精神保健福祉士に興味のある方へ―就職先とは―

2020/08/07

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新型コロナウイルス感染症の予防によって、私たちの生活様式が新しいものになりました。

「コロナショック」と言われるなか、私たちの仕事観・会社感への影響も出ているでしょう。
契約社員や派遣社員、アルバイトの契約をはじめとして雇用状況が厳しくなり、今後失業者が急増する可能性があるとも言われています。
そして、雇用情勢が悪化すると、自殺者が増えてしまったり。こうした望まない社会的損失を私たちは考え、社会的な対策を防いでいかなくてはなりません。

このような社会の変化の中で、いま、注目されているのが『精神保健福祉士』という国家資格です。
コロナ禍を受けて、多く人がこれまでのよりも緊張感の高い生活を送っているなかで、“人々を支え、自分自身もやりがいを感じる仕事に就きたい“、このような転職を希望する社会人が就活をする大学4年生に注目されつつある国家資格です。

今回は、心の寄り添う医療系国家資格『精神保健福祉士』について、そのおもな就職先を説明します。

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1、精神保健福祉士の仕事内容とは?

精神保健福祉士は、精神面に障害のある方を対象に生活面での支援を行うのは主な仕事です。Psychiatric Social Workerを略して、「PSW」と呼ばれており、精神障害者に特化して相相談援助や社会資源を提供する専門職であり、国家資格です。

 

具体的にどのような役割があるでしょうか。
障害のある方を密接に関わりのあることと言えば、医療費と生活費です。

ご自身はもちろんですが、そのご家族にとっても医療費は大きな負担です。そして、障害を抱えた方が世帯主だった場合には生活費の捻出も困難を強いられるでしょう。
厚生労働省が代表例としてあげている精神障害者は、統合失調症、てんかん、依存症、気分障害、高次脳機能障害などがあります。いずれも症状が悪化すると仕事を続けることが困難になりやすく、休養をとりながら治療をしていくケースが多いです。

障害者ご本人の医療費や生活費として活用できる公的支援制度を斡旋するのも、精神保健福祉士の仕事のひとつです。
もちろん、できる限り社会復帰を支援して、本来の自立した仕事ができるようにサポートしていくという重要な役割もあります。社会復帰に向けて、日常生活に必要な訓練や会話の練習など直接精神障害者の方と向き合うことも欠かせない仕事です。
さらに、再び社会に出て働くための支援や、就職を果たした後も仕事に定着できるまでのサポートなどもおこないます。

精神保健福祉士がこのように多岐に渡る仕事を担うことになった背景には、2006年に施行された「障害者自立支援法」と、2012年に施行された「障害者総合支援法」があります。
この2つの法律がきっかけで、それまで入院医療が中心だった精神障害者の方が、地域での生活へと変化していきました。

これまで病院で生活していた精神障害のある方が地域で生活するとなると、専門知識を有する支援者が必要となります。そこで、精神保健福祉士が、精神障害をお持ちの方と社会がつながりを持てるように導く役割をしていくことになったという背景があります。

2、精神保健福祉士と社会福祉士との違いは?

社会福祉士も、精神保健福祉士と同じく国家資格のひとつです。
心身に障害を抱えるさまざまな事情から通常の生活を送ることが困難な方を支援することがおもな仕事です。
社会福祉士が支援するのは、障害を抱えて社会参加や自宅での生活が難しい方だけではありません。突発的な災害や失業といった何らかの働けない事情を抱えて生活が困難になった方への支援も社会福祉士の仕事です。また、不登校や虐待など子育てに関する問題も対応することもあります。
社会福祉士は、社会の中で何らかの支援を必要としている方やその家族の相談を受けて、その方の状況に合った適切な紹介や申請をおこなって、自立した生活になるように支援をする専門職です。

