言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。言語聴覚士として活躍するには、自分に向いている仕事かどうか、適性はあるかもポイントになってきます。
言語聴覚士の仕事は他者とコミュニケーションを密に図って行う仕事です。コミュニケーションをとる相手は患者さんだけでなく、医師や看護師、理学療法士、介護福祉士、教師、など医療専門職だけでなく福祉の専門職や学校現場の方とも円滑なコミュニケーションを図り協力しなければなりません。必要とされる能力は多岐に渡ります。では、どのようなスキルが必要か紹介していきましょう。
患者さんと接する際には、患者さんの立場になって考えながらコミュニケーションを図ることが必要とされます。患者さんの多くは障害を抱えており、悩みを持った方も多くいます。障害を抱えている人と接する場合にはどうしても「健常者なら当たり前」と要求してはなりません。言語障害を抱えている人は特にコミュニケーションがうまくとれないため、思うようにできないことを伝えることができません。相手の視点になって考えながらコミュニケーションを図ることが必要です。
また、医師や看護師などのチームとコミュニケーションを図る際には、患者さんの状態を適切に伝える能力やチームの一員として働くための協調性も必要です。
患者さんの持っている障害は一つとは限りません。一人ひとりできること、できるようになりたいことは異なります。患者さんの能力を見極めて、適切な訓練を選択する判断力や、判断するための知識が必要とされます。
リハビリテーションを行う際、難しい言葉や表現を使わずにわかりやすく説明することが求められます。言葉に関する働きは脳の中で行われている部分が大きいため、言葉の障害も目に見えないものが多くなります。そのため、教科書に書かれている訓練法をそのまま行うのではなく、ひとり1人の患者さんに応じて工夫を凝らす必要があります。そして、それを目の前にいる患者さんに伝わるように説明することが大切です。
言語聴覚士が対象とするのは、お年寄りや幼児、後遺症で悩む方々など様々です。それぞれ思い通りに表現することができず、もどかしい気持ちでいることも多くあります。言語聴覚士は、問題の本質や発現メカニズムを明らかにし対処法を見出すための観察力が必要とされます。また、患者さんが後遺症や障害によりどのような経験をして、どのような思いをしてきたかを想像する力は、患者さんに寄り添ったケアをする第一歩になります。
言語聴覚士は、患者さんと適切な信頼関係を築きリハビリテーションをする必要があります。障害の改善にはどうしても時間がかかります。また症状によっては完全な回復が期待できないことも少なくありません。根気強くリハビリテーションを患者さんと行っていくことが求められる仕事ですが、どのような人が向いていないのでしょうか?
健常者とは違い、リハビリテーションを必要とする患者さんにはできないことが多くあります。そのような相手の特性を理解できない人、偏見を持っている人には難しい仕事と言えるでしょう。
言葉の障害は目に見えないものが多く、患者さんは、上手く伝えられずもどかしい気持ちを経験した方が多くいます。相手のことを理解しようとする気持ちが大切です。
患者さんや言語聴覚士以外の専門職と円滑なコミュニケーションを図ることが、言語聴覚士の仕事では必須となります。
言語聴覚士の仕事は他職種連携しながらリハビリテーションを行うのが基本です。グループやチームでしっかりと情報共有をし、協力して患者さんと向き合うことが求められます。