近年、東京をはじめとする大都市ではなく、地方に移住して働く人が増えています。社会福祉士の仕事は都道府県どこでも需要が見込めるため、地方で働きたいと考えている人にも人気の職業です。
大都市圏以外で働くメリットはたくさんあります。まず都市での生活は物価が高く住宅費もかかりますが、地方では生活コストを抑えることができます。東京に代表される満員電車に乗らなくてよいということも大きなメリットでしょう。
そして、都市では待機児童の問題などで仕事と家庭の両立がしにくいとも言われています。地方では、子育て支援の制度を充実させているところもあり、子育てのしやすさやワークライフバランスのとりやすさが魅力です。
人口に比例して就職先の数は減るイメージがありますが、日本全体において高齢化社会が進んでいるため、福祉に関する仕事は需要が増しています。
就職サイトや転職サイトでは、Uターン・Iターン・Jターンという言葉が使われることが多いです。
Uターンとは、もともと地方に住んでいた人が進学などを理由に都市部に移住し、就職のタイミングで地方に戻るなどのケースを指します。社会福祉士の場合も、東京の専門学校を出てから生まれ故郷の就職先を探す人も多くいます。家族と一緒に住めることや、住み慣れた町で暮らせることなどがメリットです。
Iターンとは、東京にずっと住んでいるが地方の生活に憧れて移住することを指します。このケースは近年増えています。海の綺麗な場所に憧れがあるという理由や、山登りが趣味などの理由で都道府県を選ぶなど様々です。
Jターンとは、生まれ育った故郷から都市部に移住した後、その間に位置するような場所に移住することです。間と限定はしませんが、例えば生まれは田舎だが少し都市部に近い場所に働きたい会社がある、などです。子育ての環境や夫婦の働き方を考えて移住する人が多いです。
社会福祉士の都道府県別登録者数は公開されています。令和2年8月末時点で、最も社会福祉士の多い都道府県は東京都の26,410名です。次いで神奈川県18,218名、大阪府16,591名、愛知県14,362名、埼玉県13,607名と続きます。
参考として精神保健福祉士は同じ年の調査で、多い順に東京都・神奈川県・埼玉県・北海道・福岡県となっています。必ずしも人口に比例するというわけではないようなので、働きたい地域の数を調べてみてください。
社会福祉士の登録者数が最も少ない都道府県は、鳥取県の1,199名でした。
福祉分野という大きなくくりにはなってしまいますが、都道府県別の求人求職情報も公開されています。平成30年度データにおいて、有効求人倍率は都道府県によって1.46倍から11.78倍までと格差があり、18県において5倍を超えています。
有効求人倍率とは、簡単に言うと職を求めている人と求人の割合です。求人数÷求職者数で計算され、数値が高いとより多くの労働者を求められているため就職しやすいと考えられます。
福祉分野の有効求人倍率が最も高い都道府県は、千葉県の11.78倍でした。東京から同じく近い埼玉県が5.18倍、神奈川県が7.09倍であることを考えると千葉県はかなり就職しやすいと言えるでしょう。 逆に最も低い都道府県は、徳島県の1.46倍です。
求人倍率が低いからといって就職ができないというわけではありませんが、求人の中から自分に合った職場や求める待遇を選択していく際に数が多い方が選びやすいという利点があります。
社会福祉士として地方で働くことを希望する方は、各都道府県のデータを一度調べてみてください。