精神疾患

2020/11/17

精神疾患

双極性障害(躁うつ病)について知ろう

  双極性障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか。以前は躁うつ病とも呼ばれていました。精神保健福祉士が対応する利用者の中で、双極性障害を患っている人ももちろん多くいます。双極性障害について知っていきましょう。     双極性障害(躁うつ病)について   双極性障害は、躁状態と言われる気分が盛り上がりテンションの高い状態になったり、逆にうつ状態と言われる気分が落ち込みテンションが低い状態になったりを繰り返す病気です。 躁状態の度合いによって、激しい場合は双極Ⅰ型、軽い場合は双極Ⅱ型に分かれます。   この説明だけでは「躁状態の場合は良いのでは?」と思うかもしれませんね。しかし実際は、不自然なまでの気分の盛り上がりを指しています。双極Ⅰ型の場合は、生活に支障が出るほどと言ってもいいかもしれません。万能感に溢れて全財産をギャンブルにつぎ込んでしまったり、健康を害しても眠らずに動き続けたりするような状態です。   双極Ⅱ型の場合も程度は軽くなりますが、周りの人に「異様な明るさだな」と思われるような状態です。躁状態の本人は異常なことをしている・言っているつもりはないため、人間関係のトラブルになりやすいです。躁状態が軽いため、うつ状態の方にフォーカスしてしまい「うつ病」と診断してしまう場合もあります。「うつ病」と双極性障害は別の病気であり治療の仕方も異なりますので注意が必要です。   そして、うつ状態の時には憂鬱な気分が晴れず、睡眠も安定せず、あらゆることに活気がなくなります。食欲も低下し健康を害する可能性も高いです。1日中ベッドで横になってしまうという症状もあります。   双極性障害になるのに男女差はありません。また年齢も幅広く、20代から30代前後がボリュームゾーンではありますが子供から老人まで患者はいます。     うつ病と双極性障害の違い   うつ病と双極性障害は、似ているようで全く違う病気です。一般的に言われている「うつ病」は「単極性うつ病」とも言い、うつ状態の症状だけがあります。双極性障害はうつ状態だけでなく躁状態があり、そしてその2つを繰り返します。うつ状態だけに対処する治療と、躁状態とうつ状態のコントロールを加味する治療では方向性が異なりますので、違う病気という認識が必要です。実際に治療で使われる薬も、うつ病の場合は抗うつ薬が処方されることが多いですが、双極性障害では気分安定薬や抗精神病薬が使われる、といった違いがあります。   前述したように躁状態が病気であることは自分では気づきにくいため、多くの患者は「自分はうつ病かもしれない」と思って受診しますが、その16%が双極性障害であったというデータが出ています。また、稀に混合状態という、うつ状態と躁状態が混ざった状態が出現することもあり、自分では見分けにくい病気と言えるでしょう。   うつ病と双極性障害は、原因も違います。うつ病の原因はストレスですが、双極性障害の原因は遺伝的な体質により神経伝達物質の機能が変化することです。簡単に言うと、脳の病気です。不確定な要素が多くすべてが解明されているわけではないですが、心の病気ではなく脳の中で感情のコントロールに関わる部分が変化してしまうためだとわかってきました。     双極性障害の症状   簡単に、躁状態とうつ状態の症状を列挙していきます。   ■躁状態の症状 寝なくても平気 話続けてしまう 人の話が耳に入らない 頻尿・残尿感がある ギャンブルなどの浪費 怒りっぽくなる 注意散漫になる 落ち着きがない 急に偉くなったような気分 自信満々になる   ■うつ状態の症状 反応が遅い 食欲がない 体がだるい 疲れやすい 性欲がない 気分が落ち込む 寝てばかりいる やる気が起きない 楽しめない 決断力がなくなる 死にたくなる イライラする 思考力が落ちる 死にたくなる     双極性障害と向き合う   双極性障害は、放っておくとほとんどの場合再発する病気です。何度も再発を繰り返すと社会的信用や財産を失ってしまったり、人間関係がボロボロになってしまう危険性があります。障害と向き合い、早期に適切な治療をすることが求められる病気です。 再発を繰り返すと、発症がどんどん早くなり急速に躁鬱が交代されることになってしまいます。そして混合状態になってしまうと、うつ状態の「死にたい」という思考と躁状態の行動力や自信満々さが掛け合わさってしまい自傷行為や自殺へ繋がってしまう危険があります。   躁状態があることが双極性障害の特徴ではありますが、躁鬱の期間で言うとうつ期間の方が長いです。うつ状態では考え方が否定的になっていき、やる気がなくなり治療についても前向きになりにくい病気ですので、頑張りすぎず緩やかに治療を続けていく気持ちが大切です。   また、双極性障害やうつ病は、患者自身やその家族が病気を軽視してしまうことも多々あります。「頑張ればなんとかなる」「気のせいだ」というような思考が、病気を悪化させることに繋がります。しかるべき医療機関などで病気を正しく理解していくことが大切ですし、精神保健福祉士を含め患者と関わっていく周りの人間が注意深く導いていくことも必要です。   治療については、薬物治療と心理社会的治療の2つのアプローチができます。薬物治療については心を開ける医師に相談し適切な処置を仰ぎます。心理社会的治療については、患者自らが自分の心理をコントローㇽするアプローチや、自分の考え方を肯定的にする練習などです。その他家族や対人関係によって改善していく方法や、社会リズム療法と呼ばれるものもあります。  

