2019年

2019/09/09

高次脳機能障害

高次脳機能障害による社会的行動障害について

  みなさまは「高次脳機能障害」という障害をご存知でしょうか?   高次脳機能障害とは、脳になんらかの障害が生じることによって起こす障害です。   この障害は、骨折のように「目に見える疾病」ではないため、 その苦しさが他の人にとってわかりづらく、また、 本人としても自分の障害を受け入れがたいという特色があります。     1、高次脳機能障害の原因   高次脳機能障害は、脳の損傷によって引き起こされますが、 脳が損傷するのは以下のようなケースが考えられます。   ①外傷性脳損傷…交通事故などにおける受傷によるもの   ②脳血管障害…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など   ③その他…脳炎、低酵素脳症など     2、高次脳機能障害が原因でおきる『行動と感情の障害』とは?   行動と感情の障害は、事故などの脳損傷の後に日常生活でみられることがあります。   ■日常生活での現れ方■   ①うつ状態 ・抑うつ的、気落ちしたり、ふさぎこんだ気分が比較的持続している状態。 ・仕事や家事もやる気が出なかったり、横になっていたいなどの意欲低下。 ・イライラ、不安、焦りなどの不安状態もよくみられる。 ・食欲の減退と体重減少、不眠、体のことをくよくよ考えてしまいがちになる。 ・すぐに疲れやすく、体がだるいなどの倦怠感を訴える。 ・頭の回転が鈍り、一見すると認知症のように見える。 ・自分を過小評価して悲観的となり、自分を責める状態が続く。   ②躁状態 ・空虚で上調子な機嫌の良さが見られる。 ・自分の置かれている状態に対して洞察や現実見当識を欠いている。   ③無感情 ・周りの変化への感情が乏しくなって、外部からの刺激に対して無関心になる。   ④過剰情緒反応 ・情緒反応の度合いが激しくなり、極端に不正に潔癖になったりする。   ⑤情緒不安定 ・感情の変化が不安定で、すぐに泣いたり笑ったりする。 ・感情を抑えることができなかったりする。(感情失禁と呼ばれる)     ■日常生活への援助 ~困った行動への対応~ ■   ◆感情の起伏が激しくコントロールできない場合… ・感情が爆発している時にはなだめても冷静に聞くことはできないため、 周囲は席を外したり、話題を変えたり、爆発が収まるまで待つ。 ・爆発が収まった後、状況とともに振り返り、自己認識を促すように話す。   ◆自分から何もやろうとしない場合… ・生活する上や、仕事の上で必須のことがあれば、声かけをする。 ・自信がなさそうな表現があっても自分から始めたときには、 今できることや、今楽しいことをじっくりやらせてあげるようにする。 ・周囲の人は、もっと先へ進ませたい気持ちを抑えて、やっていることを見守る。   ◆不安がり、ときにパニックを起こす場合… ・不安な気持ちを持っているところに、新しい事態や環境が加わると緊張や不安が 高まり、 さらにその状態が極度に高まったときにパニックが起こるため、 よく馴染んだ環境を整えて、安心して過ごすことができるように周囲の人にも協力してもらう。   ◆人への攻撃が激しくなる場合… ・周囲の人たちが一致した状態で対応するようにして、なおかつ 公平で一貫性のある対応をするように心がける。    

2019/09/06

高次脳機能障害

誤解されやすい病気「高次脳機能障害」とは?

