発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているため、
幼児のうちから症状が現れて、育児でうまくいかないことがあります。
そのため、育てにくい子と感じてしまうこともあります。
成長するにつれて、自身でも不得手なことあることに気づき、
生きにくさを感じてしまうこともあるかもしれません。
発達障害はその特性を本人や家族、周囲の人がよく理解し、
その人にあった関わり方で日常の家庭での生活や学校でも
過ごし方を工夫することができれば、
その人が持っている本来の力や能力をしっかり活かしていけるようになります。
1、発達障害とは、生まれつきの「特性」であり、「病気」ではない
発達障害はいくつかのタイプに分類されています。
・自閉症
・アスペルガー症候群
・注意欠如・多動性障害(AHDH)
・学習障害(LD)
・チック障害
・吃音症(どもり) など
これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるということが共通しています。
同じ人がいくつかのタイプの発達障害があることもあり、
同じ障害がある人同士でも似ていないように見えることもあります。
つまり、個人差がとても大きいというのが発達障害の特徴といえるかもしれません。
①自閉症スペクトラム障害とは?
国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しており、
自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。
症状の差によっていくつかの診断名に分類されますが、
本質的には同じ1つの障害単位であると考えられています。
<典型的な3つの特色>
・相互的な対人関係の障害
・コミュニケーションの障害
・興味や行動のこだわり
近年では、100人/1~2人に存在すると報告されており、男性が女性より数倍多く、
ひと家族に何人も存在することもあります。
②注意欠如・多動性障害(ADHD)とは?
発達年齢に見合わない多動や衝動性、あるいは注意性、
またはその両方の症状が、7歳までに現れます。
学童期の子どもには3~7%くらい存在し、
女性よりも男性の方が数倍多いと報告されています。
また、男性の有病率は青年期に低くなりますが、
女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。
③学習障害(LD)とは?
全般的な知的発達には問題がないのに、「読む」「書く」「計算する」など
特定の事柄だけがとりわけ難しい状態のことをいいます。
有病率は2~10%と見積もられており、読みの困難については、
男性より女性が数倍多いと報告されています。
2、発達障害のサイン・症状
①自閉症スペクトラム障害
◆1歳すぎ頃からサインが現れます
・人の目を見ることが少ない
・指さしをしない
・ほかの子どもに関心がない など
上記のような対人関係に関連した行動は、通常の子どもの場合には急速に伸びるが、
自閉症スペクトラム障害の子どもでははっきりしません。
そのため、保育園や幼稚園に入園すると、一人遊びが多く集団が苦手だったり、
人との関わりが独特なことで気づかれることがあります。
言葉の話し始めた時期が遅くなくても、
自分の話したいことしか口にせずに会話が繋がりにくいことなどがしばしば起こってきたりします。
また、電車やアニメのキャラクターなど自分の好きなことや興味のあることには、何時間でも集中することがあります。
初めてのことや決まっていたことが変更するのが苦手で、慣れるまでに時間がかかることはあります。
◆成長するにつれて症状は変化し、個人別で多様化します
思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気が付いたり、
対人関係がうまくいかないことで悩んだりして、
不安症状やうつ症状を合併する場合があります。
就職してからは、仕事が臨機応変にこなせないことで職場での対人関係などに悩み、
自分が障害ではないか?と疑い、病院を受診する人もいます。
また、子どもの頃に発達障害の診断を受けた人でも、
周囲からの理解をあり成長した人の中には、
成長とともにその症状が目立たなくなる人や、
能力の凸凹をうまく活用して社会生活を送り活躍する人もいます。
②注意欠如・多動性障害(ADHD)
◆7歳までに症状が現れます
おおよそ7歳までに、多動-衝動性、あるいは注意性、その両方の症状が現れます。
そのタイプ別の症状の程度によって、以下の3つのタイプに分類されます。
(1)多動-衝動性優勢型(小学生の場合)
・「座っていても手足がもじもじする」
・「席を離れる」
・「おとなしく遊ぶことができない」
・「じっとしていられず、いつも活動している」
・「しゃべりすぎる」
・「順番を待つのが苦手」
・「ほかの人の会話やゲームに割り込む」 など
(2)不注意優勢型
・「学校の勉強でうっかりミスが多い」
・「課題や遊びなど活動に集中し続けることができない」
・「話しかけられていても聞こえないように見える」
・「やるべきことを最後までやり遂げない」
・「課題や作業の段取りが苦手」
・「整理整頓が苦手」
・「宿題などの集中力が必要なことを避ける」
・「忘れ物や紛失が多い」
・「気が散りやすい」 など
多動症状は、一般的には成長とともに軽くなる場合が多いですが、
不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、もう半数は成人期まで続くと言われています。
また、思春期以降になってうつ症状や不安症状を合併する人もいます。
③学習障害(LD)
◆小学校2~4年生頃に成績不振などが明らかになります
全般的に知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど
特定の事柄のみが困難な状態です。
学業不成績や日常生活に困難を生じることがあり、
こうした能力を要求される小学校2年生~4年生頃に成績不振などが明らかになります。
その結果として、学業に意欲を失ってしまい、自信をなくしてしまうことがあります。