2019年

2019/09/03

小児

子どもの聴覚障害 ~種類と原因~

  聴覚障害とは、音の情報を脳に送るまでの部位に障害があるため、 音が聞こえない、または聞こえにくいという状態です。 ここでは子どもの聴覚障害の原因や種類についてご紹介します。     1、聴覚障害とは?   聴覚障害とは、先に述べた通り、 音の情報を脳に送るための部位のいずれかに障害があるために、 音が全く聞こえない、あるいは聞こえにくい状態のことです。   音が全く聞こえない状態を「全聾(ぜんろう)」、 音が聞こえにくい状態を「難聴」といいます。   また、聴覚障害には、後天性のものと生まれつきの先天性のものがあります。   ・先天的な難聴について 先天的に難聴のある子どもは、毎年1000人に1人の割合で生まれています。 聴こえの障害は、生まれつきの障害の中で、もっともよく見られる障害のひとつです。 そのために新生児の段階で聴覚に問題がないかどうか調べるために、 スクリーニング検査を受けることがすすめられています。   ・子どもの難聴の発見の遅れについて 子どもの難聴が中軽度の場合、重度の場合に比べて発見が遅れる傾向があります。 中軽度の場合には、子ども本人も自分が難聴であるという自覚をすることが難しく、 日常生活で不自由が生じても、保護者に伝えてくることが稀であるからです。   ・言語発達の遅れについて 耳から言語など情報を適切に取り入れることができない聴覚障害のある子どもは、 言語発達やコミュニケーションに遅れが生じる傾向にあります。 そのため、聴覚に問題が見つかったときには、できるだけ早く治療を始めたり、 言語聴覚士による訓練や視覚的な手段を使ったコミュニケーション方法を取り入れることによって、 言葉の獲得を目指します。     2、聴覚障害の原因   ・遺伝的な要因 父親と母親の遺伝子の組み合わせや、遺伝子の突然変異などにより 引き起こされる難聴です。 遺伝的な要因の場合、外耳やそのほかの器官に奇形など、 難聴以外の障害が同時に出現することがあります。   ・遺伝以外の要因 遺伝以外の要因には、母親の妊娠中にかかった以下の疾患があげられます。   ・風疹 ・サイトメガロウィルス感染 ・トキソプラズマ ・ヘルペス感染 ・梅毒   そのほかに   ・早産(妊娠37週未満の出産) ・出生後の頭部外傷や、幼小児期の感染症(髄膜炎、麻疹、水ぼうそう) ・ストレプトマイシンなどの抗生物質などの薬 ・耳の感染症(中耳炎)による難聴 など   上記は聴覚障害全体の原因の約6割であり、 そのほかの原因についてはまだわかっていないこともあります。     3、聴覚障害のタイプ   聴覚障害は、聴こえを阻害する部位によって異なり、3つのタイプがあります。 タイプごとに治りやすさ、治療方法、改善方法も変わってきます。   ・伝音性難聴 外耳から内耳の間で、異物などが音の通り道を遮ることで起こります。 具体的な原因が以下の通りです。   ・腫瘍や耳垢などにより外耳道が塞がっている ・鼓膜に傷がついている ・中耳に水が溜まっている ・中耳が菌などに感染し、膿が溜まっている   これらの症状が原因となる「難聴」の場合は、一時的なものがほとんどであり、 薬を飲んだり、溜まった水や膿を抜く治療をおこなうと聴こえが改善されます。   ・感音性難聴 耳の奥の内耳と呼ばれる部位に障害がある状態です。 遺伝的な要因や妊娠中の感染が原因で起こるタイプの難聴です。 音も感知する部分と、その音を信号に変換する部分に障害が起こっているため、 治療や手術によって聴こえを改善することができないこともあります。 そのような場合には、補聴器や人工内耳の装着によって、聴こえを補うことが必要です。   ・混合性難聴 伝音性難聴と感音性難聴が同時に引き起こされる場合が、混合性難聴です。    

