こんにちは。日本福祉教育専門学校です。
今回は「自閉スペクトラム症」への対応や支援についてお話しします。
1、「自閉スペクトラム症」のおもな特性
①対人関係を調整することが苦手
人に関する関心が弱いため、他人との関わり方やコミュニケーションの取り方に独特のスタイルがみられます。相手の気持ちや状況という曖昧なことを理解するの苦手で、臨機応変な対人関係を築くことが難しいため誤解されてしまいがちです。
<特徴的な行動>
・あやしても目が合わない
・手と振ってバイバイするときに、手のひらを自分に向ける。
・親の後追いしない
・相手の気持ちをくみ取ることができない(空気が読めない)
・双方向の対人関係がうまくとれない
・普通の会話をしているつもりが相手を不愉快にさせてしまう
・仕事に就いても融通が利かない、もしくは面接が苦手 など
②こだわりが強い
自閉スペクトラム症の子どもは幼少期から特定のものごとやルールに強いこだわりがみられ、好き嫌いは極端です。自分の関心、自分のやり方、自分のぺースを維持することを最優先にしたい志向が強くあります。
<特徴的な行動>
・同じ行動を延々と繰り返す
・何かの手順、物の並べ方に強いこだわりがあり、いつもと同じでないと気が済まない
・特定のものごとに強い興味や情熱を持つが、範囲は狭い
・興味のあることは優秀な結果を出すが、興味のないことは手を付けない
・集中しすぎて周囲がみえなくなる
・スケジュール管理がうまくできない
③周囲が気にしないようなちょっとした物音に過敏に反応する
④寒い日に薄着をするなど感覚に偏りがある
⑤体の動かし方が不器用で、運動がぎこちなく苦手
2、「自閉スペクトラム症」の療育(治療教育)
自閉スペクトラム症の治療の基本は「療育」です。
一人ひとりの状態や特性に合わせた療育のプログラムは、本人の力を引き出して、できることを少しずつ増やしていくことで生活上の困難を減らす助けとなります。
①相談窓口
・市町村の保健センター
・子育て支援センター
・児童相談所
・発達障害情報・支援センター
・発達障害教育推進センター など
②療育を提供している機関
・地域の療育センターなどの公的施設
・病院やクリニックなどに併設された施設や民間施設
・児童発達支援センター
・児童発達支援事業所
・放課後デイサービス事業所 など
3、学校での合理的配慮
自閉スペクトラム症の子どもは得意なことや苦手なことが一人ひとり違っており、知的な発達に遅れがある子もいれば、情緒不安な子、あるいは他の障害を持っている子もいます。
そのため、自閉スペクトラム症の子どもが充実した学校生活を送るためには、「合理的配慮」や「特別支援教育」を受けることがあります。
<学校・学級の種類>
・通常学級
一般的な学級で、1クラス40名以下で編成。支援が必要な子どもには地域によって異なりますが、介助員が付くことがあります。
・特別支援学級
特別な支援を必要とする子どものための学級で、通常の小学校内に設置されています。
通常、人数が少なく原則は8名以下、一人ひとりの課題に合った教育を受けることができます。
・特別支援学校
視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱・知的障害のある子どものための学校です。
通常学級に加えて、子どもの自立に向けた指導を行う授業があり、一人ひとりの特性に応じた支援が提供をします。ただし、学校数が少なく、通学に時間がかかります。
・通級指導教育
普段は通常学級で学びながら、週に1~2回程度で通級指導教室に通って、自分の課題にあった授業を受けることができます。通級指導学校が自校に設置してされていない場合は、他校通級に通うこともあります。
4、ライフステージに応じた支援
自閉スペクトラム症の方への支援は、成長に合わせて、ライフステージに応じて支援を途切れることなく継続することが望まれます。
・幼少期
本人の意欲を育むために失敗しにくく成功体験を得やすいような環境を整える。
・思春期以降
本人主体の活動を増やして、干渉することは極力控え相談に乗る。
早期療育によって特徴が軽減される方もいますが、年齢とともにそれまで気にならなかった別の特徴が強くなるケースもあります。ですので、長期的視野に立った切れ目のない支援が必要です。
それぞれのライフステージに求められる支援のあり方は一人ひとりは異なりますので、主治医や支援者と協力しながら、そのライフステージで優先すべき支援を組み立てていくことが必要です。