ・集中力が続かない ・忘れっぽい ・じっとしているのが苦手 ・衝動的に思い付きで行動してしまう   学習障害 ・「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうち、 知的レベルや本人努力不足に問題はないのに、学んだり使ったりすることが困難   知的レベルが高い子どもの場合は、発達障害の特徴である症状を知能でカバーして乗り切ることもあるため、周囲の人に気づかれないまま大人になり、「ちょっと変わった人」という目で過ごしている場合もあります。周りの人から敬遠されることが多いため精神的な苦痛を感じる機会が多く、精神疾患につながるケースも多いと言われています。   2、周囲の大人ができること   もし自分の子どもが発達障害かも?と思ったら、地域の発達障害支援センターに問い合わせたり、保健所、園や学校に相談することをおすすめします。 相談に乗ってもらえるだけでなく、医療が必要と判断されれば、適切な医療機関を紹介してもらうことができます。小児科医や言語聴覚士など発達障害を専門家に早期に診てもらうことで早めに療育を始めることができます。   「一人で抱え込まない」ということがとても大切です。 医療機関で発達障害だと診断されると、これまで自分の育て方が悪かったと思っていた保護者の方も、そうではなかったのだと、ほっとする方もいます。 発達障害の子どもたちが通う療育教室では同じ境遇の保護者同士でお互いに話したり交流することによって元気づけられた方もいるでしょう。 行政では、治療と教育をおこなう「療育」で、障害のある子どもが社会的に自立して生きていけるように支援をしたりしています。 自分だけで解決しようとせずに、地域で協力しながら子どもを育てることが大切です。   最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本 (発達障害を考える心をつなぐ) | 榊原洋一 |本 | 通販 | Amazon     3、発達障害の子どもとの接し方・伝え方   発達障害を抱えた子どもには、障害特性(障害の症状や特徴)があります。 特性によってはコミュニケーションが苦手な場合があって、本人の努力では解決が難しいこともあります。その場合には、子どもが理解できるように周囲が接し方や伝え方の配慮をすることが大切です。   【対応の基本ポイント】 簡潔に 論理的に   【伝えるときのポイント】 本人の気持ちを否定せずに、メリットや目的と意味を伝える。 見通しを明確に、変更は前もって知らせる。 タイムリーにその都度褒める、注意する。 否定や指摘よりも、肯定語で伝える。   障害の特性によって、コミュニケーションに苦手が生じることがあったり、本人の努力では解決が難しいこともあります。周囲が「伝え方」を配慮することは大切です。

2021/11/24

発達障害

【コラム】アスペルガー症候群について知ろう!

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回のテーマは「アスペルガー症候群」です。 言葉や知能に遅れがないため、なかなか障害に気づけずに過ごすことが多い、この生まれつきの障害について説明します。 1、アスベルガー症候群とは   アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム症のうちで、知能や言語の遅れがないものをいいます。 社会性やコミュニケーションの障害のため、周りからは発達障害と理解してもらえず「変わり者」と思われることが多くある発達障害です。 周りからは「変わり者」と思われていても、自分自身では自覚がないため、周りの人から敬遠される理由がわからなかったり、対人関係でもうまくいかないことが多くなりストレスを抱えて、やがてうつ状態になったり強迫性障害など精神障害に発展する可能性もあります。 2、アスペルガー症候群の歴史   アスペルガー症候群は、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーの名前からつけられた診断名です。1944年に「小児期の自閉症精神病質」というタイトルで論文発表されました。 その後、1981年にイギリスの児童精神医ローナ・ウイングがアスベルガーの業績を紹介したことで再評価され、アスぺルガーの論文が注目されました。ローナ・ウイングは、研究を重ねるなかで、自閉症とは診断されていないが、「社会性」「コミュニケーション」「想像力」の3つに障害をもつ子どもたちがいることに気が付きました。これがアスぺルガーの報告した症例に似ていたことから、アスペルガー症候群という診断名は適切とされた歴史があります。 アスペルガー症候群には2つの定義があります。 1 ローナ・ウイングらが提唱し、ヨーロッパで主に使われているアスペルガー症候群の概念 2 ローナ・ウイングの考え方を基本にしたアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)や国際的な診断基準であるICD-10などで定義されているアスペルガー症候群の概念 参考:アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)    「精神障害の診断と統計マニュアル」の検索結果 - Yahoo!検索    国連の世界保健機関による分類(ICD-10)     ICD-10精神および行動の障害  新訂版 | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院 (igaku-shoin.co.jp) 3、アスペルガー症候群の発生頻度と原因   近年では、約100人に1人(つまりは1%)でアスペルガー症候群であると報告されています。 性別も相関関係があり、男性の方が女性よりも約4倍も多いと言われています。 知的障害や言語に遅れのない女性の場合は、アスペルガー症候群特有の社会的困難な現れが目立たないため、過少評価されている可能性もあります。 高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)とアスペルガー症候群には強い遺伝的な要素があることがわかっています。 ----------------------------------------------- 【これまでの区別】 ◆広汎性発達障害 ・自閉性障害/アスペルガー障害/レット障害/小児期崩壊性障害/特定不能の広汎性発達障害 【現在】 ◆自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害:(ASD) アスペルガー症候群はまだはっきりとした原因は解明できていませんが、遺伝的な要素が複雑に絡み合って引き起こされるもので、生まれつきの脳の機能障害によって発現するものだと考えられています。 アスペルガー症候群のお子さんをお持ちの保護者のなかで、「自分の育て方が悪かったのだ」と悩むケースもありますが、あくまで生まれつきであり、育児や育て方、愛情不足といった心的なものについては医学的に否定されています。 ----------------------------------------------- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 発達障害とは | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp) 4、アスペルガー症候群「3つの障害」   アスペルガー症候群の症状の特徴について、イギリスの児童精神科医ローナ・ウイングによって「3つの障害」と定義されました。 ●「社会性の障害」 ●「言語コミュニケーションの障害」 ●「想像力の障害」 では、具体的にどのような症状や特徴があるのでしょうか。 1 周囲の人との交流が難しい 他者とコミュニケーションを取るときに、相手の立場に立って気持ちを理解したり、場の空気を読んだりすることが苦手です。そのため周囲から敬遠されがちになってしまいます。 2 特定の物事に強いこだわりや興味を持つ 興味を限定しやすい傾向があり、一度興味を持つと時間を忘れてとことんのめり込み、逆に興味がないことに対してはなかなか実行できません。 3 日常生活がルーティン化しやすい 自分の行動や習慣に関して自分で決めたルールにこだわりやすく、毎日の行動がパターン化しやすい傾向があります。逆にいつもと違うパターンになると嫌がる傾向があり、また予期せぬことが起こった時にパニックになりやすい傾向もあります。 5、アスペルガー症候群の治療と周りの人の接し方   アスペルガー症候群は、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発現するものであると考えられていますが、はっきりと解明されているわけではないので、根本的な原因を治療することはできません。 おもな治療は、『薬物療法』と『精神療法』です。 精神療法(カウンセリング)は、認知行動療法と呼ばれることもあり、自分自身の行動や考え方の癖を理解して、人間関係や社会性を身につけていくためのものです。 アスペルガー症候群の方においては、自分のことを理解してサポートしてくれる人の存在がとても大切です。 本人は無自覚でも、他者から見た場合にまずいと思われる行動を、優しく正直に指摘したり、苦手な部分を助けてくれる人の存在は、アスペルガー症候群の方にとって大きな力になります。

