田村淳さんも公表した「HSP」とは?

2021/05/21

精神疾患

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。

みなさん、「HSP」をご存じですか?

お笑いタレントだけでなく、作家や経営者などさまざま分野で才能を発揮しており、2021年3月には慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士課程を修了したロンドンブーツ1号2号の田村淳さんも、昨年、SNSでご自身が「HSP」であることを公表しました。

今回は、5人に1人はいると言われているHSPについてご紹介します。

1、HSPとは?

HSPは、英語ではHighiy Sensitive Person(ハイリ―・センシティブ・パーソン)といい、「ひといちばん繊細な人」という意味です。この頭文字を取って「HSP(エイチエスピー)」と言います。
これは1990年代のはじめに繊細な人について研究していたエレイン・アーロン博士によって付けられた「人の気質」を表す名称です。

アーロン博士によると、先述の通り、5人に1人、人口の20%がHSPだと言います。
「繊細さ」は生きるものすべてが生存本能「生き残るための戦略のひとつ」であると考えられています。

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2、HSPの特徴

HSPの方は、周囲の状況にとても敏感です。この気質を持つ方は職場や家庭などの中で気疲れしやすく、生きづらく感じている方も多いのです。
アーロン博士によると、HSPには「DOES(ダス)」と名付けた4つの特性があるそうです。

【 Depth of processing 】
考え方が複雑で、深く考えてから行動する
①一を聞いて、十のことを想像して、考えられる。
②調べ物をはじめると深く掘り下げ、その知識の広さを周囲に驚かれる。
③お世辞をすぐに見抜いてしまう。
④物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる。
⑤その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なものごとに興味があり、浅い人間や話しが嫌い。
【 Overstimulation 】
刺激に敏感で疲れやすい
①人混みや大きな音が苦手
②友達との時間が楽しいものの、気疲れしやすく帰宅すると、どっと疲れる。
③映画や音楽、本などの芸術作品にとても感動して、泣きやすい。
④人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない。
⑤繊細なことに過剰なほどの驚いてしまう。

【 Empathy and emotional responsiveness 】
人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
①人が怒られていると自分のことのように感じて、傷ついたり、お腹が痛くなったりする。
②悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣したりする。
③人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる。
④幼児や動物の気持ちも察することができる。

【 Sensitivity to subtleties 】
あらゆる感覚がするどい
①電化製品の機械音や時計の針の音が気になってしまう。
②強い光や日光のまぶしさなどが苦手
③近くにいる人の口臭やたばこの臭いで気分が悪くなってしまう。
④カフェインや添加物に敏感に反応してしまう。
⑤肌着のタグやチクチクする素材が気になってしまう。
⑥第六感がはたらき、よく当たる。

このほかにも、絶対に一人の時間は必要な人や、子どもの頃に親や先生に「繊細」「人見知り」と言われる人もHSPの可能性が高いでしょう。
でも、この4つのうちに1つでも当てはまらない人はHSPではないと定義されています。

 
3、HSPのセルフチェック

HSPは病気ではなく、生まれ持った「気質」です。
その人が生まれながらに持っている感受性や気分の傾向などを指す心の特徴で、環境などに影響される性格と違って後天的に変えることはできません。

また、発達障害、うつ病、アスペルガー症候群とも違います。でもどこか似たような特徴が現れるため、誤解されやすいのです。
うつ病によく見られる「眠れない」「疲れやすい」「気分が落ち込む」「自信が持てない」などの特徴はHSPにも見られますが、うつ病と違うのは「自殺願望」があるかということです。
また、うつ病は、以前は違ったのに物事の感じ方が変わって、落ち込むやすくなったりしますが、HSPは生まれつきの気質のため、“以前”が存在しないのも、うつ病との違いと言えるでしょう。

HSPについては、「日本版HSP尺度(HSPS-J19)を参考に、セルフチェックをしてみましょう。

何個以上だとHSPという線引きではなく、項目に当てはまるのがHSPという目安のチェックリストです。

《HSP目安チェックリスト》
 ●大きな音や雑然とした光景のような強い刺激が不快で、煩わしいと感じる。
 ●忙しい日々が続くと、暗い部屋やベッドなどのプライバシーが得られる場所に逃げ込みたくなる。
 ●他人の気分に左右される。
 ●短時間でしなければならないことが多いと、気が動転してしまう。
 ●生活や環境に変化があると混乱する。
 ●子どものころ、親や教師から「内気だ」や「敏感だ」と、見られていた。
 ●美術や音楽、芸術に深く感動する。
 ●繊細な香りや味、音や音楽が好き。
 ●一度にたくさんのことを頼まれるとイライラする。
 ●ビクッとしやすい。

HSPは気質であり病気ではありませんが、うつ病になりやすい傾向があります。
「自己肯定感が低い」「他人に共感しやすい」「疲れやすい」などHSPの方がうつ病になりやすい傾向があります。

うつ病は早期発見が早期回復に繋がりますので、鬱っぽい症状が続いたときには、精神科や心療内科に相談することが大切です。

4、HSPの生きづらさ対処法

HSPの人たりが生きづらさを感じる理由には五感が鋭いという面もありますが、なにより社会で多数派の方に合わさざるを得ないことがあります。
HSPの生きづらさの対処法について5つご紹介します。
 1、HSPの特性を自分でも正しく理解する。
 2、HSPの人が自分を知ることはもちろん、HSPでない人にわかってもらうことも大切。(わかりやすく具体的に伝えてみること)
 3、情報量をコントロールする。
 4、環境を選び、心地よさを大切にする。
 5、HSPだからこそできる得意分野を持つ。

HSPについて理解を深めていただく一助となったでしょうか。

HSPの研究の研究が進んでいないときには、心配症との違いが解明できておらず、周囲から「気にし過ぎじゃない?」・「よくそんなことまで気がつくね!」・「心配し過ぎじゃない?」と言われることもしばしばあったでしょう。

HSPという言葉が浸透するまでは、「心配性」・「内気」・「引っ込み思案」という言葉で代用されてきました。

社会にはさまざまな人がいて、多様性が溢れています。

HSPを公表した田村淳さんもインタビューで『潔癖症ではなくHSPだとわかってスッキリした。
公表するかどうかはもちろん自由だけど、僕の場合は周りに伝えてよかった。』とお話しされていました。

HSPの人も、そうでない人も、他者を認めて、謙虚な気持ちで思いやりを持って日常生活を過ごすことができる素敵な社会にしていきたいですね。

>心に寄り添う仕事「精神保健福祉士」について こちら

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※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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