2019/09/10

脳梗塞

脳梗塞の後遺症として起こる言語障害とは? ~失語症と構音障害~

  脳梗塞によって脳の特定の部位に 破損が生じると、 言語機能に障害が出ることがあります。   脳梗塞の後遺症による言語障害の症状や、 言語聴覚士によるリハビリ方法などはそんな手法があるのでしょうか?   もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、 どのようなリハビリ治療を受けることができるのか、ご紹介いたします。     1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害   脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。     1.失語症   失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、 ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。   失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった 言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。   その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。     ◇失語症のリハビリ◇   失語症の患者様は目や耳から入ってきた情報を理解するのは難しい状態です。   そのため、言語聴覚士は、聞いて理解するための練習を積み重ねて、 ことばを扱う感覚を取り戻させるようなリハビリを目的として訓練をおこないます。   言語聴覚士の指導のもと、聞いた言葉と目の前に広げられた絵を結びつけるリハビリを おこなったりと、頭の中で情報を一致させる練習を繰り返しおこないます。   言語聴覚士とのやりとりだけでなく、ご家族や周囲の方々とのコミュニケーションの中で、 患者様がうなずいたり、首を振ったりという反応もリハビリの一種になります。   ただし、失語症の回復には個人差が大きく、 リハビリに励んでも話す機能を取り戻すことができない患者様もいます。   そのため、言語を話すだけではなく、他の方法での意思疎通ができるように、 絵を取り入れたり、身振り手振りなどで総合的にコミュニケーションができる方法を リハビリで学んでいくこともあります。     2.運動障害性構音障害   運動障害性構音障害とは、 脳梗塞によって脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、 唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。   運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、 耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。   ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、 運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、 筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。     ◇構音障害のリハビリ◇   運動障害性構音障害の患者様は、機能性の問題のため、 口や舌を動かす運動や発声練習、ゆっくりと区切って話す方法の訓練をおこない、 発声機能の回復を目指したリハビリをおこないます。   言語聴覚士の指導のもと、リハビリで話しにくい障害の改善を試みると当時に、 残された機能で生活する方法を学んでいきます。   重度の患者様の場合には、五十音表の使用や発声をサポートする機器を使用することで 日常生活でのコミュニケーションを図ることを言語聴覚士が勧めることもあります。   言語聴覚士とのリハビリを終えて退院した後は、 ご家庭での日常生活でご家族や周囲の方々との会話が大きなリハビリになります。     2、言語障害の症状   言語障害の症状や種類、重症度は、 脳梗塞で損傷した脳の部位によって大きく異なります。   「失語症」と「運動障害性構音障害」の代表的は症状は、以下の通りです。     ・失語症   大脳の言語領域は、 「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」という4つの機能がありますが、 失語症で最も重い症状である「全失語」の患者様は、 この4つの機能のすべてに障害を受けているため、 ほとんど全ての言語を理解することも話すこともできません。   そのほかに、ぎこちない話し方になる「ブローカ失語」、 なめらかに話せるけれど言葉の取り違えが多く意味が伝わらない「ウェルニッケ失語」、 比較的なめらかに話せるけれど言葉の言い換えができないために 時々会話が困難になる「健忘失語」などがあります。     ・運動障害性構音障害   「話す」という機能は、唇、下、声帯、口蓋などの器官の 微妙なコントロールによって成立しています。   脳梗塞によって脳は損傷し、この一部またはすべての動作に支障をきたしてしまう 運動障害性構音障害では、話し方がぎこちなくなる、途切れがちになる、 声と呼吸が混じる、声が出しにくい、くぐもった声になり 聞く取りにくいなどの症状があらわれます。   脳梗塞の後遺症で言語障害が出た場合は、 言語聴覚士の指導のもとリハビリをおこなって機能回復を目指します。   文字を見せる、呼びかけるなどをおこなって言語機能の障害の程度を確認します。   どの能力を向上させる必要があるかを判明してから、 話すための訓練へとステップアップしていきます。   脳梗塞の患者様は、言語聴覚士とのリハビリでのコミュニケーションや、 ご家族との会話を増やし、できるだけ話してもらう機会を増やすこともリハビリになります。   また、患者様とのコミュニケーション方法に不安や悩みのあるご家族に寄り添い、 ともに支えていくことも言語聴覚士の仕事といえます。    

