2020/08/21

精神保健福祉士の仕事

精神保健福祉士に求められる家族支援

  精神保健福祉士に求められる業務のひとつに、家族支援というものがあります。   精神保健福祉士は精神病を患った患者だけでなく、その家族とも関わる仕事です。それぞれの患者にはそれぞれの家族とその形があるため、決まった家族支援のフォーマットというものはありません。   例えば、その名の通り家族を支援する業務があります。患者が父親でその子供に病気について理解させるよう支援をしたい。もしくは母親に自宅でのサポートの仕方を指導し金銭面で行政の支援を受けられるよう案内する、などです。   また、家族が原因で患者が精神疾患を患ってしまっている場合、原因を取り除くために家族支援を行う業務もあります。患者の父親が暴力を振るうために引きこもってしまった学生であったり、母親からのプレッシャーが原因でうつ状態になってしまった子供であったりします。   このように直接的に原因となっている場合でなくても、いじめが主な原因ではあるが家族にも相談できる人や理解してもらえる相手がいない、といったケースも考えられます。いじめや過去のトラウマなどは一枚岩で解決するものではないですが、家族が支えるのは解決へのまずできる一歩です。   もしくは、患者の家族があまりに責任を負いすぎてしまい、家族自身も精神的に不安定になってしまうケースもあります。家族としての役割を大きく捉えすぎてしまい、家族が支えれば乗り越えさせることができるはずだと信じていると陥りがちです。   このように家族支援は多岐に渡りますが、今回は「問題を抱える若者とその家族への支援」に絞って精神保健福祉士が留意することを記載していきます。     問題を抱える若者とその家族への支援   ①相談を受け、受診の必要があれば勧める これは当然のように感じることかもしれませんが、家族の認識によっては受診と服薬に抵抗がある方も多いです。病名がつくことを嫌い、なかなか受診に足が向かないという理由も多いです。服薬してコントロールができる病気であればそうするに越したことはないので、誤解のないよう説明をし受診を勧める必要があります。   ②家族に依存しすぎていないか確認する 家族との関係が薄いがゆえに起こる精神疾患もありますが、逆の場合もありえます。家族への依存が大きいと、家族という世界に閉じこもってしまって外に出るのが怖くなり、他者からの評価が得られずまた家族とだけしかコミュニケーションを取らない、という悪循環が生まれます。精神疾患の原因が家族とは関係がないように思えても、根底の部分で家族依存が関わっている場合も多くあります。   ③家庭内暴力への対処 家庭内暴力について、一番は警察に通報し避難をさせることです。危険性があると判断すれば、そのように指導しましょう。また暴力に暴力で対抗することは勧めません。まだ未遂であり予防の段階であれば、できるだけ相手を刺激せず、2人きりにならないよう第三者を介入させることや、距離を取って会話をするように心がける事などの予防原則を指導します。   ④家族の中で役割を見出す これは精神疾患の段階にもよりますが、全く何もしていない状況が続くよりも何かの仕事が生活の中にあった方がやりがいに結びつくケースもあります。小さい社会である家族の中で、働く意義や責任を見出せると社会復帰への足掛かりになるでしょう。家族と話し合い、例えば新聞受けから新聞を取ってくるでも、掃除や洗濯でも構いません。些細なことでも、失敗してもいいです。それが社会活動に繋がります。     具体的な家族支援の流れ   ①家族の誰か(一般には親など,本人もあり得る)からの相談を受ける(来談・訪問) 相談者が何を問題にしているのかと、家族の関係をつかむ。   ②問題を抱える本人(本人からの相談の場合は家族の誰か)の話を聞く(来談・訪問) ①と②の相談者の違いを明らかにする。問題はそれぞれの人物の認知であり、事実の追求は意味を持つとは限らない。   ③会議を開き、問題の明確化・支援の目標設定・有効な資源の検討・アセスメントの必要性の検討・環境調整の必要性の検討を行う 初回面接の担当者の記録をもとに印象を交えて報告してもらい,必ず複数の「眼」で検討する。また,目標は「最低限クリアする」実現可能な設定を心掛ける。   ④家族に対し、③の会議で検討した支援の方向性について説明する 同意が得られる場合、具体的にスケジュールを立て本人の行動を促すように協力する体制作りを進める。支援における家族の役割をアドバイスする。 同意が得られない場合、本人・家族と支援者の信頼関係ができていないので、まずは定期的に連絡を取り信頼関係の構築に努める。   ⑤家族との相談のプロセスで会議を開き、方向性とそれぞれの役割、関わりによる変容の確認を行う 本人と家族の関係を調整しながら支援を行う。支援されるのは表面的には「問題を抱える若者本人」だが、本質は「家族全体の関係性」であるから、本人の人的環境である家族は「支援者であると同時に被支援者でもある」という視点を失わないようにする。   ⑥目標となる行動や関係性の再構築に向かう変容や方向性が見えるまでケース検討と支援を繰り返す 関係性は動的なもので完璧な解決などないため、見守りフォローする体制を維持する。  