2019/09/02

小児

就学時検診を知る-新小学1年生へ向けて-

就学時健康診断は、 小学校新1年生又は義務教育学校新1年生を対象とした 学校保健安全法に基づく健康診断です。 毎年、10月~11月にかけて検診を実施をする自治体が多く、 この検診結果を経て次年度から小学校への就学を証明する 「就学通知書」が届くことになります。     就学時健康診断で調べることは・・・   内科・歯科等医師による健康診断 視力・聴力検査 発達検査 グループ面接 等 が実施されます。     内科や歯科など健康状態のチェックが「健診」   「健診」は内科、歯科など、子供の現時点の健康状態をチェックするものです。   内科 (肥満・やせ気味の他にも皮膚の状態や骨格のチェックも含む) 歯科 耳鼻科 眼科 予防接種の確認   例えば歯科について。   成人が行なうような虫歯の有無を調べる歯科検診の意味合いだけなく、 この時期のお子さんは乳歯から永久歯に生え変わる過渡期と重なりますので、 年齢相応に歯が形成されているかどうかの確認をします。 また、子供の口腔状況から虐待の発見をすることも目的としています。   子供への虐待の歯科的特徴としては、歯または口腔顔面の外傷が考えられますが、 保護者が子供に歯科治療を受けさせず、多数歯の虫歯や歯肉膿瘍などが放置されている ネグレクト(育児放棄)を発見する可能性が高 いと言われています。   このように、第三者より身体的確認をすることにより、子どもの成長だけでなく、 子どもの家庭環境についても確認することを目的としています。     知能や言語などは「検診」   「検診」はお子さんの能力や知能、言語などの発達状態の確認です。   知能検査または知的発達スクリーニングなど 言語調査 聴覚検査 視力検査   これらからは発達上の問題を発見することを目的としています。   例えば「知的障害」。   知的障害とは、「発達期に起こり、知的機能の発達に明らかな遅れがあり、 適応行動の困難性 を伴う状態」をいいます。 知的障害の多くは、胎児期、出生時及び出生後の比較的早期に起こり、 発達期の規定は18歳以下とすることが一般的としています。   そのため、知的機能の発達に明らかな遅れがあるということは、 知的発達に同年齢の平均的水準より明 らかに遅れがあり、 コミュニケーション、自己管理、家庭生活、自律性、健康、安全などに関する 機能の発達の遅れが生じます。   知的機能の発達の原因としては、中枢神経系の器質的・機能的障害に加えて、 心理的・社 会的理由が挙げられますが、その状態が絶対的に変わらない、 ということではなく、教育を含めた生活環境を整備することにより、 適応行動の改善が認められるとされています。     就学時健診後の進学先の種類について   「普通学級」 …通常の健常児のクラス   「通級」 …普通学級に籍を置きながら特別なクラスに何日か通う形式   例えば、国語は普通学級で授業をうけ、算数は別の教室で授業をうける、 ということがあります。レベル別学級のような仕組みです。   「特別支援学級」 …学校の中に併設された配慮の必要な子どものためのクラス   「特別支援学校」 …盲・聾・知的障害児のための独立した学校   就学時健診を経て、子どもたちの個性に合わせてた学校保健、学習環境を提供することが目的です。    

