社会福祉士になるには、養成施設などに通い受験資格を得て、合格率約30%の国家試験に合格する必要があります。
ここでは受験資格や合格率について解説していきます。
社会福祉士は国家資格のため、国家試験に合格しなければ社会福祉士にはなれません。国家試験は年に1回(例年2月)に実施されます。
国家試験は受験資格が必要で、取得ルートは経歴によって様々です。例として、既に4年制大学を卒業している方の場合では、社会福祉士の専門学校などの一般養成施設に1年以上通うことで受験資格を得られます。その上で国家試験に合格し、登録申請を行い、登録簿へ登録されて初めて社会福祉士として働くことができます。
社会福祉士は、福祉の相談援助に関する高度な専門知識・技術を有しているものとして、福祉や医療の相談援助の場において重要な役割を担っています。そのため、養成施設に通うなどして専門知識をしっかりと学ぶ必要があるのです。
社会福祉士国家試験の受験資格取得ルートは12種類あります。自分の経歴がどのルートに当てはまるのか見てみましょう。
最も短いルートで受験資格を得られるのが、福祉系の4年制大学を卒業した方です。在学中に「指定科目」と呼ばれる社会福祉士に関する科目を履修した方はそのまま国家試験を受験することができます。次に4年制ではなく3年制・2年制の大学や短大を卒業しており、指定科目を履修した方は、相談援助の実務経験を1年・2年積むことで受験資格が得られます。
こちらは、短期の養成施設(6か月以上)に行く必要がある人の区分です。福祉系大学に通っていて、福祉に関わる「基礎科目」を履修している人は、養成施設が短期で済みます。例えば、精神保健福祉士を既に取得している方などは同じ福祉分野ですので「基礎科目」を既に履修しており、短期の養成施設ルートに該当します。
これまで特に福祉に関わる経歴を持っていない方は、一般の養成施設の卒業を目指すルートになります。もしくは大学や短大を卒業していないけれど相談援助の実務を4年以上行っていた方もこちらに該当します。
もしも、大学や短大を卒業しておらず、さらに実務経験も有していない場合には、大学や短大に入るところからルートがスタートします。その場合には一般大学等のルートではなく、①の区分に戻り、福祉に関わる4年制大学で指定科目を履修することが最も早いルートです。
一般養成施設や短期養成施設は通信制のところもあるため、働きながら受験資格を得たいという方は通信制もおすすめです。ただし通信課程の場合でも実習は必須ですので、仕事と両立できるよう調整が必要です。
国家試験の受験申込は、毎年9月~10月の間が申し込み期間で、国家試験は2月に行われます。試験は1年に一度しか行われません。
社会福祉士国家試験は、筆記試験のみです。各設問は5つの選択肢から原則、正しいもの・適切なものを選ぶ形式です。試験科目は、以下の19科目(18科目群)です。合格基準では、「就労支援サービス」と「更生保護制度」をあわせて1科目群としています。
・人体の構造と機能及び疾病
・心理学理論と心理的支援
・社会理論と社会システム
・現代社会と福祉
・地域福祉の理論と方法
・福祉行財政と福祉計画
・社会保障
・障害者に対する支援と障害者自立支援制度
・低所得者に対する支援と生活保護制度
・保健医療サービス
・権利擁護と成年後見制度
・社会調査の基礎
・相談援助の基盤と専門職
・相談援助の理論と方法
・福祉サービスの組織と経営
・高齢者に対する支援と介護保険制度
・児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
・就労支援サービス、更生保護制度
社会福祉士国家試験の試験科目には精神保健福祉士国家試験との共通科目と専門科目があり、出題範囲が19科目(18科目群)と幅広いのが特徴です。すべての科目(18科目群)で1点以上得点を取らなければならないため、苦手科目を得意科目でカバーすることができません。社会福祉士を受験する方は、大学や専門学校を卒業予定の学生だけでなく、社会人として働きながら受験する方も多くなっています。勉強時間をいかに確保するかが、合格するためのポイントになってきます。
国家試験の合格基準は、下記の2つの条件を満たさなければなりません。
①問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
②①を満たした者のうち、以下の18科目群(ただし、試験科目の一部免除に該当する者にあっては7科目群。)すべてにおいて得点があった者。
国家試験の合格率は、直近大きく上昇しており、2024年の合格率は約58.1%となりました。
※出典元:厚生労働省
試験の配点は、1問1点の150点満点です。60%程度が合格点になるため、90点以上の得点が必要です。しかし、合格点は問題の難易度によっても変動があるため、100点以上をとることが出来れば合格は間違いないでしょう。ちなみに、第34回の合格基準点は150点満点中105点でした。
社会福祉士の国家試験は出題範囲が広く、内容も法律に関することなども多く含まれ難しいものです。合格するためには効率良く学習するのがポイントです。合格するためのコツをいくつかまとめたので、参考にしてください。
①隙間時間を利用しながら、毎日少しでもいいから勉強する
②過去問や問題集を繰り返し解く
③法改正等があるため、問題集は最新のものを利用する
④模擬試験を活用し、目標を立てながらモチベーションを保つ
また、学習にあたっては所属する養成施設のサポートが必要不可欠です。国家試験の対策をしっかり行っており、在学生が継続して効率的に学べる養成施設を選びましょう。