2021/11/21

小児

ことばの遅い子のトレーニングとは?

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。   育児をしているママは子どもの言葉の遅れは気になりますよね。 「うちの子は言葉が遅い…?」という漠然とした不安を感じたり、1歳6か月健診や3歳児健診でことばの遅れを指摘されたりすると、より一層その不安な気持ちに拍車がかかってしまいます。 今回はことばの遅い子に不安を感じているママの参考になれば幸いです。   発達障害を疑う前に   近年「発達障害」への関心が高まるにつれて、子どもの言葉の遅れをすぐに発達障害と結びつけるケースも増えてきています。また、発達障害への診断を急ぎ過ぎる傾向も見られます。 そもそも子どもの発達段階には個人差がとても大きいものです。言葉の出てくる時期も個人差があるので、言葉の遅れだけで発達障害と判断するのは困難です。   発達障害などの影響が疑われる場合であっても、そうでなくても、子どもの言葉をはぐくむために家庭でできる働きかけが大切です。 子どもへの接し方を少し変えるだけで子どもの反応が変わったり、子どもの興味を持ったことに一緒に関心を寄せることで、子どもの自己肯定感やコミュニケーション能力が高まったりするのです。 こうした家庭での日常の働きかけが、『こどもの芽』を育てることにつながっていきます。   参考文献:『ことばの遅れが気になるなら 接し方で子どもは変わる』監修:古壮純一 講談社   言葉の発達の平均時期と目安と必要なサポート   先述のとおり、言葉の発達には個人差があり、言葉が出てくるのはその子によって大きな差があります。今回は言葉の出てくる平均的な時期をご紹介します。 もし言葉の発達に不安な場合、小児科医や言語聴覚士などの専門家に相談する目安にしていただければいいでしょう。   【生後2か月~3か月頃】 ・「アー」「ウー」という喃語で声を出し始めて、自分の声を聞き、喋る練習をしています。 【6~7か月】 ・「アブブブ」「アムアム」という違った音を組み合わせて、お喋りし始めます。 【7~8か月】 ・自分に話しかけてくる大人の口をマネしたりします。 【10か月頃】 ・「ダメだよ」や「じょうずだね」という禁止の言葉や褒めの言葉がわかるようになってきます。 ・「ママ」や「マンマ」といった単語を話すようになってきます。  ※子どもに話しかける時には、子どもの顔を見てゆっくり、はっきりとわかりやすい言葉で繰り返しかけるようにしましょう。   ※「ママだよ」といつも同じ大人が指をだして教えると、「ママ」がいつも同じ人だと気づいて、大人が言っている言葉が何かのサインであることがわかってきます。   【1歳前後】 ・意味のない喃語/「ダダァ」「パー」などの自分で作った造語/「ワンワン」などの意味のある単語の3種類の言葉を使います。 ・そして喃語や造語が消えていって、意味のある単語が残っていきます。 ・ 【1歳~2歳】 ・言葉の早い子は「ブーブーきた」「マンマほしい」などの2文語が出てくるようになります。    ※この時期は子どもが何を言っているかわからなくても、ちゃんと聞いて、答えてあげることが大切です。  ※「上手にお喋りできているね」「そうね」と言葉で人と関わる楽しさを体験させてあげましょう。   【2歳~3歳】 ・2歳前後になると「なんで?」という質問をたくさんするようになってきます。 ・言葉も2語文から3語文に変わっていきます。 ・自我の芽生えから盛んに「イヤ」を連発するイヤイヤ期に入ってきます。    ※自我を育てるためにも「褒める」ことを上手に使ったコミュニケーションを取っていきましょう。   【3歳~4歳】 ・3歳前後になると、語彙が800~2000語に増えて、「一人称」と「二人称」を理解して使い分けができるようになります。 ・「どうして?」「あれなに?」のように、ひたすら質問を繰り返すようになります。    ※子どもに理解しやすいように、短い文でわかりやすいように具体的に話をしてあげるといいでしょう。  ※子どもの中には、恥ずかしがって人の目を見ないで話す子や、うつむいてお友達に話しかけられない子もいます。その場合には、親が相手の目をみて話すようにサポートしてあげたり、自分の言葉で話すように促してあげましょう。そして、自分の言葉で相手に伝えられたら、たくさん褒めてあげましょう。   【4歳~5歳】 ・日常生活に必要な言葉はほぼ身に付き、一般的には1700~2000語程度の語彙を獲得していると言われています。 ・接続詞が使えるようになって、お友達との会話も盛んになります。 ・独り言も増えますが、これは頭の中で考えていることが外言として出ている状態です。    ※家族以外の人とも話す時間を増やしていくと度胸もついていいでしょう。  ※あまり話をしない子には、無理強いせずに、発語にたいして共感してあげ、安心して会話ができるような環境を整えてあげましょう。   【5歳~6歳】 ・日本語の仕組みがわかってきて、しりとりや逆さ言葉、なぞなぞで遊んだりします。 ・文字にも興味を持ち始めて、自分の名前や仮名を読んだり書いたりします。    ※子どもがした体験を、家族やお友達の前で話す機会を作るとよいでしょう。  ※文字や形の違いにも興味を持つので、ひらがなのカードゲームもおすすめです。  ※簡単な文章をひらがなで並べられるようになると、書く力にも通じる文節能力が育ってきます。   言葉の発達を知るため   言葉の発達には脳の発達が不可欠です。 言葉をつくるのは大脳ですが、大脳は会話や言葉をかけによって鍛えられるので、子どもが心地よくいられるような言葉かけや会話をたくさんしてあげると、語彙が豊かに育つと言われています。   言葉の遅れの原因はさまざまで、重度の難聴、脳性麻痺など明らかな原因がある一方で、特に幼児期ではその多くが原因を特定することが難しいと言われています。 健診は、育児全般に関する悩みが相談できる機会です。専門家が必要だと判断した場合には、発達検査や身体的な検査を行うこともあります。 仮に、聴覚障害や発達障害などが疑われた場合にはショックを受けて落ち込んでしまう方も多いと思いますが、現実を見据えて、今後その子が生きやすくなる道を作ることに気持ちを切り替えていくことが必要です。   言葉の遅れを客観的に判断できるようになるのは、およそ3歳から5歳くらいが目安です。 3歳を過ぎても、一人称と二人称の使い分けができない、5歳を過ぎても自分の意見を相手に伝えられず簡単な会話も成立しないなど、もしも子どもの言葉に「あれ?」と思うときには、ひとりで悩まずにお住まいの保健センターや、言語聴覚士などの言葉の発達の専門家に相談してみるといいでしょう。   「声を出すために必要な器官の動きが発達している」 「言葉を聞き分ける聴力が十分に発達している」 「言われたことを理解する知能が発達している」 「子ども自身は話すという欲求がある」   この4つの条件がすべて満たさせると、子どもは言葉を発するようになります。   参考:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 発達障害情報・支援センター (rehab.go.jp)   新宿ことばの相談室 新宿ことばの相談室|日本福祉教育専門学校 (nippku.ac.jp) ことばの遅れ等のご相談・トレーニングをご案内しています