2019/09/02

小児

子どもの発達段階と家庭教育~小児療育のための基礎~

  子どもの発達段階ステージでは、 胎児期から青年期おける発達段階を理解して、 段階に応じた家庭教育を心掛けましょう。     1、胎児期(生まれる前)   【発達段階】 健康な胎児環境による心身の基礎構築   ・視覚器官、聴覚器官が形成される ・感覚器官の発達によって、周りの言葉や感情に反応する (なでられたり優しく話されたりすることで安心を感じることができる) (母親の怒りや哀しみを感じて不安感を生じることはある)   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 新しい命の誕生を喜び、子育ての情報を得て、イメージづくりをする。   ★母体の健康保持に心がける ・休息、睡眠、栄養、適度な運動 ・母親の情緒安定   ★子育てのイメージを具体的にもつ ・家族での家事や育児の協力、分担について話し合い ・子育てに必要な知識の習得     2、乳児期・幼児前期(0~3歳)   【発達段階】 安心できる親子関係の構築   ・無条件に自分を愛し保護する存在として親を信頼する ・周囲への好奇心が芽生える ・少しずつ母親から離れ他者とかかわる ・基本的生活習慣の基礎が身に付く   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 家族のふれあいを通じて、愛情に支えられた豊かな人間性・社会性の基盤を育む   ★0歳~1歳くらいまで、赤ちゃんの望んだことはすべてかなえてあげる、 という気持ちで育てる ・親の温かいまなざし ・温かい言葉かけ ・十分なスキンシップ   ★身の回りのことを子ども自身がやり遂げることができる実感を体得させる ・生活リズム、早寝早起き、食生活 ・トイレトレーニング   ★親としての自覚を持つ ・親の生き方や接し方が子どもの将来を左右することを理解する ・「ありがとう」「ごめんなさい」を親(保護者)が言える ・父親母親など周りの大人が協力して取り組む     3、幼児後期(4~6歳)   【発達段階】 自発性の芽生え   ・集団遊びができるようになり、対人関係能力や秩序感覚を身に付け始める ・善悪の判断基準が形成され始めるとともに、良心が芽生える ・対人関係が保てるようになり他者への思いやりを持つことができる ・身の回りのことが自分ででき始め、基本的な生活習慣が身に付く   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 遊びや生活の中で、ほめたり認めたりしながら、社会性の獲得を手助けする   ★社会性を身に付けさせるための基本的なしつけをする ・社会のルール、家庭のルール ・善悪の基準、あいさつ、我慢、お手伝い   ★やる気を育てる ・親が見本を示す ・一緒にやってみる ・笑顔でほめる、認める   ★子供の自発性をのばす ・「自分でする」習慣を身に付けさせる ・子どもの話を十分聞く     4、児童前期(7~9歳)   【発達段階】 自発性の芽生え   ・集団の中で役割を決めて遊ぶことができる ・他者に共感し、我慢や分けあい、交代などができる ・善悪の判断や規範意識の基礎ができる ・身辺自立ができる ・自然や生命を慈しむことができる   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 様々は活動をとおして、知・徳・体のバランスの取れたしつけを行う   ★積極的に運動や学習に取り組めるよう、生活リズムを整える ・早寝早起き朝ごはん ・家庭学習習慣確立のための声かけ、見届け   ★規範意識を育てる大切な時期であることを自覚する ・様々な体験や活動に挑戦させ、認める、褒める、方針を示す ・その時々の親の感情によって子どもへの対応を変えない ・親の行動を通じてより良いお手本を示す ・あいさつ、お手伝いなど、親子で小さな実践を積み重ねる   ★子ども同士のトラブルに冷静に反応する ・いつでも相談できる学校との関係づくりを心がける ・親の判断で子どもの人間関係をコントロールしない     5、児童後期(10~12歳)   【発達段階】 他者意識の芽生え   ・他者との関係の中で自分のことを考えたり、他者への接し方を考えたりするようになる ・他者との関係の中で善悪の判断がつく ・自分の感情や欲求を抑えることができる ・トラブルを解決しようとすることができる ・失敗から学ぶことができる ・集団の中で自分の役割を意識し、責任を果たそうとする ・生き物の世話をする   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 一方的な欲求や叱責ではなく、子どもとの対話を大切にして、 子どもが他者との関係の中で自分の存在を認められるように支援する   ★子どもと仲間の育ち合いを支える ・子どもの人間関係を把握する ・金銭や物を与え過ぎない ・地域行事や体験活動に、子どもとともに積極的に参加する ・子どもが失敗したり悩んだりしている時には、良き相談相手となる   ★子どもの自己有用感(自分が必要とされていると感じる気持ち)を育てる ・家族の一員としての役割を持たせることで、 「自分は家族の中でなくてはならない大切な存在である」と感じさせる ・学習やお手伝いなどさまざまな経験を積ませることで 「自分は自分なりにやっていける力がある」と感じさせる     6、青年前期(13~15歳)   【発達段階】 自分らしさの気づき   ・自己意識過剰で感受性が強くなり、情緒不安定になりやすい ・他者との関係の中で自他の違いを認め、自分に特性に気づく ・自分の良さを実感したり、自分の短所を自覚したりする ・仲間関係が強くなり、特定の友人との深い人間関係を築く ・異性との望ましい関係を学び始める ・自他の生命の重さが理解できる ・人間の弱さを理解し、思いやり、共感、感謝、批判、悲しみ等が言葉にできる ・社会の一員として自立した生活を営む力を身に付ける ・公共を意識して自分の行動を抑制できる ・法やきまりの意義を理解し、公徳心を持つ ・困難に対処することができる   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 大人の世界に踏み出すために悩み葛藤する子どもにとって、 家庭が精神的安らぎの場となるよう、子どもを温かく見守るとともに、適宜助言する。   ★子どもを一人の人格として認め、接する ・思春期の心と体について理解する ・性や生命について子どもに語る ・夫婦がお互いに尊敬しあう   ★自己肯定感(自分のことが好き、自分は生きている価値があると思う気持ち)を育てる ・「自分は大切な存在である」という実感できる機会をつくる ・他者との比較でなく、子どもの長所を褒める   ★将来の夢や自己実現に向けて働きかける ・点数や成績だけではなく、適正と対話で進路に助言する     7、青年中期(16~18歳)   【発達段階】 自分の個性への誇り   ・思春期の混乱から脱却し、大人の社会を展望しながら生きる課題を真剣に模索しはじめ る ・親から心理的に離れ、自分を客観的に見つけ、自立する(親離れ) ・家族や周囲との関係の中で自分の在り方を決める ・自分らしさを見据えながら、将来を描き始める ・社会人となることや親となることをイメージしはじめる   【保護者が家庭教育で大切にしたいこと】 子どもを一個人として信じ見守るとともに、 人としての生き方を語り合いながら社会人としての自立を支援する。   ★自立に向けて助言する ・子どもに願う生き方を伝える ・子どもの考えを受け止めながら語り合う ・父として、母としての生き方を語る   ★自立した一個人として接する ・子どもを信頼する ・子どものよいところを言葉で伝えるなど、感情を伝え続ける    