2019/09/10

脳梗塞

脳梗塞とその原因・症状とは

  1、「脳梗塞」とは   「脳梗塞」は、脳の血管が細くなったり、血管に血栓(血のかたまり)が詰まったりして、 脳に酸素や栄養が送られなくなるために、脳の細胞が障害を受ける病気です。   脳梗塞は詰まる血管の太さや詰まり方によって3タイプに分けられます。   個人の症状も、その程度や脳の障害を受けた場所や範囲によって異なってきます。     (1)ラクナ梗塞:脳の細い血管が詰まって起こる小梗塞   脳に入った太い血管は次第に細い血管へと枝分かれしていきますが、この細い血管が狭くなり、詰まるのがラクナ梗塞です。 日本人に最も多いタイプで、主に高血圧によって起こります。     (2)アテローム血栓性脳梗塞:脳の太い血管が詰まって起こる中梗塞   動脈硬化で狭くなった太い血管に血栓ができて、血管を詰まらせるタイプの脳梗塞です。 主に、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病によって起こります。     (3)心原性脳梗塞症:脳の太い血管が詰まって起こる大梗塞   心臓にできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれて、脳の太い血管を詰まらせるものです 主な原因で多いのは、不整脈の1つである心房細動です。   長嶋茂雄氏が発病した脳梗塞です。     2、脳梗塞で起こる症状とは   【失語症】   ・頭ではわかっているのに言葉が出なかったり、違う言葉を言ってしまう ・人が話している内容がわからない、質問の内容に沿う返答ができない ・言いたい言葉がなかなかでてこない ・言いたい言葉と違った言葉が出てしまう     【構音障害】   ・ろれつが回らない、スムーズに話せない ・発音が不明瞭で、周りの人が聴き取りにくい、または聞き返される ・活舌が悪く、うまくしゃべれない     【音声障害】   ・大きい声が出にくい ・声が長く続かず途切れがち ・声が高くなったり小さくなったりする ・声がかすれたり、細くなったりする     【注意障害】   ・長い時間集中できない ・人や物事に気づきにくい ・同時に複数の事に取り組めない     【半側空間無視】   ・片側の物がみつけられない ・歩行するときに片側(右または左)の人や物にぶつかる ・服が着られない ・食事の片側においてあるものしか気づかない(半分側しか食べない)     【記憶障害】   ・新しいことが思えられない ・最近の出来事を忘れてしまう ・過去の出来事や事実を忘れてしまう、もしくは誤って思い起こしてしまう     【遂行機能障害】   ・優先順位をつけられない ・計画を立てて物事を進められない ・物事を論理的に考えられない     【嚥下障害】   ・むせやすい食べ物を飲み込んだ時に、喉に食べ物が残ってしまう ・食事中や食後によくむせる ・食べることに疲れてしまって、残してしまいがち ・食後痰が増えた     言語聴覚士は、患者様個人の症状を正確に見極め、評価し、リハビリをおこないます。 患者様の言語や発話、思考力に対して、科学的にアプローチしていきます。    

