ストレスチェック実施者としての精神保健福祉士

vol6

ストレスチェックを受けたことがあるでしょうか。

 

ストレスチェックとは、就労している人の心理的負担がどの程度なのかを測るために行われているもので、精神保健福祉士はストレスチェック実施者になることができます。現在働いている人は会社から義務付けられているので受けたことがあるかと思います。

 

今回は、ストレスチェックと精神保健福祉士の役割について見ていきましょう。

 

ストレスチェックとは?
ストレスチェックは、労働安全衛生法の改定により制定されたものです。2015年から実施が義務付けられましたので、かなり最近のことです。50人以上の職場に年に1度のストレスチェックが義務付けられています。2015年以前から就労している人は、そういえば最近になって受けるようになったな、という印象があるかと思います。

 

ストレスチェックを実施できる人は医療職です。精神保健福祉士の他には、医師・保健師・看護師(厚生労働省が定める研修を終了した者)・歯科医師・公認心理士が可能です。

 

ストレスチェック実施者になるためには、ストレスチェック実施研修を受ける必要があります。労働者の健康管理について、メンタルヘルス対策について、健康の保持増進を図るための支援について、の大きく3つの柱について学びます。

ストレスチェックの具体的な内容

ストレスチェックで行うことは以下の2点です。

 

  • 調査票の作成

一般企業や教育機関がストレスチェックの調査票を作成するわけですが、その際に精神保健福祉士も関わり、アドバイスを行います。職場によって受けるストレスは様々で、そのため高ストレスかどうかを判断する評価方法も職場や役職によって様々です。そのため各企業の仕事内容について把握し、専門知識と照らし合わせてアドバイスをする必要があります。

 

  • 面談

調査票を作成し就労者に実施した後に、その結果を見て面談を行います。高ストレスとなってしまった原因はどこにあるのか、今の状況はどういったものなのかなど、調査票だけではわからないことを直接面談して判断していきます。

 

では、具体的には高ストレス者はどのような基準で決められているのでしょうか。

 

高ストレス者の数値基準

 

厚生労働省は、ストレス制度実施マニュアルを作成しており、そこに高ストレス者の数値基準を例として載せています。具体的な手順を解説していきます。

 

  • 合計点数を使う

調査票をもとに、合計点数を算出します。この場合気を付けたいのが、調査票の質問の聞き方によっては点数が低いほどストレスが高いと評価するような質問と、点数が高いほどストレスが高いと評価するような質問が混ざってしまっているケースです。こういった質問が混ざっている場合は片方の点数を逆転させて足し合わせていく必要があります。

 

厚生労働省のマニュアルにおいて、数値基準の例を挙げると、領域Bの質問における最高点が116点の調査票の内容で合計点数が77点以上であると高ストレス者と選定されます。

このように、合計点数を使って基準以上の人を選定する方法です。

 

  • 素点換算表を使う

厚生労働省のマニュアルにある素点換算表を使う方法です。計算の方法が複雑で、使いにくいというデメリットがあります。メリットは、質問の数の影響を排除し、尺度ごとの評価が考慮されることです。

簡単に言うとストレスの高い質問は点数が高くなるように、ストレスに該当しても比較的負担の低い質問は点数が低くなるように設定されています。より詳しい点数を出すことができます。

 

ストレスチェックを行う意義

なぜ、ストレスチェックが義務化されたかというと、その意義にあります。まず従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止できるということ。精神保健福祉士としてはメンタルヘルス患者の対応にあたることが業務であるのはもちろんのこと、未然に防ぐ活動を行うことも責務としてあります。専門職として真摯に取り組みたい理由はここにあるでしょう。そして次に、企業としては職場の課題が見える化し、環境改善につながること。そしてその改善が進めば従業員の満足度向上や求人力に繋がるという点です。

 

このようにストレスチェックは意義のある制度ではありますが、そのために不利益が出てしまわないように留意する必要があります。それは主に守秘義務です。精神保健福祉士であれば患者の情報を他人に漏らしてはいけないことはもちろん承知だと思いますが、ストレスチェックの現場においても同様に、誰が高ストレス者でどんな不調があるのかなどが他の就労者に漏れてしまわないよう配慮する必要があります。

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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