社会福祉士になるためには、社会福祉士国家試験に合格する必要があります。国家試験は年に1回行われます。国家試験の概要や難易度、合格率についてご説明します。
社会福祉士国家試験は、筆記試験のみです。各設問は5つの選択肢から原則、正しいもの・適切なものを選ぶ形式です。
試験科目は、以下の19科目(18科目群)です。合格基準では、「就労支援サービス」と「更生保護制度」をあわせて1科目群としています。
1、人体の構造と機能及び疾病
2、心理学理論と心理的支援
3、社会理論と社会システム
4、現代社会と福祉
5、地域福祉の理論と方法
6、福祉行財政と福祉計画
7、社会保障
8、障害者に対する支援と障害者自立支援制度
9、低所得者に対する支援と生活保護制度
10、保健医療サービス
11、権利擁護と成年後見制度
12、社会調査の基礎
13、相談援助の基盤と専門職
14、相談援助の理論と方法
15、福祉サービスの組織と経営
16、高齢者に対する支援と介護保険制度
17、児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
18、就労支援サービス
19、更生保護制度
1~11までの11科目は、精神保健福祉士との共通科目です。
以下は、2020年に実施された「第32回社会福祉士国家試験」の結果です。
試験日:2020年2月2日(日)
試験地:24都道府県
合格発表日:2020年3月13日(金)14時
受験者数:39,629人
合格者数:11,612人
合格基準点:88点
合格率:29.3 %
合格発表の方法は、ホームページにて合格者の受験番号が掲載されます。合格基準点および正答についても併せて公表され、全受験者に対して総得点や各科目群の得点および無得点科目群などが通知されます。
合格者の内訳も公表されています。男女差が男性34%・女性65%。受験資格別では福祉系大学等の卒業者が56.7%・養成施設の卒業者が43.3%となっています。
日本全体の社会福祉士登録者は、この国家試験の後(2月末)時点で238,902人にのぼりました。
第32回の合格率は29.3%でした。第28回~31回をみていくと、26.2%・25.8%・30.2%・29.9%と推移しています。近年は25~30%の間の数値で安定していますが、第25回は18.8%と大きく下がる年もあるようです。
社会福祉士の国家試験は養成施設にて学んだ人のみが受けられるため、その上でこの合格率はかなり低いと言えるでしょう。養成施設で学ぶ内容の他に、1年程度をかけて受験対策を行う受験者がほとんどです。
合格率が低い理由の一つとして、出題範囲が広いことがあげられます。科目数は18科目と、福祉系資格の中では最も科目数が多いです。全ての科目で高い得点を取る必要があり、苦手科目を捨てるといった選択肢を取ることができないため難易度は上がっています。