加山雄三さんも発症した誤嚥による小脳出血とは?

2020/11/26

嚥下障害

今年の9月、歌手の加山雄三さんが誤嚥による小脳出血を起こしたことを公表、芸能活動を自粛することが発表されました。

 

事務所からの発表によると、加山雄三さんは自宅でのトレーニング後に水を大量に飲んだことが原因で誤嚥を起こして嘔吐し、救急車で搬送されたとのことです。

 

そのときに強くせき込んだことが原因で、軽度の小脳出血を起こしたことが公表されました。

加山雄三さんを襲った「小脳出血」や「誤嚥」とはどのような病気なのでしょうか?

 

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1、小脳梗塞・小脳出血とは?

 

小脳の血管が詰まるものを小脳梗塞、血管がやぶれたものを小脳出血といいます。

小脳にダメージが加わり、障害を起こす疾患を総称して「小脳疾患」といいます。

今回の加山雄三さんは誤嚥がきっかけと発表されていますが、小脳がダメージを受ける原因は、脳卒中・神経疾患・脳腫瘍などが代表的です。ほかにも、アルコールや薬物による中毒、感染による脳炎で発症することもあります。

 

小脳は、体の運動(手足の動き、しゃべるための口・舌・のどの動き、眼の動きなど)をスムーズにする機能と、体のバランスを保つ機能があります。

そのため小脳が侵されると以下の症状は見られます。

 

【小脳疾患の症状】

①小脳梗塞

  • めまい
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • まっすぐ歩けない、まっすぐ立てない、ふらつき
  • 片麻痺
  • 物に手が届かない
  • 手の震え
  • ろれつが回らない

 

②小脳出血

  • 頭痛
  • めまい
  • 嘔吐 この3つが特徴的にあらわれて、危険な病気です。

 

 

2、誤嚥はなぜ起こるのか?

 

加山雄三さんのように、誤嚥でせき込んだことによって血圧が一時的に急激に上がることで症状に出血が起こってしまう可能性もあるようです。

そして、以前に脳梗塞も発症していたため、血管に動脈硬化性に変化が起こったことで小脳出血を引き起こしたのではないかと、専門医が見解を述べている記事もありました。

 

運動機能をつかさどる小脳がダメージを受けると、物を飲み込み力が弱まって、さらに誤嚥のリスクが高まる可能性があるとのことです。

ただし、加山雄三さんのように誤嚥によって脳出血を引き起こす事自体は稀なケースです。

 

東京都の安全健康研究センターの2016年データによれば、誤嚥性肺炎で亡くなる方は年々増加していて、男女合せておよそ4万人が亡くなっています。

 

さらには、日本人の死因第7位、高齢者(75歳以上)肺炎の7割以上というデータもあります。

昔の堅かった食事に比べて、今の食事は良くなり柔らかく食べやすいため、しっかり噛まなくても飲み込んでしまう癖がついてしまう可能性もあり、そのため高齢になっても十分に噛まずに飲み込んでしまうと誤嚥が起こりやすくなってしまうこともあるようです。

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きちんと飲み込む力があれば、飲み物や食べ物を気管の奥にある食道まで押し込むことができるのですが、慌ててしまったり、加齢によって飲み込む力が衰えてくると、食道の手前の気管にストンと入ってしまう。これが誤嚥のメカニズムです。

 

【誤嚥リスクチェック】

①食事中やお茶の時間にむせることが多くなった

②飲む込んだ後、口や喉の中に食べ物が残っているような感覚がある

③体重の減少が目立つ

④睡眠中もむせたりせき込む

⑤飲む込んだ後にしゃべると、ガラガラ声になる

⑥発熱や微熱を繰り返す

 

日本は超高齢化社会を迎えていますので、いかに誤嚥性肺炎を減らすかはとても大事なことです。

人生100年時代に「おいしく食べて」「健康で長生き」したいですね。

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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