2019/09/02

小児

こどもの心身の発達相談~児童相談所・療育センター・養護教育センター

最近のニュースでは、児童虐待を訴えた児童やその保護者と 児童相談所との関わり方が話題になりました。     こどもの心身の発達など育児に関する相談先の体表的な機関として 「児童相談所」「療育センター」「養護教育センター」が挙げられます。   “どこに相談したらいいの?” “どの機関が相談先としてあっているの?”   実際にこどもの発達について相談したいときの相談先について わかりやすくお伝えします。     1、児童相談所   原則として、0歳から18歳未満のこどもを対象としており、 子ども本人からの相談も受け付けをしています。 相談には、児童福祉司・心理判定員・言語聴覚士・社会福祉士・医師などの 専門スタッフが必要に応じて対応します。   ①子どもを育てられない、子どもの対応に悩んでいる、子どもを預けたいなどの相談 ②児童虐待が疑われる場合の相談 ③心身の発達の相談 ④非行の相談、性格や行動に心配があるなどの相談 ⑤不登校、いじめ、友達付き合いがうまくできないなどの相談 ⑥言葉や発達に関する相談 など     2、療育センター   原則として、発達に遅れに心配のある0歳から満18歳の方を対象としています。 心身の発達に遅れや心配のある子どもに対して、 診断・検査・評価をおこない、障害の早期発見と発達支援を目指すなど、 日々の具体的対応のアドバイスもおこなっています。   ①歩くことが遅いことへの相談 ②ことばをなかなか話さないことへの相談 ③耳の聴こえが心配なことへの相談 ④落ち着きのない行動が見受けられることへの相談 ⑤幼稚園や保育園でお友達と遊べない、集団行動が苦手などへの相談     3、養護教育センター   特別支援教育の充実を目指して、 障害等のある子どもの教育相談や特別支援教育についての 教職員研修、指導法等の研究や情報提供をおこなっています。   ①特別支援学級相談 ②LD等通級指導教室 ③学習のつまづき、学習習慣、生活習慣への相談     こどもの心身の発達相談にはさまざまな専門家が関わっています。   子どもに対して、このような心配ごとがあるときには、 一人で悩みこまず、ぜひご相談ください。    

