精神保健福祉士の仕事は、精神障害者をサポートし社会復帰へ導く仕事です。業務内容で大きな男女の別はありませんが、男女比では女性が多い傾向にあります。精神保健福祉士として活躍している女性が多い理由について、ご説明していきます。
2020年2月実施の第22回精神保健福祉士国家試験における合格者数男女別の割合は、男性1,335人(32.4%)、女性2,784人(67.6%)となっています。この結果からもわかるように社会福祉士の割合は女性が多いという状況です。
ちなみに2019年実施の第21回については男性1,384人(32.6%)、女性2,867人(67.4%)という結果で、その前の第20回においては男性1,488人(33.8%)、女性2,911人(66.%)でした。男女比が3:7という割合は直近では変わらず推移しているようです。
女性の精神保健福祉士が多い理由として、まず挙げられるのは福祉業界全般で女性が多いという点です。精神保健福祉士の仕事に辿り着く前に「福祉業界で働きたい」という思いがあり、その段階で女性の方が多いということです。そして福祉職の中でも精神保健福祉士はデスクワークが中心であり、力仕事があまりないことから男女の別なく仕事ができます。
また、精神保健福祉士と仕事内容の似ている仕事として心理カウンセラー等がありますが、そちらはより女性の方が多い傾向にあります。臨床心理士や認定心理士は女性:約75%、男性:約25%と女性の割合は過半数を大きく超えています。「人の悩みを聞く」という仕事の特性から女性の方が得意意識があるため心理系の仕事は女性が多いのではと言われています。
さらに雇用条件の問題もあります。精神保健福祉士は不定期の曜日で働く非常勤の雇用が多いため、安定した収入を得られる職場が限られる点です。逆に、家事や育児をしながら働きやすく、また国家資格であるため一度妊娠出産で離職しても復職しやすいという点から女性に人気が高いということも考えられます。
精神保健福祉士は男性でも全く問題のない仕事です。男性の患者が同性の精神保健福祉士を求めることもありますし、精神保健福祉士の資格を活かしながら福祉事業で独立するようなパターンではむしろ男性の方が多いこともあります。
職場によっては精神病院などで患者が暴れてしまうようなケースがあるため、男性を求めている場合もあるでしょう。もしくは宿泊施設にて患者を受け入れている短期入所施設やグループホームなどでは女性が働きにくいという現状もあります。
個人差もありますが、女性の方が繊細なコミュニケーションや細かな心遣い、優しい接し方などが得意な方が多いのではないでしょうか。その温かみが患者の心に響く場合もあります。
また、女性ならではの悩みである結婚や出産に関してや、デートDVといった恋愛のトラブルに関しても相談しやすいという強みがあります。精神保健福祉士に育児の経験がある場合は実体験が役に立つ場合もありますし、児童福祉などにも視野を広げていくことができます。
精神保健福祉士は、女性という特性を大いに活かして活躍できる福祉職です。