2021/11/02

嚥下障害

嚥下障害の原因と症状~リハビリで食べる喜びを取り戻そう~

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 今回のテーマは『嚥下障害』です。 食べる楽しみを失わないためのリハビリなどわかりやすくご紹介します。   嚥下障害とは?   「食べる」ということは、5つの段階にわかれています。 食べ物を認識する 口に入れて噛み、食塊をつくる 食塊を口腔からのどに飲む込み 食塊を咽頭から食道へ送る 食魂を食道から胃に送る このなかの「飲み込む」という動作に当たるのが「嚥下」で、食べ物をうまく飲み込めなくなることを『嚥下障害』といいます。   嚥下障害の症状   食べ物がうまく飲み込めなくなる嚥下障害では、以下のような症状があります。 噛んで飲み込むことできなくなる。 食べ物が胸に使える。 食べ物が口に残りやすくなる。 水分の方が固形物より飲み込みにくくなる。 飲み込むときにむせる。 食事中に声が変わる。ガラガラ声になる。 食後に痰が絡む。 食事に時間がかかり、疲れる。 食事を最後まで食べきれない。 食べ物を口からこぼす。 これらのさまざまな症状によって、脱水・低栄養・体重の減少・肺炎・気管支炎・窒息など命にかかわる場合もあるので注意が必要です。   嚥下障害の原因   嚥下障害を引き起こす原因は、おもに3つに分類されます。 ◎「器質的原因」 口腔から胃までの気管の途中に、食べ物の通過を邪魔する構造上の問題がある場合 <原因>口内炎や扁桃腺の痛み、舌や食道や咽頭のガンなど   ◎「機能的原因」 嚥下にかかわる筋肉や神経に問題のある場合 <原因>加齢、脳梗塞、認知症による脳機能の衰え、パーキンソン病による神経筋疾患など   ◎「心因的原因」 心因性の疾患が引き金になる場合 <原因>うつ病、心身症、ストレス性の疾患など 嚥下障害の治療法   嚥下障害かもと思ったら、まずは耳鼻咽喉科の受診が必要です。 さらには必要に応じて神経内科、歯科、口腔外科、消化器科、リハビリテーション科などを受診することが重要です。 そして、嚥下障害と診断されたらリハビリなどの訓練による治療がおこなわれます。 リハビリは、食べる・飲み込み・話すの専門家である言語聴覚士(医療系国家資格)によって、検査や評価、必要に応じて訓練や指導、支援をおこないます。   嚥下障害によるリハビリはとても重要です。 病院での訓練だけでなく、日常でのリハビリや訓練によって機能が大きく回復することがあります。   言語聴覚士の検査と評価、訓練や指導のもとに、「舌や口、頬のトレーニング」・「発声練習」・「呼吸筋のトレーニング」をご家庭でも、食事前などの習慣にすると効果がでやすくなります。 また、嚥下障害が重度になると、リハビリや訓練で機能を戻すことは難しくなるため、手術による治療が検討される場合もあります。 まとめ   このように嚥下障害は加齢だけでなく、さまざまな疾患が原因となる場合があります。 誤嚥性肺炎を引き起こすなど命にかかわるケースもあります。 そして、「食べること」は生きがいや喜びであり、失ってはじめてその大切さに気づくこともあります。 嚥下障害は、その症状が悪化してしまう前に、予防やリハビリに努めましょう。 また、食べるときに食事の姿勢や食べ方の工夫をして、「おいしく食べる」ことを目指しましょう。