2019/08/30

失語症

失声症と失語症の違い ~声が出なくて悩んでいる方へ~

  自分の声が突然、出なくなったら・・・ 昨日までは会話ができていたのに、声の出し方がわからない・・・   声が出ない症状は神経麻痺、ポリープ、腫瘍などの声帯の異常で起こります。 特に声帯ポリープや声帯結節、声帯炎などの明らかな病気はなく、 精神的な原因で起こる場合は心因性失声症と呼ばれています。 男女間での罹患率を比較すると、女性に多いと言われています。 思春期から30歳前後が発症しやすい年齢といわれていますが、小児でも発症します。   『失声症』は文字どおり、声が出なくなる症状です。 声は声帯が振動することによって発せられます。 この声帯を動かす神経が麻痺した時に、 声帯の振動が全くなくなり声が出なくなる場合があります。 これが失声症です。   失声症は、失語症とは全く異なった症状です。   失語症は精神的な問題やショックなどが原因になることはなく、 脳卒中や交通事故により脳に何らかの障害を負うことで 大脳の言語をつかさどっている部分の損傷によっておこるのです。   また、失語症は決して声が出なくなるのではなく、 ことばがうまく出て来なかったり、コミュニケーションのためにうまく使えない状態なので 言語聴覚士による言語訓練などのリハビリをすることで改善していきます。     心因性失声症とは   <心因性失声症の症状> 心理的ストレスによるダメージや、心理的な葛藤などがあると突然このような状態になります。 また、声が出てもかすれ声、しわがれたような声であるため、 周囲の人が聞き取りづらいこともあり、仕事や日常の会話に支障をきたすことがあります。 心理的な要因が大きいため、時に過呼吸を引き起こすことがあります。   <心因性失声症の原因> 心因性失声症は、心理的な要因により起こることがほとんどです。 女性に多く見られる病気であり、主な原因としては、 会社での立場や責任などで悩んでいる、人間関係が上手くいかない、 周囲との関係で欲求が満たされないときなどに突然起こることが多い病気です。   <心因性失声症の検査と診断> まずは検査で声帯や腔内を検査して器質的に問題ないかを確認します。 特に問題が無い場合は、カウンセリングで 失声症を引き起こしているストレスが何かを調べていきます。 検査には心理テストも含まれ、ストレスの深さを探ったり、 性格判断も行って患者の嗜好をチェックします。 声が出ないのが一時的なものなのか継続的なものなのかも観察して調べます。   <心因性失声症の治療方法> 治療方法は人によって違います。 心因性の病気のため治療方法にも個人差があります。 治療をしなくてもストレスの軽減などによって自然と治癒することもあります。 主な治療法としては、声帯に異常がなければ精神科や心療内科、音声専門外来*を受診します。   *音声専門外来とは あまり聞きなれない音声専門外来。 音声専門外来とは、声が枯れていたり、風邪ではないのに声がうまく出なかったり、 高い声が出ず歌がうまく歌えなくなったり、長い時間声を出し続けられなくなったり、 声について心配な方々が訪れる外来です。   カウンセリングや発声練習などを通じて様子を見ていき、 状況によっては精神安定剤を用いて治療することもあります。   心因性失声症は心理的な起因が大きいので、 カウンセリングによって気持ちを軽くすることが大切といわれています。 周囲のサポートや、 カウンセリングだけでも効果がでることもあります。 治療にかかる期間は個々で異なりますが、1週間~数ヶ月で自然に治ることがほとんどです。   お伝えしたように心因性失声症は、 しばらくすれば自然に治ってくることがほとんどです。 ふっとしたとき突然声が出始めることが多くあります。   しかしながら長期にわたって改善がみられない場合は、 うつ病などを併発することもありますので、精神安定剤を服薬、 さらには入院が必要になることもあります。 自己診断ではなくしっかりと専門医に診断してもらうことが大切です。         失声症になったら自分を見つめて労わってください   心因性失声症は自分の限界を見つめなおす機会です。 精神的ショックは避けられないこともありますが、 過度のストレスなどは、日ごろから自分自身の心身の状態に目を向けていることで、 避けられることもあります。   症状が出てしまっても、焦らず、ゆっくりと構え、それに加え、周りの人の支えがとても大切です。   日ごろから適度に周りの人とのコミュニケーションをとり、 心に余裕が持てるように過ごすよう心掛けていきましょう。     その他の失声症の種類   ・音声衰弱症 大部分が心因性のものとされていますが、症状は少し異なります。 はじめは普通に発声できるけれども、段々と声が弱くなっていってしまう症状。   ・けいれん性発声障害 声帯を動かす筋肉が過緊張状態になり、絞り出している声になっている症状。 心因以外の原因も考えられていますが、心因やストレスが誘因ともいわれています。     声の悩みの横には言語聴覚士がいます   失声症の悩みに寄り添い、カウンセリングや発声訓練を一緒にしていくのは言語聴覚士です。 言語聴覚士を目指すきっかけになったのが「自分の失声症の克服」というかたも少なくありません。   ぜひ言語聴覚士についてもっと多くのかたに知っていただきたいと思っています。    