  1、「高次脳機能障害」の特徴とは?   交通事故や脳卒中などで脳に損傷を負うと、 その後遺症のため日常生活で複雑な障害を示すような症状が現れることがあります。   これが原因となり対人関係に問題が発生したり、 日常生活への適応が困難になってしまう場合があり、 この場合に「高次脳機能障害」が疑われます。   脳卒中発生後に、麻痺などの身体的な障害がなかった場合、 “後遺症がない”と思われがちですが、これは誤解です。   忘れ物や落ち着きのなさ、怒りやすさ、手順の悪さなどの 高次脳機能障害が原因とされる症状に、 ご本人や家族も気が付かず生活していることもあります。     2、「高次脳機能障害」とは?   高次脳機能障害はケガや病気によって、脳が損傷すると、 注意を払ったり、記憶・思考・判断をおこなったりする機能を失ってしまう疾患です。   この高次脳機能障害があると、日常生活または社会生活に制約が出てしまう状態が続いたりもします。   学術的には脳損傷に起因する認知障害全般を指していますが、 行政が支援対策を推進する観点では、この一群が示す記憶障害を 「高次脳機能障害」と呼んだすることもあります。     3、「高次脳機能障害」の原因となる疾患   ・脳卒中 ・脳梗塞 ・くも膜下出血 ・外傷性脳挫傷 ・脳腫瘍 ・脳炎      など     4、いろいろな種類の「高次脳機能障害」   「高次脳機能障害」にはいろいろな種類があります。   記憶障害:約束を忘れる ・物の置き場所を忘れる。 ・新しいできごとを覚えられない。 ・同じことを繰り返し質問する。 ・自分の周囲の事象に関心を示さない。   注意障害:ぼーっとしていることが多い ・ぼんやりしていて、ミスが多い。 ・ふたつのことを同時に行うと混乱する。 ・作業が長く続けられない。   遂行機能障害:テキパキ仕事が片付けられない ・自分で計画を立ててものごとを実行することができない。 ・人に示してもらわないと何もできない。 ・約束の時間に間に合わない。   社会的行動障害:怒りっぽくなった、やる気がない ・興奮する、暴力を振るう。 ・思い通りにならないと、暴力を振るう。 ・自己中心的になる。   その他の障害 ・手足を動かすことはできるが、意図した動作や示された動作おこなえない。(失行症) ・視覚、聴覚、触覚に異常がみられないのに、対象を認識できない。(失認症) ・うまく話せない。(失語症)   これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。   高次脳機能障害の診断基準として、MRI、CT、脳波などで 認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されるか、 あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したことが確認できることが 検査所見としてあげられます。   高次脳機能障害のリハビリでは、言語聴覚士(ST)も担当します。 言語聴覚士は、患者様に検査・評価をおこない、 その結果と医師の診断をもとにリハビリ内容を決定します。    

2019/09/06

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは?

  1、高次脳機能障害の症状とは?   病気や事故が原因で脳に損傷を受けたことによって生じる障害で、 言語・思考・記憶・行為・学習・注意等の知的な機能に障害があらわれます。   注意力や集中力の低下、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの 精神・心理的症状が出現し周囲の状況にあった適切な行動が出来なくなり、 日常の生活に支障をきたすようになります。     ◆高次脳機能障害の特徴   ①外見上は障害が目立たない。 ②本人自身も障害を十分に認識できないことがある。 ③障害は、医師との診療場面や入院生活よりも、 自宅での日常生活や社会場面(職場、学校、買い物、交通機関の利用など)で 出現しやすいため、医療スタッフに見落とされやすい。     2、高次脳機能障害が疑われるとき   【主な症状1】 ・気持ちが沈みがち ・突然興奮したり、怒りだす ・気持ちが動揺する ☛行動と感情の障害     【主な症状2】 ・なめらかにしゃべれない ・相手の話を理解できない ・字の読み書きができない ☛失語症     【主な症状3】 ・作業ミスが多い ・気が散りやすい ☛注意障害     【主な症状4】 ・物を置き忘れる ・何度も同じことを話したり質問したりする ☛記憶障害     【主な症状5】 ・片側を見落としやすい ・片側にあるものにぶつかりやすい ☛半側空間無視     【主な症状6】 ・行き当たりばったりの行動をする ・一つ一つ指示されないと行動できない ☛遂行機能障害     【主な症状7】 ・道具がうまく使えない ・動作がぎこちなく、うまくできない ☛失行症     【主な症状8】 ・麻痺した手足がないように振る舞う ・麻痺がないように振る舞う ・麻痺がなくても片側の身体を使わない ☛半側身体失認     【主な症状9】 ・自宅でトイレに迷う ・近所で道に迷う ☛地誌的障害     【主な症状10】 ・物の形(色)がわからない ・人の顔がわからない、見分けられない ☛視覚失認症     高次脳機能障害には様々な症状がありますが、 認知機能への見にくい障害であることから、 本人だけでなく、サポートする家族や周囲の人たちも 障害を正しく理解して対処していく必要があります。   高次脳機能障害の症状について知りたいという方のご参考になれば幸いです。   さらに、高次脳機能障害のリハビリをおこなう職業として、 「言語聴覚士」(国家資格)があり、検査・評価・訓練をおこないます。    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?③

