脳梗塞の後遺症として起こる言語障害とは? ~失語症と構音障害~

2019/09/10

脳梗塞

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脳梗塞によって脳の特定の部位に 破損が生じると、

言語機能に障害が出ることがあります。

 

脳梗塞の後遺症による言語障害の症状や、

言語聴覚士によるリハビリ方法などはそんな手法があるのでしょうか?

 

もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、

どのようなリハビリ治療を受けることができるのか、ご紹介いたします。

 

 

1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害

 

脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて

「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。

 

 

1.失語症

 

失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、

ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。

 

失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった

言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。

 

その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。

 

 

◇失語症のリハビリ◇

 

失語症の患者様は目や耳から入ってきた情報を理解するのは難しい状態です。

 

そのため、言語聴覚士は、聞いて理解するための練習を積み重ねて、

ことばを扱う感覚を取り戻させるようなリハビリを目的として訓練をおこないます。

 

言語聴覚士の指導のもと、聞いた言葉と目の前に広げられた絵を結びつけるリハビリを

おこなったりと、頭の中で情報を一致させる練習を繰り返しおこないます。

 

言語聴覚士とのやりとりだけでなく、ご家族や周囲の方々とのコミュニケーションの中で、

患者様がうなずいたり、首を振ったりという反応もリハビリの一種になります。

 

ただし、失語症の回復には個人差が大きく、

リハビリに励んでも話す機能を取り戻すことができない患者様もいます。

 

そのため、言語を話すだけではなく、他の方法での意思疎通ができるように、

絵を取り入れたり、身振り手振りなどで総合的にコミュニケーションができる方法を

リハビリで学んでいくこともあります。

 

 

2.運動障害性構音障害

 

運動障害性構音障害とは、

脳梗塞によって脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、

唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。

 

運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、

耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。

 

ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、

運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、

筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。

 

 

◇構音障害のリハビリ◇

 

運動障害性構音障害の患者様は、機能性の問題のため、

口や舌を動かす運動や発声練習、ゆっくりと区切って話す方法の訓練をおこない、

発声機能の回復を目指したリハビリをおこないます。

 

言語聴覚士の指導のもと、リハビリで話しにくい障害の改善を試みると当時に、

残された機能で生活する方法を学んでいきます。

 

重度の患者様の場合には、五十音表の使用や発声をサポートする機器を使用することで

日常生活でのコミュニケーションを図ることを言語聴覚士が勧めることもあります。

 

言語聴覚士とのリハビリを終えて退院した後は、

ご家庭での日常生活でご家族や周囲の方々との会話が大きなリハビリになります。

 

 

2、言語障害の症状

 

言語障害の症状や種類、重症度は、

脳梗塞で損傷した脳の部位によって大きく異なります。

 

「失語症」と「運動障害性構音障害」の代表的は症状は、以下の通りです。

 

 

・失語症

 

大脳の言語領域は、

「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」という4つの機能がありますが、

失語症で最も重い症状である「全失語」の患者様は、

この4つの機能のすべてに障害を受けているため、

ほとんど全ての言語を理解することも話すこともできません。

 

そのほかに、ぎこちない話し方になる「ブローカ失語」

なめらかに話せるけれど言葉の取り違えが多く意味が伝わらない「ウェルニッケ失語」

比較的なめらかに話せるけれど言葉の言い換えができないために

時々会話が困難になる「健忘失語」などがあります。

 

 

・運動障害性構音障害

 

「話す」という機能は、唇、下、声帯、口蓋などの器官の

微妙なコントロールによって成立しています。

 

脳梗塞によって脳は損傷し、この一部またはすべての動作に支障をきたしてしまう

運動障害性構音障害では、話し方がぎこちなくなる、途切れがちになる、

声と呼吸が混じる、声が出しにくい、くぐもった声になり

聞く取りにくいなどの症状があらわれます。

 

脳梗塞の後遺症で言語障害が出た場合は、

言語聴覚士の指導のもとリハビリをおこなって機能回復を目指します

 

文字を見せる、呼びかけるなどをおこなって言語機能の障害の程度を確認します。

 

どの能力を向上させる必要があるかを判明してから、

話すための訓練へとステップアップしていきます。

 

脳梗塞の患者様は、言語聴覚士とのリハビリでのコミュニケーションや、

ご家族との会話を増やし、できるだけ話してもらう機会を増やすこともリハビリになります。

 

また、患者様とのコミュニケーション方法に不安や悩みのあるご家族に寄り添い、

ともに支えていくことも言語聴覚士の仕事といえます。

 

 

※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。

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