2019/09/10

脳梗塞

家族ができる脳梗塞の後遺症、失語症・構音障害のリハビリ

  脳梗塞によって脳の特定の部位に破損が生じると、 言語機能に障害が出ることがあります。   脳梗塞の後遺症による言語障害の症状には大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。   もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、 医療機関で言語聴覚士からリハビリ治療を受けることができますが、 ご家庭でもできる言語障害のリハビリをご紹介いたします。     1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害   脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて 「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。     ・失語症   失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、 ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。   失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった 言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。   その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。     ・運動障害性構音障害   運動障害性構音障害とは、脳梗塞によって 脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、 唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。   運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、 耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。   ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、 運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、 筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。     2、患者家族としての接し方ポイント   大切な家族が突然脳梗塞を発症して言語障害の後遺症が残ってしまったら…   ご家族は日常生活をする上で、どのように接していけばよいのでしょうか。   「失語症」と「運動障害性構音障害」のそれぞれの接し方をご紹介します。     ①「失語症」の場合   失語症の場合には、言葉の話せなくなった患者様(家族)に対して、 そのご家族が小さな子どもや赤ちゃんに言葉を教えるような態度接してしまいがちです。   でも失語症の患者様は赤ちゃんに戻ってしまったわけではなく、 言葉を上手に扱えなくなっただけです。   患者様の自尊心を傷つけることのないように、 ご家族が患者様の気持ちに優しく寄り添うことが大切です。     ②運動障害性構音障害の場合   運動障害性構音障害の場合には、 ご家族など周りの人からは普通に話しているように聴こえているのに、 患者様ご本人は、“ちゃんと話せていない”と感じていることが多いです。   こうしたケースでは、ご家族が普通に話せていることを伝えて、 患者様に自信を持たせてあげるように接してください。   どの場合でも、過度の励ましや、「どうしてちゃんと話せないの?」というような 叱責は絶対に禁物です。   患者様がうまく話せないことでストレスを感じ、話す努力をやめてしまったら、 言語障害はさらに悪化してしまいます。   患者様のできることやできないことをよく理解して、 行き過ぎない適切なサポートを心掛けることが大切です。     3、家族が自宅できるリハビリ   ①「失語症」の家族ができること     • あいさつ   「おはよう」「いただきます」という日常のあいさつは、 たとえ重度の失語症であっても、家族が発した言葉を真似ていうことができます。   とっさに出る言葉が、言語障害のリハビリには効果があり、 しかもコミュニケーションのきっかけにもなります。     • 日常の会話   周りがうるさくない環境、聞き取りやすく、お互いの顔や表情がわかるような目線で、 ゆっくりと理解しやすい言葉で話しかけましょう。   そのときには赤ちゃん言葉で話しかける必要はありません。 何を言おうとしているかを待つ姿勢が大切です。   表情やジェスチャーなどで察知して、「はい」や「いいえ」で回答できる 簡単な質問をご家族から投げかけるのもひとつです。     • 書字   名前、生年月日、住所、性別といった簡単な文字を書いてみましょう。   模写や文字をなぞることから始めて、書ける文字が増えてきたら 申込書などを患者様ご自身で記入できるようにするなどを目標にしてみましょう。   書きたいものも見ながら音読することで、言葉が言えるようになることもあります。     • 日記・手帳・カレンダー   その日のできごとや、今後の予定を書くことで、読み書きの訓練になります。   はじめは単語単位での日記でも構いませんし、 その日記から会話の話題も生まれやすくなります。     • ハガキ・メール   患者様ご自身で書き記すハガキや手紙が好ましいですが、それが難しい場合には、 スマホやパスコンでメールを書くことも十分なリハビリになります。   定型文を書き写す、またはご家族で一緒に文章内容を考えてあげるなども良いです。     • コミュニケーションカード・ノート   「書く・話す」といったことが困難な場合は、あらかじめ言葉をカードに書いておいて、 言いたいことをカードで伝えるという方法ができます。     • 教材   漢字ドリルやペン習字、また病院で言語聴覚士が作成した失語症用の訓練ドリルを 家庭でやってみるのもおすすめです。     • 地域交流   失語症の患者様はうまく話せないため、どうしても外出を避けてしまいがちですが、 周囲をコミュニケーションを多く取ることが非常に重要です。   無理に誰かと話すのではなく、近所の花や植物を眺めたり、買いものにでかけることから始めてみましょう。   地域のデイサービスや保健・福祉施設などで失語症の方のためのプログラムや交流会を おこなっているところもあるので参加してみることもよいでしょう。     ②「運動障害性失語症」の家族ができること   自宅でもできる機能向上のためのリハビリをしてみることがおすすめです。   病院で言語聴覚士をリハビリするだけでなく、 在宅でもご家族と一緒に楽しく前向きに取り組んでみましょう。     • 姿勢   姿勢が崩れてしまうことで正しい呼吸ができなくなることがあります。   椅子に深く腰掛けてもらい、足を床につけて背筋を伸ばして、あごを引くなど、 患者様が正しい姿勢を心掛けるように声かえをしましょう。     • 深呼吸   鼻から深く吸って、口から吐く深呼吸をしてみましょう。   息を吸うときにはお腹を前に出して、吐くときは引っ込めるように意識して深呼吸をしてみると効果的です。     • 肩や首の運動   脳梗塞の後には、筋肉が緊張状態にあることが多く見受けられます。   首や肩といった上半身の緊張が、発声や発音に影響するため、 首を左右に傾けたり肩を上げ下げして、緊張をほぐす運動をしてみましょう。     • 口の運動   1、口を大きく開け閉じします 2、「うーいーうーいー」の口の動きをします 3、口を閉じ、頬を膨らませる、すぼめるの運動を繰り返します 4、舌を前に出したり、ふっこめたりします 5、舌先を上唇、下唇を交互につけます 6、舌先を左右の口の端につけます 7、舌先で唇を右回り、左周りでぐるっとなめます   これらの運動を3回くらい繰り返してみましょう。     • 発声   「あー」と声を出しましょう。無理に大きな声を出し必要はありません。     • 発声練習   母音、50音、濁音、半濁音(ガ・ザ・ダ・バ・パ)、拗音(キャ・キュ・キョ)を ゆっくりはっきり発声してみましょう。   2音、3音とつなげる場合にも、どの音もはっきりと言えるように意識して、 長い単語を言うようにします。   次には短文、そして長文というようにステップアップしながら、 発声練習をおこなっていきましょう。    