2021/09/21

コラム

あなたのキャリアチェンジストーリーを教えてください~1年生・川村さん~

こんにちは。日本福祉教育専門学校入試広報課です。 好評につき第二弾です。 現在、言語聴覚療法学科1年生の川村さんに言語聴覚士を目指したキャリアチェンジストーリーをインタビューさせていただきました。   Q1.前職はどんな仕事(分野等)をしてましたか 企業勤めではありますが、0歳から中学生を対象に英会話講師として教育業界に携わっていました。   Q2.なぜSTを目指したいと思ったきっかけを教えてください   英会話講師として働く中で、発達障害や難聴、吃音がある生徒との出会いがありました。保護者の方から子育てへの悩みやお子さんへの思いを聞く機会が多く、何かできることはないかと思ったのがきっかけでした。そんな時、保護者の方からことばの相談室に通ってる話を聞く機会があり言語聴覚士に興味を持ちました。   Q3.STへのキャリアチェンジについて一番考えたことや相談した方はいますか。   一番悩んだのは言語聴覚士の学校に通うか、転職をするかという点です。 やりたいことの方向性が決まったものの、仕事を辞めて収入がないなかで学校に通うということへの不安がとても大きかったからです。進学ではなく、転職して障害があるお子さんへ関わることもできるのではないかと悩みました。 この決断をするにあたり、医療従事者の友人や仕事を辞めて大学院に通っている友人、STの知り合いなどに相談をして、心配なことや不安をなるべくクリアにしてき、やっぱり「言語聴覚士になりたい!」という気持ちが強くなり進学を決意しました。 Q4.入学して5ヶ月が経過した今、おもっていること(期待や不安など)はありますか   様々な経験やキャリアを持つ先生方や同級生からたくさん刺激をもらえ、新しいことを学ぶことが楽しいです。(もちろん勉強は大変です…!) 前期は講義授業が多く、なれない単語に苦労はしましたが、これからは演習の授業が増えていくので楽しみでもあり、少し不安でもあります。 日福がクラスメートが多いので周りのみんなと協力して頑張っていきたいと思います。   Q5.最後にSTへのキャリアチェンジを目指しているかたへメッセージをお願いします!   進学を決めるまでは、勉強についていけるか、経済的不安、新生活への不安、自分はSTに向いているかなどいろいろ悩みました。 しかし実際学校に通ってみてすでに5ヶ月。それらの不安はなんとかなる!というのが今の気持ちです。 大人になってからやってみたいと思えることってなかなかないと思うので、ぜひその気持ちをSTに興味を持っていただいた皆さんにも大事にして欲しいなと思います。 笑顔が素敵な川村さん、インタビューありがとうございました! ぜひ素敵な言語聴覚士になられることを楽しみににしています!

2021/09/08

コラム

あなたのキャリアチェンジストーリーを教えてください~1年生・山田さん~

こんにちは。日本福祉教育専門学校入試広報課です。 現在言語聴覚療法学科1年生の山田さんに言語聴覚士を目指したキャリアチェンジストーリーをインタビューさせていただきました。 異業種からの医療職へ転職を決断する不安、そのときの相談相手など、人生の大きな決断のときの思いなどお伺いしました。ぜひ言語聴覚士(ST)へご興味のあるかたへのご参考になれば幸いです。   Q1.前職はどのような仕事(分野等)をされていましたか。 一般企業で総合職として経理部に所属し、国内外の協力会社への支払や貿易実務などを行っていました。なので、STは全くの畑違いでした(笑)。   Q2.STを目指そうと志したキッカケを教えてください。 前職を3年ほど経験した頃、誰のために働いているんだろう?定年退職するとき、自分は何をしたと言えるか?など漠然と悩んでいました。 そんな時、母が受けていたSTのリハビリを見たときに、自分もやってみたいと思ったからです。 配置転換も考えましたが、どの職種にも興味が湧かず、一般企業には向かないのかなと…笑 リハビリ職も様々で、学費や通う期間も比較検討しました。STは、見た目では分かりづらく人に理解されにくい障害を持つ方と接するのではないかと考え、そうした方の生活環境を変えたいと思い、STに決めました。   Q3.キャリアチェンジについて一番考えたことや相談者はいますか。 キャリアチェンジにあたり、特に悩んだのは、大学卒業後就職したのに、そのレールから外れることでした。周りは昇進したり結婚したりする中で、その道から逸れて自分だけ時が止まるような感じがしました。 この悩みを相談したのは、友人と同僚です。再進学を考えていることを伝えると「自分のやりたいことをやれば?やらない後悔よりやる後悔だよ」と言われ、吹っ切れました。   Q4.今年4月から入学して今感じていること(期待や不安など)を教えてください。 4月から授業が始まりましたが、母が受けていたリハビリの裏には、さまざまな分野の理論が複雑に絡み合っているんだなと感じました。授業を通じ知識を得て、2年後にはSTとして実際に働くんだなという期待もありますが、実際にそれを臨床で活かせるのかという不安もあります。 Q5.最後にこれから言語聴覚士へのキャリアチェンジを検討しているたへメッセージをお願いします! キャリアチェンジをご検討の方、いろいろ悩まれると思います。 私も学校探しから入学決定まで半年以上悩みました。友人や同僚に相談したりSTについて本やネットで調べたりしましたが、結局決めるのは自分です。職場のことお金のこと周りからの視線・評価など気にしてたらキリが無いです。自分がやりたいこと、なりたい姿を想像して、再進学したいかどうか自分に問うことが決断の助けになると思います。   山田さん。インタビューへのご回答ありがとうございました! >>言語聴覚療法学科の雰囲気を動画で紹介しています<<