2020/08/07

未分類

精神保健福祉士に興味のある方へ―就職先とは―

新型コロナウイルス感染症の予防によって、私たちの生活様式が新しいものになりました。 「コロナショック」と言われるなか、私たちの仕事観・会社感への影響も出ているでしょう。 契約社員や派遣社員、アルバイトの契約をはじめとして雇用状況が厳しくなり、今後失業者が急増する可能性があるとも言われています。 そして、雇用情勢が悪化すると、自殺者が増えてしまったり。こうした望まない社会的損失を私たちは考え、社会的な対策を防いでいかなくてはなりません。 このような社会の変化の中で、いま、注目されているのが『精神保健福祉士』という国家資格です。 コロナ禍を受けて、多く人がこれまでのよりも緊張感の高い生活を送っているなかで、“人々を支え、自分自身もやりがいを感じる仕事に就きたい“、このような転職を希望する社会人が就活をする大学4年生に注目されつつある国家資格です。 今回は、心の寄り添う医療系国家資格『精神保健福祉士』について、そのおもな就職先を説明します。 1、精神保健福祉士の仕事内容とは? 精神保健福祉士は、精神面に障害のある方を対象に生活面での支援を行うのは主な仕事です。Psychiatric Social Workerを略して、「PSW」と呼ばれており、精神障害者に特化して相相談援助や社会資源を提供する専門職であり、国家資格です。   具体的にどのような役割があるでしょうか。 障害のある方を密接に関わりのあることと言えば、医療費と生活費です。 ご自身はもちろんですが、そのご家族にとっても医療費は大きな負担です。そして、障害を抱えた方が世帯主だった場合には生活費の捻出も困難を強いられるでしょう。 厚生労働省が代表例としてあげている精神障害者は、統合失調症、てんかん、依存症、気分障害、高次脳機能障害などがあります。いずれも症状が悪化すると仕事を続けることが困難になりやすく、休養をとりながら治療をしていくケースが多いです。 障害者ご本人の医療費や生活費として活用できる公的支援制度を斡旋するのも、精神保健福祉士の仕事のひとつです。 もちろん、できる限り社会復帰を支援して、本来の自立した仕事ができるようにサポートしていくという重要な役割もあります。社会復帰に向けて、日常生活に必要な訓練や会話の練習など直接精神障害者の方と向き合うことも欠かせない仕事です。 さらに、再び社会に出て働くための支援や、就職を果たした後も仕事に定着できるまでのサポートなどもおこないます。 精神保健福祉士がこのように多岐に渡る仕事を担うことになった背景には、2006年に施行された「障害者自立支援法」と、2012年に施行された「障害者総合支援法」があります。 この2つの法律がきっかけで、それまで入院医療が中心だった精神障害者の方が、地域での生活へと変化していきました。 これまで病院で生活していた精神障害のある方が地域で生活するとなると、専門知識を有する支援者が必要となります。そこで、精神保健福祉士が、精神障害をお持ちの方と社会がつながりを持てるように導く役割をしていくことになったという背景があります。 2、精神保健福祉士と社会福祉士との違いは? 社会福祉士も、精神保健福祉士と同じく国家資格のひとつです。 心身に障害を抱えるさまざまな事情から通常の生活を送ることが困難な方を支援することがおもな仕事です。 社会福祉士が支援するのは、障害を抱えて社会参加や自宅での生活が難しい方だけではありません。突発的な災害や失業といった何らかの働けない事情を抱えて生活が困難になった方への支援も社会福祉士の仕事です。また、不登校や虐待など子育てに関する問題も対応することもあります。 社会福祉士は、社会の中で何らかの支援を必要としている方やその家族の相談を受けて、その方の状況に合った適切な紹介や申請をおこなって、自立した生活になるように支援をする専門職です。 精神保健福祉士との違いは、その対象者です。 精神保健福祉士が支援をするのは精神に障害を抱えた方で、対象となる人が限定されているという点が違います。それだけ専門性が高く、専門領域が特化していると言えるでしょう。 なかには、社会福祉士の国家資格を持ちながら、さらに精神保健福祉士の国家資格を取得する人もいます。社会福祉士の国家資格で全般の相談援助はできますが、さらに精神保健福祉士の国家資格を取得することで、精神面に障害を抱えている方に対しても特化した支援をおこなうことが可能となります。 3、精神保健福祉士の就職先 ①病院 精神保健福祉士としてまず挙げられる就職先が病院です。 精神科の専門病院、総合病院の精神科、心療内科クリニックなど、さまざまな形態の医療機関が挙げられます。いずれも地域を支える拠点です。 医師と連携して精神障害のある方の生活に関わる情報を把握し、社会復帰に向けて生活を支えていきます。 精神科病院では、集団精神療法や認知行動療法、グループワーク、リハビリ、デイケアといった業務をおこなっています。また、在宅生活に関わる相談では訪問業務をおこなうこともあります。  ②福祉施設 病院の次に挙げられるのは、福祉施設です。 おもな福祉施設として、就労継続支援事業所、地域活動支援センターなどの精神障害者福祉施設の現場です。これらの福祉施設では、利用である精神障害者の方に対して、就労に関するトレーニングや職場への定着、電話や対面による相談など、日常生活に関わるさまざまなサービスを提供していきます。 それ以外にも、地域への情報発信や精神障害者の方の居場所づくり、関係機関相互の連携の中心となることでネットワークを活用できるハブ機能を果たしたりもしています。 精神障害者の方やそのご家族がよりよい生活を過ごせるように支援します。 ③養護施設 福祉施設だけでなく、養護施設も精神保健福祉士の就職先です。 生活支援サービス分野のなかでも、グループホームやケアホーム、生活保護法で設置されている救護施設、児童福祉法で設置されている児童養護施設などがあります。 また、保護者がいなかったり、虐待などの環境上養護を必要とする児童に対して、相談援助や自立に向けての援助、衣食住への健康管理や作業訓練などのリハビリなど、地域で生活できるようになるための指導をおこないます。 ④行政機関 精神保健福祉士は医療機関だけでなく、行政機関でも活躍することはできます。 行政機関としておもには、市役所区役所、保健所、精神保健福祉センター、福祉事務所などがあります。コロナ禍でテレビ画面でもよく精神保健福祉士センターの電話番号が案内されていますが、これらで心の問題について専門的な相談と援助などの相談業務をおこなっている専門職が、まさに精神保健福祉士です。 また、精神障害者への偏見をなくすための地域住民への啓蒙活動やボランティア活動、患者会や家族会を発足する仕事などもしています。  ⑤司法施設 2003年に「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障がい者の医療及び観察に関する法律」が制定されました。この法律は、精神障害が原因で善悪の判断がつけられずに重大は犯罪を犯してしまった人を対象とする法律です。 精神保健福祉士は、法律に基づく指定された医療機関で医療チームの一員としてや、保護観察所などの施設で精神保健参与員や社会復帰調整官としての役割を果たしています。 ⑥企業・教育機関 企業では、ソーシャルワーカーとして職場でのストレスやうつ病のケアや、理解を深めるためのプログラムやシステムを作る仕事をしています。 教育機関では、小学校や中学校ではスクールソーシャルワーカーとして子どものケアや、いじめ、不登校などの学校で起きるさまざまな問題の解決ができるようにすることも担っています。 精神保健福祉士の活躍の場として今後さらに期待ができる就職先と言えるでしょう。   このように精神保健福祉士の活躍の場は多岐に渡っています。 そして、少子化や高齢化が進んだり、ストレス社会、さらにはコロナ禍による社会不安など、精神保健福祉士が必要とされる場面は広がっていくでしょう。 精神保健福祉士に興味をお持ちの方は、どのような形で貢献し、人々と関わっていきたいかとしっかりと定めるとよいでしょう。 ご自身の一生できる職業として、精神保健福祉士の国家資格取得にチェレンジすることも素敵なキャリアプランです。  >精神保健福祉士のことをもっと知りたい こちら