2019/09/09

高次脳機能障害

方向音痴と道順障害について

  大型ショッピングモールに行ったら   今、あなたは初めて訪れたニューオープンの超大型ショッピングモールにいます。   初めての来店なので、わくわくしながらまずはフロアマップを入手し、 気になっていた店舗名を探しています。   大きなマップのなかから行きたいテナントの場所を見つけたのでいざ向かいます!   ・・・・ひとりで迷わずいけますか。。。   わたしの周りに   「方向音痴だから迷っちゃうので 大きな大きなショッピングモールや大型家電量販店にいきたくてもいけない・・・。」 「はぐれると電話でやりとりしても自分がどこにいるか分からないから怖い・・・。」   という友人がいます。   いえいえ。ご安心ください。   方向音痴は脳を鍛えてトレーニングを行なえば 方向音痴を克服できるのをご存知でしたでしょうか。     記憶をつかさどる海馬を鍛える!   記憶をつかさどる海馬では、日々蓄積される膨大な情報を 「重要な記憶=長期記憶」と、 「忘れてもいい記憶=短期記憶」に 振り分けます。   道に迷わずに歩くためには、 目的地までの目印を重要情報として脳の長期記憶に入れることが必要となります。   そのため、歩いた道を書き出してみて、 地図と見比べるというシンプルなトレーニングを行なうことで海馬を鍛えるといわれています。   意識するのは、歩いた道にあった興味があるものを目印にすること。   脳は好きなことや過去の大切な記憶を長期記憶に収納する、 という特性をもっているのでこれを利用して道順のマーキングをしていきます。   歩いた記憶を思い出しながらアウトプットすることも脳トレになるといわれています。     高次脳機能障害による道順障害とは   いままでお伝えした方向音痴は 自分で意識して海馬を鍛えることで克服ができるといわれています。   しかし、交通事故や脳卒中により脳損傷を負った場合はどうでしょうか。   脳は一度損傷を負うと回復することが難しいといわれており非常に繊細な部位です。   そのため ・家をでたら近所が見たこともない風景に思える ・駅から家までの道がわからなくて帰宅ができない ・毎日通うスーパーマーケットなのに入口と出口がわからない   という高次脳機能障害による「道順障害」という症状がでることがあります。   これは方向音痴とは異なり、高次脳機能障害が原因となります。   高次脳機能障害により、   目印を脳が認識できない視覚認知障害 目印を見落としてしまう注意障害 自宅周辺など見慣れた場所なのにどこなのかわからなくなる街並失認   などが複雑に絡まり生じているといわれています。     たとえば病院での場面を考える   道順障害をもっている患者様が自分のリハビリ時間を終えました。 リハビリ室から自分の病室にひとりで戻っていくことができるのでしょうか。   考えただけでも心配になりますね。   患者さまの状況をしっかり把握し、その方に合ったサポートで支えることが リハビリ職に求められています。   そのなかでも言語聴覚士は高次脳機能障害について一番の理解者となります。   知らなければ単なる物忘れとして捉えられてしまいそうですが、 言語聴覚士このような障害があることを理解し患者様のサポートをしていく職業なのです。    

