東日本大震災後も多くみられた「PTSD」とは?

2021/05/14

PTSD(心的外傷後ストレス障害)をご存知でしょうか?

今回はこのPTSDについてや、その原因、主な症状、診断、治療、受けられる支援について説明します。

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1、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?

 

災害や事故、事件など非日常的なことに遭遇すると、人の心は強い衝撃を受けます。

阪神淡路大震災や東日本大震災の後には、PTSDという言葉を耳にしたり、あるいはご自身や周囲の方でPTSDと言われた方もいらっしゃるかもしれません。

 

私たち個人の力ではどうにもならないような圧倒されるほどの衝撃的な出来事を経験した場合、それが大きな心の傷(トラウマ)となり、さまざまな症状が現れる疾患です。

きっかけとなる出来事から時間が経っても、強い恐怖心や不安を感じたりフラッシュバックに苦しんだりと日常生活に支障が出ることもあります。

 

世界保健機構(WHO)の世界精神保健調査によると、日本に住む人の中で一生のうちにPTSDになる人は1.1~1.6%といわれています。患者の年齢層は幅広く男性よりも女性に多く現れます。またPTSDになる人の多くに、うつ病や不安障害などの精神疾患があると言われています。

 

2、2つに分類されるPTSD

 

(1)単純性PTSD

阪神淡路大震災、東日本大震災、北海道の災害などのように大きな事故のあとに心の傷として起こることが多い。

 

(2)複雑性PTSD

反復する虐待や暴力などが一定期間繰り返し経験されることで、心に深い傷(トラウマ)を残すことで起こることが多い。

 

3、PTSDの原因

 

PTSDは災害や犯罪被害、事故などの生命をおびやかされるようなトラウマ体験の目撃や体験が原因で起こります。

強いショックによって脳の一部が委縮したり脳の血流が低下したりすることで、さまざまな精神的・身体的な症状が引き起こされ、その状態が回復しないまま長く続くのです。

トラウマ体験をしてもすべての人がPTSDを発症するわけではありません。

PTSDを発症するかどうかは、受けたストレスの強さや種類、社会的サポートの有無や日常生活におけるストレスの有無に左右されると言われています。

 

4、PTSDのおもな症状

 

PTSDにはおもに4つの症状があり、それが1ヵ月以上続きます。

 

①再体験:トラウマになった出来事をくり返し思い出してしまう

つらい記憶を無意識に何度も思い出してしまう状態が続きます。激しい症状は「フラッシュバック」と呼ばれ、頭の中で状況が再現されて、あたかも目の前で起こっているかのような感覚に陥ります。

 

②回避:トラウマに関する事柄を避ける

犯罪被害に遭った現場に近づけなくなる、つらい出来事に関する話をしたがらないなどの症状がみられます。行動や人との交流が制限されると、社会生活にも支障が出ることもあります。さらには体験そのものの記憶が抜け落ちる人もいます。

 

③否定的感情と認知:否定的な考えやネガティブな感情が浮かぶ

「私が悪いんだ」「信用できる人がいない」など自分や他人に対して否定的な考えが持続して浮かぶ症状です。恐怖、怒り、罪悪感などの感情が続くため、周囲への興味が失せてしまい、自分だけ孤立しているような感覚を持つこともあります。

 

④覚醒亢進:神経が過敏になり、常に精神が緊張した状態になる

人の動きや些細な物音に過敏になり、警戒心が強くなるなどの特徴があります。

いつもイライラ・ピリピリして、集中しにくくなったり心身ともに疲れやすくなったりします。不眠や動悸、めまいなど身体面の症状があらわれることがあります。

 

5、PTSDのおもな治療法

 

PTSDと診断されたら医療機関やカウンセリング施設で専門家から適切な治療を受けましょう。

①環境調整

日常の安全を確保します。トラウマにさらされる曝露しそうになる症状が持続している場合や、安全が保障できない場所にいる場合には、社会資源を活用して安心できる場所を確保するようにします。

 

②薬物療法

SSRIなどの抗うつ薬を中心とした薬物療法は、PTSDの症状に効果があるとわかってい

ます。

 

③心理療法

日常生活におけるリラクゼーションや、生活上のストレスに対する対処法を身に付けま

す。認知行動療法のひとつである持続エクスポージャー療法(PE療法)は、自然に回復

しないPTSDの症状に対して高い効果があります。この療法は、PTSD患者の70~80%

が回復する効果の高い治療法です。

 

このように、PTSDは災害や事件・事故などの衝撃的な体験のトラウマによって起こる精神疾患で、発症するとフラッシュバックや強い緊張・不安などの症状で日常生活に支障をきたすほか、うつ病や不安障害、アルコール依存症などの疾患と併存することも少なくありません。ひとりで抱え込まず、精神科や心療内科を受診しましょう。

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※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
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