2020/07/21

精神保健福祉士の仕事

行政分野で働く精神保健福祉士について

  精神保健福祉士の活躍できる場所は、行政分野にもあります。都道府県庁の障害福祉担当課、精神保健福祉センター、保健所、都道府県立の医療機関、児童相談所などが行政分野にあたります。   業務内容は所属機関によって様々ですが、精神保健福祉に関する知識・技術が必要とされる部署に配属されることが多いです。これは当然のように感じるかもしれませんが、近年特に重視されている動向です。厚生労働省が「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を定め、地域生活支援の強化などを推し進めていることが背景となり、都道府県、市町村にて精神保健福祉士の活躍が期待されています。   行政で働く精神保健福祉士の大きな役割は、日本国民全体の精神保健福祉の向上です。直接の支援だけでなく、間接的に市民と協働することや、支援制度や施策を立案することも業務としてあります。     行政分野で働く精神保健福祉士の業務とは   行政分野で働く精神保健福祉士の実際の業務を、大きく分けて9つ紹介します。   ①精神保健福祉相談 ②サービス利用に関する支援 ③技術支援・助言・指導 ④調査研究・企画立案・計画策定 ⑤普及啓発 ⑥研修・組織育成 ⑦関係機関及び団体との連携・協力・連絡調整 ⑧行政機関の責務等が規定されている法令に基づく業務 ⑨精神保健福祉サービスの充実や資源定着のために行う業務   ①の精神保健福祉相談が、最も想像しやすいかもしれません。精神保健福祉の課題を抱える人に対して、問題を理解、整理し、解決へ導くことです。その解決策の中で②のサービス利用に関する支援が含まれることが多いでしょう。患者や相談者の希望を踏まえた上で、適切な社会資源を紹介するのが精神保健福祉士の仕事です。また、紹介だけでなく、利用支援と調整も行います。   ③の技術支援・助言・指導とは、精神保健福祉士の視点から、地域の支援体制の基盤強化を目指し、関係機関の位置づけや機能に応じた技術的な協力や支援及び助言や指導を行うことです。簡単に言うと②と逆で、関係機関から精神病患者の相談を受けることが主でしょう。   ④の調査研究・企画立案・計画策定においては現場で精神病患者を直接支える業務とは少し変わってきます。行政機関として、地域で求められた施策や事業の企画立案、計画策定を行います。ニーズの調査を行い、形式的なものであったり机上の空論となってしまわないよう慎重に聞き取りを重ね、福祉サービスを考えていきます。そして⑤の普及啓発の観点で、地域での交流会を企画するなど理解の促進をすることも精神保健福祉士の仕事です。   そして専門職として、精神保健福祉士の質の向上のために⑥の研修や組織育成を考えることも重要です。所属組織にもよりますが、精神保健福祉士としての確かな知識と技術、そして実務経験が求められます。また、精神保健福祉分野のみならず社会全体の動きやニーズを捉える力も必要です。   ⑦の関係機関及び団体との連携・協力・連絡調整はどの精神保健福祉士の仕事においても切り離せない業務でしょう。医療機関や福祉機関のみならず、地域のボランティアなどあらゆる諸団体との連携が求められます。   ⑧行政機関の責務等が規定されている法令に基づく業務は、想像しにくいかもしれません。これは例えば、精神科病院にて人権侵害を伴う事件が発生した場合に、法律に基づく医療機関への指導強化が急務となります。元の指導のどこが悪いのか、どう解決していくのかを、法律だけでなく精神保健福祉士の歴史や課題、権利擁護に関する専門知識に照らし合わせて考えていく必要があります。現行法では事例がない場合も多く、現行法の不備を認識し改善していく姿勢が大切です。   そして最後に⑨の精神保健福祉サービスの充実や資源定着のために行う業務とは、日本という国の精神保健福祉サービスの充実に向けて、新しい事業が定着するように将来的な施策を考え展開していくことです。国がモデル事業化した「精神障害者○○推進事業」といった事業を運用したり、改善提案を行うなどが業務です。     行政分野の精神保健福祉士が持つべき指針   いかがでしたでしょうか。一般的に想像される精神保健福祉士の仕事は精神病患者にまつわる相談業務だと思いますが、行政分野においてはさらに他の関連施設へ技術指導を行ったり国のモデル事業の改善まで業務は多岐にわたります。   そんな行政分野の精神保健福祉士が、業務を実践していく上で持つべき指針を以下に列挙します。   ・患者本人の権利の擁護と自己決定を尊重する ・患者の強みを伸ばすような視点から相談を理解する ・個人、家族、集団、地域の個別化を重視し理解する ・患者本人とその家族のニーズを把握する ・必要なサービスが途切れることを防ぐ ・患者を含む住民の多様な相談内容に対応できるよう努める ・既存の制度運用に留まらず最善の支援を考える ・ソーシャルワークの視点から施策の創設及び改善を行う ・多職種、他機関と連携し支援ネットワークを構築する ・人、地域、社会システムの全体関連性を踏まえる ・行政機関のなかでソーシャルワークの視点を定着させる    

