こんにちは!日本福祉教育専門学校です。
新型コロナウイルスの感染が子どもたちにも増える中、夏休み明けの新学期がはじまりました。学校現場では感染対策と子どもたちの学びの両立を図ろうと分散登校やオンライン授業など苦心しています。
文部科学省の発表では、2020年(令和2年)に自殺した小中学生は過去最多の497人にのぼり、夏休み明けの8月は前年同月の2倍超と突出しているという分析結果でした。
<過去5年間における児童生徒の自殺者数>
2016年:289人
2017年:315人
2018年:333人
2019年:339人
2020年:497人 ←コロナ禍となった年
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子どもたちの現状
新型コロナウイルス感染症が発生してから、時間軸で子どもたちの現状やこころの揺れを振り返ってみます。
- 2020年3月~5月頃 休校/緊急事態宣言 (*イライラ)
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- 2020年6月~7月頃 学校再開 (*不安)
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- 2020年9月~10月頃 夏休み短縮で2学期へ
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- 2020年11月~12月頃 新しい生活様式/行事の縮小中止/部活の制限 (*無気力)
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- 2021年2~3月頃 学期末 (*うつ傾向も)
2020年初春の突然の長期臨時休校以降、さまざまな側面で「新しい生活様式」で子どもたちの生活は変化しています。
国立成育医療研究センターの調査では、『就寝時間の乱れ』・『スクリーンタイム(テレビ・ゲーム・スマホ)の増加』・『食生活の乱れ』・『対人関係の変化』などに変化があったと報告されています。これらの影響でストレス症状の頻度が増加して、思春期世代ではうつ症状を抱えた生徒が増えているようです。コロナ禍において、子どもたちの心の健康への影響は日本だけでなく世界中で指摘されています。
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小中高生の自殺と命のSOS
2021年上半期の子どもの自殺は、過去最高だった2020年上半期を上回るペースで起きています。2021年6月に、厚生労働大臣指定法人いのちを支える自殺対策推進センターが公表した調査結果によると、ネット上で『学校 行きたくない』というワードの検索数が増加したあと、子どもの自殺者が増加したという関連性が判明しました。
増加の背景には、先述の国立成育医療研究センターの調査(思春期のうつ症状の重症度尺度PHQ-A)によって、4人に1人の子どもが中程度以上のうつ症状が見られたということがあります。
さらに、2021年上半期の小中高生の自殺者も昨年を上回る水準で推移していることもわかっています。まさに、『学校に行くたくないは命に関わるSOS』ともいえるでしょう。
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子どもたちと接するときに
子どもたちもどうしていいかわからないのです。
周囲の人や大人に相談するのは、けっこう大変なことなのです。
だからこそ子どもと接するとき大切なことを4つお伝えします。
- 悩みに気づくこと
- 相談先がわかること
- 反応を受け止めること
- 言葉にして相談すること
話は聞くときには、「もう少し教えて」「それってつらいね」
「それってどんな感じなの?」「そういうとき、どうしてるの?」と声かけたり、
心配をかけてもいいことを伝えたり、声をかけてほしいポイントを伝えることも大切です。
「しんどくなる前に連絡してもいいんだよ。」と子どもが相談できるところを伝えておくこともよいでしょう。
そして、もし「死にたい」と言われたら…。
驚いたり、不安になってしまうかもしれませんが、周囲は落ち着いて対応することが大切です。
<TALKの原則>
- Tell 心配していることを言葉にして伝える
- Ask 「死にたい」という気持ちについて率直に尋ねる
- Listen 「死にたいほどつらい」という絶望的な相手の気持ちを傾聴する
- Keep safe 危ないと思ったら、まず本人の安全を確保する
コロナ禍での新しい生活様式は大人だけでなく、子どもたちにも大きなストレスとなりこころや身体に影響を及ぼしています。
定期的に話しをすること、そして相談を受ける支援者も一人で抱え込まないようにすることも重要です。
必要に応じては、精神科医、精神保健福祉士、心理士など専門家に相談することが命を守ることにも繋がります。
まだまだ先の見えないコロナ禍での日常ですが、子どもたちのSOSを見逃さず、命の大切さも伝えていきたいですね。