言語聴覚士の就職先は医療施設が最も多く7割以上を占めます。次いで介護施設である介護老人保健施設・特別養護老人ホームが1割となっています。(令和2年3月データ) 介護施設で働く言語聴覚士がどんな仕事をしているのか、解説していきます。
言語聴覚士の働く介護施設とは、介護老人保健施設・特別養護老人ホームの他に、デイサービスセンターや訪問リハビリなどの訪問介護施設、その他福祉サービスなどがあります。
介護施設にいる患者さんは、食事の飲み込みが困難になっていて言語聴覚士の訓練を必要としているケースが多いです。または脳疾患や心臓疾患によって引き起こされる失語症や、認知症によって起こる言語障害に対してリハビリを行っていきます。
また、施設によりますが施設内でのイベントやレクリエーションに参加する場合もあることが特徴です。患者さんの普段の様子や仲間とのコミュニケーションを直に感じることができる良い機会です。信頼関係の構築にも役立ちます。
介護施設では、医療機関と違って日常生活をする人のためにリハビリを行います。生活に寄り添いながら訓練を取り入れていきます。より患者さんの生活や将来を見据えながら訓練が行えることと、長期的に付き合っていけることがやりがいに繋がります。退所後も患者さんのサポートを続けていける場合も多く、在宅生活をしっかりと支えることができます。
在宅復帰という目的のために、他の専門職との連携が強いことも魅力のひとつです。介護福祉士・看護師・管理栄養士・薬剤師・歯科衛生士などと連携することで患者さんへのサポートを深めることができますし、自身の学びの場にもなります。
介護施設で働く上で、大切なことは患者さんに寄り添うことです。患者さんの症状は主に加齢によって後天的に出てきたものであるため、患者さん自身も症状に戸惑いがあったり不安があったりするでしょう。症状を隠したがる人や、すぐに効果を期待したがる人、結果が出ずに悩んでしまう人など、症状以外にも悩みを持つ人がほとんどです。こういった患者さんの心情に寄り添える言語聴覚士を目指しましょう。
また、高齢化社会が進む日本では介護施設に関わる法律や技術、知識が年々新しくなっていきます。言語聴覚士の資格を取得した後にも、新しい情報を学び続けることが大切です。移り変わりの激しい介護施設で大変な面もありますが、技術の進歩を感じることができたり患者さんにとって良い法律やルールを知ることができるため、もっと仕事が好きになれるのではないでしょうか。