2019/08/30

失語症

誤解されやすい病気「失語症」とは?

  1、「失語症」の特徴とは     脳卒中の発作のあとに、 「話すことができない」「ろれつがまわらない」などの 言語障害がおこることがあるのは、よく知られています。   脳卒中による言語障害の代表的なものに 「失語症」が挙げられます。   「失語症」という言葉を聞くと、話すことができない状態と思われがちですが、これは誤解です。   「失語症」には次のような特徴があります。   ・言葉が浮かばない(頭の中の引き出しから出せない、探せない) ・ことばが理解できない ・文章が理解できない、書けない ・声帯や口唇・舌の機能に問題がない   なお、失語症以外でも言語障害はありますが、それぞれ原因が違うので、 リハビリ方法も異なってきます。   ・ストレスや神経障害で声帯などがうまく動かずに声に異常が生じる「音声障害」 ・同じ言葉や最初の言葉を繰り返してしまう「吃音(きつおん)」 ・脳卒中などで口唇や舌が動かしにくくなる「運動障害性構音障害」   失語症は声帯や口唇など「声を出す機能そのものに障害はない」ということがポイントです。     2、いろいろなタイプの「失語症」   失語症にはいろいろなパターンがあります。   運動性失語(ブローカ失語) 左脳の比較的前の部分に障害が起きた場合には、 聞いていて言葉を理解することは比較的よくできるものの、 言い違いが多かったり、文の構造うまく組み立てられず 単語や短文でぎこちない話し方になる失語症。   感覚性失語(ウェルニッケ失語) 脳の比較的後ろの部分に障害が起きた場合には、 なめらかに話せるものの、言い間違いが多く意味の通らない言葉を話す失語症。   脳の損傷が広範囲に及んだ場合には、 「運動性失語」と「感覚性失語」が併発する場合もあります。   さらに、   健忘失語 聞いて理解することはできるけれど物の名前が出てこないために 回りくどい話し方になる失語症。   全失語 聞く・話す・読む・書くのすべての言語機能に 重大な障害が起きる失語症などもあります。 「全失語」では、右半身のマヒが伴うことが多く、 ことばのリハビリに時間が要するほかに、 様々なリハビリテーションが必要になります。   「失語症」は、一般的にリハビリ期間が長期にわたることが多いです。   発症後できるだけ早期に言語聴覚士が能力を評価し、 はい・いいえなどの意思手段を確立することで、 家族や周囲の人とのコミュニケーションを取りやすくすることができます。 そのため、体調の回復度合いを確認しながら、リハビリを始めることが重要です。   失語症のリハビリは、言語聴覚士(ST)が担当します。   言語聴覚士は、患者様に「標準失語症検査」という検査をおこない、 その結果をもとにリハビリ内容を決定します。    