2021/07/31

資格

医療・福祉・教育現場で高まる言語聴覚士の国家試験合格率の推移

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。   コロナ禍で医師や看護師など医療従事者の方々が注目されています。 医療の最前線でお仕事をしていただいていることに感謝の気持ちをお持ちの方も多いのではないでしょうか。   ご家族が入院してもお見舞いにも行けない状況の中で、医師や看護師のほかにも、 ソーシャルワーカー(社会福祉士や精神保健福祉士)、リハビリスタッフ(理学療法士や作業療法士や言語聴覚士)、病棟スタッフ(栄養士や介護福祉士、清掃や受付の方)などさまざまな医療従事者のみなさんによって医療は支えられています。 本当にありがとうございます。   今回はそのなかでもリハビリスタッフとして働く言語聴覚士のニーズについて紹介します。 1、医療・福祉・教育の現場で高まる言語聴覚士のニーズ   2020年3月現在では、言語聴覚士は全国で約3万4千人います。 言語聴覚士の多くは総合病院やリハビリ病院などの医療機関をはじめ、福祉施設や学校などの教育機関などの分野で活躍しています。   医療機関では脳卒中や事故などによって脳を損傷した患者さまの評価や訓練を行います。 さらには社会的ニーズとして高まっている介護分野としては、介護老人保健施設などがあげられます。入所者の6割ほどが失語症や構音障害、難聴などの障害をお持ちで、コミュニケーションになんらかの問題を抱えていると推測されるなかで、言語聴覚士の需要性は増えています。 また、教育現場においても発達障害を持つお子さんの訓練など、小児療育の担い手として言語聴覚士に対する専門的なニーズは高まっています。リハビリ病院や発達障害センターだけでなく、言語聴覚士を養成する教育機関(学校)に併設する「ことばの相談室」なども自閉症のお子さんの訓練の場として言語聴覚士が活躍しています。   2、言語聴覚士国家試験合格率の推移   【第1回】 受験者4556/合格者4003 合格率87.9% 【第2回】 受験者1565/合格者664  合格率42.2% 【第3回】 受験者1908/合格者936  合格率49.1% 【第4回】 受験者2113/合格者1137  合格率53.8% 【第5回】 受験者2447/合格者1027  合格率42.0% 【第6回】 受験者1658/合格者1130  合格率68.2% 【第7回】 受験者1812/合格者1012  合格率55.8% 【第8回】 受験者2226/合格者1389  合格率62.4% 【第9回】 受験者2323/合格者1266  合格率54.5% 【第10回】 受験者2574/合格者1788  合格率69.5% 【第11回】 受験者2347/合格者1344  合格率57.3% 【第12回】 受験者2498/合格者1619  合格率64.8% 【第13回】 受験者2374/合格者1645  合格率69.3% 【第14回】 受験者2263/合格者1410  合格率62.3% 【第15回】 受験者2381/合格者1621  合格率68.1% 【第16回】 受験者2401/合格者1779  合格率74.1% 【第17回】 受験者2506/合格者1776  合格率70.9% 【第18回】 受験者2553/合格者1725  合格率67.6% 【第19回】 受験者2571/合格者1951  合格率75.9% 【第20回】 受験者2531/合格者2008  合格率79.3% 【第21回】 受験者2367/合格者1630  合格率68.9% 【第22回】 受験者2486/合格者1626  合格率65.4% 【第23回】 受験者2566/合格者1766  合格率69.4%   先述の通り、これまでの23回の国家試験で言語聴覚士は国内で約3万4千人となっており、ここ10年では国家試験の合格平均は70%前後の難易度となっています。   言語聴覚士の国家試験を受験するには、言語聴覚士の受験資格が得られる大学を卒業するか、一般大学(学部不問)を卒業したあとに2年制の専門学校を卒業するルートがあります。 最近では夜間部だったり、働きながら通う時間割スタイルの専門学校もありますが、現実にはカリキュラムがハードなため学業に集中できる環境を整えることが中退せず卒業して、無事に言語聴覚士の国家試験合格への道としてはリアルでしょう。   3、あなたがもし言語聴覚士への道を迷っていたら   言語聴覚士は言葉によるコミュニケーションや嚥下(食べること・飲み込むなど)に問題を抱える方々が自分らしい生活ができるようにサポート専門職です。 ご本人だけでなくそのご家族にとっても頼りになる存在です。 医療・教育・福祉の現場で『聞こえた!』『伝わった!』『食べられた!』などの喜びをともに感じることができる職業です。   社会人から仕事を辞めて、もう一度学生になる。 資格を取って、いまの年齢で就職はできるのか不安。 育休はちゃんと取れる職業なのか。 社会人からの転職はとくに不安も多いのではないでしょうか?   言語聴覚士に向いている人って?? もしあなたが少しでも言語聴覚士に興味があるのなら、 そんなあなたがひとつでも当てはまったら、 あなたは言語聴覚士に向いているかもしれません。   人とコミュニケーションをとるのが好き 人のためになる仕事がしたい 子どもに関わる仕事がしたい 心理に興味がある 脳に興味がある リハビリテーションに興味がある チーム医療の一員として活躍したい 一生役に立つ資格を取得したい   ライフステージに合わせて働ける仕事でもある言語聴覚士は、働き方もさまざまです。 正職員から非常勤職員まで、これからのあなたの人生に合わせてやりがいのある仕事となるでしょう。

