1、幼少期の難聴について
難聴とは、音を聞いたり、音を区別したりする能力が低下している状態です。
中耳や内耳の障害であり、脳の障害ではありません。
そして難聴は生まれつきの障害の中で最もよく見られる障害のひとつです。
先天性難聴は1000人に対して1人の確率で生まれます。
そのため、新生児は生後1ヵ月以内、できれば出産後の退院前に聴覚のスクリーニング検査を受けることが勧められています。
言語やコミュニケーション能力は、生後2~3年のうちに急速に発達するため、難聴の発見が遅れると、これらの能力の発達も遅れてしまいます。
2、幼少期の難聴の原因について
難聴には、遺伝によるものとそうでないものがあります。
遺伝によらないものは、出産時やその前後の病気も含まれます。
また、原因がわからないものもあります。
難聴を持ったお子さんの90%は、聴こえが正常なご両親から生まれています。
3、難聴の3つのタイプ
難聴は、聴こえの障害が起こる部位によって3つのタイプに分けられます。
①伝音性難聴
音が外耳や中耳に伝わっていく途中で、何かが音を遮ることによって生じます。
鼓膜の傷、中耳に水が溜まっている滲出性中耳炎、中耳の感染である急性中耳炎、外耳道の途中の塞がりなどが原因となります。
②感音性難聴
内耳の細胞が振動を感じとることができない場合や、信号を脳の聴こえの中枢へ伝えることができない場合に生じ、
妊娠中の感染や遺伝的な要因はこのタイプです。
感音性難聴は通常一生続くため、補聴器で音を聞くことができるようになりますが、ハンディが伴うことがあります。
脳にある聴こえの中枢にダメージを受けた場合も感音性障害が生じ、
中等度以上の場合は補聴器や人工内耳が必要になります。
③混合性難聴
混合性難聴とは、感音性障害の子どもが、中耳に水が溜まっている場合など、伝音性難聴もあるときに起こります。
急に起こった中耳炎の場合、難聴の予防には、早いうちの適切な治療が必要です。
4、幼少期の難聴を疑うサインについて
保護者は以下の難聴サインに注意して、気になることがあれば医師に相談しましょう。
・大きな音にびっくりしない
・生後6ヶ月を過ぎても、音がする方向へ向いたり、音の真似をしようとしたりしない
・生後9ヶ月になっても、まだおしゃべりしない
・3歳までに単語をしゃべらない
・何か表現をするときには言葉の代わりにジャスチャーを使う
さらに、年長以上の子どもの場合
・周りの子どもより言葉数が少ない
・理解しにくい言葉でしゃべったり、非常に大きい声またはか細い声を出したりする
・何度も聞き返す
・テレビの音を非常に大きくする
・学校でぼんやりしていたり、読み聞かせや計算が苦手だったりする
補聴器の診断、補聴器処理、手術などは耳鼻咽喉科医がおこないます。
補聴器の調整や人工内耳の音入れ、言語訓練などは言語聴覚士がおこないます。