2020/11/09

精神疾患

児童虐待とPTSD(心的外傷後ストレス障害)について

PTSD(心的外傷後ストレス障害)をご存じでしょうか?   強いショックを受けたことが原因となってさまざまな症状を引き起こす心の病気です。 児童虐待を受けた子どもも発症しやすいと言われており、PTSDを予防するには、 ストレス反応に対する正しい理解と対応が必要です。 今回は児童虐待によって心に傷を負った子どもたちと接するためのポイントについて 考えてみましょう。    1、児童虐待とは   厚生労働省では「児童虐待の定義」として、4種類に分類されています。   ①身体的虐待 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる 溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など   ②性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる ポルノグラフィの被写体にする など   ③ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する 重い病気になっても病院に連れていかない など   ④心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、 子どもの前で家族に暴力を振るう(DV)、きょうだいに虐待行為を行う など   2、児童虐待の現状   児童相談所の児童虐待の相談応対件数(平成26年度)は、児童虐待防止法施行前(平成11年度)の7.6倍(88,931件)に増加しています。 虐待死も年間で50人を超えており、児童虐待によって子どもが死亡した件数は、高い水準で推移しています。   児童相談所における児童虐待相談対応件数に内訳は以下の通りです。(平成26年度) ①身体的虐待 29.4% ②ネグレクト 25.2% ③性的虐待  1.7% ④心理的虐待 43.6%   虐待者別では実母が52.4%と最も多く、次いで実父34.5%となっています。   また、虐待を受けた子どもの年齢構成別では小学生が34.5%と最も多く、 小学校入学前の子どもの合計では43.5%と高い割合を占めています。   3、虐待を受けた子どもが発症しやすいPTSDとは?   PTSD(心的外傷ストレス障害)とは、先述の通り、強いショックや精神的なストレスが心の傷となってしまい、そのことが何度も思い出されるトラウマ状態が長く続いて、心身に不調が現れてしまう病気です。   虐待のほかにも、災害や事故、事件や犯罪被害などが原因になると言われています。   感受性の強い子どもたちは、大人よりもPTSDになりやすいと言われています。   その原因が虐待などの場合、複雑性PTSDとなってしまい、人間不信や協調性の欠如、 多重人格などになってしまうケースもあります。 また、回復までに時間がかかったり、すぐに発症せずに大人になってから発症する場合もあります。   4、心的外傷後のストレス反応とPTSD症状   虐待などショックな出来事の後には、一時的にあらゆるストレス反応が現れます。   ①ストレス反応  食欲 食欲不振、吐き気、嘔吐、消化不良 痛み 頭痛、腹痛、筋肉の痛み 睡眠 眠れない、夜中に目が覚める、悪夢を見る 排泄 便秘、下痢、おねしょ 衝動性 落ち着きがない、攻撃的になる、注意力が散漫になる、すぐに飽きてしまう 急に泣き出したり怒ったりする 執着・再現 こだわりが強くなる、体験した出来事を何度も話したり、その体験に関連した遊びに 友達を巻き込む 赤ちゃん返り ぐすったり泣いたりすることが多くなる、離れるのを怖がる 気持ちの低下・無気力 元気がない、気持ちが沈み込む、ボーっとして無気力になる   ②PTSDの主な症状 フラッシュバック 原因となった出来事を何かの拍子に思い出し、恐怖や苦痛、怒りや悲しみなど さまざまな感情が混じった記憶がよみがえりパニックを起こすこともある。 回避 つらい記憶を思い出すきっかけとなる場所や人を避ける。 過覚醒 常に精神的に不安定になり、集中力に欠けたり、極度の緊張状態になる。 よく眠れないことなども起こる。 感覚まひ つらい記憶に苦しむことを避ける防衛反応として、感情や感覚がマヒする。 人の心を許さず、人からも愛情を感じにくくなる。     5、児童虐待によるPTSDには専門的なケアを   このように児童虐待によって心に傷を負った子どもたちにはさまざまな症状が現れることがあります。 これらの症状が長引く場合には専門的なケアが必要となります。   虐待でつらい体験をした後には、生活に支障がでるほどの症状があらわれたり、それが悪化してしまうケースもあります。   このような場合には専門家への相談が必要です。医師や精神保健福祉士、社会福祉士など専門家に相談し、自分だけで抱え込まないことが大切です。   また、虐待が疑われる場合や異変に気付いたときには、児童相談所などの窓口に相談するなど、早期発見と早期対応が虐待から子どもを守ることに繋がるのです。

2020/11/04

精神疾患

うつ病になりやすい人とは?

