人気アニメ「マジンガーZ」などの主題歌で知られる歌手の水木一郎さん(74)が、リンパ節や脳への転移を伴う肺がんステージ4を公表されました。
昨年4月に声が出にくくなったために検査して、その結果、ステージ4の肺がんと認定されたとのことです。
現在は、手術をして経過も良好とのことですが、歌手として以前と同じように歌えるように言語聴覚士によるリハビリを始めているそうです。
今回は病気の予後だけでなく、言語聴覚士によるさまざまな音声治療や声の症状について説明します。
【声の症状と音声治療について】
1 痙攣性発声障害
<おもな症状>
・声がつまって出ない、言葉が途切れてしまう。
・声がふるえる
・喉に力が入ってしまい、話すと疲れる。
・声が出る時もあれば出ない時もあって安定しない。
<おもな原因>
・脳内からの指令がうまく声帯に伝達されていないとされるため
診断基準に合わせて評価を行う。なんらかの音声疾患が隠れている場合あり。
<治療法>
・言語聴覚士による発生練習(音声リハビリテーション)やアドバイス
・ボツリヌストキンの声帯注入療法
・外科治療(手術) など
2 慢性声帯炎、声帯結節
<おもな症状>
・声がかすれる、通らない
・高い声や裏声が出しにくい、歌いづらい。
・仕事で声を多用するが休めない
・喉に力を入れないと声が出にくい、疲れる
<おもな原因>
・声の使用量が多い。
・声帯が閉じにくかったり、発生時に非対称に振動するなど声帯疾患がある。
・胃酸の逆流、咳、咳払い
・アレルギーによる炎症
・免疫力の低下や糖尿病などの基礎疾患がある など
<治療法>
・言語聴覚士による発生量の調整、のどに負担のかかる発声様式の改善などの音声
リハビリ
・声帯を休める
・声帯注射 など
3 構音障害(小児/大人)
<おもな症状(小児)>
・子どもの発音が不明瞭、活舌が悪い。
・特定の言葉がうまく発音できない。(「さかな」→「たたな・ちゃかな」など)
・発音が悪く、よく聞き返される。
・幼稚園や保育園で話し方を指摘された。
<おもな症状(大人)>
・特定の言葉がうまく発音できない。(「さしすせそ」は言いにくいなど)
・よく聞き返されたり、発音を指摘されたりすることがある。
・昔から気になっていたが、仕事などで困ることがある。
<構音障害(発音の問題)の種類>
・機能性:構音器官の形式や動きに明らかな問題がなく、原因が特定できない。
構音障害の中では最も多い。
・器質性:口蓋裂術後や先天異常など構音器官の形態異常が原因。
・運動障害性:言葉を発声するために必要な神経・筋系の病変による。
<治療法>
・聞こえ(聴力)や口の形、言語発達について検査をする。
・検査結果に基づいて、訓練が必要な場合には言語聴覚士が1対1で定期的な訓練を
する。
・小児の場合には、保護者がリハビリを行えるレベルまで言語聴覚士が指導して、家
庭での協力もあわせて行なう。
4 流暢性発声障害
<おもな症状>
・言葉の出だしが声がつまってしまう。
・ことばの一部が繰り返される。
・喉に力が入ってしまい、話すと疲れる。
・喉に力を入れないとうまく話せない。
・コミュニケーションや人間関係で悩んでしまう。
<おもな原因>
・大人の場合は、幼少期に発症したものが続いている発達性と、
診断基準に合わせて評価を行う。なんらかの音声疾患が隠れている場合あり。
<治療法>
・言語聴覚士による発生練習(音声リハビリテーション)やアドバイス
・ボツリヌストキンの声帯注入療法
・外科治療(手術) など
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水木一郎さんのように病気によって声が出づらい患者様への音声治療や構音訓練(発生の訓練)などコミュニケーションでお困りの様々な方へのリハビリをおこなうのが言語聴覚士です。
そのほかにも「食べる」や「聴く」など生活には欠かせない機能のリハビリを担っています。
コロナ禍でがんと闘っていらっしゃる水木一郎さん。
公式サイトでは『以前のようなパフォーマンスを取り戻すことは決して簡単ではありませんが、これからもこの病と向き合いながら生涯現役を目標に活動を続けたい』を説明されています。
パワフルな歌声で世代を超えて日本を元気づけてくれたアニソンの帝王水木さんの歌声を聞くことができる日を楽しみにしたいと思います。