2020/07/21

精神保健福祉士の仕事

医療分野で働く精神保健福祉士の業務とは

  精神保健福祉士の職場で代表的なものは医療機関でしょう。精神保健福祉士が所属する医療機関は、精神科病院、診療所、総合病院が中心です。精神保健福祉士としてどのように働くかは、職場によって大きく異なります。   国家資格として精神保健福祉士が生まれる前は、精神科ソーシャルワーカーとして多くの方が医療機関にて精神障害者を支えてきました。そして精神保健福祉士が国家資格となった背景には、精神障害者が精神科病院に社会的長期入院をしてしまうケースが非常に多くなってしまったことと、精神障害者の社会復帰などに対する相談業務などの専門職が必要であるという声が大きくなったことがあります。   そのため、まず医療分野で働く精神保健福祉士の大きな目標として、長期入院者の社会復帰を促すことがあります。つまりそれは地域で支えて支援できるようにすることでもあります。   医療機関で働く医師や看護師はどうしても医療行為に重きを置く専門家であるため、精神保健福祉士が地域社会との接点を多く持ち、医療機関内へとフィードバックし、地域に開かれた医療を推し進めることが求められています。   また、近年精神科には統合失調症などの患者だけでなく、うつ病や認知症、メンタルヘルスの課題を抱えた患者が増えてきています。社会的な環境の変化も、医療分野で働く精神保健福祉士は対応していかなければなりません。   医療分野における各業務において、精神保健福祉士がどのような指針を持って業務に取り組んでいくのかを解説していきます。     医療機関での受診と受療に関する支援   ・相談者の思いや希望に寄り添う ・生活者視点から情報を収集する ・社会的視点から相談者を理解する   受診においては、相談者が患者本人でないことも多くあります。家族や関係者が相談者である場合、その思いや希望にまず寄り添うようにしましょう。その上で、患者本人の生活者視点から情報を聞き、整理していく必要があります。相談者と患者が違う場合に、両者の希望や主張を混ぜて考えてしまわないようにしましょう。     生活者の情報収集と課題整理   ・患者の良いところを伸ばせるよう相談者と協力して支援を考える ・多職種によるチーム医療において福祉職としての専門性を持つ   支援を求めている場合、どうしてもマイナス要素のことから支援方法を考えてしまいがちです。しかし、重要なのは患者の良いところを引き出して伸ばしていけるように、例えば患者の夢や希望はどのようなことなのか、それを目指すためにはどう支援していくべきなのか、といった視点から考えていくことが重要です。     入院における支援   ・人権に配慮する   入院はまず、相談者の意志があっても患者の希望とは異なる場合も多々あります。その場合、まず相談者の希望を叶えられるように動きながら患者の意思決定に配慮する必要があります。そして入院においては本人はもちろん、家族や関係者も少なからず不安やストレスを感じます。それを理解し、法律や制度について柔らかく充分な説明を行い、治療と療養環境を調整することが必要です。     退院計画の立案   この業務においてはここまで見て来た、相談者の希望に寄り添うこと・患者の良いところを伸ばせるように支援を考えること・福祉職としての専門性を発揮すること、などが求められます。   特に入院生活が長い患者の場合、退院は非常に不安の多いことであり、どうしても保守的な退院計画になってしまいがちです。しかし本来は患者本人の強みや希望を取り入れ、できる限りチャレンジングなプランでも実現していけるよう工夫をするのが精神保健福祉士の仕事です。時にはチーム医療に関わる専門職全員に、直接患者の希望を届ける場を設けたり、家族や支援者にもそれが伝わるよう工夫をすることが必要となるでしょう。     グループワークの実施   ・リハビリテーションにおいて、グループメンバーの相互作用を活用する   医療分野で働く精神保健福祉士は、業務の中でレクリエーション的なイベントやリハビリテーション目的の大人数プログラムを企画することも多くあると思います。 この場合、グループ全体を見ることと、グループ内外で対人関係を築けているかどうかの把握が必要です。グループワークはグループ全体がうまくプログラムを行えるかどうかと同時に、個別支援という側面も併せ持っています。患者の能力に応じて参加を勧めたり、能力が向上できるよう支援することが大切です。     救急・急性期医療における支援   ・入院中の生活の連続性を保障する ・地域の関連機関と対等な関係を築き、支援ネットワークを作る ・制度や組織を効果的に活用し相談者を支える   救急・急性期医療での支援が求められるのは、精神科救急病棟に勤務する精神保健福祉士などです。大きな指針としては他病棟での勤務と変わらず、相談者に寄り添うことと患者の希望を聞くことなどです。その上で、これまでの生活とこれからの生活を視野に入れ、入院中であっても生活の連続性が保障できるよう心掛ける必要があります。限られた入院期間内に、退院後も地域で安心して生活していけるよう関連機関との連携が不可欠です。