残業が多くて仕事休めない。休日も返上してプレッシャーの中で働いている人。 同じ環境にいるのに、うつになる人とそうでない人がいます。     「うつ病はなぜ起こるのか?」 はっきりとした原因はまだよくわかっていませんが、 ここではうつ病になる原因やうつ病になりやすい人について考えてみましょう。   1、うつ病の発症   うつ病はストレスやからだの病気、変化などいろいろな要因が重なって発症すると考えられています。 そして、うつ病は1つの原因のみで発症するのではないと言われています。   【環境要因】 ①幼少児の厳しい体験 ②家族や親しい人の死亡 ③仕事や財産の喪失 ④家庭内不和 ⑤就職や退職、転勤、結婚や離婚 ⑥妊娠、育児、引っ越しなどの環境の変化   【身体的要因】 ①慢性的な疲労 ②脳血管障害 ③感染症、癌、甲状腺機能の異常 ④月経前や出産後、更年期などホルモンバランスの変化 ⑤降圧薬、経口避妊薬などの服用   2、過度なストレスがきっかけになる   うつ病は過度なストレスが引き金となり発症することもあると考えられています。 日常の中にはさまざまなストレスがありますが、 特に多いのは「人間関係」と「環境の変化」です。 それは悲しい出来事だけでなく、嬉しい出来事でも環境の変化からうつ病になることもあるのです。 たとえば、以下のような出来事です。   ①仕事に関すること  昇進、降格、失業、仕事でのミス、定年 ②健康に関すること  からだの病気、事故、月経 ③家族に関すること  妊娠、出産、子どもの就職や結婚、家庭内不和、離婚 ④お金に関すること  貧困、税金問題、相続問題 ⑤状況の変化  旅行、引っ越し、転勤 ⑥喪失体験  近親者との死別や離別、病気   3、うつ病になりやすいタイプ   うつ病になりやすいタイプとして、「まじめで責任感が強く、人あたりもよく、周りから評価も高い人」が多いと言われています。 このようなタイプの人は自分のキャパシティーを超えて頑張り過ぎてしまったり、ストレスをため込んでしまうので、こころのバランスを崩してしまいやすくなるのです。   うつ病になりやすい気質はおもに3つあります。   【循環気質】 ・躁状態と抑うつ状態を繰り返す双極性うつ病になりやすいタイプ ・社交的、善良、親切で親しみやすい反面、激しい一面も持っている。   【執着気質】 ・義務感は強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、正直などの特徴がある。 ・仕事の質は高いが量をこなせない。 ・一生懸命完成させるために興奮状態が続いたあとにガクッときて、抑うつ状態に。 ・二者択一で白か黒をはっきりさせたい。 ・優先順位を付けられないタイプ。   【メランコリー親和型気質】 ・常識を重んじ、常に他人に配慮を忘れず、円満な関係を保とうとし、 自己の性格だけでなく、他との関係も重んじタイプ ・他人の評価がとても気になり、何かが起きると悲観的になってしまう。 ・すべて自分の責任だと考えるタイプ     うつ病になった人の多くは自己洞察力が低いと言われています。   入院が必要な重度のうつ病患者こそが、「まだ大丈夫です!」と平気で言ったりもします。 自己洞察力が高い人であれば、「最近、忙しすぎて、調子が悪いな。」と気づき、ストレスも軽症のうちにコントロールしようとするので、うつも重篤化する前に対処できるのです。   自己洞察力を高めるには「アウトプット」が効果的です。 とくに「書くこと」で自分自身の内面を客観的に観察できるようになるので、習慣にするとよいでしょう。   4、うつ病予防に効果的なのは「運動」     先述の通り、「書くこと」は自分自身の内面を客観的に観察できるようになるので、習慣化することがおすすめですが、さらに効果的ともいえるのが「運動」です。   ジョギング、ウォーキング、エアロバイク、水泳、エアロビクスなどの有酸素運動は、うつ病を予防し、不安や落ち込んだ気分を改善してストレスホルモンを正常化することができるという研究結果が示されています。   うつで気力がない人は、普通のウォーキングや散歩など軽い運動でも効果が得られるので おすすめです。   もしも気持ちが落ち込んでしまったら、自分ひとりで抱え込まずに、周りの人に話してみるとスッキリすることもあると思います。   「自分はうつ病になったのかしら?」と不安になったら、心療内科や精神科クリニックなどの専門機関に相談に行ってみるのもいいでしょう。   人間は誰でも心に悩みを抱えたり、気分が落ち込んでしまうことがあります。 そんなときにはぜひ抱え込まずに話してみましょう。