  1、自閉症スペクトラムの原因   自閉症スペクトラムは、先天性の疾患です。   先天的な要因により、脳機能の発達にアンバランスさが生まれて 行動などに独特の特性があらわれます。   その発症原因について詳細はわかっていませんが、 遺伝要因と環境要因が複合的に影響していると考えられます。   1950年~60年代には「親の育て方に原因がある」という説もありましたが、 1970年代には脳科学の発達とともにこの説は否定され、 自閉症スペクトラムは脳機能障害であり、 親の育て方とは無関係であることがわかっています。     2、自閉症スペクトラムの治療や相談先とは?   大人の場合、診断や治療を受けたいときには、病院の精神科や心療内科を受診します。 また、いきなり病院を受診することに戸惑いやためらいがある場合には、 福祉機関に相談する方法もあります。     ◆病院での相談先   18歳以上の大人が自閉症スペクトラムの診断や治療を受けたい場合は、 精神科や心療内科を受診します。 しかしながら、小児に比べると大人の発達障害の専門医は少ないため、 すべての精神科や心療内科で発達障害の診断や治療ができるわけではありません。 発達障害の専門医を見つけることがむずかしい場合には、 発達障害支援センターに相談して、専門医を紹介してもらう方法もあります。     ◆福祉機関での相談先   病院での診断ではなく、まずは相談してみたいという場合には、 福祉機関に相談することができます。 たとえば、各都道府県や市に設置されている「発達障害者支援センター」に 相談することができます。   発達障害者支援センターでは、日常生活や医療、就労などへの アドバイスや情報提供をおこなっています。 病院などの医療機関とも連携しているため、 相談後に診断を受けたい場合のアドバイスを受けることもできます。 アドバイスや支援は基本的に無料であり、個人情報も守秘されるため、 安心して相談することができる機関です。     3、自閉症スペクトラムの治療法   自閉症スペクトラムには、根本治療法がまだ存在していません。 そのため、医師が個々のケースに対応しており、 一般的には環境調整やカウンセリングなどがおもな治療法となっています。   また、自閉症スペクトラムとの合併によって精神疾患となり 周囲の人の理解や支援が得られえず精神的なストレスを抱え続けた結果であらわれる 「二次障害」では、日常生活に支障があるときには薬物療法が適用されることもあります。    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?②

  1、自閉症スペクトラムの具体的な特徴・症状とは?   自閉症スペクトラムには特徴的な2つの症状があります。   ①社会的コミュニケーションおよび対人交流が困難 ・他人と目を合わせない ・相手や状況に対して、自分の行動をあわせることが苦手 ・難しい言葉や表現を好んで使う  など   ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式 ・小さな変化に苦痛を感じる ・柔軟な考え方をすることが苦手 ・決まった順序や食べ物にこだわる  など     2、自閉症スペクトラムの症状の現れ方の個人差とは?   自閉症スペクトラムの症状は、年齢や受けている治療などによって個人差があります。   また、発達段階、年齢、環境、教育や支援によって症状が大きく変化することもあります。   このため、症状が現れる局面も、その人の置かれている環境などによって異なります。     3、自閉症スペクトラムと合併しやすい疾患   自閉症スペクトラムには、他の発達障害や精神疾患を合併しているケースがあります。   合併しやすい発達障害や精神疾患には、以下のようなものがあります。   ・知的障害 ・学習障害 ・注意欠陥/多動性障害(AD/HD) ・気分障害 ・強迫性障害 ・適応障害 ・統合失調症 ・てんかん ・睡眠障害 ・摂食障害    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?①