2021/07/15

コラム

緩和ケアにおける言語聴覚士の役割~食べる喜び~

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。 大腸がんのため6月30日に亡くなった元中日、日本ハムで選手、監督として活躍した野球評論家の大島康徳さんの公式ブログ『この道』が注目されています。 4年半の闘病生活をつづったブログには、末期がんを患いながらも明るく前向きで素敵な言葉がたくさん書かれています。 最期は在宅医療から緩和ケア病棟に移行して亡くなったとブログで公表されています。 亡くなる2日前に更新された「生きる」のなかで印象的な言葉ありますので、一部をご紹させていただきます。 「生きる」 生きるとは 歩くこ 人として 生きるとは 自分の口から 食べたり飲んだり すること 自分の足で 歩いてトイレに行くこと  ブログを書くことがきつくなってきました。… がん患者さんにとって「食べる」ということは生きる喜びとも言えるのではないでしょうか。 今回はがん患者さんとそのご家族の「食べる喜び」を支える言語聴覚士の仕事について考えてみたと思います。 1、がん患者さんにとって「食べる」ということ がん患者さんにとって「食べる」ということは、ときに喜びを感じ、ときに苦しみやプレッシャーに感じることがあるのかもしれません。 病期の進行で食事の摂取量が20%以下に低下したり、体調が30%以下するとQOLが低下てしまいます。 緩和ケアの食事では、免疫能の低下予防、栄養状態の維持・改善のため必要とされる電解質や栄養を積極的に摂取できるように、口から食べる経口摂取のほかに、経腸・静脈栄養などを栄養士が中心となって食事対応をしていきます。 でも、がんという病気は悪液質、栄養障害と進んでしまう場合が多くあります。困難な栄養障害となるときもあります。 そんなときには、「食べる喜び」が大きな栄養治療のひとつとなるかもしれません。 大島康則さんのことばにもあったように、がん患者さんにとって「生きる」ということは食べること」だと思います。 食べるということは、一歩先へつなぐことなのかもしれません。 病気の進行で食欲不振、悪心、嘔吐など食に関連した悩みは多くあると思いますが、そのなかでも食べたいものを思い浮かべて、「食べる喜び」を感じることも生きる力になるのではないでしょうか。 また、食欲がない中でも笑顔で食べている様子はご家族の幸せな時間でもあります。 2、緩和ケアにおける言語聴覚士の役割とは 前述の通り、がん患者さんの「食べる喜び」をサポ―トするのは、栄養士とともに言語聴覚士もその中心を担います。 言語聴覚士は「食べることのプロフェッショナル」です。 がんの進行や治療の過程では様々な機能障害が生じることがあります。 特に嚥下障害を生じた末期がん患者さんの嚥下訓練は、栄養管理やQOL低下予防のためとても重要です。 言語聴覚士が緩和ケアに介入して、「口から食べる」という患者さんの希望を叶えるために、嚥下機能評価の可能な限り、安全な摂取方法を検討して、さらには誤嚥のリスクや代償手段を患者さんやご家族、また他職種に情報提供をすることで患者さんのQOLの向上に寄与します。 終末期になっても「自分の口から食べたい」と希望する患者さんに、言語聴覚士は口から食べることに伴うリスクを十分に説明した上で、より安全な摂取方法を他職種と共有し協力を得ながら、がん患者さんやご家族に寄り添い満たすことが嚥下障害のある患者さんの緩和ケアにおける言語聴覚士の重要な役割だと考えます。 がん医療に伴う喜びの低下や消失には、「食べられない」「食べたくない」「おいしくない」という思いもあるのではないでしょうか。 「食べられた」「食べたい」「おいしい」を思えることが、がん患者さんの回復にもつながり、治療を維持する体力や生きる力になると思います。 「おいしい」を味わっていただける仕事。言語聴覚士はそんな職業なのかもしれません。

2021/07/13

コラム

言語聴覚士の仕事内容、年収、合格率を徹底調査!