2020/10/27

精神疾患

うつ病と自殺について

新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、有名人の自殺や自殺者による巻き込まれ死亡など、自殺に関連する痛ましいニュースが報道されています。 うつ病は誰でも発病する可能性があり、決して他人事ではありません。 また、うつ病で一番問題になることは自殺です。 今回は、「うつ病と自殺」について知り、大切な命を守ることを一緒に考えましょう。   1、うつ病の原因とはなにか うつ病の原因ははっきりとしたことはわかっていませんが、脳内伝達物質のバランスの乱れによっておこっていると言われています。 几帳面や生真面目で対人関係に配慮深い性格がうつ病になりやすいとされていますが、しかし、このような性格の方がすべてうつ病を発症するわけでもありません。 また、うつ病を発症した方が同じ性格をもっているわけでもありません。 性格傾向は重要な要素ではありますが、多くの要因の一つと考えておくとよいでしょう。 性格以外でも、環境の変化も要因となり得ます。コロナ禍で自殺のニュースが多く取り上げられているのも環境の変化が影響しているのかもしれません。リストラ、転職、就職、離婚、死別など状況の変化はストレスとなり、うつ病発症のリスクを高めると考えられます。 うつ病になると、どこに、誰かに、など何かに原因を求めがちです。その結果、本人の性格やご家族のせいにされたり、職場のせいにされたり、さらに人間関係がまずくなってしまうこともありますが、これらは治療的には避けたいところです。 うつ病という病気の原因を一つと考えるのではなく、身体面・心理面・社会的側面などが関与する中で発症したものと捉え、家族や友人、職場も治療の協力者として考えていくとよいでしょう。   2、うつ病ではどんな症状がでるのか うつ病は「心の病」であり、「身体の病」でもあるかもしれません。 実際にうつ病となると身体にもさまざまな症状が出てきます。 【自分で感じる症状】 憂鬱、気分は重い、気分が沈む、悲しい、イライラする、元気がない、眠れない、集中力がない、好きなこともやりたくなくなる、細かいことが気になる、大事なことを先送りする、物事を悪い方向へ考える、決断できない、自分を責める、死にたくなる 【周りから見てわかる症状】 表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着きがない、飲酒量が増える 【身体に出る症状】 食欲がない、便秘がち、身体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、動悸、胃の不 快感、めまい、喉が渇く   3、自殺の予兆 うつ病で一番問題になるのは自殺であり、命にかかわる病となります。 うつ病は軽度であっても「死んだ方が楽になる」と考えてしまう人がとても多く、自殺願望へと繋がっていきます。 日本でもここ数年は年間で自殺者が3万人を超えており、なかでも中高年の男性が多いため、男性の平均寿命を下げたとも言われています。 自殺者の約9割に精神障害がみられ、そのうち4割がうつ病ではないかといわれています。このようにうつ病による自殺の問題は社会的にも大きいのです。   自殺が起きる背景には、うつ病のほかにも、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用、パーソナリティ障害などの心の病が隠れています。 自殺という最後の行動に及ぶ前に精神科などの専門医療機関に受診していた方はごくわずかというのが現状です。 とりわけ、心の病のなかでも、うつ病が最も自殺との関連が強いのです。 では、実際に自殺にはどのように行動の変化が現れるのでしょうか。 潜在的に自殺の危険が高いと考えられている人は、何らか行動の変化が現れた場合、自殺の直前サインと考えられます。   【自殺の直前のサイン】  ●情緒が不安定になる。  ●深刻な絶望感、孤独感、自責感、未価値観に襲われる。  ●これまでの抑うつ的な態度と変わって、不自然なほどに明るく振る舞う。  ●性格が急に変わったように見える。  ●周囲から手を差し伸べられた救いの手を拒絶するような態度に出る。  ●投げやりな態度が目立つ。  ●身なりを構わなくなる。  ●これまでに関心のあったことに対して興味を失う。  ●職場や学校を休みがちになる。  ●交際が減り、ひきこもりがちになる。  ●激しい口論やけんかをする。  ●過度に危険な行動に及ぶ。  ●極端に食欲がなくなり、体重が減少する。  ●不眠がちになる。  ●さまざまな身体の不調を訴える。  ●家出、放浪、失踪をする。  ●多量の飲酒や薬物を乱用する。  ●大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする。  ●死にとらわれる。  ●自殺をほのめかす、自殺についてはっきりと話す。  ●遺書を用意する。  ●自殺の計画を立てたり、手段を用意したりする。  ●自傷行為に及ぶ。   4、うつ病の治療とは このように自殺を予兆するサインがいくつか認められたら、自殺が実行に移される危険は高いと判断して、救いを求める叫びとして真剣に捉えることが大切であり、専門家による適切な治療を受けることが大切です。 うつ病の治療には効果的な薬や心理療法が開発されています。 うつ病になったことを認め、単に悩み事や怠けた状態でなく、心や身体を巻き込んだ深いレベルの病気が起こっているということを認識することも重要です。 うつ病は再発予防までを視野に入れて息の長い付き合いになることを理解することも必要といえるでしょう。   <生きづらさを感じている方々へ> 新型コロナウイルス感染症の影響もあって、今後の生活について不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか。 どうかひとりで悩みを抱え込まず、まずはご家族やご友人、職場の同僚など、身近な人に相談してください。 もし、身近な人には相談しづらい、あるいは相談できる人が周りにいないというときは、 「こころの健康相談統一ダイヤル」や「自殺対策のSNS相談」などに、あなたの不安やつらい気持ちを伝えてください。あなたからの相談を待っています。 支えにつながるその一歩を、どうか踏み出してください。 厚生労働省 加藤勝信   ●こころの健康や精神科医療など精神保健福祉全般に関するご相談は、全国の精神保健福祉センターへ

