うつ病と自殺について

2020/10/27

精神疾患

新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、有名人の自殺や自殺者による巻き込まれ死亡など、自殺に関連する痛ましいニュースが報道されています。
うつ病は誰でも発病する可能性があり、決して他人事ではありません。
また、うつ病で一番問題になることは自殺です。

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今回は、「うつ病と自殺」について知り、大切な命を守ることを一緒に考えましょう。

 

1、うつ病の原因とはなにか

うつ病の原因ははっきりとしたことはわかっていませんが、脳内伝達物質のバランスの乱れによっておこっていると言われています。
几帳面や生真面目で対人関係に配慮深い性格がうつ病になりやすいとされていますが、しかし、このような性格の方がすべてうつ病を発症するわけでもありません。
また、うつ病を発症した方が同じ性格をもっているわけでもありません。
性格傾向は重要な要素ではありますが、多くの要因の一つと考えておくとよいでしょう。

性格以外でも、環境の変化も要因となり得ます。コロナ禍で自殺のニュースが多く取り上げられているのも環境の変化が影響しているのかもしれません。リストラ、転職、就職、離婚、死別など状況の変化はストレスとなり、うつ病発症のリスクを高めると考えられます。

うつ病になると、どこに、誰かに、など何かに原因を求めがちです。その結果、本人の性格やご家族のせいにされたり、職場のせいにされたり、さらに人間関係がまずくなってしまうこともありますが、これらは治療的には避けたいところです。
うつ病という病気の原因を一つと考えるのではなく、身体面・心理面・社会的側面などが関与する中で発症したものと捉え、家族や友人、職場も治療の協力者として考えていくとよいでしょう。

 

2、うつ病ではどんな症状がでるのか

うつ病は「心の病」であり、「身体の病」でもあるかもしれません。
実際にうつ病となると身体にもさまざまな症状が出てきます。

【自分で感じる症状】
憂鬱、気分は重い、気分が沈む、悲しい、イライラする、元気がない、眠れない、集中力がない、好きなこともやりたくなくなる、細かいことが気になる、大事なことを先送りする、物事を悪い方向へ考える、決断できない、自分を責める、死にたくなる
【周りから見てわかる症状】
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着きがない、飲酒量が増える

【身体に出る症状】
食欲がない、便秘がち、身体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、動悸、胃の不
快感、めまい、喉が渇く

 

3、自殺の予兆

うつ病で一番問題になるのは自殺であり、命にかかわる病となります。
うつ病は軽度であっても「死んだ方が楽になる」と考えてしまう人がとても多く、自殺願望へと繋がっていきます。
日本でもここ数年は年間で自殺者が3万人を超えており、なかでも中高年の男性が多いため、男性の平均寿命を下げたとも言われています。
自殺者の約9割に精神障害がみられ、そのうち4割がうつ病ではないかといわれています。このようにうつ病による自殺の問題は社会的にも大きいのです。

 

自殺が起きる背景には、うつ病のほかにも、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用、パーソナリティ障害などの心の病が隠れています。
自殺という最後の行動に及ぶ前に精神科などの専門医療機関に受診していた方はごくわずかというのが現状です。
とりわけ、心の病のなかでも、うつ病が最も自殺との関連が強いのです。

では、実際に自殺にはどのように行動の変化が現れるのでしょうか。
潜在的に自殺の危険が高いと考えられている人は、何らか行動の変化が現れた場合、自殺の直前サインと考えられます。

 

【自殺の直前のサイン】
 ●情緒が不安定になる。
 ●深刻な絶望感、孤独感、自責感、未価値観に襲われる。
 ●これまでの抑うつ的な態度と変わって、不自然なほどに明るく振る舞う。
 ●性格が急に変わったように見える。
 ●周囲から手を差し伸べられた救いの手を拒絶するような態度に出る。
 ●投げやりな態度が目立つ。
 ●身なりを構わなくなる。
 ●これまでに関心のあったことに対して興味を失う。
 ●職場や学校を休みがちになる。
 ●交際が減り、ひきこもりがちになる。
 ●激しい口論やけんかをする。
 ●過度に危険な行動に及ぶ。
 ●極端に食欲がなくなり、体重が減少する。
 ●不眠がちになる。
 ●さまざまな身体の不調を訴える。
 ●家出、放浪、失踪をする。
 ●多量の飲酒や薬物を乱用する。
 ●大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする。
 ●死にとらわれる。
 ●自殺をほのめかす、自殺についてはっきりと話す。
 ●遺書を用意する。
 ●自殺の計画を立てたり、手段を用意したりする。
 ●自傷行為に及ぶ。

 

4、うつ病の治療とは

このように自殺を予兆するサインがいくつか認められたら、自殺が実行に移される危険は高いと判断して、救いを求める叫びとして真剣に捉えることが大切であり、専門家による適切な治療を受けることが大切です。

うつ病の治療には効果的な薬や心理療法が開発されています。
うつ病になったことを認め、単に悩み事や怠けた状態でなく、心や身体を巻き込んだ深いレベルの病気が起こっているということを認識することも重要です。
うつ病は再発予防までを視野に入れて息の長い付き合いになることを理解することも必要といえるでしょう。

 

<生きづらさを感じている方々へ>

新型コロナウイルス感染症の影響もあって、今後の生活について不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか。
どうかひとりで悩みを抱え込まず、まずはご家族やご友人、職場の同僚など、身近な人に相談してください。
もし、身近な人には相談しづらい、あるいは相談できる人が周りにいないというときは、
「こころの健康相談統一ダイヤル」や「自殺対策のSNS相談」などに、あなたの不安やつらい気持ちを伝えてください。あなたからの相談を待っています。
支えにつながるその一歩を、どうか踏み出してください。

厚生労働省 加藤勝信

 

●こころの健康や精神科医療など精神保健福祉全般に関するご相談は、全国の精神保健福祉センターへ

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※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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