2019/09/09

高次脳機能障害

若年性アルツハイマーのサインとは

  アルツハイマーとは   アルツハイマー型認知症は、 脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、 神経細胞が壊れて死に減っていくため、 認知機能に障害が起こると考えれています。 また徐々に脳全体も委縮していき身体の機能も失われていきます。   アルツハイマー型認知症ではごく定番ですが 「あれ?昨日の夕飯何食べたかな?」というような 最近の出来事を忘れてしまうという症状が見られます。   このような記憶障害は記憶を司っている海馬と呼ばれる部分に病変が起こり、 脳に記憶が出来なくなる状態が発生しているためです。 このような記憶障害が自分自身で認識する何年も前から、 実は脳のなかでは異変は発生しているのです。   アルツハイマー型認知症は進行性のある病気であるため 完治することは現代では難しいとされています。   そのため治療方法としては、早期発見時から投薬する事で 症状の進行を緩やかにするということが治療方法となります。   早期発見・早期治療開始が非常に重要な病気です。     高齢者アルツハイマー認知症との違い   若年性アルツハイマー認知症は40代~60代前半の活躍世代に発症する認知症を指します。   高齢者アルツハイマー認知症の場合は加齢とともに発症することが多いため、 物忘れをしたりするとすぐに周りの方たちが認知症を疑ってくれます。 そのため早期発見がし易いです。   一方、若年性アルツハイマーの場合は、ちょっとやそっとの物忘れ程度だと、 疲れやストレス、として自分自身で整理してしまい、 認知症の可能性をつぶしてしまうのです。   そのため若年性アルツハイマーは早期発見がされにくいといわれており、 世間としても認知度が低い病気といえます。   たとえば、仕事中に手順がわからなくなったり、 何を注意されているのかわからなくなったり、 大事なアポイントメントを忘れたり、 という症状があらわれているならば一度、 若年性アルツハイマーを疑ってみていただきたいです。     ▼若年性アルツハイマー認知症チェック項目   ・いままでできていた何でもないことができなくなった ・仕事上で失敗やミスが目立つようになった ・まわりと話をすることが減った ・休日に部屋に閉じこもることが増えた ・元気がないように見える ・わかりやすい、ごまかしや嘘をつくようになった ・会話が噛み合わない、適当に話を合わせている ・趣味や関心ごとに興味がなくなった ・もの忘れが目立つようになった     もしかして若年性アルツハイマーかも? と心配になったらこちらのサイトをご参考になっていただき 早めに医師(脳神経内科・精神科)への受診をおすすめします。 >>>全国若年性認知症支援センター    