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。 今回はコミュニケーションや食べる機能を支えるリハビリのスペシャリスト「言語聴覚士」について、その詳しい仕事内容や、知っておきたい収入面、国家試験の難易度などについて徹底調査!言語聴覚士を目指したいと思っている方、興味のある方はぜひご一読ください。 1、言語聴覚士(ST)とは   「耳がよく聞こえなくて言葉がわからない」「聞こえても発声や発音ができない」「言葉が理解できない」といった障害は先天的なものだけでなく、脳卒中や脳梗塞、耳の病気など後天的な病気が原因となって発病することも多いです。 このような言葉によるコミュニケーションが困難となってしまった人たちの状況を改善・軽減するためのリハビリ専門職が言語聴覚士です。また、言語以外の認知機能のリハビリや、飲み込みなどのリハビリも言語聴覚士が行います。 言語聴覚士は英語で「Speech Therapist」と呼ばれることから、日本でも「ST」と略されて呼ばれています。   2、言語聴覚士の仕事内容   言語聴覚士は患者様一人ひとりに合った訓練や指導が求められます。 サポートすべき様々な障害の種類と、その仕事内容について説明します。   聴覚障害 周囲の音や声が聞こえない、聞き取りづらい状態で、『難聴』とも呼ばれています。 生れつきの聴覚障害を持つ先天性のものと、事故・疾病・高齢化などによる後天性のものが存在します。 言語聴覚士の仕事● 言語聴覚士は聴覚検査を実施して、障害の度合いや種類を調べます。 そして、言語の訓練とともに、必要に応じて補聴器のフッティングや人工内耳の調整をおこないます。   言語・コミュニケーションの障害 代表的なものとして、『失語症』『構音障害』『音声障害』などがあります。 これらの障害は、「話す・聞く・理解する・読む・書く」という、言語コミュニケーションに関する機能を妨げる障害です。 言語聴覚士の仕事● 障害の具合を観察すると同時に、原因や経過を加味しながら、言葉の理解や発話、読み書きの訓練をおこない、家庭や社会生活への復帰をサポートします。   認知機能の障害 認知機能とは、知覚・記憶・思考・感情・学習・判断などの社会生活に適応するために必要な機能の総称です。この障害の代表的なものとして『高次脳機能障害』があります。 また、超高齢社会の日本では、認知症の患者様も増えています。 言語聴覚士の仕事● 認知障害の評価、機能訓練、リハビリなどおこないます。   子どもの言語発達とコミュニケーションの障害 子どもは3~4歳くらいまでの間に自然と語彙や文法を学習して身に着けていきますが、なかには発達障害・知的障害・聴覚障害などの原因で、同年齢の子どもと比べて言語の発達が遅れてしまう子どもがいます。 言語聴覚士の仕事● 言語発達に遅れがある子どもたちに対して、周囲の人たちのコミュニケーションに関心を持つように指導したり、語彙や文法の習得に向けた訓練をおこなったりします。またご家族が教育機関などと連携して、子どもの周辺の環境を整える役割もあります。   摂食・嚥下障害 食べて飲み込むことを摂食嚥下と言い、この行為が阻害されてしまう状態のことです。 とくに高齢者に多く、歯が抜けてなくなったり、加齢による舌や顎の筋肉が衰え、脳卒中の後遺症による麻痺などさまざまな原因があります。 摂食嚥下障害は放置すると、食べられないことよって本人の栄養状態が悪くなってしまったり、食べたときでも食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎で命を落としてしまうことにもつながる障害です。 言語聴覚士の仕事● 胃ろうやチューブでの栄養摂取を選択せず、自分で口から食べられるように維持回復の支援に努め、同時に摂食嚥下が可能な評価や助言をおこないます。   3、言語聴覚士の働く場所 言語聴覚士の活躍の場がさまざまありますが、なかでも多い職場は以下の3つです。 第1位:医療機関 言語聴覚士の7割以上が医療機関で働いています。 医療機関のなかでも、病院のリハビリテーション科・リハビリテーションセンター・回復病棟・口腔外科・耳鼻咽喉科などが挙げられます。 医療機関で働く言語聴覚士は、患者様一人ひとりに合わせた機能回復訓練やリハビリテーションを実施して、社会復帰に向けた相談や支援をおこなっています。   第2位:介護・福祉機関 近年増えてきているのがこちらの分野です。 具体的には、特別養護老人ホーム・老人保健施設・デイサービスセンター・訪問リハビリテーション事業所などです。 高齢者を対象とした機関では、介護職員や栄養士など連携して摂食嚥下障害の訓練や指導をおこないます。 また、高齢者ではなく、肢体不自由児施設や重症心身障害児施設など児童を対象とする施設では、聴覚障害や摂食嚥下障害などの訓練・指導、言語コミュニケーションの訓練を実施したり、そのご家族への助言・指導をおこないます。 小児療育に関わることができる仕事と言えるでしょう。   第3位:教育機関 言語聴覚士として働く場所は臨床現場だけではありません。 病院や施設などの臨床現場で言語聴覚士として働いた経験を活かして、教育機関で働く言語聴覚士も実は多いのです。 具体的には学校です。言語聴覚士を養成する大学や専門学校として講師として働くことができます。臨床現場で働きながら非常勤講師として勤務をしたり、学校に勤務して専任講師として教員という道もあります。 また、上記以外でも小学校や中学校の特別支援学校で障害を抱える子どもの指導をおこなうという教員としての働くという仕事もあります。この働き方をするときには教員免除が必要となります。   4、言語聴覚士の合格率や難易度   言語聴覚士は国家資格のため、国家試験に合格しなれればなりません。 また、この国家試験を受験するには高校を卒業した後に言語聴覚士養成課程の大学や短期大学や3~4年の専門学校に進学するか、大学を卒業した後に言語聴覚士養成校(2年間)に進学する2つのルートがあります。 この2つのルートで国家試験の受験資格を取得して、はじめて国家試験を受けることができます。   最短ルートでは、高卒から3年制の専門学校に通学することですが、通信教育のみで取得することはできません。 また、一般の大学を卒業した社会人が2年制の専門学校に入学した学び直しをして、キャリアアップを目指す社会人が多く、毎年この層が高い合格率を誇っています。 その場合には、言語聴覚士国家資格化と同時に設置された歴史のある学校などが人気のようです。社会人から言語聴覚士を目指す場合には、選択肢の一つとして調べてみましょう。   そして、いよいよ国家試験についてです。 言語聴覚士の国家試験は毎年1回しか実施されません。実施時期は、例年2月です。 2021年2月に実施された「第23回言語聴覚士国家試験」の合格率は以下の通りです。 ・合格発表:2010年3月26日 ・受験者数:2,546人 ・合格者数:1,766人 ・合格率:69.4%   国家試験合格は受験者倍率ではなく、合格ラインに到達したかどうかの獲得点数によるものですので、自身の成績で合否が決まるわけです。   また、難易度についても説明します。 言語聴覚士と同じくリハビリ職である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を比較してみると、その国家試験の合格率の差から、言語聴覚士はリハビリ職の中でも難易度が高い資格と言えるでしょう。 (参考:2021年度 理学療法士79.0% 作業療法士:81.3%)   5、言語聴覚士の給料・年収   言語聴覚士の平均給料は、次の通りです。目安として参考にしてください。  ・正職員:月給23.7万円~月給30.2万円  ・契約職員:月給23.2万円~月給28万円  ・パート:時給1,563円~時給1,906円   例えば、30歳月収29.5万円で、賞与が4カ月の場合は、年収にすると約450万円くらいです。 言語聴覚士の年収の一例をしてご参考にしてください。   6、さいごに 言語聴覚士の仕事は、「話す」「食べる」「聞く」という、人が生きていくうえでも必要な機能の回復を支援するという仕事です。 『少しづつしゃべれるようになった!うれしい!』・『ごはんを自分で食べて飲み込めた!おいしかった!』という患者様の喜びを一緒に感動することができ、人の役に立つという社会貢献を強く実感できる素晴らしい職業です。     内閣府の発表によると、聴覚・言語障害者の数は幼児から高齢者まで含めると約36万人を超えています。認知症の方などを含めると、さらに支援の必要な人は多いと言われています。 これに対して、言語聴覚士の数は2019年で約3.3万人です。しかもこの人数は言語聴覚士の資格を持っている人(有資格者)の人数なので、実際に言語聴覚士として働いている人の数は実際にももっと少なくなります。 このように言語聴覚士はまだまだ多くの需要があり、今後ますます目指し人は必要な仕事です。幼児、小児、成人、高齢者と幅広い年代の人たちを自分らしく幸せな日常が遅れるように支援することができる職業です。 こちらのコラムをお読みいただいたあなたにことを、患者様は待っています。 ぜひ言語聴覚士を目指すきっかけとなれば幸いです。