2020/10/22

精神疾患

精神疾患の要因となる誹謗中傷

  今回は、年々増加する誹謗中傷の被害について見ていきましょう。   まず、誹謗中傷とは根拠のない悪口・陰口などを言うことで他者を傷つける行為を言います。近年ではインターネット・匿名掲示板・SNSでの被害が拡大しており、社会問題となっています。大きくは「いじめ」と捉えることができますが、肉体的な加害ではなく言葉の暴力を指しています。   精神保健福祉士に助けを求める方の中に、人に傷つけられたことによって精神疾患を負ってしまった方は多くいます。症状は多岐に渡りますが、うつ病やパニック障害、ストレス障害などが考えられます。また、複合的な理由で不登校やひきこもり、依存症などになり支援を求めていることもあります。今後、誹謗中傷の被害に遭った患者はより増えていくでしょう。   精神保健福祉士として教育機関で働き、いじめや不登校などの問題を解決する場合にはその要因として誹謗中傷は頭に入れておかなければなりません。また、業務では直接的に誹謗中傷の対処といった内容を行うことのない、生活支援サービスなどの職場だとしても、患者の心の病について深く理解をすることは非常に重要です。     誹謗中傷がなぜ大きな問題となるのか   なぜ誹謗中傷が大きな問題となっているのか、怖い部分を見ていきましょう。 1つは、スマホやSNSが生活に密接に関わっていることです。1日に何度も通知が入るなどして生活の中に不快な書き込みが入り込んでいくことで、精神面で追いやられてしまうのです。   2つめは、中傷内容を拡散されたり支持者がいたりすることで実数よりももっと多くの人に責められている・嫌われている気持ちになってしまう点もあります。   3つめは、誹謗中傷を受けても本人が心の傷に気付き難いことです。アプリなどの身近なツールで受けた中傷は「気にしなければいいこと」「誰にでもあること」などと思ってしまい、傷が大きくなるまで放っておいてしまう可能性が高いからです。これにより人に相談し難く思い抱え込んでしまうという悪循環が生まれています。     誹謗中傷要因でのうつ病治療   では、例として、誹謗中傷を要因としてうつ病を発症してしまった患者の場合、どういった治療の方法があるのか考えていきましょう。   まずは誹謗中傷が現在進行形で続いているのであればそれを即刻解決することです。どんな方法で誹謗中傷を受けているのかによって解決策は変わってきますし、それは患者が解決できることもあれば教育機関や警察に協力を仰がなければ解決できないこともあります。誹謗中傷が止められた場合でも、相手からの謝罪や慰謝料などを求めるのであればそこまで完了する必要があります。   そして、誹謗中傷で受けた心の傷は、誹謗中傷が終わっても残ります。実際にうつ病を発症した人は終わってからの方が多いのではないでしょうか。人と関わることに恐怖や不安感を抱いて行き辛さを覚えたり、十何年も経った後に精神疾患として現れる場合もあります。   うつ病になってしまった場合、大切なことは休養です。脳内のエネルギーが少なくなっている状態なので、消耗しないように休みます。休むことは、人によっては学校や会社を長期的に休んだりと大がかりになることもあるでしょう。その際には家族や社会のサポートが必要になります。誹謗中傷が原因である場合、怖い部分の3で挙げたように「そんなことで」と軽く見てしまう人も多いでしょう。本人のみならず家族が「会社を辞めるほどではない」と思ってしまっては休むことができません。家族から理解が得られず精神的に楽にならない環境であれば入院することも手段のひとつです。   そこから、薬物療法もしくは精神療法にて治療をしていく形になります。精神保健福祉士が関わるのは精神療法です。認知療法・認知行動療法といった方法では、誹謗中傷の受け止め方を患者の中で変えていくことを目指します。「自分が悪いわけではない」という思考を持つことが大切なのですが、誹謗中傷被害では特に影響を受けてしまう部分です。匿名もしくは知らない人からの理不尽な攻撃を受けた場合、因果関係がわかる攻撃よりも「自分が悪い」と思ってしまいがちだからです。この考えを払拭できるように導くのが認知療法・認知行動療法です。