2019/08/07

資格

社会人からのキャリアチェンジで言語聴覚士へ

『人生100年時代構想』   ニュースでもよく伝えられている『人生100年時代構想』 国では、一億総活躍社会実現、その本丸は人づくり。と言っています。   「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」   これが、これからの日本の社会で当たり前と変化していくのです。   だから、社会人から学び直しをしたり、子育てが落ち着いて主婦が学び直しをしたり 自分のこの先の人生を見据えてキャリアチェンジに挑戦する方が増えています。   それは年齢やこれまでのキャリア関係なく、20代~70代と実に幅広いのです。   教育→仕事→教育→仕事を繰り返し、教育→仕事→引退ではなく、 自分に合った、自分が選んだ働き方をして人生を楽しむ社会になっていくのです。     人のために役立つ仕事、言語聴覚士     『これからの人生。せっかく働くのであれば、人に役立つ仕事がしたい。』 そう思われている方が増えているのではないでしょうか。   人に寄り添うことで、感謝される仕事。 その理由からいまリハビリ職を目指す社会人の方が多くいます。   その中でも大卒の学歴を活かせて2年間で取得できる言語聴覚士は注目の職業です。   「1対1で患者様を支える仕事」として、身体・精神・コミュニケーションに対して 専門分野の「先生」として、患者様に深くサポートでき、人に喜んでいただける リハビリの仕事は、社会人からのキャリアチェンジを考える人生プランにおいては やりがいを感じることのできる職業です。 そして、いくつになっても学ぶことへチャレンジできる資格です。   そして、なかにはご家族や身近な大切な人がリハビリを経験したことがきっかけで この職業へチェンジすることを決心した社会人の方も多くいらっしゃいます。   『こんな年齢から入学できるの?』   『いまから学校に入学して、卒業するときに就職先はあるの?』   『仕事を辞めて収入がなくなるのが不安。そんな人は入学しているの?』   社会人だからこそ、たくさんの“不安な気持ち”があるのは当然です。   最初に話を戻します。これからの日本は『人生100年時代構想』へ変化していくのです。   「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」 その“不安な気持ち”を、行動へ。まず第一歩踏み出してみてください。   きっと不安が希望へと変わるきっかけになります!  

2019/08/07

資格

言語聴覚士が女性に選ばれる職業のワケ

  1、言語聴覚士の仕事   言語聴覚士は、話をしたり聴いたりといったコミュニケーションに問題のある人や、 食事をすることに障害を抱えている人に適切なリハビリテーションをおこなって、 自立を支援したり、社会復帰を支援することが主な仕事内容です。   その対象は、患者様の症状や、高齢者から子どもまで、実に多岐にわたります。   ●言葉を発することができなくなるという症状   ・脳卒中などが起因として言葉が思い出せなくなってしまう「失語症」   ・脳機能の障害によって唇や舌の筋肉の動きでろれつが回らなくなる「運動性構音障害」   ・先生性の障害によって発達に遅れが生じる「言語発達遅滞」   ・吃音(どもり)や咽頭癌による「音声障害」     ●耳が聞こえない症状   ・老人性難聴   ・小児聴覚障害     ●食べ物がうまく飲み込めなくなる症状   ・嚥下障害     2、言語聴覚士が女性に選ばれる職業のワケ   言語聴覚士の仕事はまず対象となる方の検査を実施して、 その評価をすることでリハビリ方法のプログラム開発をおこない、 リハビリを実施していくというのがひとつの典型的な業務対応プロセスになります。   その仕事内容から基本的に夜勤が設定されておらず、 休みを含めた就業時間が医療機関の中でかなり規則的であることから女性に人気の職種となっています。   さらに産前・産後休暇・育児休暇の活用、託児所を併設している施設も多い点などから 結婚した後も長く続けられる仕事ということで、女性の言語聴覚士が多いのが現状です。   年齢では最も多いのが30代女性、続いて20代女性となっています。     3、言語聴覚士の勤務の現状   言語聴覚士の勤務先としては、以下の通り幅広い勤務先に広がっている状況です。   ・病院などの医療機関 74.1% ・特別養護老人ホームなど 8.4% ・福祉施設 7.4% ・養成校 1.8% ・学校教育機関 1.6% ・研究教育機関 1.2% など   勤務の現状からいえば、まだまだ医療機関が多く、 成人領域では脳梗塞の後遺症である失語症や、 癌などで声帯を切除した方の発音訓練が多い状況となっていますが、 小児領域では、発達障害やアスペルガー障害、自閉症といった 難しいコミュニケーション障害に対する小児療育にも対応するため、 どこで勤務するかで求められる知見や能力は大きく異なるものになってくるのです。   近年では病気の治療のほかに高齢者に対応した分野で、 食べたり飲み込んだりする嚥下機能の回復に大きな力を発揮する言語聴覚士が増えています。   人を相手にして仕事をする言語聴覚士は、コミュニケーション力を高めることが求められます。   子どもから高齢者までうまく意思疎通を進めていきながら、 しっかりとした信頼関係を築いていくという非常にやりがいのある仕事です。   そのため、社会人経験者からの学び直しや転職から言語聴覚士を目指す女性がとても多いのです。   これからのリハビリ系の中でとても注目されている国家資格と言えます。  