2019/09/09

高次脳機能障害

高次脳機能障害による社会的行動障害について

  みなさまは「高次脳機能障害」という障害をご存知でしょうか?   高次脳機能障害とは、脳になんらかの障害が生じることによって起こす障害です。   この障害は、骨折のように「目に見える疾病」ではないため、 その苦しさが他の人にとってわかりづらく、また、 本人としても自分の障害を受け入れがたいという特色があります。     1、高次脳機能障害の原因   高次脳機能障害は、脳の損傷によって引き起こされますが、 脳が損傷するのは以下のようなケースが考えられます。   ①外傷性脳損傷…交通事故などにおける受傷によるもの   ②脳血管障害…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など   ③その他…脳炎、低酵素脳症など     2、高次脳機能障害が原因でおきる『行動と感情の障害』とは?   行動と感情の障害は、事故などの脳損傷の後に日常生活でみられることがあります。   ■日常生活での現れ方■   ①うつ状態 ・抑うつ的、気落ちしたり、ふさぎこんだ気分が比較的持続している状態。 ・仕事や家事もやる気が出なかったり、横になっていたいなどの意欲低下。 ・イライラ、不安、焦りなどの不安状態もよくみられる。 ・食欲の減退と体重減少、不眠、体のことをくよくよ考えてしまいがちになる。 ・すぐに疲れやすく、体がだるいなどの倦怠感を訴える。 ・頭の回転が鈍り、一見すると認知症のように見える。 ・自分を過小評価して悲観的となり、自分を責める状態が続く。   ②躁状態 ・空虚で上調子な機嫌の良さが見られる。 ・自分の置かれている状態に対して洞察や現実見当識を欠いている。   ③無感情 ・周りの変化への感情が乏しくなって、外部からの刺激に対して無関心になる。   ④過剰情緒反応 ・情緒反応の度合いが激しくなり、極端に不正に潔癖になったりする。   ⑤情緒不安定 ・感情の変化が不安定で、すぐに泣いたり笑ったりする。 ・感情を抑えることができなかったりする。(感情失禁と呼ばれる)     ■日常生活への援助 ~困った行動への対応~ ■   ◆感情の起伏が激しくコントロールできない場合… ・感情が爆発している時にはなだめても冷静に聞くことはできないため、 周囲は席を外したり、話題を変えたり、爆発が収まるまで待つ。 ・爆発が収まった後、状況とともに振り返り、自己認識を促すように話す。   ◆自分から何もやろうとしない場合… ・生活する上や、仕事の上で必須のことがあれば、声かけをする。 ・自信がなさそうな表現があっても自分から始めたときには、 今できることや、今楽しいことをじっくりやらせてあげるようにする。 ・周囲の人は、もっと先へ進ませたい気持ちを抑えて、やっていることを見守る。   ◆不安がり、ときにパニックを起こす場合… ・不安な気持ちを持っているところに、新しい事態や環境が加わると緊張や不安が 高まり、 さらにその状態が極度に高まったときにパニックが起こるため、 よく馴染んだ環境を整えて、安心して過ごすことができるように周囲の人にも協力してもらう。   ◆人への攻撃が激しくなる場合… ・周囲の人たちが一致した状態で対応するようにして、なおかつ 公平で一貫性のある対応をするように心がける。    

2019/09/06

高次脳機能障害

誤解されやすい病気「高次脳機能障害」とは?