2020/09/28

精神疾患

薬物依存症を知る―覚せい剤・大麻-

覚せい剤や大麻などの違法薬物が、社会問題として大きく取り上げられています。 違法薬物の使用自体が犯罪であり、人生を壊してしまうほどのパワーがあることはわかっているのに、使用してしまうのではなぜでしょうか?   1、薬物依存症とは? WHO(世界保健機関)が提唱した依存症の概念では、「精神に作用する化学物質の摂取やある種の快感、高揚感をともなう特定の行為をくり返し行った結果、それらの刺激を追い求める行動が優位になり、その刺激がないと不快な精神力、身体的症状を生じる精神的、身体的、行動的な状態のこと」とされています。 依存症は、「脳の病気」であり、「こころの病気」ともいえます。 「薬物」は覚せい剤や大麻などの違法な薬物や危険度ドラックだけでなく、医師から処方される薬や市販されている薬に依存してしまうケースもあります。 薬物を激しく求めるよう脳の中枢神経に作用し、脳の回路が快楽状態を続ける状態になってしまうので、本人の意思で薬物をやめることはほとんどできません。 回復には、時間をかけて自分と向き合い、場合によっては過去のトラウマを克服することで、依存症からの回復ができるということが実証されるなど、とても苦しい病気であるともいえるのではないでしょうか。 2、薬物とその効果 薬物依存症で問題となる薬物は多くありますが、ここではおもに3つに分けて説明します。 ①覚せい剤 覚せい剤で問題になるのは、依存の強さと精神状態の出現です。 覚せい剤を使用すると、精神を興奮させ、気分が高揚したりします。また、疲れがとれたり、集中力がつく感じがします。その効果は個人差にあって、最初から感じる人もいれば、はじめは不快だったのに数回使っていくうちに快感に変わり、やめられなくなる場合が多いのです。 精神状態は使用してすぐに出現して消えていくものや、数週間・数カ月と続き、時には数年続く後遺症となってしまうこともあります。 後遺症には幻覚妄想、不安感、激しい感情の移り変わりなどが起きるため、日常生活が困難になります。断薬しているときにさえフラッシュバックが起こり、強いストレスや不眠がきっかせとなり覚せい剤を使用しているときと同じ症状が出現してしまうこともあります。   ②大麻 大麻がタバコのように紙に巻いたり煙で吸ったり、パイプのようなものを使って煙を吸うなどの方法で使用されます。 大麻の作用は、浮遊感や幻覚などの感覚の変化です。不安感を取り除き、気持ちを落ち着かせるなどの抑制作用があるため、依存症になりやすい薬物です。 大麻の薬物依存症者の間では、他の薬物を比べて安全と思われていることもあるようですが、実際には幻覚や妄想などの後遺症がおきる薬物です。 日本では麻薬に指定されている薬物なので、大麻使用は厳重に処罰されます。 薬物を使うきっかけが大麻からはじまり、最初が仕事のパフォーマンスが上がったり、集中力も高まったりして、最高の道具として使っていたけれど、いつしか大麻がやめられなくなり、対人関係や経済的なトラブルを抱えて苦しくなり、ついには覚せい剤に手を出してしまうといった薬物依存へのきっかけになることも多いのです。   ③MDMA MDMAはエクスタシーとも呼ばれ、その作用は幻覚・興奮状態になることです。 錠剤のため簡単に服用できるため、とくに若者に使用されることが多いのも特徴です。 MDMAはその作用が切れるとひどい倦怠感や不安感に襲われたり、長期で使用し続けると錯乱状態に陥る場合もあります。 また、肝臓や心臓の機能不全が起こるなど体への影響も及ぼす薬物です。 この薬物も使用を止めているときもフラッシュバックが起き、使用している時のような幻覚に襲われる場合があります。 3、薬物依存の症状   薬物依存の症状には、精神面と社会面の2つの症状があります。 ①精神面 ◆本人 ・食事や睡眠を取らず、痩せていくこともある。 ・強烈な妄想を抱き、暴力的な言動をおこなう。 ・過剰摂取によって心身的ダメージが強く、命に関わることがある。 ◆周囲から見た変化 ・イライラしている。 ・気分がコロコロ変わる。 ・落ち着きがない。   ②社会面 精神や身体の影響を受け、家庭や仕事先など社会的な信用を失い、孤立してしまうこともある。 また違法薬物自体も違法であり犯罪のため逮捕されるが、ほかにも薬物を使用したことにより窃盗や傷害などの犯罪を犯し逮捕されることもある。 社会からどんどん遠ざかっていく感覚から自分を責め、自殺をはかってしまうケースもある。 4、依存症からの回復・治療について   このように、薬物依存症は命の危険にもかかわる「病気」です。 本人や家族に治療が必要であることを理解してもらい、中毒症状の治療と断薬を続けていくためのサポートが必要です。 薬物依存症の患者には、脱慣期とされる入院治療をおこなうことが多くあります。 そして退院して間もない時期は、薬物への再使用をする可能性が高い時期です。 そのため、退院後もしばらくは外来で通院を続ける方が良いとされます。 また、治療は通院だけでなく、規則正しい生活も大切となります。 自助グループやデイケアなどを活用して、日中も薬物に手をだしてしまわないようにスケジュールを組みことも大切です。ともに回復していく仲間と、信頼できる医師、精神保健福祉士、弁護士などの専門家と連携していくことも重要です。   ①薬物依存症治療をおこなっている病院やクリニックなど専門医療機関の受診 ②自助グループと呼ばれる依存症当事者ミーティングへの参加 ③精神保健福祉センターや保健所などがおこなっている薬物依存症回復支援プログラムへ参加 ④民間カウンセリングルームの利用 ⑤民間の依存症回復支援施設の利用   このように、薬物依存症は「病気」です。 ただし、回復しない病気ではありません。 回復への道のりは短くはありません。 薬物という依存対象を使わない日々のなかで浮き彫りになる自分自身の「生きづらさ」に向き合い、もしかすると自身の生き方そのものを変える必要が出てくるかもしれません。 本人はもちろん、周りにいる家族、友人、仕事関係者も多岐に渡って影響があるでしょう。 本人の体だけでなく、そのこころも社会的な部分も壊れていくのが薬物依存症です。 依存症は、薬物を止めていても、また再び使用すれば再発します。 回復していくによって、「薬物を止め続けていく」ことで、依存症になる前よりも、よりよい生活と人生を送っていただきたいと願います。