2020/06/18

精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士のテレワークについて

  新型コロナウイルスの影響で、世の中が大きく変わりましたね。社会人にとって身近な影響は『テレワーク』ではないでしょうか。   元々テレワーク環境が整っている職種はもちろんのこと、緊急事態宣言下においては様々な仕事で、できる限りテレワークができるよう推し進められました。   半永久的に基本テレワークを認める方針の会社も出て来ています。今後は、就職・転職の検討材料のひとつとして「テレワークが可能かどうか」は重要視されていくでしょう。   そんな中、精神保健福祉士の仕事はテレワークが可能なのか・可能であればどのように行っているのかを、ご紹介していきます。     1、産業別では医療・福祉のテレワーク率は低い   在宅勤務はどこまで進むか|みずほ総合研究所   みずほ総合研究所のサイトで公開されているデータによると、テレワーク可否の調査において医療・福祉は割合が低いという結果が出ています。製造業、娯楽・生活関連サービス業、運輸・郵便業などと同程度にテレワーク率は低いようです。   福祉業界はどうしても対面の業務が多いため、テレワークが不可能な業務が多くあります。また、個人情報保護の観点から自宅に持ち帰ることのできない仕事が多いことも理由の一つでしょう。     2、テレワークに移行できる業務のみ対応   テレワーク率の低い福祉業界ですが、緊急事態宣言下ではテレワーク対応をした精神保健福祉士も多くいます。勤務している場所によりますので、あくまで傾向としてですが、病院や施設では業務の一部をテレワークにし出勤人数を減らすという対策を取っていたようです。   例えば当番制で事業所に出勤する人と、自宅で事務作業や電話対応を行う人とに分ける。事業所内での会議や多職種との会議はすべて自宅でTV会議とする、などです。訪問診療の場合も電話相談をこまめに行うことで、最低限の患者のケアを行うことができます。   前からテレワークへ移行していた事業所も少なからずあります。スマートフォンやタブレットを貸与し、利用者についての情報共有や診療計画書の立案業務などに活用し、業務効率化を図っているそうです。医療・福祉業界でのテレワーク導入プロセスや手引きについては産業労働局よりハンドブックが出ています。   テレワーク業界別ハンドブック「TELEWORK活用ヒント」(医療・福祉)   カウンセリングや傾聴は在宅の環境でできる場合も多いため、他の福祉業の中ではテレワークが不可能ではない職種にあたるのではないでしょうか。   そのため、求人サイトでは「在宅ワーク可能」と記載している募集も増えています。オンライン相談所のような業態事態をとり、完全テレワークを目指す福祉ビジネスも出てきました。     3、自己研鑽の勉強や仕事の見直しなど   普段の職場で行っている仕事をそのまま自宅で行うことは難しくても、自己研鑽のための勉強や仕事の見直しを行うことはできます。自宅待機という形でそういった内容を推奨した職場も多いようです。   精神保健福祉士は資格を取得して終わりではなく、常に勉強することが必要な仕事です。自宅でセミナー動画を見る、書籍を読んだりするなどの時間を取ることも有用です。また、社会福祉士や介護福祉士など他の専門職の勉強をすることも精神保健福祉士としての知見を広げることに繋がります。     4、精神保健福祉士のテレワーク実施の課題   精神保健福祉士もテレワークが可能であれば、多様な働き方のひとつとして選択したいという方も多いのではないでしょうか。 精神保健福祉士がテレワークを実施する上で課題となるのが、以下の点です。   ・精神保健福祉士として専門性の発揮される仕事がしにくい ⇒電話カウンセリングや事務仕事のみでは、これまで通り精神保健福祉士として患者と向き合うことは難しいでしょう。あくまでテレワークでの業務は補助的な役割にとどめ、うまく組み合わせて使っていく形が望ましいでしょう。   ・高齢者患者にスマートフォンやタブレットが普及していない ⇒電話やオンライン対応をしようとしても、患者側の環境が整っていないことが予想されます。高齢者分野においてはそれがとくに見られます。実際に顔と顔を合わせてこそ悩みが引き出せる・心を軽くできるという面でも世代間のギャップがありそうです。電話やオンライン対応は、それに慣れた世代であれば有用でしょう。   ・個人情報保護や守秘義務を伴う仕事 ⇒精神保健福祉士の業務における患者の個人情報保護については、厚生労働省にてガイドラインが出されています。原則、患者のカルテなど個人情報に関わるものを自宅に持ち出すことはできないため、自宅でできる業務に制限が出ます。これは当然厳守されるべきことなので個人情報を含めない事務仕事としっかり切り分けることが求められます。   ・職場内コミュニケーション不足による生産性の減少 ⇒生産性の減少は精神保健福祉士に限らずあらゆる業界で懸念されていることですが、社外で自由な場所・時間に働く場合、労働時間や労働内容が職場内で把握しにくく、生産性が下がるということが考えられます。     このように、精神保健福祉士の仕事をテレワークで行うにはいくつかの課題があり、すべての職場で自由にテレワークが選択できるようになるのは難しいでしょう。   しかし、テレワークは多くのメリットがあります。就業場所に捉われず、働く時間を都合に応じて決められ、通勤時間の短縮にもなります。仕事と生活の両立を考えるワークライフバランスの実施にも繋がります。   また、フルタイムで働くことが難しい人や自宅での作業しかできない人などを雇用することで、人手不足の解消や長時間労働の解決にもなります。精神保健福祉士の現場でも新しい働き方が選択できるように変化していくことが今後求められていくでしょう。

