こんにちは。日本福祉教育専門学校です。
今月、俳優の渡辺裕之さんやお笑い芸人の上島竜兵さんの自殺報道がありました。
渡辺裕之さんの妻で女優の原日出子さんからのコメントには、渡辺さんがコロナ自粛の頃から先行きへの不安で心の病が蝕んでいったという悲しいコメントも発表されていました。
医師にも相談して、治療を始めた矢先の突然の報道でした。
今回はコロナ禍で増えている「自殺」についてお伝えします。
1、 自殺は社会問題
急激な環境の変化による過重なストレスや大切な人との離別など、人は時として「自殺」を選んでしまうことがあります。
自殺者の性別比率は、おおまかには男性7:女子3となっています。これは日本だけでなく、世界各国が共通しています。
男性に比べて女性の方が一般的にコミュニケーション能力や援助希求能力が高く、男性はストレスを一人で抱え込みやすいことも仮説のひとつのようです。
さらに、WHOの文書によれば、『1人の自殺は周辺の6人に対して強い影響を与える』と言及されています。実際にはもっと大勢の方々が影響を受けているとも考えられます。
家族や友人、知人だけでなく、医療現場で起きた場合には医療従事者や自殺と同じ境遇の別の患者さまにも自分を投影してしまい自殺のリスクが高まることもあります。
2、 自殺の原因はメンタルの弱さではない
健康な心理状態であれば、自ら死を選ぶことはありません。そこには「精神疾患」がキーワードとしてあるのです。
主な精神疾患としては、うつ病・双極性障害・適応障害・統合失調症・不安障害などがあります。精神疾患は心の病と呼ばれていますが、実際には脳の機能障害です。
自殺は脳の機能が異常な状態の中で決断されてしまうのです。
3、 うつ病と自殺の関係とは
うつ病の診断基準のひとつに「死について繰り返し考える」というものがあります。
この診断項目にも表されるように「うつ病」と「自殺」には密接な関係があります。
ある意味、自殺はうつ病の症状であるとも言えるのです。
うつ病は「心の風邪」と言われることもありますが、風邪のようにすぐに治るという意味ではありません。風邪と同じように誰でも可能性のある病気だということです。
また警視庁が発表する自殺統計に基づく自殺者推移データによると、時期的には3月と5月に自殺が増えるということがわかります。
3月は、卒業、入試の合否発表、転勤や異動の発表、就職、引っ越しなど新しい環境になるタイミングです。
悲観的なことばかりではないですが、本人には大きな負担となること多く、うつ病の原因となり、結果的に自殺へと追い込んでしまうケースがあります。
また、5月は五月病という言葉があるように、4月からの新しい生活による緊張感がゴールデンウィークの連休で燃え尽きてしまった状態となり、うつ病に関連していくことも多くある時期となります。
4、「コロナ鬱」と自殺の5つの前兆
そして、うつ病は年々増加している傾向にあり、ここ数年では「コロナ鬱」とも呼ばれるうつ病が激増しています。
自殺リスクが非常に高いとされているのが、「孤独と著しい絶望感」です。
自殺の予知兆候としては、以下の5つが挙げられます。
<自殺の5つの兆候>
1 過去に自殺企図暦がある。
2 本人が「死にたい」と述べ、自殺念慮があることを認めている。
3 過去に自殺企図の手段が縊首(首吊り)、飛び降りなどの成功率が高い手段である。
4 最近、家族や友人などに自殺既遂した例が身近にある。
5 いま、実際に成功率が高い手段で自殺を考えている。
そして、コロナ禍で増加した自殺者の背景には、コロナが自殺のトリガーとなっていることが考えらます。
このような「コロナ鬱」の対策として、精神科医の鹿目将至先生によれば5つの予防法が紹介されています。
<コロナ鬱の5つの対策>
1 自分の症状を冷静に見つめ、「これはコロナのせい」と自覚する。
2 ニュースの追っかけをやめる。
3 規則正しい生活をして、できるだけ体を動かす。
4 明るい未来を予測する。
5 感謝の気持ちを持つ。
うつ病の患者様の主な症状である気持ちの落ち込みに加えて、コロナ鬱では「不安と焦り」が追加されるという特徴があります。先が見えず、今後の見通しの立たないことによる不安や焦りが強くなり、些細なことでも自殺のきっかけとなってしまい、自殺願望者が出てしまいやすくなるのです。
大切な人が悲しい思いを抱えていることがあります。
家族や友人に相談することで、自死考えてしまう言動や行動を救えるのも「人」です。
一人で悩まずに、声に出して相談することが大切です。
▼いのちの電話
0570-783-556(午前10時~午後10時)
0120-783-556(午前4時~9時/毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル
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