介護福祉士は、医療従事者ではありません。つまり、基本的に医療行為をおこなうことは許されていないのです。しかし、実際のところ、介護の現場において医療行為に準じる働きをしなければならないケースが多くあるため、平成24年から介護福祉職による医療行為が一部解禁になりました。それでは、介護福祉職はどのような医療行為がおこなえるのでしょうか。
まずは介護福祉士に限らず、介護の仕事全体においておこなうことができる医療行為について見ていきましょう。以下の行為については、過去に医療行為とされていましたが、今では解禁されています。つまり、「医療行為には該当しない」と明確に線引きされたのです。
また、医師法や歯科医師法、保健師助産師看護師法等の法律上において医療行為とされているものの、規制対象外となる行為は以下の通りです。
これらの医療行為については、要介護者に異常が見られない場合であればおこなうことができます。さらに、本人やその家族の同意が必要になるもの、医師や看護師の指示が必要になるものが含まれているので注意しましょう。
それでは、介護福祉士に限定した場合においておこなえる医療行為にはどのようなものがあるのでしょうか。現在、介護福祉士の国家試験について実務経験を経て受験する場合、実務経験3年以上という受験資格に加えて、介護福祉士実務者研修の修了が義務づけられています。この介護福祉士実務者研修では、医療について学ぶことができるため、以下のような医療行為がおこなえるようになりました。
例えば、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士は、認定特定行為業務従事者として、これまでおこなえなかった痰の吸引ができるようになったわけです。ただし、本人やその家族の同意が必要であること、医師や看護師との連携すること、医療者による監督のもとでおこなうこと、という条件はあります。
一部の医療行為が認められた介護福祉士ではありますが、あくまでも医療従事者というわけではありません。つまり、基本的には医療行為が禁止されています。例えば、介護の現場で実際に求められることのある行為の中で禁止されている行為としては「インスリン注射」、「摘便」、「床ずれの処置」、「血糖測定」、「点滴の管理」等が該当します。これらの行為については看護師におこなってもらう必要があるのです。
以上、介護福祉士がおこなえる医療行為について見てきました。現在、介護の現場における医療行為のニーズは高まってきています。今後、要介護者の増加や看護師不足により、ますます介護の現場における医療行為の必要性が出てくるはずです。介護の仕事に就くうえで医療行為と医療行為ではないものの線引きはもちろんのこと、医療行為であっても対象外とされている行為を認識しておくことも大事です。