EPA介護福祉士候補者という言葉を聞いたことがあるでしょうか?介護の現場でも国際化が急速に進んでいますが、よく知られる介護福祉士と何が違うのでしょう。今回はEPA介護福祉士候補者について詳しく紹介します。
EPA(経済連携協定)に基づき、日本の介護施設で就労と研修をしながら、日本の介護福祉士の資格取得を目指す外国の方々を「EPA介護福祉士候補者」と言います。EPA介護福祉士候補者は、あくまでも経済活動を通じた、国同士の連携強化を図ることが目的で、介護人材の不足を補充するための措置ではありません。平成20年度よりEPA介護福祉士候補者の受け入れがスタート。令和1年度までの間で、累計で5,026名を受け入れており、その対象国としてインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国があります。
EPA(Economic Partnership Agreement)とは、国と国の経済連携を図り、「人」、「物」、「お金」などの交流を通じて親密な関係を築くための条約を言います。
日本人の場合、介護福祉士の資格を取るには学校で知識や技術を習得し、国家試験に合格してはじめて介護福祉士として活動することができます。
その一方、EPA介護福祉士候補者が介護福祉士の資格を得るには、まず3ヶ国(フィリピン、インドネシア、ベトナム)それぞれの候補者の条件と、日本語能力をクリアする必要があります。
※日本語能力試験N2以上の取得者は、訪日前と訪日後の日本語研修が免除されます。
※日本語能力試験N2以上の取得者は、訪日前を訪日後の日本語研修が免除されます。
また、EPA介護福祉士候補者が研修を行う際には以下の施設を活用します。
以上を踏まえた上で、国家試験を受験し、合格すれば介護福祉士の資格が取得できます。EPA介護福祉士候補者として、日本に滞在できる期間は4年と決まっていますが、滞在最終年度(4年目)で不合格だった場合でも、1年間の滞在延長が認められています。
言語の違いによるハンデとして、EPA介護福祉士候補者には、以下の特例が認められています。
2020年に実施された、介護福祉士国家試験では、84,032名が受験し、58,745名が合格しました。そのうちEPA介護福祉士候補者は758名が受験し237名が合格。合格率は44.5%で前年度よりも1.5ポイントダウンしましたが、300名を超えました。
中でもベトナム人の合格者が目立ち、152名の受験者のうち138名が合格。合格率は90.8%と高い水準となっています。その理由として、入国時のベトナム人の日本語レベルが他の2国(インドネシア、フィリピン)のN5程度に対して、N3以上と非常に高く、その後の学習の助けになったのではと言われています。
受け入れ先の施設からも、EPA介護福祉士候補者が増えたことで「異文化に触れることができ一体感が生まれ、介護現場が活性化した」などの反響もあるようで、今後の活躍にもますます期待が高まります。