2020/05/19

精神疾患

代表的な発達障害とその特性

  精神保健福祉士が扱う領域では、発達障害の患者も多くいます。発達障害は、広汎性発達障害(自閉症など)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。   今回は代表的な発達障害とその特性、また精神保健福祉士との関わりについてご説明します。 3つの発達障害 まず、発達障害は大きく分けて3つの種類があります。   ①広汎性発達障害 自閉症やアスペルガー症候群がこれにあたります。 自閉症は、言葉の発達の遅れ・コミュニケーションの障害・対人関係や社会性の障害があります。パターン化した行動やこだわりが強いことも特性の一つです。知的な遅れを伴うこともあります。よく知っている場所では集中して何かに取り組むことができます。 対して、アスペルガー症候群は言葉の発達の遅れはなく、知的な遅れも伴いません。そのため自閉症よりも発覚しにくいという特性があります。ですが、自閉症と同じく、コミュニケーションの障害・対人関係や社会性の障害・パターン化した行動や興味関心のかたよりがあります。また、言語発達に比べて不器用である点も特性のひとつです。成長とともに不器用さが際立ち、アスペルガー症候群とはっきりする場合があります。   ②注意欠陥多動性障害(AD/HD) 集中できない・じっとしていられない・考えるよりも先に動いてしまう、といった特性があります。知的な遅れを伴うこともあります。学校で机にじっと座っていられなかったり、忘れ物を何度もしてしまうといった子供は、周囲の人に呆れられてしまうことなどがありますが、原因は障害にある可能性があります。近年患者が増えていますが、まだまだ世間の理解が進んでいない疾患です。   ③学習障害(LD) 知的発達に比べて、「読む」「書く」「計算する」などの特定の能力に著しい困難を示す状態をいいます。読みながら話す、聞きながら書くなど動作を組み合わせるシーンで、苦手なことがあると途端にできなくなってしまいます。読むことに必死になり話しかけられても返事ができなかったり、書くことに集中しすぎて聞くことができなくなったりします。 その他: トゥレット症候群 聞きなれない言葉かもしれません。トゥレット症候群とは、突然に起こる素早い運動の繰り返しや発音です。運動や音はチックと呼ばれます。首を振ったり、口を開けたり曲げたりする動きを繰り返してしまうことを運動チック、アやオなどの発音を繰り返したり風邪などではないのにエヘンエヘンと咳払いを続けてしまうことを音声チックと呼びます。 10人に1人の子供が動きや声を繰り返してしまうことがあると言われており、1年以上そういった動きや声が続く子供は100人に1人いると言われています。1年以上の場合にトゥレット症候群と診断されます。   吃音症 言語聴覚士の領域である吃音の問題も、発達障害の一つです。一般的に「どもる」と言われる話し方の障害です。幼児期に出るものと考えている方も多いですが、青年期から目立つようになる人や、成人してから電話の場合のみどもってしまい悩む人もいます。   精神保健福祉士の扱う精神疾患では、同じ病名だとしてもその原因や背景は人それぞれ違います。例えば過重労働やリストラによってうつ病になってしまった男性と、いじめにより不登校になりうつ病と診断された男児では、支援方法や解決策は全く違ったものになります。 発達障害と精神保健福祉士の関わり 発達障害の当事者の方とその家族の方に対し、日常生活のサポートや自立支援を行う場所があります。以下の施設に勤務している精神保健福祉士は、発達障害の患者と関わることになります。 ・障がい者デイサービス 施設で行われる行事を企画し、障がい者の生きがいを支援します。地域と患者を密接に結びつけ、自立支援にもつなげる職場です。生活支援員や生活相談員などと呼ばれます。   ・放課後等児童デイサービス 小中高校の障がい者児童を預かり、リハビリを行う施設です。障がい者デイサービスと同じく行事を企画・開催したり、創作活動などを支援します。児童相談員と呼ばれます。   ・地域活動支援センター 障がい者とその家族のために必要な情報を提供したり、食事やレクリエーション、入浴サービスなどを提供します。   ・福祉ホーム 自宅で生活することが難しい障がい者のために低額な料金で住居を提供している場所です。日常生活に必要な支援を行い、自宅へ復帰できるようサポートも行います。   ・障がい者授産施設 「授産活動」という言葉をご存知でしょうか。一般的な企業に就職して働くのが困難な障がい者が、施設内の仕事をすることを授産活動と言います。それによって働く意欲や技術を伸ばしていく仕事です。職業指導員や就労支援員と呼ばれます。   ・保健所 保健医療についての計画を立案したり、心の問題に関する世間の理解を深めるための活動を行います。他の施設が社会福祉士や介護福祉士も対象となっているのに対し、保健所は精神保健福祉士が担当する場所です。精神保健福祉相談員と呼ばれます。     精神保健福祉士として働く中で、発達障害の患者と関わる場所は上記のように多くあります。   しかし、精神保健福祉士がより多く関わる統合失調症やうつ病に比べると発達障害はまだまだ新しい分野です。世間の理解が得られなかったり、前例が少なく対応に迷うケースも出てくるでしょう。   常に新しい情報を入れて学び続け、ひとりひとりの患者と真摯に向き合うことが神保健福祉士に求められています。

2020/04/22

精神疾患

「統合失調症」の治療について知る

こんにちは。精神保健福祉士が関わる「統合失調症」。 今回はその治療方法についてお伝えします。 1、治療方法はどのように行われるか?   統合失調症の代表的な治療として、薬による治療と精神科リハビリレーションがあります。 急性期には薬により治療が基本になり、なるべく早い時期から薬と精神科リハビリテーションを組み合わせた治療を行うことが効果的です。   統合失調症の薬物療法は、「抗精神病薬」といい、症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮にします。また、薬による治療に合わせて、十分に休養を取ることも大切です。   精神科リハビリテーションは、病気の症状で生じる「生活のしづらさ」を改善し、スムーズに安定した生活を送れるようにすることを目的におこないます。具体的には、デイケア、作業療法、SST(生活技能訓練)、心理教育などのプログラムがあり、医療機関や精神保健福祉センター、自立訓練事業所などで実施されています。 精神科リハビリテーションは医師や看護師のほか、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士などの専門職が連携して行います。   2、再発しやすい病気です。   統合失調症は再発しやすい病気です。 いったん症状が落ち着いても長期にわたって治療を続ける必要があります。治療を中断すると、薬が効かなくなって回復に時間がかかるようになったり、再入院になる人が多くなります。   再発のサイン  1、眠れない日が続くようになる  2、イライラしている  3、食欲が落ちている  4、焦りや不安の訴えが多くなる  5、発病時の体験を昨日のことのように語るようになる  6、そわそわして、落ち着きがなくなる  7、うつ病になり、ぼーっと考えたりする  8、被害的で、疑い深くなる   「統合失調症」について、理解を深められたでしょうか? 誰でも発病する可能性のある統合失調症。家族や周囲の方のサポートや、制度をうまく活用して治療していきましょう。 /_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 「統合失調症」の精神科リハビリテーションを行う専門職 精神保健福祉士とは? 精神保健福祉士を目指したい方はこちらへ資料請求