  1、自閉症スペクトラムとは?   自閉症スペクトラムとは、対人関係が困難であったり、興味関心の限定、 特定の行動を繰り返すなどの特徴がある障害のことであり、発達障害の一種です。   発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、 環境や対人関係とのミスマッチから社会生活に困難を生じる障害のことです。   偏った考え方やものの見方をしてしまうこともあるため、 周囲から「変わった人」と言われてしまうこともあります。     2、自閉症スペクトラムという概念とは?   アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においては 「自閉症スペクトラム」とは、それ以前において以下の通りの概念で分類されていた障害を、 1つの診断名に統合したものです。   ・早期幼児自閉症 ・小児自閉症 ・カナー型自閉症 ・高機能自閉症 ・非特定自閉症 ・特定不能の広汎性発達障害 ・アスペルガー障害 など   これらの発達障害には明確な境界例はありません。   症状のあらわれた方も年齢や重症度や年齢が変化したり、重複するため、 スペクトラム(連続体を意味する)が採用されています。     3、自閉症スペクトラムの発症年齢と経過は?   自閉症スペクトラムは、おおよそ2歳までに気が付くことが多いと言われています。 症状が軽い場合には気づくのが遅くなることもあります。   とくに小児期早期や学童期早期に症状が最も顕著にあらわれ、 小児療育センターなどで言語聴覚士などの専門職からの訓練をはじめることも多いです。   一般には、小児期後期には特定の特徴が顕著になり、 思春期には一部の症状は改善していくとされています。   思春期よりも以前に自閉症スペクトラムと診断されて、治療や訓練を受けた場合は、 成人期に至るまでに、その症状から起こる社会生活での困難に、 ある程度自分で対処できる方も多く見られます。   つまり、症状に気が付いたら早期に専門機関で小児療育をおこなうことがよいと言われています。     4、大人になって自閉症スペクトラムと診断されることもあるの?   その答えは、「あります。」   自閉症スペクトラムは、成人期になってはじめて診断されることもあり、 この場合は自己認識が大きく覆されるため困惑や混乱を感じる人もいます。   また逆に、障害が診断されたことにより、 これまでの違和感が疾患によるものだと判明してホッと感じる人も少なくありません。   これまで日常生活において仕事のミスや、人間関係やコミュニケーション上のストレスや問題に直面して 社会適応が思うように維持できなくなってしまうことで、 「適応障害」や「うつ病」として心療内科などの病院を受診している場合、 その症状の背景を探るうちに自閉症スペクトラムと診断されることもあります。    

2019/09/05

難聴

突発性難聴は早期発見・早期治療が大切です!

突発性難聴とは     ある日突然、朝起きたら片方の耳が聞こえなくなり、 耳鳴りやめまいそして吐き気が起こる・・・   突然自分がこのような症状になったら、パニックになりますよね。   2年前にKinKi Kids堂本剛さんがこの突発性難聴で入院された、 というニュースについては記憶に新しいと思います。 その他にも浜崎あゆみさんやスガシカオさんなど 多くのアーティストが突発性難聴に悩まさせていました。   耳鳴りの種類は人によってさまざまで、 「キーン」という高い音を感じる人もいれば、 「ジー」という低い音に悩まされる人もいます。 また多くは耳閉感(水の中にいるような耳がつまっ感じ)を訴える方も多いです。     なぜ突発性難聴は起きるのか   原因としては内耳のウイルス感染や循環障害などといわれていますが、 まだ明らかな原因は解明されていない難聴であり、 多くは40~50代に発症することが多く、男女差はありません。   働き盛りの世代が多く罹患することから、 睡眠不足や過労、心身のストレスなどの関係が大いにあるといわれており、 誰もが経験する可能性を秘めている難聴です。   また非常に怖い難聴であり、発症後、約3週間経つと症状が回復しなくなるといわれています。 そのため、発症してから早期発見・早期治療が必要となります。   しかしながら、早急に治療したからといって、全ての人が完治するわけではないのが突発性難聴。 割合としては、完治する人が全体の約40%、何らかの改善を示す人が約40%、 残りの約20%は改善がみられないと言われています。   また治療方法においても現状では特効薬がありません。 一般的に効果が期待されるものとして、ステロイドが多くの患者に使われます。   ただ、ステロイド治療の場合は血糖値を上げる作用があるため、 糖尿病などの持病を持つ場合は注意が必要です。   それ以外の治療では循環改善薬やビタミン剤、高気圧酸素療法、ステロイド鼓室内注入などもあります。 また、重度の難聴の場合はからだの安静が必要なため、入院を薦められます。   なによりも回復するためには自分の体を休息し労わることが必要なのです。     もし自分の耳がすこしでも音がつまったようなような耳の感覚(水のなかにいる感覚)があったり めまいがした場合には聴力検査以外に平衡感覚の検査や鑑別診断をしてくれる 耳鼻咽喉科を選ぶことが大切です。         そこには言語聴覚士がいます   ・聴力検査を取る ・聴力が回復しなかった場合に補聴器の調整を行なう など、「耳」への障害に向き合うのが言語聴覚士です。    