精神保健福祉士との違いは、その対象者です。
精神保健福祉士が支援をするのは精神に障害を抱えた方で、対象となる人が限定されているという点が違います。それだけ専門性が高く、専門領域が特化していると言えるでしょう。
なかには、社会福祉士の国家資格を持ちながら、さらに精神保健福祉士の国家資格を取得する人もいます。社会福祉士の国家資格で全般の相談援助はできますが、さらに精神保健福祉士の国家資格を取得することで、精神面に障害を抱えている方に対しても特化した支援をおこなうことが可能となります。

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3、精神保健福祉士の就職先

①病院
精神保健福祉士としてまず挙げられる就職先が病院です。

精神科の専門病院、総合病院の精神科、心療内科クリニックなど、さまざまな形態の医療機関が挙げられます。いずれも地域を支える拠点です。
医師と連携して精神障害のある方の生活に関わる情報を把握し、社会復帰に向けて生活を支えていきます。

精神科病院では、集団精神療法や認知行動療法、グループワーク、リハビリ、デイケアといった業務をおこなっています。また、在宅生活に関わる相談では訪問業務をおこなうこともあります。

 ②福祉施設
病院の次に挙げられるのは、福祉施設です。

おもな福祉施設として、就労継続支援事業所、地域活動支援センターなどの精神障害者福祉施設の現場です。これらの福祉施設では、利用である精神障害者の方に対して、就労に関するトレーニングや職場への定着、電話や対面による相談など、日常生活に関わるさまざまなサービスを提供していきます。
それ以外にも、地域への情報発信や精神障害者の方の居場所づくり、関係機関相互の連携の中心となることでネットワークを活用できるハブ機能を果たしたりもしています。
精神障害者の方やそのご家族がよりよい生活を過ごせるように支援します。

③養護施設
福祉施設だけでなく、養護施設も精神保健福祉士の就職先です。
生活支援サービス分野のなかでも、グループホームやケアホーム、生活保護法で設置されている救護施設、児童福祉法で設置されている児童養護施設などがあります。
また、保護者がいなかったり、虐待などの環境上養護を必要とする児童に対して、相談援助や自立に向けての援助、衣食住への健康管理や作業訓練などのリハビリなど、地域で生活できるようになるための指導をおこないます。

④行政機関
精神保健福祉士は医療機関だけでなく、行政機関でも活躍することはできます。

行政機関としておもには、市役所区役所、保健所、精神保健福祉センター、福祉事務所などがあります。コロナ禍でテレビ画面でもよく精神保健福祉士センターの電話番号が案内されていますが、これらで心の問題について専門的な相談と援助などの相談業務をおこなっている専門職が、まさに精神保健福祉士です。
また、精神障害者への偏見をなくすための地域住民への啓蒙活動やボランティア活動、患者会や家族会を発足する仕事などもしています。

 ⑤司法施設
2003年に「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障がい者の医療及び観察に関する法律」が制定されました。この法律は、精神障害が原因で善悪の判断がつけられずに重大は犯罪を犯してしまった人を対象とする法律です。
精神保健福祉士は、法律に基づく指定された医療機関で医療チームの一員としてや、保護観察所などの施設で精神保健参与員や社会復帰調整官としての役割を果たしています。

⑥企業・教育機関
企業では、ソーシャルワーカーとして職場でのストレスやうつ病のケアや、理解を深めるためのプログラムやシステムを作る仕事をしています。
教育機関では、小学校や中学校ではスクールソーシャルワーカーとして子どものケアや、いじめ、不登校などの学校で起きるさまざまな問題の解決ができるようにすることも担っています。
精神保健福祉士の活躍の場として今後さらに期待ができる就職先と言えるでしょう。

 

このように精神保健福祉士の活躍の場は多岐に渡っています。
そして、少子化や高齢化が進んだり、ストレス社会、さらにはコロナ禍による社会不安など、精神保健福祉士が必要とされる場面は広がっていくでしょう。
精神保健福祉士に興味をお持ちの方は、どのような形で貢献し、人々と関わっていきたいかとしっかりと定めるとよいでしょう。
ご自身の一生できる職業として、精神保健福祉士の国家資格取得にチェレンジすることも素敵なキャリアプランです。

 >精神保健福祉士のことをもっと知りたい こちら

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※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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