  1、「高次脳機能障害」の特徴とは?   交通事故や脳卒中などで脳に損傷を負うと、 その後遺症のため日常生活で複雑な障害を示すような症状が現れることがあります。   これが原因となり対人関係に問題が発生したり、 日常生活への適応が困難になってしまう場合があり、 この場合に「高次脳機能障害」が疑われます。   脳卒中発生後に、麻痺などの身体的な障害がなかった場合、 “後遺症がない”と思われがちですが、これは誤解です。   忘れ物や落ち着きのなさ、怒りやすさ、手順の悪さなどの 高次脳機能障害が原因とされる症状に、 ご本人や家族も気が付かず生活していることもあります。     2、「高次脳機能障害」とは?   高次脳機能障害はケガや病気によって、脳が損傷すると、 注意を払ったり、記憶・思考・判断をおこなったりする機能を失ってしまう疾患です。   この高次脳機能障害があると、日常生活または社会生活に制約が出てしまう状態が続いたりもします。   学術的には脳損傷に起因する認知障害全般を指していますが、 行政が支援対策を推進する観点では、この一群が示す記憶障害を 「高次脳機能障害」と呼んだすることもあります。     3、「高次脳機能障害」の原因となる疾患   ・脳卒中 ・脳梗塞 ・くも膜下出血 ・外傷性脳挫傷 ・脳腫瘍 ・脳炎      など     4、いろいろな種類の「高次脳機能障害」   「高次脳機能障害」にはいろいろな種類があります。   記憶障害:約束を忘れる ・物の置き場所を忘れる。 ・新しいできごとを覚えられない。 ・同じことを繰り返し質問する。 ・自分の周囲の事象に関心を示さない。   注意障害:ぼーっとしていることが多い ・ぼんやりしていて、ミスが多い。 ・ふたつのことを同時に行うと混乱する。 ・作業が長く続けられない。   遂行機能障害:テキパキ仕事が片付けられない ・自分で計画を立ててものごとを実行することができない。 ・人に示してもらわないと何もできない。 ・約束の時間に間に合わない。   社会的行動障害:怒りっぽくなった、やる気がない ・興奮する、暴力を振るう。 ・思い通りにならないと、暴力を振るう。 ・自己中心的になる。   その他の障害 ・手足を動かすことはできるが、意図した動作や示された動作おこなえない。(失行症) ・視覚、聴覚、触覚に異常がみられないのに、対象を認識できない。(失認症) ・うまく話せない。(失語症)   これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。   高次脳機能障害の診断基準として、MRI、CT、脳波などで 認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されるか、 あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したことが確認できることが 検査所見としてあげられます。   高次脳機能障害のリハビリでは、言語聴覚士(ST)も担当します。 言語聴覚士は、患者様に検査・評価をおこない、 その結果と医師の診断をもとにリハビリ内容を決定します。    

2019/09/06

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは?

  1、高次脳機能障害の症状とは?   病気や事故が原因で脳に損傷を受けたことによって生じる障害で、 言語・思考・記憶・行為・学習・注意等の知的な機能に障害があらわれます。   注意力や集中力の低下、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの 精神・心理的症状が出現し周囲の状況にあった適切な行動が出来なくなり、 日常の生活に支障をきたすようになります。     ◆高次脳機能障害の特徴   ①外見上は障害が目立たない。 ②本人自身も障害を十分に認識できないことがある。 ③障害は、医師との診療場面や入院生活よりも、 自宅での日常生活や社会場面(職場、学校、買い物、交通機関の利用など)で 出現しやすいため、医療スタッフに見落とされやすい。     2、高次脳機能障害が疑われるとき   【主な症状1】 ・気持ちが沈みがち ・突然興奮したり、怒りだす ・気持ちが動揺する ☛行動と感情の障害     【主な症状2】 ・なめらかにしゃべれない ・相手の話を理解できない ・字の読み書きができない ☛失語症     【主な症状3】 ・作業ミスが多い ・気が散りやすい ☛注意障害     【主な症状4】 ・物を置き忘れる ・何度も同じことを話したり質問したりする ☛記憶障害     【主な症状5】 ・片側を見落としやすい ・片側にあるものにぶつかりやすい ☛半側空間無視     【主な症状6】 ・行き当たりばったりの行動をする ・一つ一つ指示されないと行動できない ☛遂行機能障害     【主な症状7】 ・道具がうまく使えない ・動作がぎこちなく、うまくできない ☛失行症     【主な症状8】 ・麻痺した手足がないように振る舞う ・麻痺がないように振る舞う ・麻痺がなくても片側の身体を使わない ☛半側身体失認     【主な症状9】 ・自宅でトイレに迷う ・近所で道に迷う ☛地誌的障害     【主な症状10】 ・物の形(色)がわからない ・人の顔がわからない、見分けられない ☛視覚失認症     高次脳機能障害には様々な症状がありますが、 認知機能への見にくい障害であることから、 本人だけでなく、サポートする家族や周囲の人たちも 障害を正しく理解して対処していく必要があります。   高次脳機能障害の症状について知りたいという方のご参考になれば幸いです。   さらに、高次脳機能障害のリハビリをおこなう職業として、 「言語聴覚士」(国家資格)があり、検査・評価・訓練をおこないます。    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?③