2019/09/05

難聴

聴覚情報処理障害をご存知でしょうか

「聴覚情報処理障害」という聴覚障害     聴覚情報処理障害では ・音は聞こえているけど何をいっているのかわからない。 ・そもそも自分に向かって話しかけられているのかわからない。 という症状が現れます。   本来、人間の耳、いわゆる聴覚には多数の音から、 自分に必要な音だけを拾って理解をする能力が備わっています。   聴覚情報処理障害ではその能力が著しく低いため、 どの音が自分に必要なのかを聞き分けることができません。   よって、すべての音が耳にはいってくるため、 大きな雑音のなかに自分がいる状態になるのです。   しかしながら、聴覚に異常があるわけではないので、 ある程度のコミュニケーションは取れますし、 通常の聴力検査では平常値の聴力数値となるため、 第三者からも障害に気づきにくいといわれています。   みなさんの周りやご家族に   ・話かけているのに反応がない(と、よく言われる) ・(お子様の場合) 授業のノートがとれない ※この場合は先生の声が聞き取れていない可能性が高い。   というかたがいる場合は聴覚情報処理障害の可能性もあり、 ご本人もコミュニケーションで苦しんでいる可能性があります。   会話するときには ①雑音の少ないところでお話する ②話しかける合図をおくる (肩をたたく、「ねぇ~」などと話始めの合図をする) ③メモやメールを活用して視覚で情報を与える など、コミュニケーションの工夫もお願いします。   また聴覚情報処理障害の当事者の会もあります。 >>>ホームページ   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   言語聴覚士は「きこえ」の専門家です。 もしこのような症状でご家族が苦しんでいるならば 言語聴覚士のいる医療機関に相談ください。      

