こんにちは!日本福祉教育専門学校です。
厚生労働省の調査では、国内のアルコール依存症の方は109万人と推測されていますが、実際には通院しておらず危険飲酒をしている人が約100万人いるともいわれており、さらにはアルコール依存症予備軍となると800万人以上とも言われています。
しかし、いま、コロナ禍のなかでこのアルコール依存症の方がさらに増えているようです。
今回はコロナ禍で深刻化するアルコール依存症の問題についてご説明します。
1.なぜ、コロナ禍ではアルコール依存症が増加するのか?
国税庁のデータでは、2019年に比べると2020年、2021年はアルコールの消費量が減っています。飲酒量が減っているということになりますが、これはおそらく「外飲み」が減ったのだと推測されます。新型コロナウイルス感染症拡大で飲食店の多くが営業自粛や短縮をし、外飲みをする機会が大幅に減少したのでしょう。
一方で、コロナ禍によって失業したり、リモートワークとなったり生活の変化が原因でストレスが溜まりいわゆる「家飲み」で大量飲酒に走ってしまうケースも増えているようです。
「家飲み」では、終電の時間を気にせずに飲み続けてたり、自宅で一人で飲んでいる場合には周りに注意してくれる人がいないのでブレーキが利かずいくらでも飲んでそのまま寝落ちるなどまさにオンオフのないお酒の飲み方になってしまうなどがあり、アルコール依存症の危険が隠れているのです。
2.アルコール依存症とは?
アルコール依存とは、お酒の飲む量や状況、タイミングを自分でコントロールできなくなった状態のことです。
病気ではなく、心が弱いとか性格の問題とか思われがちですが、アルコール依存は本人の意思の弱さによって起こるものではなく、医療機関での治療が必要な精神疾患の枠組みにある病気なのです。
そして、アルコール依存症では2つの依存症状があります。
①精神依存の症状
・お酒への強い欲求が起こって飲まないと落ち着かずに不安になる。
・飲みはじめると適量で抑えられない。
・記憶をなくすほど飲んでしまう。
・お酒がないと家中を探し回ったり、夜中でも買いに行く。
・もう飲まないと決めても、また再び飲んでします。
・飲んだ次の日はつらく、でもまた朝からお酒を飲むことがある。
②身体依存の症状
・お酒を飲まないと手や体が震えるようになったり、逆に飲むと収まる。
・飲んでいないと大量に汗をかいたり、動悸が激しくなる。
・飲酒をやめると1~2日後に痙攣、寝汗、吐き気、嘔吐などの症状が出る。
・飲酒していないと幻聴や幻覚があらわれる。
3.あなたは大丈夫?アルコール依存症の危険度をチェックしてみましょう!
日本で最大のアルコール依存症治療機関である久里浜医療センターの『KAST(久里浜式アルコール症スクリーニングテスト』でセルフチェックしてみましょう。
Q1、アルコールを飲む頻度は?
飲まない 0点
月1回以下 1点
月2~4回 2点
週2~3回 3点
週4回以上 4点
Q2、ふだん1日にビール(500㎖)を何本飲む?(日本酒1合/ハイボール350㎖)
0.5~1本 0点
1.5~2本 1点
2.5~3本 2点
3.5~4.5本 3点
5本以上 4点
Q3、ビール(500㎖)を飲む頻度は?
なし 0点
月1回未満 1点
月に1回 2点
週に1回 3点
ほぼ毎日 4点
ここまでの合計が6点以上の場合、アルコール依存が疑われます。
- 男性5点 女性3点以下 → 上手にお付き合いできています。
- 男性6点 女性4点以上 → 問題飲酒の可能性あり
アルコール依存症は、肝障害・食道静脈瘤・アルコール膵炎・アルコール心筋症・ウェルニッケ脳炎・アルコール小脳変性症のほか、うつ病・パニック障害・不安障害なども合併している起こることがあります。
最近では、今までほとんどの飲まなかったり飲めなかったりした人が飲みはじめたり、女性や高齢者でもアルコール依存症が増加する傾向があるようです。
アルコール依存症を知り、この機会にみなさんもお酒との上手なつきあい方や向き合い方について考えていただく一助になれれば幸いです。