2020/06/18

精神保健福祉士の役割

精神障害者の居住支援について

  精神保健福祉士の業務のひとつに、精神障害を持つ患者への居住支援があります。   これはとくに近年、厚生労働省が公表した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」で示された、「入院医療中心から地域生活中心へ」という方針と深く関わっています。   地域生活中心にするには、住居を確保し、自分らしく暮らしていけるための支援が必要です。今回は居住支援について見ていきましょう。     1、居住支援とは   退院が可能とされていても、病院外で住む場所がなければ退院はできません。居住の場の確保を支援することは精神保健福祉士の仕事のひとつです。   まず、住まいのあり方として望まれているのは、地域コミュニティの中で安心して健康で快適に、自己実現しながら暮らせる場です。ただ住むことができる場所というだけでなく、そこに住む人の生活の質の向上を図ることが大切です。   同時に、地域が連携し日常生活圏域の形成を進め、福祉サービスなどを住み慣れた地域で十分に受けられることが理想です。この理想を目指して精神保健福祉士は居住支援を行っていきます。   まず各々の患者の状況にあった住まいを確保し、生活支援サービスやコミュニティの形成など、障害の程度に関わらずすべての人が地域で支え合う環境を構築することが求められています。     2、住まいの確保への課題   住まいの確保がうまくいかない理由は患者によって様々です。   例えば、頼れる家族がおらず、就労し賃金を稼いでいないために家賃が発生する住居を確保できない場合。これは就労が可能な状態であれば就労支援から行い、住居の確保の相談に乗ります。また、グループホームや要配慮者向けの賃貸住宅を検討することもあります。   就労しており一人暮らしが可能な状態であっても、保証人がおらず借りられない場合もあります。   そして、賃貸人に拒否されてしまうケースもあります。調査では居住制限のうち「障害者のいる世帯は不可」としている賃貸が3.1%となっています。(平成18年度/全国/日本賃貸住宅管理協会調べ)   賃貸人の拒否理由は、家賃滞納が不安であったり、根強い偏見や誤解があったり、近隣住民とのトラブルを危惧していたりなど様々です。こういった賃貸以外を探すことや交渉をすることも、精神保健福祉士が相談にのる内容のひとつです。   また、障害の程度によっては普通の住居では生活が難しく、バリアフリー化されている必要があるなど建物のハード面で条件がある場合もあります。 持ち家であれば住宅改修が可能ですが、大きな改修になればその分費用が嵩みますし、一緒に生活する家族がいれば家族の生活との擦り合わせが必要です。   そして、これが一番大きな問題かもしれませんが、患者本人の「自立して暮らしたい」という気持ちが薄くなってしまう課題があります。退院が可能な状況になっていても、一人暮らしへの不安や慣れない地域への不安があって当然です。心の準備ができるよう、体験宿泊などを通してスムーズに地域生活へ移行できるようサポートすることも居住支援です。     3、居住支援事業   居住支援の課題は多くありますが、年々見直されており、住まいに関する施策・サービスも増えてきました。いくつかご紹介します。   ①あんしん賃貸支援事業 様々な人が賃貸住宅を借りやすいように、受け入れている民間賃貸住宅の情報提供がされています。協力している不動産店は「あんしん賃貸住宅協力店」といい、ステッカーが貼ってあります。   ②家賃債務保証サービス 借主が一定の保険料を支払い、居住者が家賃を支払えなくなってしまっても代わりに立て替えを行うサービスのことです。病状が悪化するなどして、支払いが不慮の理由で遅くなってしまった場合などに有用です。しかし、保険ではなくそのお金を保証者に後日支払わなければならないため注意が必要です。実質一定期間借りられるという仕組みです。   ③住宅改修費用の助成制度 手すりの設置や段差の解消、浴室・トイレなどの改修など、障害に合わせて住まいを住みやすく改修することが必要な場合があります。この場合に受けられる費用の助成制度です。   ④障害者の相談支援事業 地域に設置されている相談支援事業です。家探しの協力や、関係機関との連携を図って日常生活をサポートする事業があります。ここで働く精神保健福祉士も多いでしょう。退院後は地域の精神保健福祉士をはじめとする支援員と連携を取り、患者をサポートしていきます。     4、居住支援が目指すもの   先に挙げたように、様々な課題があることから患者自身も退院へ前向きになれないケースも多いでしょう。   退院後に安心して健康に過ごせる住まいが作れるよう、精神保健福祉士も理想の住まいを一緒に思い描くことが大切です。   一人暮らしを始めると、自由な時間を心置きなく過ごせることや、自由に部屋を変えていけること、社会参加する場所を自分で選択して自分のペースで進められることなど、毎日が楽しく感じる患者がほとんどです。   大家さんや近所の方と良い関係が築けると、より生活が輝いていくでしょう。大きな声でゆっくり話すようにお願いをしたり、患者が苦手とするコミュニケーションをあらかじめ伝えておくなど、関係構築を円滑にする方法はたくさんあります。   病状が悪化した時のためにも退院後のアフターケアは必須ですが、このように明るい声を聞けることで精神保健福祉士のモチベーションにも繋がり、次の居住支援にも活かせます。

2020/05/19

精神疾患

代表的な発達障害とその特性

  精神保健福祉士が扱う領域では、発達障害の患者も多くいます。発達障害は、広汎性発達障害(自閉症など)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。   今回は代表的な発達障害とその特性、また精神保健福祉士との関わりについてご説明します。 3つの発達障害 まず、発達障害は大きく分けて3つの種類があります。   ①広汎性発達障害 自閉症やアスペルガー症候群がこれにあたります。 自閉症は、言葉の発達の遅れ・コミュニケーションの障害・対人関係や社会性の障害があります。パターン化した行動やこだわりが強いことも特性の一つです。知的な遅れを伴うこともあります。よく知っている場所では集中して何かに取り組むことができます。 対して、アスペルガー症候群は言葉の発達の遅れはなく、知的な遅れも伴いません。そのため自閉症よりも発覚しにくいという特性があります。ですが、自閉症と同じく、コミュニケーションの障害・対人関係や社会性の障害・パターン化した行動や興味関心のかたよりがあります。また、言語発達に比べて不器用である点も特性のひとつです。成長とともに不器用さが際立ち、アスペルガー症候群とはっきりする場合があります。   ②注意欠陥多動性障害(AD/HD) 集中できない・じっとしていられない・考えるよりも先に動いてしまう、といった特性があります。知的な遅れを伴うこともあります。学校で机にじっと座っていられなかったり、忘れ物を何度もしてしまうといった子供は、周囲の人に呆れられてしまうことなどがありますが、原因は障害にある可能性があります。近年患者が増えていますが、まだまだ世間の理解が進んでいない疾患です。   ③学習障害(LD) 知的発達に比べて、「読む」「書く」「計算する」などの特定の能力に著しい困難を示す状態をいいます。読みながら話す、聞きながら書くなど動作を組み合わせるシーンで、苦手なことがあると途端にできなくなってしまいます。読むことに必死になり話しかけられても返事ができなかったり、書くことに集中しすぎて聞くことができなくなったりします。 その他: トゥレット症候群 聞きなれない言葉かもしれません。トゥレット症候群とは、突然に起こる素早い運動の繰り返しや発音です。運動や音はチックと呼ばれます。首を振ったり、口を開けたり曲げたりする動きを繰り返してしまうことを運動チック、アやオなどの発音を繰り返したり風邪などではないのにエヘンエヘンと咳払いを続けてしまうことを音声チックと呼びます。 10人に1人の子供が動きや声を繰り返してしまうことがあると言われており、1年以上そういった動きや声が続く子供は100人に1人いると言われています。1年以上の場合にトゥレット症候群と診断されます。   吃音症 言語聴覚士の領域である吃音の問題も、発達障害の一つです。一般的に「どもる」と言われる話し方の障害です。幼児期に出るものと考えている方も多いですが、青年期から目立つようになる人や、成人してから電話の場合のみどもってしまい悩む人もいます。   精神保健福祉士の扱う精神疾患では、同じ病名だとしてもその原因や背景は人それぞれ違います。例えば過重労働やリストラによってうつ病になってしまった男性と、いじめにより不登校になりうつ病と診断された男児では、支援方法や解決策は全く違ったものになります。 発達障害と精神保健福祉士の関わり 発達障害の当事者の方とその家族の方に対し、日常生活のサポートや自立支援を行う場所があります。以下の施設に勤務している精神保健福祉士は、発達障害の患者と関わることになります。 ・障がい者デイサービス 施設で行われる行事を企画し、障がい者の生きがいを支援します。地域と患者を密接に結びつけ、自立支援にもつなげる職場です。生活支援員や生活相談員などと呼ばれます。   ・放課後等児童デイサービス 小中高校の障がい者児童を預かり、リハビリを行う施設です。障がい者デイサービスと同じく行事を企画・開催したり、創作活動などを支援します。児童相談員と呼ばれます。   ・地域活動支援センター 障がい者とその家族のために必要な情報を提供したり、食事やレクリエーション、入浴サービスなどを提供します。   ・福祉ホーム 自宅で生活することが難しい障がい者のために低額な料金で住居を提供している場所です。日常生活に必要な支援を行い、自宅へ復帰できるようサポートも行います。   ・障がい者授産施設 「授産活動」という言葉をご存知でしょうか。一般的な企業に就職して働くのが困難な障がい者が、施設内の仕事をすることを授産活動と言います。それによって働く意欲や技術を伸ばしていく仕事です。職業指導員や就労支援員と呼ばれます。   ・保健所 保健医療についての計画を立案したり、心の問題に関する世間の理解を深めるための活動を行います。他の施設が社会福祉士や介護福祉士も対象となっているのに対し、保健所は精神保健福祉士が担当する場所です。精神保健福祉相談員と呼ばれます。     精神保健福祉士として働く中で、発達障害の患者と関わる場所は上記のように多くあります。   しかし、精神保健福祉士がより多く関わる統合失調症やうつ病に比べると発達障害はまだまだ新しい分野です。世間の理解が得られなかったり、前例が少なく対応に迷うケースも出てくるでしょう。   常に新しい情報を入れて学び続け、ひとりひとりの患者と真摯に向き合うことが神保健福祉士に求められています。