2021/06/02

発達障害

発達障害とは?② ~発達障害児の症状と特性~

  発達障害の症状や困難は個人の特性や年齢によってもさまざまです。   発達障害のお子さんを持つご家族から専門機関に多く寄せられる症状や特性では、 以下のような相談ケースがあります。     相談ケース   ☑言葉の遅れ 言葉がでないなど、年齢に見合った言葉の発達が大きく遅れている。   ☑我慢ができない じっと座っていられない、集中できない、順番を待つことができない、 おしゃべりがやめられない、すぐに手が出てしまう、 先生の指示で動いたり周囲と合わせて行動するのが苦手。   ☑周りの人とのコミュニケーションが苦手 周りの子供とコミュニケーションを取ることが苦手で、一人遊びが多い。   ☑こだわりが強い/変化が苦手 同じ服ばかり着る、同じおもちゃでないと遊ばない、予定が変わると活動できないなど、 日常生活に支障が出るような強いこだわりがある。   ☑忘れ物は多い/不注意が目立つ 忘れものが多かったり、うっかりミスが目立つ。また、片付けや整理整頓が困難。   ☑感覚過敏 光や音に敏感で、大きな音などを嫌がる。感触にこだわりがあり、決まった服以外着られない。 食べものも好き嫌いが多くて偏食。   ☑感覚鈍磨 感覚の反応が鈍く、刺激や痛みに鈍感。   ☑学習面が困難 読み書きや算数など年齢相当の学習が苦手。できるものとできないものの差が極端。 授業についていけなかったり、宿題にとても時間がかかる。   ☑運動面の遅れ 運動の力加減や調整が苦手で極端に不器用。(発達性協調運動障害) 筆圧が弱かったり強すぎたりと、指先がうまく使えない。食べこぼしが目立つ。   ☑自傷行為 頭を壁などにぶつける、髪の毛を抜く、手や爪を噛むなど自分を傷つけてしまう。 気に入らないことや思いがけないことがあるとパニックになってしまう。   ——————————————————————————————————   チェック項目が多かったり、発達障害かも?と思ったら、 できるだけ早く専門機関に相談するといいでしょう。   いきなり医療機関を受診しなくても、 心理検査やアセスメントを受けることで特性がわかったり、 公的な支援が受けられることもあります。   子育てに不安があったり、課題感が大きいときには、 無料で相談できる地域の専門機関を利用することもおすすめです。   【無料で相談できる専門機関】 ・地域の子育て支援センター ・児童相談所 ・発達障害者支援センター ・療育センター  など   また、1歳半健診や3歳健診などで小児科医や保健師に相談してみるのもいいでしょう。 診断の結果、医師から発達障害と診断されたら、 「心理的・療育的なアプローチ」と「薬物療法」で対処・治療をおこないます。     ■早期での療育的支援の重要性   「療育」とは、障害のある子どもの発達を促して社会的な自立を目的として教育や治療をおこないます。 そして、早期療育が効果的であると言われています。   幼いうちから療育に取り組めば、発達の促進だけでなく、 ご家族や周囲がそのお子さんの特性を理解し、 関わりのコツがわかることで、二次障害の予防にもつながります。   ■発達支援を受けられる機関  ①児童発達支援・放課後等デイサービス 発達支援を担っている機関としては、児童福祉法に基づく児童発達支援センターや児童発達支援事業所があります。これらの支援施設は0~6歳が対象で、支援も集団と個別などでおこなわれています。 小学生以上になると放課後デイサービスの対象となります。自治体や運営している機関によって集団や個別などの支援形態は異なります。 地域によってはグレーゾーンのお子さんも利用できる場合もあります。   ②幼児教育・学習塾 幼児教育や学習塾の中には、発達が気になるお子さんに向けたサービスを提供している教室があります。ソーシャルスキルを伸ばすことに力を入れている教室や、運動能力に力を入れている教室など、教室ごとに特徴がありますので、お子さんにあった教室選びをするとよいでしょう。