2019/08/06

資格

言語聴覚士になるには?3年制と2年制の違いと学校選びのポイント

  言語聴覚士とは、「話す・聴く・食べる のスペシャリスト」で、 コミュニケーションや食べる障害に対応する専門職です。   言語聴覚士を目指して学校選びをするときには、大学・専門学校の選択肢があります。 なかでも、専門学校では2年制と3年制があります。   ここでは、2年制と3年制について、その違いと学校選びのポイントを説明します。     2年制で言語聴覚士になるメリット   ①入学資格は、大卒対象のみ   ②大卒対象のため、修業年限が2年間という最短ルートである。   ③国家資格取得まで最短ルートのため、学費が安い。 (3年制より100万円以上は安くなる)   ④授業のレベルが高いため、国家試験の合格率が高い。 (平均90%以上の合格率実績)   ⑤学習意欲の高い、大卒社会人がクラスメイトとなる。     3年制で言語聴覚士になるメリット   ①入学資格は、高卒でもOK。   ②修業年限は3年間のため、じっくり学べる。   ③高卒対象の場合、大学進学の4年制よりは1年早く資格が取れる。     …いかがでしょうか?   つまり学校選びの一番はじめの重要ポイントは、最終学歴を活かすことです。   ・大卒の場合には、2年制の専門学校 ・高卒の場合には、3年制の専門学校、もしくは大学 となるわけです。     さらに!!   以下のポイントを参考に、学校選びをしてみましょう!   ①修業年限(最終学歴から選ぶ2年間/3年間/4年/の必要性)   ②国家試験合格実績(合格率や合格者数に注目!)   ③卒業までにかかる総額費(修業年限と比例することも視野に!)   ④その学校の特色(曖昧なことを宣伝している学校は要注意!)   ⑤立地     そのほかにも、環境や雰囲気など、実際に学校へ足を運んでみることで自分にあった学校選びを成功させましょう!   そして、言語聴覚士国家試験の合格を勝ち取り、求人件数が年々増え社会の需要が高まる言語聴覚士として活躍できる医療人を目指しましょう!  

2019/08/06

資格

言語聴覚士になるには? 大学と専門学校の違いと学校選びのポイント

  言語聴覚士とは「話す・聴く・食べる のスペシャリスト」でコミュニケーションや食べる障害に対応する専門職です。   言語聴覚士を目指して学校選びをするときには、大学・専門学校の選択肢があります。 まず、ここでは大学と専門学校の違いについて簡単にご説明します。     大学で言語聴覚士になるメリット   ①大卒の学歴となる。 ②一般教養科目が学べる。 ③自分の興味のある科目を選択して、自分の時間割をつくることができる。     専門学校で言語聴覚士になるメリット   ①言語聴覚士国家試験に必要な科目だけを集中して学べる。 ②職業教育が中心のカリキュラムのため、言語聴覚士に必要な知識・技術・マナーが学べる。 ③2年制と3年制があり、短期間で言語聴覚士国家資格を受験できる。   では、なぜ専門学校には、2年制と3年制があるのでしょうか? その違いを確認してみましょう!     ◆2年制の専門学校   ①入学対象は4年制大学を卒業した方のみ ②大学院レベルの高い水準の授業が展開されるため、国家試験合格率も高い。 ③大卒の学歴も無駄にはならず、2年間という最短で集中して国家試験を受験できる。     ◆3年制の専門学校   ①入学対象は高卒でも大卒でもOK。 ②とくに高校からすぐの入学や、高卒の社会人が多く入学している。 ③基礎から国家試験対策まで3年間かけてじっくり学べる。     …いかがでしょうか?   メリットを参考にしながらご自分の学歴や、学びのスタイルに合わせて学校選びをしましょう!   また、自分が学ぶ学校を選ぶときには、 必ず学校見学やオープンキャンパスへの参加をおすすめします。   環境や雰囲気など、実際に足を運んでみることで自分に合った学校に入学し、国家試験に合格して、言語聴覚士として活躍できることを目指して頑張りましょう!