2020/05/19

精神保健福祉士の役割

ストレスチェック実施者としての精神保健福祉士

ストレスチェックを受けたことがあるでしょうか。   ストレスチェックとは、就労している人の心理的負担がどの程度なのかを測るために行われているもので、精神保健福祉士はストレスチェック実施者になることができます。現在働いている人は会社から義務付けられているので受けたことがあるかと思います。   今回は、ストレスチェックと精神保健福祉士の役割について見ていきましょう。   ストレスチェックとは? ストレスチェックは、労働安全衛生法の改定により制定されたものです。2015年から実施が義務付けられましたので、かなり最近のことです。50人以上の職場に年に1度のストレスチェックが義務付けられています。2015年以前から就労している人は、そういえば最近になって受けるようになったな、という印象があるかと思います。   ストレスチェックを実施できる人は医療職です。精神保健福祉士の他には、医師・保健師・看護師(厚生労働省が定める研修を終了した者)・歯科医師・公認心理士が可能です。   ストレスチェック実施者になるためには、ストレスチェック実施研修を受ける必要があります。労働者の健康管理について、メンタルヘルス対策について、健康の保持増進を図るための支援について、の大きく3つの柱について学びます。 ストレスチェックの具体的な内容 ストレスチェックで行うことは以下の2点です。   調査票の作成 一般企業や教育機関がストレスチェックの調査票を作成するわけですが、その際に精神保健福祉士も関わり、アドバイスを行います。職場によって受けるストレスは様々で、そのため高ストレスかどうかを判断する評価方法も職場や役職によって様々です。そのため各企業の仕事内容について把握し、専門知識と照らし合わせてアドバイスをする必要があります。   面談 調査票を作成し就労者に実施した後に、その結果を見て面談を行います。高ストレスとなってしまった原因はどこにあるのか、今の状況はどういったものなのかなど、調査票だけではわからないことを直接面談して判断していきます。   では、具体的には高ストレス者はどのような基準で決められているのでしょうか。   高ストレス者の数値基準   厚生労働省は、ストレス制度実施マニュアルを作成しており、そこに高ストレス者の数値基準を例として載せています。具体的な手順を解説していきます。   合計点数を使う 調査票をもとに、合計点数を算出します。この場合気を付けたいのが、調査票の質問の聞き方によっては点数が低いほどストレスが高いと評価するような質問と、点数が高いほどストレスが高いと評価するような質問が混ざってしまっているケースです。こういった質問が混ざっている場合は片方の点数を逆転させて足し合わせていく必要があります。   厚生労働省のマニュアルにおいて、数値基準の例を挙げると、領域Bの質問における最高点が116点の調査票の内容で合計点数が77点以上であると高ストレス者と選定されます。 このように、合計点数を使って基準以上の人を選定する方法です。   素点換算表を使う 厚生労働省のマニュアルにある素点換算表を使う方法です。計算の方法が複雑で、使いにくいというデメリットがあります。メリットは、質問の数の影響を排除し、尺度ごとの評価が考慮されることです。 簡単に言うとストレスの高い質問は点数が高くなるように、ストレスに該当しても比較的負担の低い質問は点数が低くなるように設定されています。より詳しい点数を出すことができます。   ストレスチェックを行う意義 なぜ、ストレスチェックが義務化されたかというと、その意義にあります。まず従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止できるということ。精神保健福祉士としてはメンタルヘルス患者の対応にあたることが業務であるのはもちろんのこと、未然に防ぐ活動を行うことも責務としてあります。専門職として真摯に取り組みたい理由はここにあるでしょう。そして次に、企業としては職場の課題が見える化し、環境改善につながること。そしてその改善が進めば従業員の満足度向上や求人力に繋がるという点です。   このようにストレスチェックは意義のある制度ではありますが、そのために不利益が出てしまわないように留意する必要があります。それは主に守秘義務です。精神保健福祉士であれば患者の情報を他人に漏らしてはいけないことはもちろん承知だと思いますが、ストレスチェックの現場においても同様に、誰が高ストレス者でどんな不調があるのかなどが他の就労者に漏れてしまわないよう配慮する必要があります。

