失声症と失語症の違い ~声が出なくて悩んでいる方へ~

2019/08/30

失語症

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自分の声が突然、出なくなったら・・・

昨日までは会話ができていたのに、声の出し方がわからない・・・

 

声が出ない症状は神経麻痺、ポリープ、腫瘍などの声帯の異常で起こります。

特に声帯ポリープや声帯結節、声帯炎などの明らかな病気はなく、

精神的な原因で起こる場合は心因性失声症と呼ばれています。

男女間での罹患率を比較すると、女性に多いと言われています。

思春期から30歳前後が発症しやすい年齢といわれていますが、小児でも発症します。

 

『失声症』は文字どおり、声が出なくなる症状です。

声は声帯が振動することによって発せられます。

この声帯を動かす神経が麻痺した時に、

声帯の振動が全くなくなり声が出なくなる場合があります。

これが失声症です。

 

失声症は、失語症とは全く異なった症状です。

 

失語症は精神的な問題やショックなどが原因になることはなく、

脳卒中や交通事故により脳に何らかの障害を負うことで

大脳の言語をつかさどっている部分の損傷によっておこるのです。

 

また、失語症は決して声が出なくなるのではなく、

ことばがうまく出て来なかったり、コミュニケーションのためにうまく使えない状態なので

言語聴覚士による言語訓練などのリハビリをすることで改善していきます。

 

 

心因性失声症とは

 

<心因性失声症の症状>

心理的ストレスによるダメージや、心理的な葛藤などがあると突然このような状態になります。

また、声が出てもかすれ声、しわがれたような声であるため、

周囲の人が聞き取りづらいこともあり、仕事や日常の会話に支障をきたすことがあります。

心理的な要因が大きいため、時に過呼吸を引き起こすことがあります。

 

<心因性失声症の原因>

心因性失声症は、心理的な要因により起こることがほとんどです。

女性に多く見られる病気であり、主な原因としては、

会社での立場や責任などで悩んでいる、人間関係が上手くいかない、

周囲との関係で欲求が満たされないときなどに突然起こることが多い病気です。

 

<心因性失声症の検査と診断>

まずは検査で声帯や腔内を検査して器質的に問題ないかを確認します。

特に問題が無い場合は、カウンセリングで

失声症を引き起こしているストレスが何かを調べていきます。

検査には心理テストも含まれ、ストレスの深さを探ったり、

性格判断も行って患者の嗜好をチェックします。

声が出ないのが一時的なものなのか継続的なものなのかも観察して調べます。

 

<心因性失声症の治療方法>

治療方法は人によって違います。

心因性の病気のため治療方法にも個人差があります。

治療をしなくてもストレスの軽減などによって自然と治癒することもあります。

主な治療法としては、声帯に異常がなければ精神科や心療内科、音声専門外来*を受診します。

 

音声専門外来とは

あまり聞きなれない音声専門外来。

音声専門外来とは、声が枯れていたり、風邪ではないのに声がうまく出なかったり、

高い声が出ず歌がうまく歌えなくなったり、長い時間声を出し続けられなくなったり、

声について心配な方々が訪れる外来です。

 

カウンセリングや発声練習などを通じて様子を見ていき、

状況によっては精神安定剤を用いて治療することもあります。

 

心因性失声症は心理的な起因が大きいので、

カウンセリングによって気持ちを軽くすることが大切といわれています。

周囲のサポートや、 カウンセリングだけでも効果がでることもあります。

治療にかかる期間は個々で異なりますが、1週間~数ヶ月で自然に治ることがほとんどです。

 

お伝えしたように心因性失声症は、

しばらくすれば自然に治ってくることがほとんどです。

ふっとしたとき突然声が出始めることが多くあります。

 

しかしながら長期にわたって改善がみられない場合は、

うつ病などを併発することもありますので、精神安定剤を服薬、

さらには入院が必要になることもあります。

自己診断ではなくしっかりと専門医に診断してもらうことが大切です。

 

 

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失声症になったら自分を見つめて労わってください

 

心因性失声症は自分の限界を見つめなおす機会です。

精神的ショックは避けられないこともありますが、

過度のストレスなどは、日ごろから自分自身の心身の状態に目を向けていることで、

避けられることもあります。

 

症状が出てしまっても、焦らず、ゆっくりと構え、それに加え、周りの人の支えがとても大切です。

 

日ごろから適度に周りの人とのコミュニケーションをとり、

心に余裕が持てるように過ごすよう心掛けていきましょう。

 

 

その他の失声症の種類

 

音声衰弱症

大部分が心因性のものとされていますが、症状は少し異なります。

はじめは普通に発声できるけれども、段々と声が弱くなっていってしまう症状。

 

けいれん性発声障害

声帯を動かす筋肉が過緊張状態になり、絞り出している声になっている症状。

心因以外の原因も考えられていますが、心因やストレスが誘因ともいわれています。

 

 

声の悩みの横には言語聴覚士がいます

 

失声症の悩みに寄り添い、カウンセリングや発声訓練を一緒にしていくのは言語聴覚士です。

言語聴覚士を目指すきっかけになったのが「自分の失声症の克服」というかたも少なくありません。

 

ぜひ言語聴覚士についてもっと多くのかたに知っていただきたいと思っています。

 

 

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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