今回は、精神病患者が抱える人間関係の悩みについて、よくある内容をまとめます。
精神病の原因となる悩みではなく、生活していく上で関わり合う人たちとの人間関係について指しています。一般の人が同じように悩むこともあれば、精神病を患っているがゆえに悩みの種となってしまうこともあります。精神保健福祉士を目指す方は、患者の悩みについていろんな事例を知ることで将来の相談業務に役立つのではないでしょうか。
Q1、友達が欲しいです
友達が欲しいという気持ちは自然なものです。ですが、精神疾患をわかってほしい、悩みを聞いてほしい、というこちらの要望が先に立ってしまうと友情関係は成り立ちません。お互いに相手を理解して同じ時間を過ごしていきたいと思う必要があります。何かしらの精神疾患がある場合、それを自分の中で受け止め、相手のことを考えて相手を見るという余裕は必要です。
まずは少しずつ共通点のある友達を探しましょう。これまでの友達や趣味が同じ友達、同じ疾患を経験している友達を作っても良いでしょう。そういった友達を作る場は市町村区で開催されていることも多いので、精神保健福祉士が探して提供することもできます。
Q2、近所の人が悪口を言ってきます
精神病患者と近隣トラブルはたまにあることです。もし心当たりがあれば素直に謝り、関係を修復することですが、全く心当たりがない場合は難しいです。大家さんや市町村区の方、民生委員などに相談するのも方法かと思います。ご近所さんが例えば精神病患者について偏見や誤解がある場合、第三者が介入した方が話がうまくいく可能性が高いです。
患者側の問題ではなく、そのご近所さんが少し厳しい人であったり変わった人であるということも考えられます。他のご近所の方に聞いてみて、どんな風に関わっているのか相談に乗ってもらうのも良いでしょう。
Q3、親になまけていると言われてつらいです
精神疾患の治療では「休む」ということも重要な治療方法です。しかし、ご家族にその理解が得られないケースは多いようです。例えば初期のうつ症状を治すためにストレスの原因である会社を一定期間休む、といった場合、家族の理解が得られないと「もっと頑張れ」「なんとか続けながら治療できないのか」などを言われることがあります。また統合失調症の回復期では「回復したのになぜまだ休むのか」「なまけ癖がつく前に働かせないと」という声もよく聞きます。
まずは家族に正しい知識をつけてもらうことです。患者本人が説得しても良いですが、そのエネルギーが出なかったり説得が難しい場合は精神保健福祉士の出番です。正しい知識を得てもらい、一番辛いのは患者本人であること、正しい治療を正しい形で行っているということを理解してもらいましょう。
両親が死んでしまった後が不安です
これは本人のみならず家族も不安に思い、精神保健福祉士へ相談してくることの多い内容です。
まずは具体的に何が心配なのかを考えることから始めます。精神的支柱である家族がいなくなる不安、住むところやお金のこと、通院や服薬のサポートが受けられないこと、食事や料理や買い物が一人ではできないこと、漠然とした寂しさ、など理由は様々です。
支えの中心である両親がいなくなることは大きな不安ではありますが、実際細分化してみるとそれぞれ事前に対策しておけば代替案が見つかります。生活のサポートを受けたり、身の回りのことは自分でできるよう練習したりなどです。精神的支柱に関しても、兄弟や友人に頼れる人を見つけて信頼関係を結んでいくのも準備のひとつです。
住まいや金銭的なことに関しては福祉制度やサービス、医療サービスを利用できるよう検討していきます。障害があっても自立して働くことも可能です。自分らしい生活を続けていけるためにゆっくり準備をしていきましょう。