行政分野で働く精神保健福祉士について

2020/07/21

vol10

 

精神保健福祉士の活躍できる場所は、行政分野にもあります。都道府県庁の障害福祉担当課、精神保健福祉センター、保健所、都道府県立の医療機関、児童相談所などが行政分野にあたります。

 

業務内容は所属機関によって様々ですが、精神保健福祉に関する知識・技術が必要とされる部署に配属されることが多いです。これは当然のように感じるかもしれませんが、近年特に重視されている動向です。厚生労働省が「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を定め、地域生活支援の強化などを推し進めていることが背景となり、都道府県、市町村にて精神保健福祉士の活躍が期待されています。

 

行政で働く精神保健福祉士の大きな役割は、日本国民全体の精神保健福祉の向上です。直接の支援だけでなく、間接的に市民と協働することや、支援制度や施策を立案することも業務としてあります。

 

 

行政分野で働く精神保健福祉士の業務とは

 
行政分野で働く精神保健福祉士の実際の業務を、大きく分けて9つ紹介します。

 

  • ①精神保健福祉相談
  • ②サービス利用に関する支援
  • ③技術支援・助言・指導
  • ④調査研究・企画立案・計画策定
  • ⑤普及啓発
  • ⑥研修・組織育成
  • ⑦関係機関及び団体との連携・協力・連絡調整
  • ⑧行政機関の責務等が規定されている法令に基づく業務
  • ⑨精神保健福祉サービスの充実や資源定着のために行う業務


 

①の精神保健福祉相談が、最も想像しやすいかもしれません。精神保健福祉の課題を抱える人に対して、問題を理解、整理し、解決へ導くことです。その解決策の中で②のサービス利用に関する支援が含まれることが多いでしょう。患者や相談者の希望を踏まえた上で、適切な社会資源を紹介するのが精神保健福祉士の仕事です。また、紹介だけでなく、利用支援と調整も行います。

 

③の技術支援・助言・指導とは、精神保健福祉士の視点から、地域の支援体制の基盤強化を目指し、関係機関の位置づけや機能に応じた技術的な協力や支援及び助言や指導を行うことです。簡単に言うと②と逆で、関係機関から精神病患者の相談を受けることが主でしょう。

 

④の調査研究・企画立案・計画策定においては現場で精神病患者を直接支える業務とは少し変わってきます。行政機関として、地域で求められた施策や事業の企画立案、計画策定を行います。ニーズの調査を行い、形式的なものであったり机上の空論となってしまわないよう慎重に聞き取りを重ね、福祉サービスを考えていきます。そして⑤の普及啓発の観点で、地域での交流会を企画するなど理解の促進をすることも精神保健福祉士の仕事です。

 

そして専門職として、精神保健福祉士の質の向上のために⑥の研修や組織育成を考えることも重要です。所属組織にもよりますが、精神保健福祉士としての確かな知識と技術、そして実務経験が求められます。また、精神保健福祉分野のみならず社会全体の動きやニーズを捉える力も必要です。

 

⑦の関係機関及び団体との連携・協力・連絡調整はどの精神保健福祉士の仕事においても切り離せない業務でしょう。医療機関や福祉機関のみならず、地域のボランティアなどあらゆる諸団体との連携が求められます。

 

⑧行政機関の責務等が規定されている法令に基づく業務は、想像しにくいかもしれません。これは例えば、精神科病院にて人権侵害を伴う事件が発生した場合に、法律に基づく医療機関への指導強化が急務となります。元の指導のどこが悪いのか、どう解決していくのかを、法律だけでなく精神保健福祉士の歴史や課題、権利擁護に関する専門知識に照らし合わせて考えていく必要があります。現行法では事例がない場合も多く、現行法の不備を認識し改善していく姿勢が大切です。

 

そして最後に⑨の精神保健福祉サービスの充実や資源定着のために行う業務とは、日本という国の精神保健福祉サービスの充実に向けて、新しい事業が定着するように将来的な施策を考え展開していくことです。国がモデル事業化した「精神障害者○○推進事業」といった事業を運用したり、改善提案を行うなどが業務です。

 

 

行政分野の精神保健福祉士が持つべき指針
 
いかがでしたでしょうか。一般的に想像される精神保健福祉士の仕事は精神病患者にまつわる相談業務だと思いますが、行政分野においてはさらに他の関連施設へ技術指導を行ったり国のモデル事業の改善まで業務は多岐にわたります。

 

そんな行政分野の精神保健福祉士が、業務を実践していく上で持つべき指針を以下に列挙します。

 

・患者本人の権利の擁護と自己決定を尊重する

・患者の強みを伸ばすような視点から相談を理解する

・個人、家族、集団、地域の個別化を重視し理解する

・患者本人とその家族のニーズを把握する

・必要なサービスが途切れることを防ぐ

・患者を含む住民の多様な相談内容に対応できるよう努める

・既存の制度運用に留まらず最善の支援を考える

・ソーシャルワークの視点から施策の創設及び改善を行う

・多職種、他機関と連携し支援ネットワークを構築する

・人、地域、社会システムの全体関連性を踏まえる

・行政機関のなかでソーシャルワークの視点を定着させる

 

 

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

精神保健福祉士の仕事