2020/04/22

精神疾患

「統合失調症」の症状について

精神保健福祉士の専門領域である「統合失調症」について解説します。 1、「統合失調症」はどのような病気ですか?   統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。約100人に1人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。 年齢では、思春期から40歳くらいまでに発病しやすいと言われています。   2、「統合失調症」の発病の要因は?   統合失調症の原因はまだはっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスが崩れることが関係しているのではないかといわれています。 また、大きなストレスがかかることも関係があるようです。 遺伝子も関与しているといわれていますが、単純に遺伝子だけの問題ではなく、さまざまな要因が関与していると考えられています。   3、どのような症状がありますか?   統合失調症の症状は大きく分けて3つあります。   ①陽性症状 妄想:実際にないことを強く確信する。 幻覚:ないはずのものが見えたり(幻視)、悪口が聞こえたり(幻聴)する。 思考障害:思考が混乱して考えに一貫性がなくなる。会話に脈絡がなくなる。   ②陰性症状 感情の平板化:喜怒哀楽の表現が乏しくなり、他者の感情表現に共感が少なくなる。 思考の貧困:会話で比喩などの抽象的な言い回しが使えなかったり、理解できなかったりする。 意欲の欠如:自分から何かをしようという意欲がなくなってしまう。 自閉(社会的引きこもり):他者とコミュニケーションを取らなくなる。   ③認知機能障害 記憶力の低下:物事を覚えるのに時間がかかるようになる。 注意・集中力の低下:集中したり、考えがまとめたりすることができなくなる。 判断力の低下:物事の優先順位をつけられなくなったり、判断したり、計画を立てたりできなくなる。   4、病気の経過と症状は?   統合失調症には病気の経過によって、「前兆期」・「急性期」・「消耗期(休息期)」・「回復期」の4つに分けられます。 それぞれの病気で特徴的な病状を解説します。   ①前兆期 眠れない 音に敏感になる 焦り気持ち 気分が変わりやすい →過労や睡眠不足に注意する。   ②急性期 不安になりやすい 眠れない 幻聴や妄想(被害的ものが多い) →睡眠・休息・安心感が大切。   ③消耗期(休息期) 眠気が強い 体がだるい 引きこもり 意欲がない やる気がでない 自身がもてない →数カ月単位の休息、就寝時間は規則正しく、焦らず無理せず。   ③回復期 ゆとりがでてくる 周囲への関心の増加 →楽しみながらのリハビリテーションや体力づくりも大事。   /_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ >「統合失調症」の精神科リハビリテーションを行う専門職 精神保健福祉士とは? >精神保健福祉士を目指したい方はこちらへ資料請求

2020/04/19

精神疾患

「コロナ疲れ」に負けない過ごし方とは

こんにちは。日本福祉教育専門学校です。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために、国内では学校の臨時休校やイベント自粛、そして首都圏を中心に外出自粛となっています。 また、一時はトイレットペーパーの買い占めが起きたり、通勤電車で咳をすると白い目で見られてしまったり、社会全体は大変な状況にあると言えるでしょう。 そんな中で、ネット上では、「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」という言葉も現れるようになりました。 毎日の生活やこれからのことに不安を感じ、ストレスのきっかけをなってしまうのです。 1、「コロナ疲れ」の原因がストレス 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの日常生活を大きく変化させることになってしまいました。 これまでにないウイルスに不安を感じて、外出も思うようにできない生活に大きなストレスを感じている方も多くいらっしゃるでしょう。そのストレスが蓄積していくことで、「コロナ疲れ」となってしまうのです。   2、「コロナ疲れ」の原因を取り除こう 多くの方が新型コロナウイルスに対して強い不安やストレスを感じているのではないでしょうか。また仕事もテレワークとなり、なんとなく時間の制限なく曜日感覚もなくパソコンに向かって作業をしてしまい、ONとOFFがなくなる生活リズムになってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。   「コロナ疲れ」を予防するためには、まずその原因となるストレスをうまくコントロールすることが大事です。 それにはまず生活習慣と整えることがとても大事なのです。 そして、栄養バランスの良い食事と良質な睡眠を取ることは、ストレスコントロールすることに重要なものになります。 新型コロナウイルスでこれまでにない生活を過ごし、疲れを感じているという方も多いのではないでしょうか。 無意識にイライラしたり、不安が高まったり、緊張感が続いていたり…。 まずはセルフチェックをして、自分自身のことを知っているものいいでしょう。   【精神面チェック】 ☑先がどうなるかわからずイライラしてしまう ☑心配が強く不安がどんどん大きくなっている ☑気持ちが落ち着かずにどうしていいかわからない ☑新型コロナウイルスのニュースを見ると落ち込んでしまう ☑自分や家族が感染してしまうのでは?と常に緊張している ☑仕事などに集中して取り組むことができない ☑自宅に一人でいるのが怖い ☑何もする意欲がわかない   【身体面チェック】 ☑休んでいるのに疲れが取れない ☑眠れなかったり、夜中に目が覚めて眠れなくなったりする ☑頭痛がひどく治らない ☑食欲がなかったり、腹痛を感じる ☑肩こりや背中に痛みを強く感じる ☑めまいや耳鳴りがする このような状況が続いていることで、知らずうちに心身から疲れやストレスのサインが出ています。 心身に現れている不調に気付き、適切に対処することはとても大事です。   3、「コロナ疲れ」に対する不安とストレス緩和とは 新型コロナウイルスの情報がニュースだけでなく、ネット上やSNSで溢れかえっています。 その中でも正確な情報を掴み、今できることを取り組むことがいいでしょう。 ここで不安や恐怖を緩和させる4つのポイントをご紹介します。   ①正しい感染予防に取り組むようにする(手洗い、うがい、蜜を避ける) ②過剰に反応しないように工夫する(情報には過敏ならず、必要な対応を) ③免疫力を高めるような生活を過ごす(食事、睡眠、運動、入浴などの生活習慣) ④緩和緊張できる方法を身に付けておく(深呼吸などのリラックス方法)   新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための生活は、もうしばらく続きそうです。 心身ともに健康と安全を第一に、みんなで乗り越えていきましょう!