2019/09/04

発達障害

発達障害とは

  発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているため、 幼児のうちから症状が現れて、育児でうまくいかないことがあります。 そのため、育てにくい子と感じてしまうこともあります。 成長するにつれて、自身でも不得手なことあることに気づき、 生きにくさを感じてしまうこともあるかもしれません。   発達障害はその特性を本人や家族、周囲の人がよく理解し、 その人にあった関わり方で日常の家庭での生活や学校でも 過ごし方を工夫することができれば、 その人が持っている本来の力や能力をしっかり活かしていけるようになります。     1、発達障害とは、生まれつきの「特性」であり、「病気」ではない   発達障害はいくつかのタイプに分類されています。   ・自閉症 ・アスペルガー症候群 ・注意欠如・多動性障害(AHDH) ・学習障害(LD) ・チック障害 ・吃音症(どもり) など   これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるということが共通しています。 同じ人がいくつかのタイプの発達障害があることもあり、 同じ障害がある人同士でも似ていないように見えることもあります。 つまり、個人差がとても大きいというのが発達障害の特徴といえるかもしれません。     ①自閉症スペクトラム障害とは?   国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しており、 自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。 症状の差によっていくつかの診断名に分類されますが、 本質的には同じ1つの障害単位であると考えられています。   <典型的な3つの特色> ・相互的な対人関係の障害 ・コミュニケーションの障害 ・興味や行動のこだわり   近年では、100人/1~2人に存在すると報告されており、男性が女性より数倍多く、 ひと家族に何人も存在することもあります。     ②注意欠如・多動性障害(ADHD)とは?   発達年齢に見合わない多動や衝動性、あるいは注意性、 またはその両方の症状が、7歳までに現れます。 学童期の子どもには3~7%くらい存在し、 女性よりも男性の方が数倍多いと報告されています。 また、男性の有病率は青年期に低くなりますが、 女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。     ③学習障害(LD)とは?   全般的な知的発達には問題がないのに、「読む」「書く」「計算する」など 特定の事柄だけがとりわけ難しい状態のことをいいます。 有病率は2~10%と見積もられており、読みの困難については、 男性より女性が数倍多いと報告されています。     2、発達障害のサイン・症状   ①自閉症スペクトラム障害   ◆1歳すぎ頃からサインが現れます ・人の目を見ることが少ない ・指さしをしない ・ほかの子どもに関心がない など   上記のような対人関係に関連した行動は、通常の子どもの場合には急速に伸びるが、 自閉症スペクトラム障害の子どもでははっきりしません。 そのため、保育園や幼稚園に入園すると、一人遊びが多く集団が苦手だったり、 人との関わりが独特なことで気づかれることがあります。   言葉の話し始めた時期が遅くなくても、 自分の話したいことしか口にせずに会話が繋がりにくいことなどがしばしば起こってきたりします。 また、電車やアニメのキャラクターなど自分の好きなことや興味のあることには、何時間でも集中することがあります。 初めてのことや決まっていたことが変更するのが苦手で、慣れるまでに時間がかかることはあります。   ◆成長するにつれて症状は変化し、個人別で多様化します 思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気が付いたり、 対人関係がうまくいかないことで悩んだりして、 不安症状やうつ症状を合併する場合があります。 就職してからは、仕事が臨機応変にこなせないことで職場での対人関係などに悩み、 自分が障害ではないか?と疑い、病院を受診する人もいます。   また、子どもの頃に発達障害の診断を受けた人でも、 周囲からの理解をあり成長した人の中には、 成長とともにその症状が目立たなくなる人や、 能力の凸凹をうまく活用して社会生活を送り活躍する人もいます。     ②注意欠如・多動性障害(ADHD)   ◆7歳までに症状が現れます おおよそ7歳までに、多動-衝動性、あるいは注意性、その両方の症状が現れます。 そのタイプ別の症状の程度によって、以下の3つのタイプに分類されます。   (1)多動-衝動性優勢型(小学生の場合) ・「座っていても手足がもじもじする」 ・「席を離れる」 ・「おとなしく遊ぶことができない」 ・「じっとしていられず、いつも活動している」 ・「しゃべりすぎる」 ・「順番を待つのが苦手」 ・「ほかの人の会話やゲームに割り込む」 など   (2)不注意優勢型 ・「学校の勉強でうっかりミスが多い」 ・「課題や遊びなど活動に集中し続けることができない」 ・「話しかけられていても聞こえないように見える」 ・「やるべきことを最後までやり遂げない」 ・「課題や作業の段取りが苦手」 ・「整理整頓が苦手」 ・「宿題などの集中力が必要なことを避ける」 ・「忘れ物や紛失が多い」 ・「気が散りやすい」      など   多動症状は、一般的には成長とともに軽くなる場合が多いですが、 不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、もう半数は成人期まで続くと言われています。 また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を合併する人もいます。     ③学習障害(LD)   ◆小学校2~4年生頃に成績不振などが明らかになります 全般的に知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど 特定の事柄のみが困難な状態です。 学業不成績や日常生活に困難を生じることがあり、 こうした能力を要求される小学校2年生~4年生頃に成績不振などが明らかになります。 その結果として、学業に意欲を失ってしまい、自信をなくしてしまうことがあります。    

