医療分野で働く精神保健福祉士の業務とは

2020/07/21

vol9
 
精神保健福祉士の職場で代表的なものは医療機関でしょう。精神保健福祉士が所属する医療機関は、精神科病院、診療所、総合病院が中心です。精神保健福祉士としてどのように働くかは、職場によって大きく異なります。

 

国家資格として精神保健福祉士が生まれる前は、精神科ソーシャルワーカーとして多くの方が医療機関にて精神障害者を支えてきました。そして精神保健福祉士が国家資格となった背景には、精神障害者が精神科病院に社会的長期入院をしてしまうケースが非常に多くなってしまったことと、精神障害者の社会復帰などに対する相談業務などの専門職が必要であるという声が大きくなったことがあります。

 

そのため、まず医療分野で働く精神保健福祉士の大きな目標として、長期入院者の社会復帰を促すことがあります。つまりそれは地域で支えて支援できるようにすることでもあります。

 

医療機関で働く医師や看護師はどうしても医療行為に重きを置く専門家であるため、精神保健福祉士が地域社会との接点を多く持ち、医療機関内へとフィードバックし、地域に開かれた医療を推し進めることが求められています。

 

また、近年精神科には統合失調症などの患者だけでなく、うつ病や認知症、メンタルヘルスの課題を抱えた患者が増えてきています。社会的な環境の変化も、医療分野で働く精神保健福祉士は対応していかなければなりません。

 

医療分野における各業務において、精神保健福祉士がどのような指針を持って業務に取り組んでいくのかを解説していきます。
 
 
医療機関での受診と受療に関する支援
 
・相談者の思いや希望に寄り添う

・生活者視点から情報を収集する

・社会的視点から相談者を理解する

 

受診においては、相談者が患者本人でないことも多くあります。家族や関係者が相談者である場合、その思いや希望にまず寄り添うようにしましょう。その上で、患者本人の生活者視点から情報を聞き、整理していく必要があります。相談者と患者が違う場合に、両者の希望や主張を混ぜて考えてしまわないようにしましょう。

 

 
生活者の情報収集と課題整理
 
・患者の良いところを伸ばせるよう相談者と協力して支援を考える

・多職種によるチーム医療において福祉職としての専門性を持つ

 

支援を求めている場合、どうしてもマイナス要素のことから支援方法を考えてしまいがちです。しかし、重要なのは患者の良いところを引き出して伸ばしていけるように、例えば患者の夢や希望はどのようなことなのか、それを目指すためにはどう支援していくべきなのか、といった視点から考えていくことが重要です。

 

 
入院における支援
 
・人権に配慮する

 

入院はまず、相談者の意志があっても患者の希望とは異なる場合も多々あります。その場合、まず相談者の希望を叶えられるように動きながら患者の意思決定に配慮する必要があります。そして入院においては本人はもちろん、家族や関係者も少なからず不安やストレスを感じます。それを理解し、法律や制度について柔らかく充分な説明を行い、治療と療養環境を調整することが必要です。

 

 
退院計画の立案
 
この業務においてはここまで見て来た、相談者の希望に寄り添うこと・患者の良いところを伸ばせるように支援を考えること・福祉職としての専門性を発揮すること、などが求められます。

 

特に入院生活が長い患者の場合、退院は非常に不安の多いことであり、どうしても保守的な退院計画になってしまいがちです。しかし本来は患者本人の強みや希望を取り入れ、できる限りチャレンジングなプランでも実現していけるよう工夫をするのが精神保健福祉士の仕事です。時にはチーム医療に関わる専門職全員に、直接患者の希望を届ける場を設けたり、家族や支援者にもそれが伝わるよう工夫をすることが必要となるでしょう。

 

 
グループワークの実施
 
・リハビリテーションにおいて、グループメンバーの相互作用を活用する

 

医療分野で働く精神保健福祉士は、業務の中でレクリエーション的なイベントやリハビリテーション目的の大人数プログラムを企画することも多くあると思います。

この場合、グループ全体を見ることと、グループ内外で対人関係を築けているかどうかの把握が必要です。グループワークはグループ全体がうまくプログラムを行えるかどうかと同時に、個別支援という側面も併せ持っています。患者の能力に応じて参加を勧めたり、能力が向上できるよう支援することが大切です。

 

 
救急・急性期医療における支援
 
・入院中の生活の連続性を保障する

・地域の関連機関と対等な関係を築き、支援ネットワークを作る

・制度や組織を効果的に活用し相談者を支える

 

救急・急性期医療での支援が求められるのは、精神科救急病棟に勤務する精神保健福祉士などです。大きな指針としては他病棟での勤務と変わらず、相談者に寄り添うことと患者の希望を聞くことなどです。その上で、これまでの生活とこれからの生活を視野に入れ、入院中であっても生活の連続性が保障できるよう心掛ける必要があります。限られた入院期間内に、退院後も地域で安心して生活していけるよう関連機関との連携が不可欠です。

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
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