日本は現在「超高齢社会」と呼ばれており、高齢者の人口が増え続けています。比例して介護施設も増加しており、介護業界は慢性的な人手不足に陥っています。そうした中、今後の介護業を担う資格として期待されているのが、介護福祉士です。ここでは介護福祉士の需要や将来性について説明します。
介護福祉士は、介護の現場で非常に需要の高い資格です。社会福祉士、精神保健福祉士と肩を並べ、福祉業界を支える重要な職業といえます。介護に関する高度な知識・技能があると認定する国家資格であるため、社会的評価が高く、実際の現場でも中心的な存在として活躍できます。管理職や現場のリーダーを任される機会も多いでしょう。高齢者が急増し、介護施設も増設されている現在、介護福祉士は施設の運営に欠かせない存在となっています。
公益財団法人「社会福祉振興・試験センター」の発表によると、介護福祉士として登録されている人の総数は、令和1年1月時点で1,694,630人です。加速する高齢化に伴い、介護福祉士の数もここ数年で急増しておりますが、まだまだ現場に人材は足りていない状況です。
今後の日本において、予測では2054年まで75歳以上の人口が継続的に増えていくと考えられています。そしてその後も増えたり減ったりを繰り返す波状態になると考えられるため、介護福祉士の需要が増えることはあっても減ることはありません。将来的にも需要の高い仕事と言えるでしょう。介護に関わる雇用が増え、それを束ねる専門職としても介護福祉士は求められるようになります。
また、介護福祉士は名称独占の資格です。そのため、従来は資格を取っても仕事内容は無資格の人と変わらず、収入面でも月数千円の資格手当がつくだけのわずかな違いでした。そのため、資格手当のかからない無資格のスタッフを多く雇う施設が出てきてしまうという実情がありました。この状況を打開し、介護サービスの質向上をはかるため、現在では在籍する介護福祉士の人数に応じて補助金が出るなどの対策が行われています。
介護の現場は、慢性的な人手不足でサービスの質を落としかねない危機にあります。現在求められているのは、正しい知識と豊富な経験で、現場をけん引できる介護福祉士の存在です。環境改善も進んでおり、介護福祉士の将来は明るいといえるでしょう。
介護福祉士の仕事は、介護施設の中で介護業務をすることに留まらず、活躍の場は多方面に広がっています。そのため、自分の適性に合った職場や働き方を選択しやすい仕事とも言えます。
リハビリテーションの分野においては、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士と連携して介護ケアを行います。ITの分野とも関わりがあり、介護ロボットやAIを介護の現場に取り入れていく工夫も求められています。その他、ハンドケア・音楽療法・アニマルセラピーなど、多様化する高齢者向けの治療や療法に対応できる介護福祉士が求められています。
出産や育児などで、一旦仕事を離れたのち、現場に復帰する介護福祉士もたくさんいます。サービスを提供する1スタッフとしても管理者としても、介護福祉士の資格があれば転職先に困ることはありません。また、勤務形態も常勤からパートまで、自分の生活スタイルに合ったものを選ぶことができます。そのため、今後、家族を持ったり、子育てをしたりする人にもぴったりの仕事です。