2019/09/03

小児

子どもの聴覚障害 ~診断と治療・改善法~

  聴覚障害とは、音の情報を脳に送るまでの部位に障害があるため、 音が聞こえない、または聞こえにくいという情報です。 ここでは子どもの聴覚障害の診断や治療・改善法についてご紹介します。     1、子どもの聴覚障害はどうやってわかるの?   聴覚の障害が重症な場合には、 生後まもなく聞こえの問題が発見されますが、 中軽度の場合にはその発見が遅れる傾向にあります。   子どもの聴覚障害の場合には、 コミュニケーションや言葉の発達に遅れが生じることがあり、 それらの遅れを保護者は気づき、聴覚障害を見つけるきっかけとなることが多いようです。   【おもな聴覚障害に気づくサイン】 ・乳児のときに一時期でていた「あー」「あうあう」などの声を出さなくなった ・大きな音がしても反応しない ・生後6か月を過ぎても、相手の声の真似をしようとしない ・3歳までに単語をしゃべらない ・言語の代わりに手振りなどジェスチャーを使う   【年長以上の子どもで、難聴のサイン】 ・周りの子どもより言葉の数が少ない ・理解しにくい言葉でしゃべったり、非常に大きい、またはか細い声を出したりする ・何度も聞き返す ・ぼんやりしていたり、読み書きや計算が苦手だったりする   これらの項目に当てはまる場合は、聴覚障害と一概に判断することはできませんが、 子どもの様子を見て、心当たりがあったり、気になることがあれば、 病院の耳鼻咽喉科で聴覚検査を受けてみることをおすすめします。     2、聴覚障害の治療・改善方法   先天性の聴覚障害には、 治療で治すことができるものと、治すことができないものがあります。 治すことができない聴覚障害の場合は、聴力を補うための改善方法をおこないます。   子どもの聴覚障害の場合には、 早期に治療をスタートすることが理想的と言われています。 聴覚障害の改善には、難聴の種類や聞こえの程度によって、 下記のような改善方法があります。   ・補聴器 補聴器は、ふつうの声の大きさで会話が聞こえにくくなったとき、 はっきりと聞くための医療機器です。 とくに伝音性難聴では、補聴器が有効となります。 音を脳に伝える機能の障害である感音性聴覚の場合、 補聴器では改善されないこともあるため、その場合には別の改善方法がとられます。   補聴器にはたくさんの種類があり、価格によっても機能がさまざまです。 その子どもの症状や障害にあった適切な補聴器を選ぶことが大切です。 補聴器選びは、補聴器の相談医や言語聴覚士から販売店の紹介を受けること良いです。   補聴器に購入には保険が適応されません。 身体障害者手帳をお持ちの場合には、 補装具交付申請書を市町村の福祉関係の窓口に提出することで 一割負担で購入できる可能性もあります。   ・人工内耳 人工内耳は、機能しなくなった内耳の部分に電極を挿しこみ、 音を電気信号に変えて神経を送る方法です。 ただし、子どもの場合には以下の条件があります。   ・年齢が1歳以上 ・体重が8㎏以上 ・6か月以上の補聴器装用によっても十分に音を聞くことができない   人工内耳の手術は、健康保険が適用されるほか、 自立支援医療(更生医療)、高度医療費支給などの各種医療費の助成を受けることにより、 医療費負担の軽減ができます。   ・手術 難聴の原因部位によっては手術をすることがあります。 手術が必要な例としては、音も聞こえを阻害している異物の除去や、新たな鼓膜の形成、 中耳の骨を人工のものに置き換える必要があるなどが挙げられます。 耳の手術は、耳の後ろを開いて行うものと、耳の穴から部位を治療する方法があります。   ・服薬 内耳の循環や血行を良くするために、 血管拡張薬、向神経ビタミン製剤の薬が処方されることがあります。 薬物による治療は、効果や必要量・期間に個人差があるため、 服薬の際には専門家の指導を受けながら用量・用法を守りながらおこないます。