高次脳機能障害による社会的行動障害について

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みなさまは「高次脳機能障害」という障害をご存知でしょうか?

 

高次脳機能障害とは、脳になんらかの障害が生じることによって起こす障害です。

 

この障害は、骨折のように「目に見える疾病」ではないため、

その苦しさが他の人にとってわかりづらく、また、

本人としても自分の障害を受け入れがたいという特色があります。

 

 

1、高次脳機能障害の原因

 

高次脳機能障害は、脳の損傷によって引き起こされますが、

脳が損傷するのは以下のようなケースが考えられます。

 

①外傷性脳損傷…交通事故などにおける受傷によるもの

 

②脳血管障害…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など

 

③その他…脳炎、低酵素脳症など

 

 

2、高次脳機能障害が原因でおきる『行動と感情の障害』とは?

 

行動と感情の障害は、事故などの脳損傷の後に日常生活でみられることがあります。

 

■日常生活での現れ方■

 

うつ状態

・抑うつ的、気落ちしたり、ふさぎこんだ気分が比較的持続している状態。

・仕事や家事もやる気が出なかったり、横になっていたいなどの意欲低下。

・イライラ、不安、焦りなどの不安状態もよくみられる。

・食欲の減退と体重減少、不眠、体のことをくよくよ考えてしまいがちになる。

・すぐに疲れやすく、体がだるいなどの倦怠感を訴える。

・頭の回転が鈍り、一見すると認知症のように見える。

・自分を過小評価して悲観的となり、自分を責める状態が続く。

 

躁状態

・空虚で上調子な機嫌の良さが見られる。

・自分の置かれている状態に対して洞察や現実見当識を欠いている。

 

無感情

・周りの変化への感情が乏しくなって、外部からの刺激に対して無関心になる。

 

過剰情緒反応

・情緒反応の度合いが激しくなり、極端に不正に潔癖になったりする。

 

情緒不安定

・感情の変化が不安定で、すぐに泣いたり笑ったりする。

・感情を抑えることができなかったりする。(感情失禁と呼ばれる)

 

 

■日常生活への援助 ~困った行動への対応~ ■

 

感情の起伏が激しくコントロールできない場合…

・感情が爆発している時にはなだめても冷静に聞くことはできないため、

周囲は席を外したり、話題を変えたり、爆発が収まるまで待つ。

・爆発が収まった後、状況とともに振り返り、自己認識を促すように話す。

 

自分から何もやろうとしない場合…

・生活する上や、仕事の上で必須のことがあれば、声かけをする。

・自信がなさそうな表現があっても自分から始めたときには、

今できることや、今楽しいことをじっくりやらせてあげるようにする。

・周囲の人は、もっと先へ進ませたい気持ちを抑えて、やっていることを見守る。

 

不安がり、ときにパニックを起こす場合…

・不安な気持ちを持っているところに、新しい事態や環境が加わると緊張や不安が
高まり、

さらにその状態が極度に高まったときにパニックが起こるため、

よく馴染んだ環境を整えて、安心して過ごすことができるように周囲の人にも協力してもらう。

 

人への攻撃が激しくなる場合…

・周囲の人たちが一致した状態で対応するようにして、なおかつ

公平で一貫性のある対応をするように心がける。

 

 

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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