2020/05/18

精神保健福祉士の役割

自治体の”心の相談室”をご存知ですか。

新型コロナウイルス感染拡大やその影響でこれまでの日常生活とはまったく違った生活を送らざるを得ない状況になっています。 そのため、以前と違った生活リズムになったり、いままでできたことができなくなったり、と行動を制限させることによって大小さまざまなストレスを感じているかと思います。 この先の見えない苦しい状況がつづくなかで、自分自身、家族の心の健康についてもしっかりと見つめていかねばないないと思います。 そのため、いま、自治体はこころのケアのよりどころになる先として「心の相談室」という窓口を設けているのはご存知でしょうか。 電話相談やメール相談、LINE相談などもできる自治体もあるようです。 自治体のホームページを検索いただくと窓口があります。 あれっちょっと変だな、なんか不快だと自分自身に変化を感じた場合には活用いただくとよいかと思います。 ------------------------------- こころの健康を保ちつづけるために、 生活リズムを乱さない (早寝早起) 適度な運動や活動をする メディアから離れる(コロナから離れてみる) などに取り組むことが必要です。 また今後の懸念点として、生活リズムを戻せねばならなくなるタイミングが危険です。 我々はコロナウイルスのせいで仕事や学業、余暇の過ごし方などの生活様式が変更せざる負えないと強いられ、否応なくそれに対応をしてきました。 しかし、この生活様式を再び、もとのいままでの形に変化させることになる場合、さらなるこころとからだへのストレスが負荷となることが予想されます。 たとえば、  ・テレワークや在宅勤務から通常出勤へ戻ること  ・休業、短縮営業から通常営業時間へ戻ること  ・休校から登校開始となる学習形態の変化 など、ここ1~2か月で急激に生活様式変化をしてきたなか、再度、急激な生活スタイルの変化を求められることになります。 ひとはこのような急激な変化には強くはありません。自分が感じる以上にストレスをこころとからだは感じます。そうなると普段以上に不規則、不健康な生活習慣を定着しやすくなり、心の不健康にもつながります。 たとえば、 インターネット・SNS依存 アルコール依存 ギャンブル依存 ゲーム依存 など、ストレスを緩和するためにこれらへ依存傾向になることも多くあります。 しかしながら依存症は一度起こると自分ではコントロールがとても難しく、悪化するしかありません。 依存予兆が自分のなかで起きている、変化を感じている場合はには「こころの相談室」を訪ねてみてください。 長くなりましたが、「こころの相談室」では精神保健福祉士がおひとりおひとりのお話を聞き、その悩みの対処方法を一緒に考えていきます。

2020/04/30

精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士国家試験合格率100%を達成した日福の学びの特徴とは②

『日福で勉強できる内容』についてポイントをまとめてわかりやすく紹介させていただきますので、ぜひご一読ください。   1、養成校の中でも、『国家試験合格なら日福』といわれる理由   前回も紹介させていただいた通り、本校の精神保健福祉士国家試験合格率は毎年全国トップクラスを誇っています。 ちなみに2020年2月に実施した第22回精神保健福祉士国家試験合格実績は以下の通りです。 今年は、精神保健福祉養成学科(夜間部/ナイトコース)で全員合格100%を達成しました!   ◆精神保健福祉士養成学科(昼間部/1年制)  国家試験合格率85.7% 国家試験合格者数60名(全国第1位)※一般養成昼間部通学   ◆精神保健福祉士養成科(夜間部/1年制)  国家試験合格率96.7%  ・ナイトコース:国家試験合格率100%全員合格達成  ・トワイライトコース:国家試験合格率89.1%  (全国平均合格率62.1%)     2、歴史と伝統で蓄積された国家試験対策の出題分析と合格へのノウハウ   たった10ヶ月余りの学習期間で精神保健福祉士の国家試験に合格するために、本校ではこれまでのノウハウを活かした国家試験対策でみなさんを合格へと導きます。 ここではそのノウハウの一部をご紹介します。   ①入学前から始まる国家試験対策「資格取得オリエンテーション」  本校の国家試験対策は入学前から始まっています。入学前に実施する「資格取得オリエンテーション」では、早期から国家試験に向けた意識作りを指導します。1年間で効率よくポイントを押さえたる学習方法について指導します。   ②出題傾向を掴める「実力テスト」「模擬試験と解説」 暗記だけでは合格できないのが精神保健福祉士国家試験。 本校では、実力テスト、学内模試、外部模試をくり返し実施して、国家試験本番までに出題傾向を掴み、弱点科目を克服していきます。国家試試験前には総復習を行い、万全の体制で国家試験に挑むことができます。出題傾向を分析、知り尽くした教員が本番前の学生に安心感を与えるひとつにもなっています。   ③ひとつ上の合格体制「担任による随時指導」 国家試験を向えるにあたり不安を感じる学生にはクラス担任が、学生一人ひとりに向き合って随時指導をおこないます。教員と学生が二人三脚で国家試験に向かう合格支援体制こそ全国1位の合格実績を生み出しているのです。     ④全員合格を目指すための「ノートテイキングシステム」 大学の頃、試験前におもわず友人のノートを借りてしまったという経験はないでしょうか?本校では全員合格を目指してクラス全員が当番制でノートやレジュメをファイルする制度があります。これが「ノートテイキングシステム」です。 体調不良や仕事で授業を休んでしまっても、一回一回の授業を聞き逃さないために学生同士が科目別にファイリングして、いつでも確認できる、コピーできるように助け合うが学習方法です。 本校は精神保健福祉士を目指すために、昼間部、夜間部の2つのコース、通信教育部の 4つのチャンネルと持っていることも選ばれる理由です。 精神保健福祉士へ現役合格をしたい方は、ぜひ日本福祉教育専門学校へ。   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 精神保健福祉士養成学科(昼間部)について 詳しくはこちら 精神保健福祉士養成学科(夜間部/トワイライトコース)について詳しくはこちら 精神保健福祉士養成学科(夜間部/ナイトコース)について詳しくはこちら *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*