  1、自閉症スペクトラムの原因   自閉症スペクトラムは、先天性の疾患です。   先天的な要因により、脳機能の発達にアンバランスさが生まれて 行動などに独特の特性があらわれます。   その発症原因について詳細はわかっていませんが、 遺伝要因と環境要因が複合的に影響していると考えられます。   1950年~60年代には「親の育て方に原因がある」という説もありましたが、 1970年代には脳科学の発達とともにこの説は否定され、 自閉症スペクトラムは脳機能障害であり、 親の育て方とは無関係であることがわかっています。     2、自閉症スペクトラムの治療や相談先とは?   大人の場合、診断や治療を受けたいときには、病院の精神科や心療内科を受診します。 また、いきなり病院を受診することに戸惑いやためらいがある場合には、 福祉機関に相談する方法もあります。     ◆病院での相談先   18歳以上の大人が自閉症スペクトラムの診断や治療を受けたい場合は、 精神科や心療内科を受診します。 しかしながら、小児に比べると大人の発達障害の専門医は少ないため、 すべての精神科や心療内科で発達障害の診断や治療ができるわけではありません。 発達障害の専門医を見つけることがむずかしい場合には、 発達障害支援センターに相談して、専門医を紹介してもらう方法もあります。     ◆福祉機関での相談先   病院での診断ではなく、まずは相談してみたいという場合には、 福祉機関に相談することができます。 たとえば、各都道府県や市に設置されている「発達障害者支援センター」に 相談することができます。   発達障害者支援センターでは、日常生活や医療、就労などへの アドバイスや情報提供をおこなっています。 病院などの医療機関とも連携しているため、 相談後に診断を受けたい場合のアドバイスを受けることもできます。 アドバイスや支援は基本的に無料であり、個人情報も守秘されるため、 安心して相談することができる機関です。     3、自閉症スペクトラムの治療法   自閉症スペクトラムには、根本治療法がまだ存在していません。 そのため、医師が個々のケースに対応しており、 一般的には環境調整やカウンセリングなどがおもな治療法となっています。   また、自閉症スペクトラムとの合併によって精神疾患となり 周囲の人の理解や支援が得られえず精神的なストレスを抱え続けた結果であらわれる 「二次障害」では、日常生活に支障があるときには薬物療法が適用されることもあります。    

2019/09/06

発達障害

対人関係で誤解されやすい障害、自閉症スペクトラムとは?②

  1、自閉症スペクトラムの具体的な特徴・症状とは?   自閉症スペクトラムには特徴的な2つの症状があります。   ①社会的コミュニケーションおよび対人交流が困難 ・他人と目を合わせない ・相手や状況に対して、自分の行動をあわせることが苦手 ・難しい言葉や表現を好んで使う  など   ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式 ・小さな変化に苦痛を感じる ・柔軟な考え方をすることが苦手 ・決まった順序や食べ物にこだわる  など     2、自閉症スペクトラムの症状の現れ方の個人差とは?   自閉症スペクトラムの症状は、年齢や受けている治療などによって個人差があります。   また、発達段階、年齢、環境、教育や支援によって症状が大きく変化することもあります。   このため、症状が現れる局面も、その人の置かれている環境などによって異なります。     3、自閉症スペクトラムと合併しやすい疾患   自閉症スペクトラムには、他の発達障害や精神疾患を合併しているケースがあります。   合併しやすい発達障害や精神疾患には、以下のようなものがあります。   ・知的障害 ・学習障害 ・注意欠陥/多動性障害(AD/HD) ・気分障害 ・強迫性障害 ・適応障害 ・統合失調症 ・てんかん ・睡眠障害 ・摂食障害